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2004年09月24日
本の紹介 ]
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 『すべての映画はアニメになる』は、過去20年間に渡ってアニメ雑誌『アニメ-ジュ』に掲載された押井守氏の文章、対談、インタビューをまとめたものである。20年に及ぶ期間、様々な作品と対談者ではあるが意外なほどまとまりがあるのは、押井守氏本人が掲載記事をセレクトしたためかもしれない。全体が押井氏の一貫としたアニメとは何か、映像とは何かといった意見表明の場として機能しているからだ。
 そして、その中のひとつが表題にもなっている『すべての映画はアニメになる』、2001年に映画『アヴァロン Avalon』を語った押井氏のインタビューである。押井氏はこの中で、アニメーションは根拠のない映像だと思われているが、実写もまた根拠なき映像である、実写もアニメも実は同じでないかと述べている。昔は、アニメーションを映画にしようと思っていたが、映画がアニメなのだという押井氏の考えは、現在のあらゆる映画に使われるCG技法の氾濫を目にすると説得力を持って伝ってくる。

 最近、私自身は世界的に強いと言われている日本のアニメの将来について考えることが多い。ジブリ作品や『イノセンス』あるいは『カウボーイビバップ』といった作品は、ある意味アニメの極みに達しているのでないか、少なくともドラマ(物語)を中心としたアニメは他国を寄せつけない位置にいる。しかし、この状態が今後も続くのだろうか。
 『マトリクス』や『ハリーポッター』といったSFやファンタジーを超えて映像のCG化は急速に進んでいる。一方で、アニメーションもまた急激に3Dの方向に動き2Dの世界では持つことの出来なかったリアリティーを獲得している。
 押井氏は俳優も素材だと思ってきた、映画はあくまでも監督、音楽、編集、美術といったスタッフが作るものであると語る。つまり、これは俳優とは監督の頭にある虚構の存在だということだ。そうであれば、俳優はそもそも虚構の中から生まれて来たアニメのキャラクターと同列上にある。既に、実写とアニメの境界は消え始めている。
 日本アニメは世界で唯一アニメーションの中にドラマ(物語)を意識することで成り立った文化である。それゆえに産業として拡大し、世界文化にすら影響を与える力を獲得した。それでは、元来物語である実写とアニメが完全に融合した時に日本アニメの競争優位性は消えるのでないだろうか。

 上記インタビュー以外にも、過去20年間を超える押井氏のその時々の言葉は、どれも密度が濃い。そして、色々なことを読み手に感じさせる。押井氏の映像作品が観るものを深い思考の世界に誘うのと同じように、彼の言葉もまた読み手を思考の迷宮に導く強い力を持っている。

『全ての映画はアニメになる』 押井守著 徳間書店 2100円(税込み)
すべての映画はアニメになる[...アニメージュ叢書

徳間書店(アニメージュ) 

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2004年09月19日
雑誌 ]
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 9月10日に主婦と生活社からアニメ雑誌『PASH!』が創刊された。巻頭特集には、『鋼の錬金術師』、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』、『蒼穹のファフナー』と女性アニメファンに人気のある作品を集中的に取り上げている。また、ボーイズラブゲームを取り上げるなど、読者のターゲットを女性ファンのみに絞った初の女性向けアニメ雑誌である。
 近年、女性アニメファンは増加しており、アニメのヒットにも大きな力を発揮すると言われている。既存のアニメ雑誌でも女性読者を意識した誌面作りが増加している。しかし、実際にはこれまでの男性アニメファンの存在も無視出来ない。男性アニメファンに根強い人気の美少女中心のアニメと女性に人気のある作品の両立はしなかなか難しいものがあるし、同じ作品であっても読者に男性を想定するか、女性を想定するかで取り上げかたは大きく異なってくる。それだけに、男性ファンを切り捨てることで、既存のアニメ雑誌の間に割って入ろうとする『PUSH!』の動向に注目したい。

 また、本年5月には、日本経済新聞社のグループ会社の日経BP社が『日経キャラクターズ』を隔月刊のアニメ雑誌として創刊している。こちらは、アニメ雑誌としては珍しいビジネス系の出版社からの発行で、アニメをビジネス面から捉える一方、制作会社のスタッフの声も積極的に取り上げている。
 ガンダムシリーズやプロダクションIG、ゴンゾなどの作品の取り扱いが大きく、これまでアニメ雑誌の読者と考えられてこなかった20代から30代のハイエンド作品志向のファンを読者として想定しているようだ。

 アニメ雑誌は今までアニメファンという限られたパイを取り合うことで成り立ってきた。それに加え、常に複数誌が並立する過当競争の市場でもある。そして、これまでは数多くのアニメ雑誌が創刊されては消えて行くことを繰り返して来た。

 現在、収益性の高いビジネスとしてアニメがにわかに注目されている。これに伴い、アニメの制作本数はうなぎ登りで半期に100本とも言われている。アニメの海外市場も着実に広がっている。このブーム乗ったともいえる創刊であるが、実際には国内アニメ市場はさほど広がっていない。DVDを始めとするアニメ作品も限られたパイを争っているのが現状である。今年創刊の2誌も、そうした点から、これまでとは異なった層にアプローチしているのだろう。

PASH! 
日経キャラクターズ
徳間書店(アニメージュ)
ニュータイプ
アニメディア 
電撃アニマガ 
ファンロード 
Megami マガジン 

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