| [ 本の紹介 ] |
|
宮崎駿、押井守、大友克洋・・・1980年代に日本のアニメをアニメというジャンルに成立させ、そして現在、この分野の巨匠としてみなされる才能たちである。そこから20年以上の時が流れ、今やこうした監督たちを引き継ぐ新たな才能が求められている。 しかし、このなかに神山健治の名前を並べる人も少なくないだろう。それは『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』で見せたドラマ性、揺るぎなく構築された近未来の舞台設定、『精霊の守り人』での豊かな物語、世界観の構築を見れば、納得の行くものだ。 この3月に上梓された神山健治自身による単行本『神山健治の映画は撮ったことがない~映画を撮る方法・試論』は、まさにこうした神山が独特の立場から発言する本だ。本のもとになったのは、雑誌「STUDIO VOICE」で連載された同名のエッセイである。 実際は、神山健治は、この連載中にオムニバス映画『真・女立喰師列伝』のなかの一編『Dandelion 学食のマブ』を撮っている。また、2006年の『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』の長編『Solid State Society』は劇場公開されてはいないが、その作りはまさに映画だった。(東京国際映画祭でスクリーン上映されている) 『映画は撮ったことがない』の魅力は、そう主張する神山健治が本の中でまさに映画制作論を語っていることだ。映画が映画であるべき方法論、映画を制作する環境はいかに生まれるのか、そして企画から制作、ポストプロダクションまでだ。この本を読めば、アニメ、そして実写映画の制作に至る道がかなり具体的に見えてくるだろう。 ここで重要なのは実は神山が本質的に映画を撮ったことがあるのか、ないかではない。重要なのは映画を撮ることを望みつつ、そこに次第に近づいていく神山のアウトサイダーの視点なのだ。映像を撮る術を既に手に入れ、しかし映画制作に対してはアウトサイダーである特異な神山の位置がこの本を特長づける。 そして本を読む僕らは神山のこれまでの作品の魅力が、しばしば映画的なものに裏付けられていることに気づくのだ。では、映画を撮ったことがないと言う、神山作品に立ち上がる映画的なものの正体は何なのか? この2月に、神山健治が監督する完全オリジナルの劇場アニメ『東のエデン』の製作が発表された。作品はこの4月から放映が始まったテレビアニメシリーズを引き継ぐもので、今冬の公開を予定している。 『東のエデン』 公式サイト http://www.juiz.jp 『神山健治の映画は撮ったことがない~映画を撮る方法・試論』 |
| posted by animeanime at 22:00 | コメント (0) |
| [ 本の紹介 ] |
|
田中芳樹の描くSFスペースオペラ『銀河英雄伝説』は、田中氏の代表作であると同時に日本SF界の代表作でもある。その作品の魅力は、数多くの個性的なキャラクターとダイナミックに繰り広げる権謀術策である。 しかし、それから2000年まで、『銀河英雄伝説』は十数年の長きにわたり本伝、外伝、長編全165話を製作した。物語が連続するSF作品としては、異例の長さと制作期間を取ることによって、この映像化不可能と思われた『銀河英雄伝説』の完全アニメ化に成功したのである。 1992年には、ロマンアルバムとして『銀河英雄伝説』が徳間書店から発売されたが、アニメ化が進行中だったこともあり、本書では全編は当然フォローされていない。 実際にその内容は、その自信どおりに仕上がっていると言って間違いない。各話のあらすじから、登場キャラクターの紹介、年表、そしてスタッフリストまで、必要十分、さらにそれを超えるほどまでの充実ぶりである。さらに関連商品やゲーム、ポスターまで、『銀河英雄伝説』の資料として、マストな書籍に仕上がっている。 『銀河英雄伝説』公式サイト http://www.ginei.jp/ 『ROMAN ALBUM 銀河英雄伝説 COMPLETE GUIDE』 |
| posted by animeanime at 23:59 | コメント (0) |
| [ 本の紹介 ] |
|
「超合金」、1970年代初めに生まれ現在まで続く、日本の男児向けの代表的な玩具ブランドである。多くの男性にとって、かつては憧れのそして懐かしい玩具だろう。 著者によれば村上氏は、プロダクト・デザイナーとして超合金を皮切りに、ライディーンやコン・バトラーV、ゴールドライタンなどの変形合体ロボット、電子戦隊デンジマンなどのスーパー戦隊ヒーロー、宇宙刑事ギャバンなどのメタルヒーローのデザインなど様々なシーンでキャラクター玩具の開発に携わってきた。そして日本の玩具史やキャラクター史に残した村上氏の功績は計りしれないとする。 しかし、企業人である村上氏の名前や素顔は、これまで一般的にはほとんど知られていない。今回は、本人への徹底した取材をもとに、エポックメイキングな作品それぞれがどのような状況で生まれたのか、村上氏とその開発の際の知られざるエピソードを紹介する。 またこうしたエピソードを通じて、玩具業界 と 映像業界 が過去30年いかに関わりあってきたのか、その接点で何が起きていたか浮き彫りにする。村上の仕事と人生を語ると人間ドラマであると同時に、いまや巨大な産業に成長したキャラクター玩具業界の軌跡を描く出す業界本のふたつの側面を持った本となる。
著者: 小野塚謙太 |
| posted by animeanime at 14:30 | コメント (0) |