短編アニメーションの作家、評論家の集まりとして活動してきた団体CALFが、2013年から新たな展開をする。2月22日、東京都写真美術館で開催している第5回恵比寿映像祭のトークセッション「CALFとインディペンデント・アニメーションの現在」のなかでメンバーが明らかにした。トークでは過去2年半にわたる活動を振り返り、今後の新たな活動の方向性なども説明された。新しい体制では、法人化したCALFをCALFの社員である廣瀬秋馬さん、大山慶さん、久保亜美香さんが運営する。そのCALFが水江未来さん、和田淳さんをはじめとする短編アニメーション作家に制作委託をし、上映作品のプログラミングやキュレ―ション、執筆なども委託する。CALFは2010年5月に、アニメーション作家の大山慶さん、水江未来さん、和田淳さん、そしてアニメーション研究・評論の土居伸彰さんが設立した。個人作家による短編アニメーションの制作は、経済的な自立が難しいとしばしば指摘される。制作資金を作家自身の個人負担や各種団体の助成で支えられることも多い。そうしたなかでCALFは、作家がアニメーション制作活動を自立的に行う環境づくりを目指した。CALFレーベルのDVD発売・配給や、上映イベントなどの開催である。実際に自身の作品を求める人たちをよく知る作家によるDVDの発売・流通は一定の成果をあげたとみられる。また、“CALF”のブランドを掲げることで、海外映画祭やアニメーション関係者のネットワーク、上映会を通じたより幅広い層へのアプローチも実現した。何よりも短編アニメーションの制作が経済の仕組みとして成り立つと示したことの意味は大きい。しかし、活動が拡大する一方で、参加メンバーの負担も増していた。今回のCALFの体制変更は、運営と制作活動を分離することで、メンバーの本来の核であるアニメーション制作や執筆活動の環境を確保する。運営には大山慶さんが引き続き携わるほか、これまでプロデューサーとして協力してきた廣瀬秋馬さん、そして久保亜美香さんがプロデューサーに加わる。久保亜美香さんは学生時代より作家活動をし、数多くの受賞経験がある。2008年にオタワ国際アニメーション映画祭で国際審査員を務めるなど、活動の幅を広げている。国際的なネットワークも豊富だ。今後注目されるのは、CALFの活動をこれまで以上に多くの短編アニメーション作家に広げていくことだ。これまでのCALFの経験をより広く、一般化出来るのかが問われる。また、2012年に設立したCALF STUDIOによる製作部門の映像制作業務も、新しい動きとして関心を集めそうだ。短編アニメーションと商業的な仕事を結びつける、CALFは新たな挑戦に乗り出す。[数土直志]CALF/http://calf.jp/CALF STUDIO/http://calf-studio.jp/
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