シンポジウム/『コンテンツ、今そこにある危機』「コンテンツ人材像大論議」10月22日 六本木アカデミーヒルズ佐々木史朗氏(/オフィス・シロウズ 代表取締役)工藤英博氏(/ATP理事長)梅村宗宏氏(/セガ 映像ビジネス部部長兼プロデューサー)浜野保樹(/東京大学大学院新領域創世科学研究科教授)主催:経済産業省、映画産業振興機構 「コンテンツ人材像大論議」は東京国際映画祭の一環として開催されたシンポジウム「コンテンツ、今そこにある危機」の中のパネルのひとつである。このパネルでは主に映画を例に取り、近年増えている大学や大学院におけるコンテンツ関連学科などコンテンツ分野の人材育成の問題が討論された。 今回のパネリストの中でアニメ分野に知識があるのは、濱野教授のみのため、話は実写映像の話が中心になった。しかし、安定しない雇用、厳しい労働環境から人材流出が激しい例として挙げたアシスタントディレクター(AD)を、新人アニメーターと読み替えればアニメ業界も実態は同じと言えるだろう。討論の内容は業界を越えたマンガ、アニメ、ゲーム、テレビなど全てに共通するものであった。 1時間半に及ぶ討論では、人材を巡る問題に幾つかのちぐはぐな面が目立った。例えば、一方で現場はどうにもならない人手不足と主張されるが、他方では今後、大学、大学院からの卒業生を受け入れられるキャパシティがないという。 また、好奇心が強い人、メディアリテラシーの高い人材、時流に敏感な人が求められる人材とされるが、採用する側にそうした人材を確かに採用出来るシステムがないといったこともある。こうしたことを全て含めてコンテンツ分野に関わる人材問題であり、それだけ問題の根も深い。 こうした矛盾はパネリストのかたがたの内部にもあり、シンポジウムに先立って濱野教授が提示した課題「クリエーターを教授することは出来るのか」「出来るとすれば何を、誰が、どうやって行うべきなのか」には、誰も明確な回答を出すことが出来なかった。 シンポジウムでは、例えば梅村氏が、教育の場での教授は全く駄目、会社は様々な知識が豊富な白紙な人材を求むというように、学校における専門教育に否定的な方向に流れがちであった。 にもかかわらず、多くのパネリストがクリエーター教育は必要という結論になったのは、濱野教授が最後に引用した「映画人は育てられるわけがない。しかし、育てられないという前提から教育する方法があるのではないか」ということでまとめらるのだろう。 これはクリエーターを育てるのでなく、育てる環境を作ることとも読み替えることが出来るかもしれない。梅村氏はチャンスを与えることにより人が現れる、裾野を広げることに意味があるとする。工藤氏はそうした教育機関があれば本当に意欲のある人にはチャンスではないかという。 高等教育におけるクリエーターの教育とは、人をクリエイティブにすることではなく、クリエイティブな人材を発掘する場として意味があるのかもしれない。/東京国際映画祭 /経済産業省 /映画産業振興機構
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