同人・アニメ・萌えを斬る!           第3回 その2
by@シアトル
  

 第3回 ブランド名のタイトル利用はOKか? その2 マクロス事件の例

■ 分析(続き)

 次に、不正競争防止法違反の点について説明します。

 この点はマクロス事件(実は、アニメ「マクロス」をめぐっては色々訴訟が提起されているのです。)が参考になりますので、この事件の全体像をまず簡単にご説明します。

 マクロス(正式名称:「超時空要塞マクロス」)というテレビアニメは、もともとは複数のアニメ制作会社によって制作されていたのですが、この一緒になって作っていたアニメ制作会社が途中で二手に分かれました。
 その結果、マクロスのテレビアニメの著作権と、マクロスの個々のキャラクターの著作権とが別の会社に帰属することとなってしまいました。

 このような複雑な事情を背景に、マクロスの個々のキャラクターの著作権を持っている会社がマクロスの続編(「マクロスセブン」、「マクロスプラス」など)を制作・販売したところ、マクロスのテレビアニメの著作権を保有している会社の方が、マクロスっていう名前は自分のものだ、マクロスっていう名前を勝手に使うのは不正競争防止法違反にあたると主張し、マクロスの続編を制作した会社に損害賠償を求めて訴訟になったのが、このマクロス事件です。

 この事件において、裁判所は、マクロスの続編の販売の差止等を認めなかったのですが、注目すべきはその理由です。
 この判決で、裁判所は、マクロスという名前(マクロスの最初の方も、マクロスの続編の方も)自体は、著作物(テレビアニメ及び映画)のタイトルに過ぎないので、このタイトル自体を映画やアニメのタイトルに使ったとしても、それは商品やサービスの名称として使っているわけではない(つまり、「自他識別機能」がない。)ことを理由として、不正競争防止法違反になることはないと判断したのです。

 つまり、商標権の場合と同様、この判決では、どんな名前を著作物のタイトルとして使ったとしても、それが著作物の内容に関連するものである限り、基本的に不正競争防止法違反になることはないということが示されたわけです。
 (したがって、この判決を前提にすると、著作物の内容に関連するものである限り、「ガンダム」や「エヴァンゲリオン」などのアニメのタイトルを自分のマンガのタイトルに拝借しても、法律上特に問題がないということになりそうです。)

■ 結論

 以上のとおりですので、結局、他人のブランドの名前を勝手にマンガやアニメのタイトルに使っても、特に商標法上も、不正競争防止法上も問題がないという結論になります。

 したがって、某公共放送の略称をアニメのタイトルに使ったとしても、それが著作物(アニメ)のタイトルである限り、法的には特に問題がないということになるのです。


【ただし、落とし穴に注意】 

 しかしながら、アニメのタイトルに使うことができるからといって、気を抜いていると、あっさり落とし穴にはまることになります。 

 まず、法律上アニメ・マンガなどのタイトルとして名称が用いられる分には、「著作物のタイトル」であることを理由に、商標法・不正競争法上特段問題とされないに過ぎません。
 したがって、あくまでも著作物(アニメ・マンガ)のタイトルとして使用する範囲を越えると、すぐに権利侵害の可能性が出てきます。

 すなわち、そのアニメ・マンガの人気が出て、将来的に商品化を行う場合、その商品の名前に、著作物のタイトルをつけた場合、もはや著作物のタイトルとして使用されているわけではなく、商品の名前として、その名前が用いられているということになるわけです。
 たとえば、そのアニメ等のキャラクターを用いて、キーホルダーを作ったり、そのアニメをテレビゲーム化した場合などに、そのキーホルダーやテレビゲームのタイトルに、そのアニメのタイトルを用いたとすると、もはやそのタイトルは、単に著作物の内容を示すものではなく、その商品が誰のものかを示すものとして用いられる(つまり、「自他識別機能」を持つ)ことになるわけです。

 したがって、商品化した際に、その商品のタイトルとして著作物のタイトルを用いることは、商標権侵害であり、不正競争防止法違反となりうるわけです。
 そのため、仮に、他社のブランド名をアニメ等のタイトルに付けた場合、そのアニメ等を実際に商品化をする際に、アニメ・マンガのタイトルを使うことができないということになってしまうという、大きな制約を受けるわけです。

 そういえば、「N・H・Kにようこそ」のグッズ(DVD等は除きます)ってまだ販売されていないようなんですよね。(ウェブサイト上ではComing Soonになっています。笑)
 自分は全く関係していないので分からないのですが、もしかしたらこの点が問題として残っているのかもしれません。

 それと、もう一つ。

 世の中には、法的に言ったら難しいようなことでも、平気で主張してくる人達がいるわけです。
 特に、自分のブランドに特にプライドを持っている方々の中には、無断でブランドが使用されることをものすごく毛嫌いする人々もいるわけです。
 したがって、いくら法律的に問題がない場合であっても、何にも紛争にならないと保証されるわけではありませんので、その点ご了承くださいませ (^_^;)

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