| [ 本の紹介 ] |
|
今年4月にNTT出版より発売された『アニメ作家としての手塚治虫 その軌跡と本質』(津堅信之著)は画期的な本である。 しかし、この本の意義の大きさはそれだけではない。アニメ作家としての手塚治虫を取り上げるなかで、これまで通説とされていた数多くの事実に疑問を投げかけていることだ。 例えば、手塚治虫はディズニーのようなアニメーションを作りたかったとされることが多い。これに対して津堅氏は、多くの発言や手塚の行動から、手塚治虫はディズニーアニメーションのようなアニメーションを作れるとは考えておらず、一貫して実験アニメーションや個人作家の作品に惹かれていた可能性を主張する。 さらに個別に注目したいのは、日本初の本格的テレビアニメシリーズ『鉄腕アトム』を巡るトピックである。これまで手塚治虫は1話あたり50万円から60万円とされる常識を超えた低価格で、『鉄腕アトム』の制作を引き受けたとされている。 しかし本の中で津堅氏は、そもそも55万円という格安受注は存在しなかったことを明らかにしている。極端に格安な受注が実際は存在しなかったのに、なぜそれが定説となったかは詳しくは本書を読んでもらいたい。 それでも当時の虫プロの給与体系や経営内容を例にとり、虫プロが現在のアニメーターの低賃金を引き起こしたとすることや、虫プロが導入したリミテッドアニメが日本のアニメのクオリティを落としたとすることに対する疑問は非常に説得力がある。 この本を手に取る多くの読者は、これまでどれほど自分たちがアニメ作家としての手塚治虫について知らないことが多かったかを知るに違いない。 アニメ作家としての手塚治虫―その軌跡と本質 |
| posted by animeanime at 23:00 | コメント (0) |
| [ 調査・レポート ] |
|
日本貿易振興機構(JETRO)は、海外コンテンツ市場の調査レポートをあらたに3本公開している。今回新たにまとめられたのは、「欧州におけるコンテンツ市場の実態」と「中国におけるテレビ番組販売ハンドブック」、「北米音楽市場進出ハンドブック」である。 これらのレポートはJETROが進める海外のエンターテイメントコンテンツ市場調査の一環で、日本企業が海外に進出する際のビジネスハンドブックとなることを目指している。 今回の報告書でアニメやマンガに一番関わりが深いのは、「欧州におけるコンテンツ市場の実態」である。これはこれまでJETROが各国別、各分野別に調査してきた最新の情報をひとつに統合した決定版となっている。 「中国におけるテレビ番組販売ハンドブック」は、中国にテレビ番組を輸出するためのノウハウに特化したものである。単なるビジネスのやりかただけでなく、中国のテレビ市場の成り立ちから市場規模、放送局の紹介、中国の視聴率など118ページにわたり中国のテレビ市場について解説している。 また、北米の音楽市場を特に取り上げた「北米音楽市場進出ハンドブック」は、今回全く新しい試みにとなる。これまで北米の音楽ビジネス進出を集中的に扱った書籍やレポートは、民間でも発行されたことがなく、音楽ビジネス関係者にとっては貴重な資料になるだろう。 いずれのレポートも100ページを超える詳細なもので、個別の企業が単独で行なうには難しいものばかりである。これらのレポートは、JETROのホームページで無料ダウンロードが出来る。また、JETROは今後も様々な地域の調査を積極的に進めて行く方針である。 当サイトの関連記事 日本貿易振興機構 http://www.jetro.go.jp/ 上記で紹介したレポート ■ 中国におけるテレビ番組販売ハンドブック(輸出促進調査シリーズ) 2007年3月 ■ 北米音楽市場進出ハンドブック(輸出促進調査シリーズ) 2007年3月 |
| posted by animeanime at 20:00 | コメント (0) |