検索

clear.gif


カレンダー
バックナンバー

2006年03月31日
本の紹介 ]
clear.gif

 1970年代に荒木信吾氏という人気も実力も備えたアニメーターが、アニメファンから高い支持を受けていた。80年代のアニメブームでは、安彦良和氏や美樹本晴彦氏、金田伊功氏などがそうした存在だっただろう。
 では、90年代後半から2000年にかけて、日本を代表するアニメーターは誰だろうか。多くの人が迷うことなく、その1人に川元利浩氏の名前を挙げるだろう。

 川元氏の絵の素晴らしさをここで説明することは省こう。判っている人には、説明するまでもないし、もし不幸にしてその名前を知らなければ『ウルフズレイン』や『カウボーイビバップ』を観てもらうほうが、つたない説明より何倍も確かに伝わるはずだからだ。あのシャープで凄みのある絵を描く人といえば判るに違いない。

 3月29日に発売された『Toshihiro Kawamoto Artworks The Illusives I&II』は、この川元利浩氏の過去20年間に手掛けた版権イラスト作品を中心に、原画、キャラクター設定、修正集までを紹介するものだ。
 主要作品に加えて大作の陰になりがちな数多くの作品を集めることで、同氏のこれまでの仕事の全貌が見えてくるように出来ている。

 さらに、単なる画集にとどまらないのは、それぞれの作品に川元氏自身によるコメントがあり、彼と仕事をした多くの人々のコメントとインタビューが掲載されていることである。 
 そうした人々の声を聞くことによって、紹介された絵がより多くのものを語りだす。単に絵を紹介するだけでない、川元氏の20年間の仕事が何だったかを記録するまさに仕事集といえる本なのである。

 また、この画集の優れているのは、一般にはよく知られた代表作『Cowboy Bebop』や『機動戦士ガンダム0083』といった作品だけでなく、OVA作品やゲーム作品、ビデオのパッケージから小説のイラストまでほとんど全ての川元氏の作品を網羅しているところにある。
 川元氏の仕事は、どちらかといえば『ガンダム0083』や『Golden Boy』、『Cowboy Bebop』といったキャラクターデザインを手掛けた作品に日が当たることが多い。

 しかし、今回、比較的初期に描いた他のアニメーターのキャラクターを使った数々の版権イラストが面白い。例えば、この本がなければ、川元氏がこんなにも多くのファーストガンダムの版権を描いていたと、多くの人は知らなかったであろう。
 また、『宇宙戦艦ヤマト』から『攻殻機動隊』まで、その活躍の意外な広さに驚かされるに違いない。そして、川元氏はそれらのキャラクターを十分に生かしたうえで、さらにその上に確実に+αを表現しているのである。

 川元利浩氏のアニメーターの仕事は、この20年で終わったわけではない。2000年以降の『劇場版カウボーイビバップ』や『ウルフズレイン』の絵の繊細さと凄みに驚かされるばかりである。
 この先20年、さらにこの絵が進化したら一体どうなるのだろうか。その時には、また新たな仕事集が必要とされているに違いない。それが出来るまでは、この本が川元利浩を知る一番の本であり続けるであろう。

clear.gif
posted by animeanime at 23:59 | コメント (0)
2006年03月06日
調査・レポート ]
clear.gif

 デジタルコンテンツ協会は、映像・音楽・画像など多彩な分野にわたるデジタルコンテンツ産業の促進を行う業界団体である。アニメーション分野でも様々なセミナーやレポートを出すなど活発な活動を行っている。
 このデジタルコンテンツ協会の発行しているDCAJnewsは、短いながらも様々なレポートをしており、アニメ関連でも興味深い記事が多い。

 とりわけ最新号(123号)の海外レポートは注目である。韓国、シンガポール、インドといったここ数年、アニメーション分野で急成長した3カ国を取り上げているからである。
 アニメーションの海外事情というとこれまでアメリカやヨーロッパ、最近では中国といった国に注目が集まることが多い。海外の情報と言った時も、そうした国の情報に偏りがちである。それ以外の国の情報となると極めて断片的である。

 レポートの目的は、関係業界のための資料ということが第1にあると思われるが、各国のアニメ事情を知るにもよい資料である。
 韓国については、「韓国3D(立体)コンテンツは、今」と題した3D関連の研究所の概略とゲームショウの紹介がされている。
 また、昨年アメリカの映画制作会社ルーカスフィルムが初めての拠点ルーカスフィルム・アニメーションを設立したシンガポールは、「シンガポールCGの最前線」で取り上げている。シンガポールは、アニメーション産業を国家的に支援していることで知られているが、そうした各政府機関の取り組みが報告されている。
 さらに、「インド発-デジタルシネマ最前線」では、デジタルアニメーションのアウトソーシング先として急速に注目されるインドのデジタル映像産業レポートしている。内容は、主にデジタルシネマに携わる企業の事業内容の紹介である。

 いずれのレポートも量的に多くはないが、全て現地取材に基づくものである。これら地域のアニメーション産業の情報が圧倒的に不足する中で、貴重な1次資料になる。

財団法人デジタルコンテンツ協会 
DCAJnews 第123号 

clear.gif
posted by animeanime at 23:00 | コメント (0)