■ノボルとミカコ、それぞれの気持ちは”ノンフィクション”、2人の置かれている”時空”が舞台上でクリアになる。舞台が始まる前にメールの”あるある”ネタの落語がある。ちょっとしたメールやLINEのやり取り、ちょっとクスリと笑える軽妙な話、ここは気楽に。それから”本編”が始まる、という趣向である。舞台には”いかにも”な田舎のバス停、舞台の上手と下手の上層には宇宙船の操縦室っぽいものがある。何気ない日常、高校生のノボルとミカコ。ごく平凡な日常が続くはずだった。ミカコが”選抜”された。きちんとした別れも言葉もかわせないまま、ミカコは宇宙へと旅立つ。2人をつなぐのはメールだけ。電話は出来ない。ノボルはいつもの日常を過ごすが、どこか空虚だ。いつも一緒にいるはずのミカコはいない。時折、メールが来るだけだ。やがてミカコは地球からとてつもなく遠い場所へとワープする。やがて普通ならすぐに届くはずのメールが何年もたたないと相手には届かなくなってしまう……。芝居と独白、そして映像。シンプルであるがために2人の置かれている”時空”が舞台上でクリアになる。ノボルはごく普通に学校に行く。やがて学校を卒業し、知り合った女の子とつき合うようになるが、心の中にはいつもミカコがいる。遥かに遠い宇宙にいるミカコの心の中にもノボルがいる。永久に再会できないかもしれない2人。純粋であるが故にどこまでも哀しく、切ない。ゲネプロではノボルを河原田巧也、ミカコを根岸愛(PASSPO☆)が演じていたが、登場人物の心の寂寥感を初々しく、等身大で表現していた。舞台上では2人が置かれている時間の違いや場所を映像や照明、立ち位置で視覚的にみせる。時折流れる音楽は心のひだを膨らませてくれる。クラスメイトたちのやたら明るい立ち振る舞いが地球に残されたノボルの気持ちを際立たせる。設定は実にファンタジックだ。宇宙と地球、あり得ない設定、まさにフィクションではあるが、それぞれの気持ちは”ノンフィクション”。例えば幼い頃に仲のよかった近所の同い年の友人、引っ越しなどで別れ別れになってしまい、インタネットが発達しようとFB等のSNSが発達してもそれっきり会えないままだったりするのはよくあること。気分は”宇宙と地球”だ。日々の暮らしで忘れかけていた、やり過ごしていた一抹の寂しさ、そんなことを思い出させてくれる。そういったことを思い出すのは、少し心が痛い。そんな痛みは人生にはつきものだ。ノボルもミカコも純粋に想い合うからこそ心の痛みを感じつつ、それぞれの”日常”と向き合う。エンディングは、その痛みを受け止めつつ、新しい何かにむかうピュアな心を感じる。優しいピアノの旋律が響き渡る。もの静かな舞台だが、観終わった観客の心にはかすかな温かいものが流れるはず。舞台表現としては新しい試みにあふれた作品、まだまだのびしろがあって将来性を感じる作品だ。演劇ユニットキャットミント隊#7朗読×劇『ほしのこえ』CBGKシブゲキ!!2015年4月23日~27日[キャスト]小松未可子/根岸愛(PASSPO☆)/井上正大/河原田巧也/梅原裕一郎/反橋宗一郎(L.A.F.U.)/北山詩織/熊谷知花/北乃颯希/芦原優愛(Tokyo Cheer(2) Party)/梶原龍星新垣里沙(特別出演)/桂三四郎(落語)[スタッフ]原作: 新海誠脚本・演出: 拝田ちさと(演劇ユニットキャットミント隊)音楽: 天門http://www.catmint-tai.com/stage007.html
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