同人・アニメ・萌えを斬る!           第1回
by@シアトル 著者の紹介  @シアトル
2001年10月弁護士登録。以来コンテンツ(アニメ、ゲーム、音楽等)やインターネット関連の業務に主に携わる。今夏よりアメリカ留学中。   

 通常弁護士は、数年弁護士として業務を遂行するうちに自然と自らの興味にしたがって専門分野が決まっていきます。お金の仕組みを勉強したければファイナンスの分野に、大きな仕事をしたければM&Aの分野に、などなど。
 僕も弁護士になってもうすぐ5年。個人的に、アニメ、ゲームや音楽などのいわゆるコンテンツやインターネットへの興味が人より若干強く(笑)、その結果、今ではこれらのコンテンツビジネス等に関する法律(著作権法をはじめとする知的財産法等)を主に手がけるようになりました。
ただ、これらの世界では、法律上の理解が必ずしも十分に行き渡っているというわけではありません。

 そこで、この度、アニメその他のコンテンツに関する法律上の問題点をご説明していきたいと思います。
 基本的に近時問題となっているトピックを自ら選んで、それについて解説を加えていこうと考えていますが、皆様から頂いたご質問について答えていきたいとも考えております。
 では、まず第1回目ということで、最近非常に流行しているメイドさんに関する法律上の問題点についてご説明したいと思います。
  

 第1回.メイド喫茶においては、どこまでのサービスをすることができるの?
 
 メイド喫茶は、多くの場合単に食品衛生法に基づき飲食店としての許可を受けているにとどまっていますが、そのサービスの内容によっては実は「風俗営業」に該当する場合があるのです。
 そして、「風俗営業」に該当する場合には風俗営業法に基づく許可を受けなければならず、仮に許可を受けずに営業を続けていると、違法営業として懲役・罰金を受ける可能性があるのです。

 そこで、これを検討する前提として、まず何が「風俗営業」に該当するかを理解する必要があります。
 風俗営業法(通称風営法)によれば、「風俗営業」とは、「客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業」のことをいい、「接待」とは「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」(風営法第2条第3項)をいいます。
 警察庁が発表している解釈運用基準によると、具体的には
■  特定少数の客の近くにはべり、継続して、談笑の相手となったり、酒等の飲食物を提供したりする行為
(客の注文に応じて酒類を提供し、これらに付随して社交儀礼上の挨拶を交わしたり、若干の世間話をしたりする程度の行為は除く) 
■  客とともに、遊戯、ゲーム、競技等を行う行為
■ 客の口許まで飲食物を差し出し、客に飲食させる行為等の行為が風俗営業に該当することになります。
この基準からすると、たとえば、

■ メイドさんを独占して話しこむことができるサービス
■ メイドさんとゲームをしたりするサービス
■ ご主人様にスプーンで「あーん」って食べさせてあげるサービス
等などのサービスを提供する場合には、残念ながら「風俗営業」に該当すると解釈される恐れがあるということになります。
 もちろん、これはあくまで「基準」を形式的に適用した結果に過ぎませんので、仮にこういう基準に該当するサービスがなされていたとしても、実態として「歓楽的雰囲気」が表れていなければ「風俗営業」に該当しないという判断は十分にありうるところです。
注)また、もちろん、これらの行為が店のサービスとして提供されるのではなく、店員が自発的に行動した結果であって、気まぐれにそういう行為が行われるにとどまっているのであればセーフであるという見解もありうるところでしょう。

 この点、実際に、昨年(2005年)には、福岡、松山と、続けてメイド喫茶に対し「風俗営業」の許可を取るように指導した例が現れるに至っています。
 現在、秋葉原では風俗営業法に基づきメイド喫茶を摘発した例は表沙汰になったりしていませんが、サービスの実態によってはいつでも指導が入る可能性があります。

 ちなみに、風俗営業に該当した場合、18歳未満のメイドさんを雇うことも、18歳未満のお客さんをお店に入れることもできなくなってしまいます。また、原則的に深夜0時以降の営業も禁止されることになります。

 18禁のメイド喫茶・・・。これはこれで売れるでしょうが・・・。

2.メイドリフレクソロジーでマッサージってできるの?
 最近よく秋葉原で見かけるのが「メイドリフレクソロジー」。念のため説明すると、これはメイドさんが心身共に癒してくれるお店のことをいいます。
 ただ、このメイドリフレクソロジーにも落とし穴があるのです。なぜなら、日本国内でマッサージ行為については、「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」により規制されており、マッサージ行為が日本国内で行えるのはあん摩マッサージ指圧師免許もしくは医師免許を所持する者だけと制限されているのです。

 では「メイドリフレクソロジー」が違法かというと、そういうことは必ずしもありません。なぜなら、厚生労働省は「マッサージ」の定義を「体重をかけ、対象者が痛みを感じる強さで行う行為」と判断しているためで、無資格者が「対象者が痛みを感じる強さで行う」ようなマッサージを行わなければ基本的に違法ではないということになるのです。
 もちろん最近のメイドリフレクソロジーでは有資格者がマッサージをしてくれるお店もあるようですから、その場合はきっとイタ気持ちいいサービスを受けることもできるでしょう。

3.メイドさんを宅配するサービスは?
 風営法上、一般の消費者のところにサービス提供者を派遣する際に適用される規制は以下のものに限られています。
■派遣型ファッションヘルス営業(「性風俗関連特殊営業」法第2条第7甲第1号)

 人の住居又は人の宿泊の用に供する施設において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業で、その役務を提供する者を、その客の依頼を受けて派遣することにより営むものしたがって、単にお掃除をしたりするだけのメイドさん宅配サービスは合法だということになります。
 また、普通に考えればメイドさんの派遣サービスとして上記のサービスをすることはないでしょうから、これに該当する恐れは余りありません。

 しかも、1で述べたような「風俗営業」に該当するのは「施設」を設けて行う場合に限られていますので、お店でやれば「風俗営業」に該当するようなサービスをしても、派遣型の場合は「風俗営業」にはあたらないということになります。
 なので、派遣型の場合は、(風俗営業法の許可を受けていないような)通常のメイド喫茶ではきわどいサービス(メイドさんと二人でゲームをしたり、ご主人様の口許まで食事を運んであげたり)をしても大丈夫、ということになります。

 以上、色々説明致しましたが、メイドビジネスの中にも意外なところに法律の規制が転がっていることに気づいていただけたかと思います。

なので、何はともあれ、お気をつけ下さい、ご主人様♪
 
    

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第1回
メイド喫茶においてどこまでのサービスをすることができるの?

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