検索

clear.gif


カレンダー
バックナンバー

2007年08月18日
本の紹介 ]
clear.gif

 90年代末の『ポケットモンスター』の世界的なヒット以来、海外での日本のアニメやマンガの広がりを取り上げた書籍は数多く出版されてきた。そのなかには非常に優れた見解も持つ本がある一方、そうでない本もあった。
 今年5月に発刊されたローランド・ケルツ氏の『ジャパナメリカ 日本発のポップカルチャー革命』は、そうした本の最新作であると同時に、最良の本のひとつである。

 本は米国大衆文化における日本のポップカルチャー躍進の描写から始まり、その躍進をもたらした理由、さらにその背景にあるビジネス構造、さらに国外ビジネスに適さない国内のビジネスのドメステックな問題に至る。また、日本の産業の空洞化やポルノグラフィーの問題まで余すところがない。
 非常にバランスの取れた内容で、現在、日本と海外の双方でアニメやマンガが引き起こしている様々な現象を取り上げている。

 この本が取り上げる日本のアニメ・マンガの成功要因がその多様性や内容の自由さにある点や、国内の現場クリエイターの厳しい現実についてはこれまでも多く語られてきた。また、それが何度も語られてきたのはそれが現実であるからだ。
 こうしたなかで他の類似本と『ジャパナメリカ』を明確に隔てているのは、この本がそうした現実を歯切れよく、論理的に解説し、説得力を持って語っているからである。

 そうした説得力はケルツ氏の言葉が他者の借り物でなく、膨大なインタビューのうえに成り立つからだ。この本に登場するのは、現在、アニメスタジオ、マンガ出版社、製作会社などの日本のアニメ、マンガビジネスの最前線で活躍する人ばかりである。
 さらに米国人である筆者は、米国でも同様の豊富なインタビューを行っている。結果として、この本は日米両国からみた日本のポップカルチャー現象が感じ取られるようになっている。
 ケルツ氏はそうした業界関係者の言葉を引用しつつ、それを自らの思考に翻訳して読者に語りかけている。そこから独自の視点と論点へと展開させて行く。それは、日本のコンテンツの海外文化でのさらなる拡大に対する確信である。

 ただ、完璧な本が決して存在しないように、この『ジャパナメリカ』もパーフェクトな本ではない。作者の言う海外、特に米国における日本のアニメやマンガの存在感については、ややポジティブ過ぎると感じた。逆に、現在の日本のアニメやマンガの質や業界の現状についての見解はやや悲観的過ぎると感じた。
 それは単なる見解の相違なのかもしれない。しかし例えば、日本アニメの米国での躍進を解説するのに、既に実現性がほとんどないと見られる作品のハリウッドでの実写化計画をあげることや、米国人であるがゆえに英語を話し海外マーケットにポジティブな人たちの意見がより強調して取り上げられる傾向があるように思う。

 おそらくこうした本での主張は、答えが一直線でメリハリがあったほうが説得力があるという理由もあるのだろう。
 しかし、現在の日本アニメを取り巻く状況はあまりにも複雑かつ不安定で、単純な未来予測は出来ないと思うのだ。

ジャパナメリカ 日本発ポップカルチャー革命
著者 ローランド・ケルツ
翻訳 永田医
価格 1890円 (税込)
ランダムハウス講談社

clear.gif
posted by animeanime at 23:59 | コメント (0)
調査・レポート ]
clear.gif

 日本貿易振興機構(JRTRO)が進める世界各国市場における日本のコンテンツ市場の調査レポートの最新版として「台湾におけるコンテンツ市場の実態」がリリースされた。
 このレポートはこれまでのレポートと同様にコンテンツ産業を映画、テレビ番組、漫画・アニメ、音楽、ゲームの5つの分野別に市場の現状と、ビジネスの仕組みを報告している。

 レポートは広範囲な分野を扱っている。このため個別の市場の情報は少なくなってしまい、具体的な市場の数値が少ないのがやや残念である。しかしそれでも、他のレポートと同様に、これまで本格的に市場調査をされていなかった分野だけに今後の貴重な情報となる。
 今回の調査でアニメ市場について感じたのは、台湾の日本アニメ関連市場の意外な小ささである。例えば2005年の日本の映画全体の興収は1億3000万台湾ドル(約4億5000万円)で、このなかには実写映画も含まれる。台湾の興収発表がほとんど台北市のみでしか行われていないとしても、全体では日本の中程度のアニメ映画のヒット1本分にしか相当しない。

 また、調査によれば台湾の映画、テレビ、DVDなどのアニメ関連企業の2005年の売上高は約4000万ドル、そのうち7割の約3000万ドルが日本のアニメだとしている。これは日本円でおよそ約35億円となる。
 日本では2005年にアニメDVDの売上高だけで970億円、アニメDVDが不振とされた米国でも425億円、フランスのアニメDVDの市場はおよそ150億円とみられている。
 世界の主要国と較べて台湾のアニメ市場が、かなり控えめな規模であることがわかるだろう。より詳細な調査も欲しいところだが、台湾の人口が決して多くないといった市場の絶対的な大きさが関係しているだろう。

 台湾はアジアの諸国のなかでも所得水準の高い国であるにも関わらず、これまで欧米諸国や中国などと較べてアニメビジネス面で注目されることが少なかった。その理由は政治的な理由ではなく、こうしたマーケットのサイズにあるのかもしれない。
 しかし、台湾が世界的にみて比較的小規模な市場であるとしても、そのビジネスは無視出来ない。それはレポートのなかのインタビューにもあるように、特に流行に敏感で最先端の情報追う台湾が世界の華人マーケットの先行指標となる点である。同国の中国や香港、世界中の華僑に向けた情報の波及効果は過小評価出来ない。

日本貿易振興機構 http://www.jetro.go.jp/
台湾におけるコンテンツ市場の実態(輸出促進調査シリーズ)  2007年3月

clear.gif
posted by animeanime at 20:30 | コメント (0)
2007年08月13日
調査・レポート ]
clear.gif

 コンテンツ分野の市場調査や企画を手がけるヒューマンメディアは、8月20日に幅広いコンテンツ産業の統計調査をまとめた「日本と世界のコンテンツ市場データベース2007」を発刊する。
 市場データベースの特徴は、国内外の様々な統計調査が網羅されている点である。統計はコンテンツ産業全体からメディア別、分野別とさらに個別に分野に分けられる。現在、ビジネス上コンテンツと呼ばれるほとんどの分野が含まれかたちになる。

 またそのコンテンツ市場の統計に加え、コンテンツ産業が影響を与える市場として、ライブコンテンツ市場、キャラクター市場、映像機器・音楽機器などのハード市場、携帯電話・インターネット通信などのコミュニケーション市場もピックアップしている。
 より広い市場の動向を見ることで、コンテンツ市場やそのなかの個別市場を理解出来るようにしている。同時に掲載されている消費動向や市場の分析などの記事も、市場を知るうえで参考になるだろう。

 さらに今回は、海外市場に受け入れられやすいコンテンツとして注目が増している日本のマンガとアニメを特に取り上げて、世界全体と海外主要市場7カ国にわけて紹介している。
 他のトピックスとしては、日本のコンテンツの輸出入状況や世界各国のコンテンツへの規制、さらにコンテンツ分野の国際見本市の一覧などがとり上げられている。こうした部分は現在、日本のコンテンツビジネスの関係者が一番気になっている部分でもあり、実用度が高い。

 価格は税別で50000円、発売前の予約で40000円(税別)となる。A4版125ページで構成されるほか、パソコンでの利用も便利なCD-R(本文・図表PDFデータ)がセットになる。

日本と世界のコンテンツ市場データベース2007
http://www.humanmedia.co.jp

clear.gif
posted by animeanime at 22:00 | コメント (0)
2007年08月08日
本の紹介 ]
clear.gif

 8月9日に財団法人デジタルコンテンツコンテンツ協会が編集をする「デジタルコンテンツ白書2007」が発売される。8月8日に東京・千代田区のデジタルコンテンツ協会で、この発刊の記者会見が開催された。
 デジタルコンテンツ白書は、毎年、「デジタルコンテンツの市場規模」と「コンテンツ産業の市場規模」を調査している。また、今回の会見でもふれられたが、産業規模や現状を継続的に調査することで、両分野にかかわる産業に貢献することを目指している。

 今回の白書によれば、2006年の日本のデジタルコンテンツ市場規模は、前年比8.3%増と相変わらず順調な成長を続けている。一方で、コンテンツ産業全体の市場規模は、13兆9890億円とおよそ14兆円にも達したが、前年比での伸び率は1.1%で微増にとどまっている。コンテンツ産業市場全体と比較したデジタルコンテンツ市場の成長性の高さが際立った感じである。
 また、デジタルコンテンツ協会によれば、これらの数字は小売市場の大きさを基に推計を行っている。このためインターネットなどで成長する無料配信といった広告型のビジネスモデルが市場規模に入っていない点も考慮する必要がある。

 今回の数字の特徴は、コンテンツを利用するメディアの多様化である。前年に較べて大きく伸びたコンテンツ市場には、インターネットや携帯向けの映像配信や音楽配信、データベース、電子書籍などが含まれる。これらの数字はまだ小さいが、伸び率の高さから今後の産業に対するインパクトは大きい。
 それはインターネットの音楽配信市場が音楽のシングルCDの市場を越えたことや、オンラインゲーム市場や携帯電話向けゲーム市場がPCゲームの市場を越えたことなどにも表れているだろう。
 
 デジタルコンテンツ白書は、近年は産業動向の単なる数字だけでなく、その時代のデジタルコンテンツを多角的にみる編集を行っている。そのひとつが、毎年、白書のテーマを設け、そのテーマに沿った特集を組みより深く産業を理解するものである。
 今年のテーマは「日本コンテンツの海外展開戦略」とされ、経済産業省のコンテンツグローバル戦略研究会の報告をまとめている。このほか、日本製コンテンツの国際展開戦略についての識者の座談会なども掲載されている。

 さらに世界各国と日本のコンテンツ政策や、マンガ、アニメ、映画、ゲームなど主要11分野の動向、それに世界12カ国を取り上げた海外動向なども読み応えがある。海外動向では米国におけるアニメ市場やフランスのマンガ産業の最新動向などが貴重である。
 今年のテーマの海外展開に相応しく、産業動向に加えて海外での日本のコンテンツの状況を理解するうえでも重要な資料となっている。

財団法人デジタルコンテンツ協会  http://www.dcaj.org/
デジタルコンテンツ白書2007  http://www.dcaj.org/dcwp/

clear.gif
posted by animeanime at 20:00 | コメント (0)