アニメ『くるねこ』 監督・大地丙太郎氏インタビュー 1
                 

“goo”ブログアクセスランキング総合第1位を獲得し、単行本化で累計60万部を誇る猫エッセイマンガ『くるねこ』(エンターブレイン刊)のアニメが、現在放送中だ。
本作では、なぜか捨て猫に縁のある作者・くるねこ大和と、彼女の飼い猫たちとの日常生活がほっこりと描かれている。監督の大地丙太郎氏は、その独特な空気感や猫のリアル感をどうやって表現しているのか。ギャグから繊細な少女マンガまで、あらゆる原作モノを手がけてきた大地監督に、お話を聞いた。


■大地丙太郎 (だいち・あきたろう)
1956年1月13日生まれ。群馬県出身。

1995年、アニメ監督・演出家。『ナースエンジェルりりかSOS』で監督デビュー。その後、『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!! マサルさん』、『浦安鉄筋家族』、『ギャグマンガ日和』など、ギャグを得意とする監督として注目を浴びる。
また、『こどものおもちゃ』、『フルーツバスケット』、『僕等がいた』など、少女マンガ原作の作品を繊細かつ、絶妙なテンポで演出することでも話題に。代表作は、『おじゃる丸』(NHKにて毎日放送中)


■“猫づくし”の制作現場

アニメアニメ
(以下AA)

アニメ『くるねこ』の監督を引き受けることになった経緯について、教えてください。


大地丙太郎監督(以下、大地)


単純に依頼をいただいて…という感じです。僕が猫嫌いなのを知らないで(笑)。

AA
監督は猫を2匹飼っていらっしゃいますよね? 猫好きだというお話をうかがっていたのですが、嫌いなんですか!?

大地

いや、今はおかげさまで嫌いじゃないです。でも、『くるねこ』のお話をいただいたときは、猫は嫌いだと思い込んでいました。
今思えば、トラウマだったんでしょうね。子供の頃、猫を飼っていてすごく愛していて、世話もしていたんですけど、その猫の行く末があまり幸せじゃなかったんです。だから、“もう猫を飼うのは嫌だ。猫の世話はしんどい”という思いがありまして…。

今うちにいる猫も、僕は一切世話をしないと宣言して飼い始めたんですよ。僕は自分の作品に影響を受けやすいので、『くるねこ』の制作を始めてからはそういう思いは薄くなりましたけどね。まあ、根本的には、猫は好きみたいです(笑)。


(c)2009 Kuruneko Yamato/PUBLISHED BY ENTERBRAIN, INC./くるねこ舎

AA

アニメ『くるねこ』について、最初にどんな印象を抱かれましたか?

大地

猫がかわいい表情や動きをして、視聴者に媚びるているような猫マンガが多いですよね? 
最初『くるねこ』もそういう作品だというイメージがあったので、“猫のかわいさを描けばいいだけなら、僕じゃなくても誰でも演出できるのでは?”という思いがありました。もちろん、今はそんな風に思っていませんよ(笑)。
ある演出設計が浮かんで、パイロット版を自分で作っていくうちに、“なるほど、おもしろいな!”と、この作品の魅力がわかってきました。

AA

“おもしろい!”と思うきっかけになったお話は、何だったのですか?

大地

「ストーブ」という話です。猫がストーブで危うく火傷をしそうになるエピソードなんですけど、ストーブひとつに関しての、猫の反応・飼い主の反応を見て、なるほどねって思ったんですよね。
『くるねこ』は、猫とその飼い主が、どういう関わりをもって生活しているのか…という日常の話じゃないですか。その二者の空気感が非常によくわかるエピソードだったので、おもしろさを感じたんです。


(c)2009 Kuruneko Yamato/PUBLISHED BY ENTERBRAIN, INC./くるねこ舎

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AA

オープニングの、猫がテクテクと歩いていく後ろ姿がすごく印象的で、観ていると、世界観に引き込まれます。あれはどういうコンセプトで作られているのですか?

大地
カメラが猫目線で動いていて、イメージとしては、前の猫について、一緒に歩いていくという感じです。“これから猫の話が始まりますよ”ということで、“猫と一緒に歩いていってみましょう”みたいな、導入部ですね。
あのオープニングがあってこそ、物語の世界観に入れると思うんですよね。ここまでオープニングを重要視した作品は、あまりなかったかもしれません。

主題歌は、亀田誠治さんに曲を作ってもらって、まさに猫と同化して生きているようなささきのぞみという声優に歌詞を書かせたんですよ(笑)。仮歌も彼女が歌ったんですけど、わざわざ猫が放し飼いされているスタジオに行って、猫にまとわりつかれながらレコーディングしました。スタジオの猫と戯れながら、詩の一部書き換えたりもしていましたね。
猫にどっぷりこだわって作った、渾身の主題歌なんですよ(笑)。

AA
猫にまとわりつかれながらのレコーディング…すごく楽しそうですね(笑)。 猫と飼い主の日常生活を描くということで、作中では当然、猫の作画が多いかと思います。
よく、4本足の動物をアニメーションで描くのは難しいと言われますが、いかがでしたか?

大地

おそらく、動物の動きをしっかり描けるアニメーターさんって、そんなにいないと思いますね。それぐらい難しいみたいです。
それぞれの猫の性格に合わせた、猫っぽい動きを実現するために、今回はかなり気を使っています。

まず、アニメーターの大島りえさんのお宅では、このアニメのために猫を飼い始めたんですよ。ロシアンブルーの男の子で、名前はソラちゃん。すごく元気がよくて、家の中で大暴れしているみたいです(笑)。
ソラちゃんが来る前は、池袋の「ねこぶくろ」(東急ハンズ8階)に行って、ずっと猫にくっついてビデオを回していらっしゃったらしいです。かなり怪しまれたとか(笑)
様々なアングルから猫を描かなければいいけないことが多いのですが、そういうときは、身近に実際猫がいた方がいいですよね。シッポひとつとっても、猫らしい動きがありますし。そのへんは、大島さんはメチャクチャ上手いアニメーターですので、お任せしています。

AA
実際に本物の猫を飼ってしまうとは、かなりの力の入れ様ですね。作品に登場する猫の中で、お気に入りのコはいますか?

大地
う〜ん、なんとなくぼん(カラスぼん)が好きみたいです。出てくると、ちょっと嬉しくなるみたいな(笑)。
ぼんは、途中からちょっと太っちゃうんですけど、痩せている頃のぼんの動きが、ソラちゃんに近いものがりますね。

■その2に続く 

 

    アニメ『くるねこ』
    公式サイト『くるねこ小路(こみち)』 http://kuruneko.fc.yahoo.co.jp/

    関西テレビ 毎週日曜日8時55分〜、東海テレビ 毎週土曜 朝11:40〜
    Yahoo!動画 http://streaming.yahoo.co.jp/ct/anime/にて、隔週火曜日更新
    docomo「iムービーゲート」他、順次モバイル配信・放送拡大予定!
      (※放送時間は予告なく変更になる場合があります。予めご了承ください。)

    原作本『くるねこ4』(エンターブレイン刊)発売中!
    http://www.enterbrain.co.jp/nekoweb/kuruneko/

     声:  小林聡美(全役)
     演出(監督):  大地丙太郎
     作画:  大島りえ
     オープニングアニメーション:  遊佐かずしげ
      主題歌:作詞:ささきのぞみ 作曲:亀田誠治 Produced by 亀田誠治
     制作:  ダックスプロダクション
     制作協力:  スタジオDEEN
     製作:  くるねこ舎

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