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2009年05月24日
コミック ]
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 米国の大手マンガ出版社VIZメディアは、北米のマンガファンに向けたオンラインマガジン「IKKI」を5月21日オープンした。このIKKIは、日本では小学館が発行する月刊マンガ誌IKKIのオンライン英語版である。
 オープンと同時に五十嵐大介さんの『海獣の子供』の連載を開始したほか、五十嵐さんのインタビューも掲載している。連載は今後毎月更新され、いずれも無料で閲覧出来る。
 サイトでは今後も掲載を予定している作品として、鬼頭莫宏さんの『ぼくらの』、オノ ナツメさんの『さらい屋5葉』、林田球さん『ドロヘドロ』、青野春秋さん『俺はまだ本気をだしていないだけ』を挙げている。作品の拡大だけでなく、クリエイターコーナーや特集記事も充実させていく方針だ。

 無料での配信は、VIZメディアが今後発売する単行本の宣伝、プロモーションも兼ねている。VIZメディアは『海獣の子供』のオンライン掲載終了後に、自社の「VIZ Signature」レーベルで英語版単行本(グラフィクノベル)を発売予定だ。
 他の連載予定作品についても、同様の出版を予定している。日本のマンガ雑誌の役割を、無料のオンラインマガジンが代替する。テレビアニメと連動した作品の人気が高い北米マンガ市場で、ウェブを通じて作品や作家の認知度を拡大する方針だ。

 オンライン英語版IKKIは、現在のところ英語版の雑誌展開は発表されていない。今後も、オンラインのみの無料配信を続けるものと見られる。
 これは月刊IKKIの持つ、ややマニア向けでエッジの利いた雑誌という性格も反映しているだろう。IKKIの日本国内の最新の発行部数は、日本雑誌協会のJMPAマガジンデータによれば1万4000部である。
 一方で、『ぼくらの』、『RIDEBACK』、『のらみみ』といったアニメ化作品、『海獣の子供』、『セクシーボイスアンドロボ』、『鉄子の旅』など話題作を輩出している。国内でも雑誌は、作品の掲載媒体、プロモーション媒体としての色合いが濃く、収益は単行本やその後のメディア展開に依存しているとみられるからだ。

 VIZメディアは同時期に、北米で雑誌展開をしている少女向けのマンガ雑誌「Shojo Beat」を今年6月で終了することを発表している。
 たとえIKKIをマンガ誌にしても、雑誌での収益化は難しく、プロモーションと割り切るにも印刷、流通などの経費による赤字は無視出来ない。オンラインマガジンであれば、同じ効果をかなり低いコストで実現出来る。

 北米版IKKIのもうひとつの狙いは、現在VIZメディアが力を入れるマンガレーベル「VIZ Signature」の活性化にある。VIZ Signatureは、青年マンガやマニア向けの年齢層の高いファンのレーベルとして設けられている。
 VIZ Signatureの現在のタイトルは、『バカボンド』や『リアル』、『20世紀少年』、さらに『美味しんぼう』や『ゴルゴ13』まで多彩だ。
 VIZメディアは、北米で『NARUTO』や『Bleach』など少年マンガで大きな成功を収めている。しかしさらなるマンガ市場の拡大には、より年齢の高いマーケットへの進出が必要との考えだ。同社は少年マンガ、少女マンガが大半を占める北米市場に青年マンガを導入するとして、VIZ Signatureに大きな力を入れている。

 そのVIZ Signatureの位置づけを明確にするために、フラッグシップ的な存在として国内で掲載マンガの質の高さに定評があるIKKIに白羽の矢が当たったとみられる。
 北米オンライン版IKKIの展開は、北米マンガ市場の今後の動向を考えるうえで、目の離せないものになっている。

IKKI 公式サイト(英語) http://sigikki.com/
IKKI 公式サイト(日本) http://www.ikki-para.com/

VIZ メディア http://www.viz.com/

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