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2.コスプレを披露する行為の法律問題
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次に、コスプレを披露する場合に、いかなる法的責任が生じうるでしょうか。コスプレを楽しんでいる個人と、そのコスプレをする場を提供している主催者に分けて検討したいと思います。
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(1)コスプレイヤーの責任
まず、コスプレを披露する行為は著作権法上どのように評価されるのでしょうか。
まず、前に述べたとおり、そのコスプレの衣装自体が著作権法上特段問題とならない場合もあります。
その場合は、いくらコスプレイヤーがそのキャラクターになりきっても、著作権法的に問題はありません。ここで問題となるのは、コスプレの衣装自体が著作権法上問題となる場合に限られます。
そして、著作権法上問題となるコスプレを披露する場合、そのコスプレを披露する行為を著作権法的にどう評価するかは非常に困難です。しかし、一般的に、単にそのコスプレを「展示」する行為と、単にコスプレを「展示」するにとどまらず、そのキャラクターになりきって「演じる」行為とに分けられるものと思われます。
前者の場合、著作権法的には「展示権」(著作権法第25条)との関係が、後者の場合は「展示権」に加えて、「上演権」(著作権法第22条)との関係が問題となります。
そこで、コスプレを披露する行為について、「展示権」と「上演権」とに分けて検討します。
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ア 展示権
まず、「展示権」ですが、これは、著作権者が美術の著作物を「原作品により公に展示する権利」のことをいいます。著作権者に無断で「原作品」を「公に展示」した場合、この「展示権」の侵害となります。
ここで難しいのが「原作品」とは何かという問題です。しかし、キャラクターマーチャンダイジングの場合の特殊性 [注1] はおいておくとしても、コスプレの衣装を個人が無断で作成する限りにおいては、それをキャラクターの「原作品」にあたると考えるは困難だと思われます。
したがって、個人で作成したコスプレの衣装には「展示権」は働かないと考えられ、自作したコスプレをコスプレ会場にて「展示」する限りにおいては、展示権の侵害ということにはなりません。
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イ 上演権
次に、上演権ですが、聴衆の前で、コスプレの衣装を着て、そのキャラクターになりきることでそのキャラクターを演じている場合には、上演権の侵害の可能性があります。
しかし、利益を上げる目的なく、単にコスプレを見せたいという理由だけでキャラクターになりきっている場合には、「営利を目的としない」上演(著作権法第38条第1項)に該当し、著作権の行使が制限されることになります。その場合には上演権の侵害ではないということになります。
ただ、コスプレ喫茶のような、コスプレをする従業員自体がアルバイトとしてお金を得ているような場所では、コスプレ自体「営利を目的としない」上演ということは困難であるように思われます。
その場合には、従業員自体が上演権を侵害するものであるという結論が導かれる恐れは十分にあるわけです。
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したがって、自作のコスプレを趣味で披露する限りにおいてはそれによりお金を稼がない限り、著作権法の侵害ということにはならないという結論になります。
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(2)コスプレ会場の主催者の責任
個人のコスプレイヤーが著作権法上特段責任を負わないとして、コスプレをする機会を提供する主催者は、どのような責任を負うでしょうか。
まず、コスプレ喫茶のように、業務上その従業員にコスプレをする旨の指示をしてお金を稼でいる場合には、コスプレ喫茶の経営者は、自ら上演権を侵害するものとして著作権侵害の責任を負うとの結論が導かれる可能性があります。
これに対して、一般に参加者を募り、営利目的ではなくコスプレを楽しむ参加者にコスプレをさせる場合はどうでしょうか。
この場合、主催者は単に場を提供するに過ぎないのであって、コスプレした姿を披露する本人ではない(著作権使用行為をする主体ではない)だけでなく、コスプレをする本人自体が著作権侵害の責任を負わない以上、そういう適法行為を行う場所を提供するに過ぎない主催者が著作権侵害の責任を負うはずがないじゃないか、という意見も聞こえてきそうです。
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しかし、ここで、非常に注意すべき判決をご紹介します。
それは、「クラブ・キャッツアイ事件」判決(最高裁昭和63年3月15日)と呼ばれる判決です。(著作権者の側からみた)使い勝手のよさのため、その後現在に至るまで影響力を行使しつづけている判決です。
この「クラブ・キャッツアイ事件」とは、「キャッツアイ」という名前のクラブが、著作権使用料を払わず、お客さんにカラオケを歌わせていた行為が著作権侵害にあたるとして、楽曲の詞と曲の著作権者が「キャッツアイ」の店長を訴えた事件です。
この事件では、確かにお客さん自身が、カラオケを使って自分の歌唱を他人に聞かせることによって「上演権」を行使していたわけです。しかし、先に述べたとおり、「営利目的」がなければ著作権侵害とはなりません。
そして、もちろん、お客さんは純粋にカラオケを楽しんでいるだけですので、「営利目的」があるはずがありません。したがって、お客さん自身の行為は間違いなく著作権侵害にはなりません。
その上、「クラブ」自体は、単にカラオケを楽しむ「場」を提供しただけで、「クラブ」自体が何らかの著作権を直接利用する行為を行ったわけではありません。
しかし、このような状況下で、裁判所は、確かにカラオケを楽しんでいるのはお客さんではあるものの、「クラブ」自体がカラオケを楽しむ「場」を設け、そこでお客さんに歌を歌わせて利益を上げている以上、その「場」を提供している「クラブ」自体が「上演権」を行使する主体であると認定し、「クラブ」が著作権侵害をしている旨判断したのです。
つまり、この判決は、単に「場」を提供しただけで、しかも各参加者自体が違法行為に手を染めていないとしても、その「場」を提供した主催者について法的責任が認められる可能性があることを示したわけです。
近時、この「クラブ・キャッツアイ事件」判決の判断(これを一般的に「カラオケ法理」といいます。)が、非常に様々なところで適用されてきております。この「カラオケ法理」がいつコスプレの場に持ち込まれ、コスプレの主催者の法的責任が問われないとも限りません。
なお、この「カラオケ法理」の適用をどこまで広げられるかは今でも引き続いて盛んに議論されている点であって、確実なことはいえないのですが、その適用を防ぐために一つ効果的なポイントがあります。
それは、「みなさーん、著作権侵害はしないでくださいね!」と参加者に広く呼びかけることです。
もちろん、参加者個人は、仮に著作権者から何も許諾を得なくても個人でコスプレを楽しむことができるのは前に述べたとおりです。この呼びかけがあったとしても、参加者は特に何をする必要があるわけではありません。
ただ、カラオケ法理は、「悪い奴らをやっつける」ための武器として安易に用いられている傾向があります。(これは個人的な感想ですが。)
「私は決して『悪い奴』じゃありません!」と主張して、決して著作権を侵害して利益をあげるつもりがないことを表明することが、実質的にはこのカラオケ法理の適用を妨げる上では非常に効果的と思われるのです。
ということですので、コスプレの場を設けてお客さんを沢山呼び込もうとされている事業者の皆様、コスプレのご利用は計画的に。
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なお、次回は、コスプレに関する法律上の問題点の後半として、
I コスプレ用の衣装を販売すること、そして
II その衣装にキャラクターの名前をつけて販売することの法律上の問題について取り上げたいと思っておりましたが…
ロミさんにお題をいただきましたので、次回はパブリックドメインの問題点については取り上げたいと思います。
それでは!
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