『RIDEBACK』高橋敦史監督インタビュー (1)
                 琳を通してこの世界を見ていく物語

(c)カサハラテツロー・小学館/「ライドバック」製作委員会

■ 高橋 敦史 (Atsushi Takahashi)
昭和47年7月8日生まれ。

スタジオジブリを経て、『はじめの一歩』にて演出デビュー。
『妄想代理人』『茄子 アンダルシアの夏』『茄子 スーツケースの渡り鳥』など、数々のテレビシリーズ・劇場・OVA作品に演出として参加、湯浅政明監督作品『ケモノヅメ』では助監督を務める。
今回手掛ける『RIDEBACK-ライドバック-』は、初監督作品となる。


『RIDEBACK-ライドバック-』は月刊IKKI(小学館)に連載され、先日最終回を迎えたカサハラテツロー氏の同名マンガを原作にアニメ化された。
震災の被害をうけ統治機能を失った未来の日本が舞台となる。主人公の少女は尾形琳。バレエの才能を持ちながらバレエを断念せざるを得なかった琳は、バイクにも似た人型ロボット「ライドバック」を出会うことで新たな人生を歩み始める。
アニメーション制作を『時をかける少女』、『DEATH NOTE』など、次々に話題作を送り出すマッドハウスが担当する。また、監督の高橋敦史氏は、本作が監督デビュー作になる。『千と千尋の神隠し』で監督助手を務め、『妄想代理人』などこれまで様々なアニメに参加した実力が発揮される。
キャラクターデザインを『HIGHLANDER ハイランダー 〜ディレクターズカット版〜』作画監督などの田崎聡氏が務めるほか、縦横無尽に展開されるライドバックのアクションは、リアルなメカニック描写をCGで実現する。

『RIDEBACK-ライドバック-』 公式サイト http://www.rideback-anime.jp/rideback.html

■ 見慣れないもの見せて行きたい

アニメアニメ
(以下AA)

早速なのですが、監督にとって今回の『RIDEBACK』は、どういった位置づけにあるかから伺わせてください。

高橋監督
(以下高橋)


初監督作品ですね(笑)。皆様にご迷惑をかけながら、勉強させていただいています。

AA
今まで演出をやってきて、全部自分でやりたいみたいな希望はあったのでしょうか。また、演出と監督の違いというのはありますか?

高橋

これまで監督を目指してやって来たというよりも、楽しく演出をやっていたという感じでした。漠然とその延長上で監督をやることもあるのかしら位のスタンスだったので……希望と言われると難しいですね。
でも、実際に監督をやってみると、演出とは根本的に違うところがたくさんありますね。学ぶことばかりです。

AA

具体的に違うところは、どういったところですか?

高橋

人に指示を出さなければいけない量が格段に増えます。演出であればシリーズの中で自分が担当するのは1話、20分間です。基本的には作画監督と制作進行の2人と一緒に1カット単位で細部まで管理しきれる作業量です。
けれども監督になると、ライドバックであれば20分×12本、およそ4時間全体を見なければいけない、細部まで直接管理はできないので各話演出など担当者に対して指示を出してコントロールしていかなければいけない、その辺がなかなか難しいですね。

AA
その今回の演出ですが、歯切れがいい物語になっています。そうしたところは意識されているのですか?

高橋
最初に企画をいただいたとき原作はまだ連載途中で、その中から区切りの良いところまでをアニメ化するというお話でした。
しかし作業中に原作がどんどん進んで完結してしまったので、アニメ化予定ではなかった後半からもアイディアや雰囲気をもらってきて12話に濃縮していこうとしています。

AA
かなりボリュームのある、豪華感のある内容になりますね。

高橋
そうですね。主人公がちょっと特殊で、モラトリアムな巻き込まれ型なんですが、いざ事が起こると積極的に突っ込んでいく。巻き込まれつつもその積極性で、いろいろと不思議なものを見て経験していくというお話です。
毎話少女の前に立ち起こってくる見慣れない世界、それをお客さんも一緒に体験して楽しめればという作りは目指しました。

 
(c)カサハラテツロー・小学館/「ライドバック」製作委員会

■ 琳を通してこの世界を見ていく物語
AA


これは琳の成長物語なのかなと思ったんですけど、成長とは少し違う感じでしょうか?

高橋

成長物語という面もあります。目標への挫折から物語が始まっています。そこからいろいろなものを見て、最終的に自分自身の今後の歩み方を決めるというお話にもなるのだと思います。
ずっと母親を目標にバレエをやってきた主人公、ある日それができなくなった。「じゃあ、自分は何のために生きているんだろう」と悩みに入ってしまう。少女が、ライドバックに乗ったことでいろいろなものと出会っていって、最終的に次の進路を見いだす……という成長物語でしょうか。

AA

琳と周囲の関係で行くと、女の子の友情が非常に重要なのかと思いました。男性のキャラクターはわりと引いた感じで、琳と珠代とか、琳としょう子、すずりとか、女の子の友情が丁寧に描かれているかなと。

高橋
まず、原作世界を置き換えていくときに、もしバレエ、ライドバックという存在がなかった場合、主人公の女の子にとっての世界とのつながりって何だろう、と考えたんです。最終的には部員たちやしょう子とのつながりになってくるのかなと。
やはり最後に戻ってくるところはそこなんじゃないか。ホームグラウンドとなるのは、しょう子であったり、ライドバック部の部室なのかなと。


(c)カサハラテツロー・小学館/「ライドバック」製作委員会

■ ヒロインは美少女
AA

『RIDEBACK』はぱっと見たときに、テーマとしてはメカがぽんとあって、そこにきれいな女の子が乗っている。メカと美少女という、わりとアニメではよくあるパターンです。
しかし、同時に本作は、それだけで押している訳ではない、どこか違いを感じます。

高橋
ほかの美少女物とは違うと言われると、あまりピンとこないのですが…。基本的にヒロインは美少女であるはずという前提です(笑)。 あくまでも原作に沿って作っていったつもりです。
ほかとは違うという部分は、あんまり意識はしていないですね。ただ、毎回見慣れないものを見せていくという技術的なアプローチがプラスになっているかなと思います。

AA
わりとそういうフェチっぽい部分を抑えているのかなというのは感じたのですけれど。

高橋

萌え系的なところは、こちらのボキャブラリー不足があり……その辺が結果的に違いになっているのかなと思います。こちらの演出的経験が『MONSTER』とか『ケモノヅメ』、『花田少年史』とかですから(笑)。

AA
まだ4話までしか見てないのですが、これからちょっとシリアスになるという話を聞きました。

高橋

原作は後半かなりシリアスな展開をみせます。「原作と全然違っていますね」と言われたりもするんですが、基本踏襲しているつもりです。
どうしてもアニメ化するにあたってまとめなければいけない部分や技術的な制約等で変えている部分もありますが、あくまでも原作をベースに設計しているつもりです。

AA

2話、3話ぐらいまで見たところではこれは学園ものかなと思います、それがだんだん変わって行くところにダイナミズムがありますね。

高橋

1話2話を見てレースものかと思ったとも言われました、原作でも前半は明るい学園ものですから、基本線は同じにしています。
原作も学園ものから途中どんどん変化させていくことで飽きさせないつくりになってます。主人公のキャラクターまでも大きく変わってくる。 ただ、そこまではテレビシリーズ12話描ききれない。そのバランスが非常に難しいところです。


■その2に続く ライドバックの手は何のために付いているのか?

 
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