| ■ アトム映画化は絶好のタイミング |
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アニメアニメ
(以下AA)
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『鉄腕アトム』が生まれたのは60年近く前で、以来不朽の名作として親しまれ続けていますが、なぜ今のタイミングで映画化されたのでしょうか?
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デヴィッド・バワーズ監督
(以下監督)
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『鉄腕アトム』には、現代にも響くキャラクターとストーリー性があります。僕たちが生きている時代は、あまり明るいとは言えませんよね。
そんな時代にあって、人間の良い心など、ポジティブな要素をたくさん持っているアトムは、一縷の望みとして輝いていると思うんです。
こんな時代だからこそ彼は、ご覧になった方に喜びや希望を与えてくれるキャラクターではないかなと思っています。
“他者に対する愛”や“人間社会の中でのロボットの存在”など、原作にあった多くのテーマは、僕らがまさに直面している・しようとしている問題でもあり、今だからこそより強く響くものがあるのではないかと思いますし、映画化のタミングとしては、絶好の時だったのではないでしょうか。
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手塚眞氏
(以下手塚)
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僕ら日本人にとって、アトムというのは自分たちの誇りで、日本の宝ものだという感覚を強く持っていますよね。
次の時代には、アトムは世界のものだ、地球の誇りなんだという存在にしたいと思っています。そういう意味も込められており、今回の映画は、とても良くできていると思います。
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AA
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TVアニメが放映されていた60年代の観客と、現代の21世紀の観客の感性は異なると思いますが、原作に忠実でありつつも現代仕様にしなければいけないという点では、何を意識して作られたのですか?
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まず60年代と現在とでは、やはり情報の密度が異なりますよね。『鉄腕アトム』が描かれた時代は、日本の中だけの情報をみんなが共有していましたが、現在はユニバールドワイドに情報が流れるようになりました。
ですから、現在は若い方でも様々な世界の情報をご存知ですし、いろいろな人間の関係性や環境についてなども全て頭の中に入っている。そういう視点でものを見ていること前提の描き方が、今回はできていると思います。
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AA
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監督の、“アトム”との最初の出会いや思い出について教えてください。
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監督
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僕が生まれ育ったイギリスでは、残念ながら『鉄腕アトム』のTVアニメが放映されておらず、マンガを入手するのも非常に困難な状況でした。
とはいえ、おなじみのアトムのビジュアルは様々なところで目にする機会がありまして、それが最初の出会いですね。ひとつのアイコンとして、美しいグラフィックだなと印象に残っていました。
後にアニメやマンガを拝見させていただいて本当にほれ込んでしまって、恋に落ちたという感じでした。ストーリーがすばらしいので、そういった部分でも非常に心に響きましたね。
僕は、手塚さんとは全く違う、アトムとの出会い方をしているんですね(笑)
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| .■ アトムは血を分けた兄弟のような感じ(手塚) |
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AA
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手塚さんにとっては、アトムとはどういう存在ですか?
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手塚
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ご存知のように、手塚治虫はたくさんの作品を創りましたが、おそらくアトムは、その中で一番、本人にとって子供のような存在だったのではないかと思うんです。
最初に生み出してから生涯、何十年間も描き続けていましたし、その間には様々な葛藤もあって、自分でちょっと否定的にした時期もありました。
でも、そういうことも含めて、まるで自分の子供を育てるように創っていたキャラクターだと思います。『鉄腕アトム』は一番の代表作になっていますし、他のマンガとはちょっと思い入れが違ったんじゃないかな。
そんなわけなので、僕にとってアトムは、血を分けた兄弟のような感じが今でもしています。ただ、兄貴(アトム)のほうがずっと出来がいいものですから、恥ずかしい思いをしてきましたけども(笑)。
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手塚さんは今回、“監修”とクレジットされていますが、主にどのような作業をされたのでしょうか?
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手塚
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皆さんに愛されているキャラクターですから、まずアトムの性質、形をできる限り損ねないようにCGに移行するというところを、なるべく注意してチェックしていました。
ただ、自分自身も映画監督ですし、CG制作の経験もありますから、CGにするにあたって多少アレンジをしなければいけないという必要性もすごく理解できたんです。
なので、デヴィッドさんにはあまり原作にしばられずに、監督として自由な発想で映画を面白くしていただけるように、あまりうるさく言わないようにしました(笑)。
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AA
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とはいえ、「ここはどうしても!」みたいな、譲れない点はありませんでしたか?
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ちょっとしたニュアンスの差が大きくキャラクターを変化させてしまうので、そのニュアンスを理解していただくというのは、非常に難しいことです。ある部分は監督の感性にお任せしました。監督に作っていただいたものをこちらが見て、よければOKを出し、気になった点があれば、意見させていただいて。
たとえば、アトムのまつ毛。マンガでは印象的に、長いまつ毛が描かれているのですが、あれをそのままCGのモデルの中で再現すると、ちょっと違和感が出てきてしまうんです。
そこは監督とずいぶん話し合いましたね。最終的には、監督がとてもいい形で解決してくれました。マンガとは違うまつ毛なんでけど、目がパチっと見えるようなまつ毛をつけてくださって、よかったと思っています。
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| ■ アトムは愛さずにはいられないキャラクターです(監督) |
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AA
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バワーズ監督におうかがいしたいのですが、アニメーション映画を制作する際、いちばんこだわられるのはどんな点ですか?
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監督
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物語の核(テーマ)を確立させることと、観客の皆さんが感情移入してくださるようなキャラクターを作ることです。『ATOM』には、多くのキャラクターが登場し、様々なアクションやアドベンチャーがあり、インパクトのあるシーンもありますが、エモーショナルな物語のテーマと、感情移入できるキャラクター性がないと、それらは心に響いてこないと思うんです。
今回はとても幸運なことに、“父と子のストーリー”という、物語の核がすでにありました。“死んだ息子の変わりにアトムというロボットが作られたけれども、彼は父に受け入れてもらえない”という設定があり、それがすごく興味深いドラマのスタート地点となっています。
アトム自体も、愛さずにはいられないキャラクターですよね。そういった、そもそもの題材があったことは、非常にラッキーでした。
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AA
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『ATOM』しかり、最近は日本のアニメやマンガは海外でリメイクされる機会が増えていますよね。
日本のアニメ・マンガのどんな点が、外国の方には魅力的に映るのでしょうか?
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監督
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たくさんの映画が作られており、やはり外国の観客というのは、新しいストーリー、新しい世界の見方、新しいキャラクターに飢えていると思うんです。その中で、日本のアニメやマンガは、すごくフレッシュなものとして映るのではないでしょうか。
西洋人にとっては、日本の作品からさらに想像を膨らませていったり、インスピレーションを受ける部分が多く、すごく魅力的に感じるのだと思います。
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AA
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逆に、手塚さんは、日本のコンテンツを世界に発信する際、どのような点がアピールポイントになると思われていますか?
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手塚
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日本のアニメやマンガって、私たちが思っている以上に普遍的なストーリーを持っているんですね。もちろん話のディテールや描き方は日本のことを描いているかもしれませんが、テーマとなる部分は、世界共通の内容を持っていると思うんです。
ですから、それをそのまま海外に持っていくときに、意外とつけ加えるものはないんですね。
ただそれが実写映画になる際は、現実としてそれを信じさせるための仕掛けはしなくてはならない。 二次元作品と実写との宿命的な差を埋めるために、リアリズムをプラスさせるという、アレンジが必要になります。
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AA
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最後に、読者にメッセージをお願いします。
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監督
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感動ドラマにアクション、アドベンチャーなど、エキサイティングな要素がたくさん詰まった作品です。笑いの要素もちょっと入っているので、笑って泣いて、また観たくなっていただければ、一番嬉しいですね。
日本の皆さんはアトムを非常によく知っていらっしゃると思うので、みんなが愛しているアトムを、劇場でぜひ観てほしいです。
フレッシュで新しいアトムがそこにはいますので、また新たな魅力を再発見していただきたいと思います。
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手塚
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アトムは、日本人にとって一番有名なキャラクターですが、実は世界の人たちにも愛されているキャラクターなんです。そんなアトムが、いろんな国の方々の新しいアイデアをつめ込んで、映画になりました。基本は原作の精神に忠実で、思わず僕も泣いてしまったぐらい、『鉄腕アトム』そのもののすばらしいストーリーがそこには入っていたと思います。
この映画は是非多くの人と観て、会話をしていただきたいなと思いますね。親子の会話でも、友達同士でのお話しでもいいのですが、会話の中から、また新しいアトムが生まれていく気がするんです。
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[インタビュー&構成: 遠藤麻衣]
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