同人・アニメ・萌えを斬る!           第2回 その2
by@シアトル 著者の紹介  @シアトル
2001年10月弁護士登録。以来コンテンツ(アニメ、ゲーム、音楽等)やインターネット関連の業務に主に携わる。今夏よりアメリカ留学中。   
  

 第2回 YouTubeの法的な責任とその限界?  その2


(1)指摘されるまでは放置してもよい?

 まず、サービス提供者は、どのような映像がアップロードされているのかを逐一チェックしなければならないのでしょうか。

 この点、先ほどご紹介したプロバイダ責任制限法によれば、「(違法な)情報の流通を知っている」ことが責任を負う大前提となっています。
 この規定によれば、誰かから「ある情報が著作権侵害だから・・・」という指摘を受け、当該侵害情報の存在を認識して初めて責任を負う規定となっているのです。

 そのため、積極的に自ら著作権侵害の動画がアップロードされていないかを確認する義務まではないと言われているのです。
 したがって、実は、誰かに著作権侵害の指摘を受けるまで、著作権侵害の動画があってもそれを(そうと認識せず)放置することができる、ということになるのです。

(2)どのような指摘を受けるまで放置できるの?

それでは、誰に、どのような指摘を受けるまで放置することができるのでしょうか。

 この点についてですが、一般的には、いかなる情報が違法であるか、具体的な情報を特定して指摘を受けるまでは「(違法な)情報の流通を知っている」ということにはならないと解されています。
 そのため、たとえば「違法な動画が多く存在する」という抽象的な指摘を受けたとしても、それだけでは「(違法な)情報の流通を知っている」ということにはなりません。

 また、情報を特定されたとしても、それだけで「情報の流通によって権利侵害が行われていると認めるに足りる相当の理由」があるということにはなりません。
 この「相当の理由」があると認められるためには、わかりやすく著作権侵害であることを説明してもらわなければならないのです。

 この点、テレコムサービス協会等が主導して作成し公表されている「プロバイダ責任制限法著作権関係ガイドライン」によれば、権利者本人が、情報を特定して、当該情報がいかなる権利を侵害しているのかをその理由を明記して、著作権侵害がなされていることをわかりやすく説明することが必要であるとされています。

 したがって、以上のような具体的なわかりやすい指摘が無い限り、「情報の流通によって権利侵害が行われていると認めるに足りる相当の理由がある場合」に該当しないと解されることになるのです。

※ ちなみに、最近下された判決(東京高裁平成18年8月8日付判決)では、権利者本人以外から著作権侵害の指摘があったにすぎない場合であってもサービス提供者(この事案では2ちゃんねる管理人)の責任が認められました。
 そのため、このガイドラインを全面的に依拠することには一定のリスクが存在する点、注意が必要です。


(3)過去に削除した動画と同じ動画がアップされた場合はどう対処すべき?

 (1)でご説明したとおり、どのような動画がアップロードされているのかを自らチェックする義務はないと解されています。
 したがって、たとえ過去に著作権侵害で削除した動画と同じ違法な動画がアップされたとしても、それらの動画がアップされたのかを積極的にチェックした上で削除する必要はありません。

 すなわち、権利者からわかりやすく削除を請求されるまでは放置することは可能ということになります。

3.まとめ

 以上のように、サービス提供者としては、著作権侵害の動画一つ一つにつき削除請求がなされるまでの間、基本的にはそれらの動画を削除する必要はなく、そのままサービスを提供し続けることができるということになります。

 このようなサービスでは、利用者が極めて多く、そのためアップされる動画も極めて多数に上ることが予想されるので、権利者としては、著作権侵害の動画の有無を確認しては削除請求をしたとしても、結局削除請求が追いつかないということになるでしょう。

(実際問題として、現在権利者の対応は全く追いついていないというのが実情でしょう。)

 まぁ、著作権侵害の動画が沢山あっても、それでもサービス提供者が法律上の責任を負わないんだとすれば、それはそれでありなサービスなのですが。。。

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