今回は少しファンサブ問題を掘り下げてみたいと思います。
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通常の皆さんからのご質問に答えるフォーマットとは違いますが、ファンサブ翻訳の日本語力についての質問に答えているうち、最近こちらのアニメ業界で起こっていることとシンクロしてきたため、現状を包み隠さずお伝えしようと思います。
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《ファンサブの歴史》
ファンサブが登場する以前には、ガンダムの回でも述べたようにシノプシス(synopsis)と呼ばれるペラ一枚の紙に書かれたストーリー概略と画面とを必死に照らし合わせながらファンは話を追っていきました。
様々なシノプシスを集めて冊子にまとめたものが出回ったりもしていたものです。ファンはお互いにこうしたものを共有しながら、アニメをアメリカ国内で普及させるために自分たちの手による「英語化(ローカライズ)」を行っていたのです。もちろん当初から、著作権については問題になっていました。
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この頃はまだ日本でリリースされた作品がアメリカに渡ってくることはほとんどなく、よくて数年後に吹替版か字幕版のビデオシリーズが発売されるか、運がよくてかなり編集されたテレビシリーズが放映されるか、このどちらかでした。
自分の見たいと思っている作品が必ずしも米国でリリースされる保証はなかったのです。
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こうした状況の中、なんとかしてアニメを見たい、見せたい!わかりたい!とファンの連帯感は非常に高まっていきました。日本でガイナックスが誕生したころ、こちらでも「ファンがプロになった集団がいるそうだ」とファンダムで話題になり、DAICONフィルムが渡ってくるほど。
自分たちも何かしたい、「おたくのビデオ」みたいなファン活動を楽しみたい…など、影響は当時少なからずあったと思います。(同時に“自主制作”という名において日本でパロディはOKらしいから、アニメミュージックビデオ(通称AMV)もいいだろう、という考えも生まれてしまいました。)
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アニメ作品自体にも貢献できるものをファンダムが皆の共同作業でつくりだし、さらに共有していこう…こうした気運の高まりから自然にファンサブ(字幕の自主制作)への道筋ができてしまったのです。
これにはコンピューターやインターネットの普及も一役買っていますが…当時の新しもの好きな若者は、アニメ好きであるのと同時に新しいテクノロジーにも目がありませんでした。
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前回述べたように、ファンサブの作り方というのはホームビデオ編集とほぼ似たような手法です。今でもこの方法は変わっていません。変わったのは配布メディアなのです。
元々はLDを再生して、それにあわせて表示した字幕をVHSやS−VHSに録画していました。ところが最近ではDVDやHDに録画したテレビ放映の画像に字幕をつけています。しかもブロードバンドの普及以来、完成した字幕版をウェブにアップロードするというのが主流になってきています。
これはファンサブに頭を悩ませている各メーカーにとっては大打撃です。
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というのも過去のVHSの場合では、ダビングを繰り返す(つまりコピーのコピーを続ける)と画像がぼやけて粗くなる、などクオリティの劣化が見られました。
LD→VHS版の第一世代が出回ったとしても、それからコピーを作る(VHS→VHS)にも限界がある、ということです。また物理的にVHSテープなどのやりとりが生じますから、その点においても広まるには時間がかかります。
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ところがウェブにアップロードされるデジタルデータともなると、高速ブロードバンドで瞬時とまではいかなくとも、ダウンロード時間もVHSテープの郵送時間に比べるまでもありません。おまけにいくらコピーを作ってもクオリティ自体に変化はなく、結果、無尽蔵に違法コピーが出回ることになります。
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《インターネットの功罪》
当初からインターネットはアメリカのファンダムに多大な影響を与えています。広大な国土のアメリカでは、なかなかファン同士が交流を持つのは難しいのですが、インターネット上で「サイバースペース(仮想空間)」という居場所を見つけたファンたちはこぞってそこに集まりコミュニティーを形成し、情報交換をし、コンベンションを立ち上げる、などして活発に活動してきました。
今のファンダムがあるのもひとえにインターネットのおかげと言えるのです。と同時に、この草の根運動は著作権侵害の問題も起こしはじめました。パソコンの壁紙をはじめ、版権画や画面キャプチャを起こし、それをネット上で公開しはじめたのです。今でも海外サイトの方がアニメの画像を含むところが多く、英語のタイトル名で検索するととんでもないヒット数をはじき出します。
ファンの意識としては好きな作品を他のファンと共有する、ということで知名度を高めてファンダムに貢献している、と捉えているところがあると思うのですが、著作権の侵害は侵害です。こうした気安さが、ファンサブがはびこる原因ともなっており、ネットの功罪は大きいと私は考えます。
また、後述しますがこうしたインターネットの利便性を業界が逆手にとっていくことも可能だとも思います。
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次回はファンサブ論争の中核、ファンvs企業の言い分に迫ってみたいと思います。
ファンサブ論争に思う『アニメ業界の憂鬱』 その2はこちら その3はこちら
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| ではまた次回。 |
| Ciao, |
| Romy |