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2007年07月26日
本の紹介 ]
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7年ぶりのアニメビジネス読本
 この7月に発売された元マッドハウス代表取締役増田弘道氏による著書「アニメビジネスがわかる」がすごい。
 本書はアニメ産業の市場からビジネス構造、その発展史、さらに日本のアニメがなぜ海外で受けるか、問題点までを幅広く扱ったアニメビジネスの解説本である。実はアニメビジネスの解説本が出版されるのはおよそ7年ぶりである。

 21世紀に入ってから、アニメビジネス、アニメ産業といった言葉が驚くほど様々な場で語られてきた。しかし、このアニメビジネスをきちんと解説する本はほとんど存在しない。まとまったかたちでの出版されたのは2000年9月に日経BP社が発売した「進化するアニメ・ビジネス」が最後のはずだ。
 2000年以降から2007年の現在までは、アニメ産業にとっては激動の変革期であったが、この変化をフォローするべき書籍はなかった。「アニメビジネスがわかる」は、こうした2000年以降のアニメ産業の変化と流れをフォローする重要な役割を担った本なのである。またその内容は単にフォローするだけでなく、必要な範囲を網羅しつつ浅くない。

2005年のアニメ製作市場は約532億円
 本書はアニメ産業の幅広い話題を扱かっているが、一番の注目はアニメ産業に関する市場や経済の様々な数字が示されていることだ。
 アニメ業界は中小企業が多く、ビジネスの大半がインサイダーで完結することから、ビジネスの数値がまとめられたり外にでることが少ない。

  ところが本書は映画、テレビアニメ、OVAなどアニメ製作の個別の市場規模から、一次市場、二次市場、テレビ放映の市場、さらには音楽市場の売上、映像配信の売上までありとあらゆるものを数値化している。これらはアニメビジネスに関心がある全ての人にとって貴重な資料になるであろう。
 例えばアニメ製作市場の規模である。これまで、アニメの映画やテレビ、OVAの小売市場規模や玩具などのキャラクター市場規模は推計されることはあった。しかし、さらにその最初の段階にあたる製作市場の規模は全く明らかにされてこなかった。
 本書で増田氏は、それをキッズ向けのTVアニメ製作1話1100万円、青年向けは1400万円と推計することなどで、約532億円と指摘する。

 こうした増田氏の数値も推計によるのであるが、それは業界のインサイダーとしての合理的な解釈に基づくものである。またそうしたその数字を使う理由も丁寧に説明されており、それがまたアニメビジネスを解説するツールとなっている。
 そうした意味で「アニメビジネスがわかる」は、これからアニメビジネスを知りたい人よりも、むしろある程度アニメビジネスに知識がある人に向いているかもしれない 

「アニメビジネスがわかる」
これまで明らかにされてこなかったアニメの『お金』の全貌を詳細な数字とともに解き明かす
著者: 増田弘道
NTT出版
定価:1800円+税

増田弘道氏BLOG「アニメビジネスがわかる」 http://anime.typepad.jp/blog/

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posted by animeanime at 14:30 | コメント (0)
2007年07月17日
本の紹介 ]
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 11月23日に第1回開催が決定した「全国総合アニメ文化知識検定試験(アニメ検定)」の本試験に向けた対策本、本格仕様の公式問題集「アニメ検定問題集2007」が7月21日頃から小学館プロダクションから発売される。問題集は今秋開催の第1回アニメ検定の出題傾向と受験対策を解説したものである。
 問題集はアニメ検定の唯一の公式問題集として、全部でおよそ200問にものぼる豊富な模擬問題を収録している。

問題集では次のような出題を紹介している。

出題198
『機動戦士ガンダム』のメカデザインを担当したデザイナーは?

1. 大河原邦男
2. 安彦良和
3. 富野善幸
4. 宮崎駿  
                      
                (答えは本書の中に)

 公式問題集は模擬試験の体裁をとるだけでなく、出題に対する解説も満載となる。アニメのガイドブック、読み物としても楽しめるものである。アニメ検定当日の試験は受けられなくても、アニメの基礎知識を身につけたいファンにも役に立つ内容となる。
 アニメ検定は11月23日(金/祝日)に東京都内で開催、今回は3級から5級まで3つの級の検定が実施される。来年度以降は、3級合格者のみが受験できる2級、さらに高度な内容を持つ1級試験も予定されている。

 アニメ検定はお試し版として、無料で行っているモバイル級も提供している。こちらはモバイルで手軽にアニメ検定の雰囲気を感じることが出来るようになっている。
 またアニメ検定実行委員会は、このほかアニメ検定受験に先立ちアニメ知識の補強を目指す公式セミナーを開催する。アニメ検定の開催に向けて、様々なシーンでアニメ文化を盛り上げていく予定である。

全国総合アニメ文化知識検定試験 アニメ検定公式問題集2007

編集:アニメ検定実行委員会
監修:有限責任中間法人 日本動画協会
定価:1260円
©2007アニメ検定実行委員会

全国総合アニメ文化知識検定試験公式サイト http://aniken.jp/index.html

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2007年07月15日
調査・レポート ]
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 中小企業基盤整備機構のナレッジリサーチ事業行った「コンテンツ産業の方向性に関する調査研究」 (アニメ制作会社の現状と課題)が、同団体のサイトで公開されている。
 この調査は、今後コンテンツ産業の経営支援を目指す中小企業基盤整備機構のアニメ制作産業の実態調査である。これまで行われたアニメ制作企業への調査のなかでは、これまでにない大掛かりなものとなっており、その調査結果には今回あらたに明らかになったことも多く注目に値するものである。

日本のアニメ制作会社は600社から700社
 まず今回の調査の成果は、日本のアニメ制作会社の数である。これまで日本のアニメ制作会社は450社前後というのが、一般的な認識であった。しかし、調査では日本動画協会の協力で718社を確認し、626社から回答を得たとしている。
 718社が現存しアニメ制作業務を行っている保障はないが、少なくとも回答をした626社はなんらかのかたちでアニメ制作に携わっていると考えられる。こうしたことから日本のアニメ制作会社は少なくとも626社以上、700社前後に達することになる。これはこれまでの常識を大きく覆すものといっていいだろう。
 さらにこうした企業は東京に8割が集中しているほか、これまでアニメ制作企業の集積地と知られてきた練馬区、杉並区に次いで、新宿区、渋谷区が続いている。東京都の区部の北西部全体が産業集積と考えてよさそうだ。

 調査はこれらの企業を大企業と中小企業といった会社の規模別で切り分けるほか、製作・企画会社、元請制作、下請制作、ポストプロダクションに切り分けて調査を行っている。
 そのうえで、経営環境を様々に分析するが、その結果は、制作会社の数と同様にあらたな発見が多い。詳細は直接レポートを見るとわかるので、ここではポイントになる部分のみ取り上げる。

元請制作は企業グループ化
 調査では、企業経営で重要な資金調達やキャッシュフローについても大きく取り扱っている。この資金調達で興味深いのはグループファイナンス(企業グループ内からの資金調達)を行っている企業に、元請制作会社が圧倒的に多いことである。
 調査では資金回収に時間がかかる制作投資は元請制作の大きな悩みであり、これが近年、元請制作会社がM&Aで買収される理由となっていると指摘する。元請制作は企業グループに組み込まれ、グループ企業内で安定した資金調達を確保することが会社を売却する理由になっているようだ。

オリジナルや著作権の保有
 また、オリジナル作品や著作権の有無については、これまでの常識と異なる結果となっている。今回の調査を見る限りでは、オリジナル作品や著作権の有無が企業業績と結びついていないためである。
 実際にオリジナルや著作権を持たずに黒字や大幅な黒字となっている企業は多く、逆に所有していても赤字や大幅な赤字としている企業も多い。
 制作会社が利益を確保するには、作品への出資を通じて権利を獲得することが必要との主張は多い。しかし、経営の安定化には、様々な方法があることを調査は示していそうだ。

経営の改善が見られるポストプロダクション 
 企業経営の動向についても興味深い結果が現われている。今回の調査では、製作・企画会社、元請制作、下請制作、ポストプロダクション別に、1990年、95年、2000年と較べて売上高と利益がどう変化しているかを追っている。
 特に大きな特徴は全てのポストプロダクション企業が売上げを増やし、大半が利益も着実に増加させていることである。デジタル化の進展でポストプロダクション企業の経営は、近年大きく改善したとされているが、数字の面からもこれが裏付けるかたちである。

 さらに元請制作会社、下請制作会社、企画・製作会社の順番で売上高を増やしている。売上高だけで見ると、近年のアニメ製作ブームで大きな恩恵を受けたのは、元請制作、下請制作、企画・製作会社の順番となりそうである。
 しかし実際には黒字を出している企業比率は、企画・製作、元請制作、下請制作の順番となる。売上高の増加が、必ずしも利益の増加と結びついていない様子が見て取れる。

 このほか調査は「スケジュールの遅れの発生する理由」や「デジタル化の影響」など多様な項目に亘っている。さらに、大手制作会社から下請制作まで数多くのインタビュー調査も行っている。
 全体で200ページを超える調査報告書となっているが、アニメ制作と制作会社の実態を知る必須の資料になるだろう。

中小企業基盤整備機構  http://www.smrj.go.jp/
   「コンテンツ産業の方向性に関する調査研究」 (アニメ制作会社の現状と課題)
   前半(PDF)、後半(PDF)

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2007年07月09日
調査・レポート ]
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 世界各国・各地域の日本のエンタテインメント・コンテンツ市場調査を行っている日本貿易振興機構(JETRO)は、あらたに「イタリアにおけるコミック・アニメ市場 基礎調査」と「ハンガリーにおけるコンテンツ市場基礎調査」をリリースした。
 両調査とも、該当国における本格的な日本のエンタテイメント・市場調査は、初めてのケースと考えられる。特にフランスと並んで、ヨーロッパのなかで日本のアニメとマンガの普及率が最も高いとされるイタリアについては、注目度の高さに較べてこれまできちんとした統計は全くない状態である。そうした点で、今回の調査は非常に貴重なものである。

 このイタリアのマンガとアニメに関する調査では、これまでの他国の調査と同様、アニメやマンガの明確な市場規模などの数字は把握出来ていない。やはり、イタリアでも両産業は未成熟な段階にあるようだ。しかし、JETROの集めた資料からは、現地での日本のマンガ・アニメの強さと弱さの両方が合間見える。
 特に驚かされたるのは、現地の業界関係者の推定として、日本マンガの出版がイタリア出版界全体売上げのうち20%強を占めているということである。これまで欧米における日本のマンガ・アニメの人気は、サブカルチャーやニッチ市場での活躍と説明されることが多かった。
 しかし、この指摘を信じるなら少なくともイタリアでの日本マンガは、既にメインストリームに組み込まれていることになる。

 一方で、アニメについては、依然子供のための作品との意識が根強いと調査は指摘している。さらに、新作アニメの版権料の高さから旧作アニメが繰り返し放映される傾向があり、日本のリリースと時差が大きいとの指摘は興味深い。
 最近イタリアは、東南アジアに次いで海賊版アニメDVDが多い地域と指摘されているが、こうした現状とも関連している可能性もありそうだ。

 さらに調査報告には、参考資料として出版社、関連専門学校、放送局、発刊されているマンガのリストも付加されており便利である。なかでも地元企業調査の資料として掲載された人気日本アニメトップ10は興味深い。
 調査はDVDの売上げに基ずいてるようだが、1位、2位がそれぞれ『新世紀エヴァンゲリオン』と『新世紀エヴァンゲリオン劇場版』である。さらに3位に『シャーマニック・プリンセス』、4位『フリクリ』、7位には『菜々子解体診書』、9位『テッカマン』と日本の人気とかなり異なった展開となっている。また、今回の調査が指摘する日本とのリリースの時差も見て取れる。
 今回の調査報告は、日本では判りにくい情報を提供する点でこれまでのレポートと同様に意義深いものである。
 
日本貿易振興機構(JETRO) http://www.jetro.go.jp/
イタリアにおけるコミック・アニメ市場 基礎調査(輸出促進調査シリーズ)2007年3月
ハンガリーにおけるコンテンツ市場 基礎調査(輸出促進調査シリーズ)2007年3月

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posted by animeanime at 22:00 | コメント (0)