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みなさま、お久しぶりです。前回の更新をしてからというもの、ロースクールを卒業したり、アメリカの別の都市に引越しをして新しい場所で生活を始めたり、と何かと忙しい毎日を送っておりました。
それにしても、こちらのハロウィンは楽しいですね。自然とコスプレをする環境が整っています。笑
さて、それはともかく、この間に色々ありましたが、その中で日本アニメの将来に影響しうるものとして大きいのが、以下のニュース。
日本政府 米国政府にネット上のアニメ違法配信対策を要望
詳しくはリンク先ニュースを見ていただきたいのですが、2001年から毎年日米政府間で相互に交換している要望書の中で、2007年になって初めて日本政府がアメリカ政府に対して、アメリカでアニメに対する著作権侵害が甚大であること、そして違法配信問題を解決するために情報交換を行うための協議を要望しています。
アメリカでアニメの違法配信が非常に広範に行われていること、そしてそれと時期を同じくしてアメリカでDVDのセールスが激減していることは周知の事実ではありましたが、この問題がいよいよ政府レベルまで来たか、と若干感慨深いものがあります。
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| 1. ファンサブとは |
過去にRomyさんがファンサブについて書かれています(海外「ANIME」「MANGA」100の質問 第8回)ので、これをお借りします。
「海外のファンが自主的に(というか勝手に)アニメ作品に翻訳字幕を付けてそれを配布する行為、またはその字幕文字のことを指します。作品の使用・配布権利を持っていない素人が字幕をつけるわけですから、これは違法行為です。」
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2. ファンサブは著作権侵害なの?
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まず、日本ではどうかというと、ファンサブ、厳密には無断で字幕を付けてインターネットその他で他人に配布する行為は明らかに著作権を侵害する行為(翻訳権及び公衆送信権の侵害)です。
では、外国ではどうでしょうか。
これを考えるには、日本の著作物が外国でどのように保護されているかを考える必要があります。
まず、ベルヌ条約に加盟している国の間では、それぞれの国は、他国の著作物を自国の著作物と同様に保護することになります。そのため、たとえばアメリカでも日本の著作権はアメリカの著作権法でアメリカの著作物と同様に保護されています。
そこで、ファンサブが行われた場合を考えると、日本とアメリカはいずれもベルヌ条約に加盟していますので、日本の著作物であるアニメもアメリカの著作権法で保護されており、アメリカで行われたファンサブが違法かどうかはアメリカの著作権法に照らしてみて考えることになります。そして、アメリカでも ファンサブという行為は複製権、頒布権[1]等を侵害する行為ですので、当然違法だということになります。
そして、ベルヌ条約は各国において保護すべき著作権の保護水準を示していますので、ベルヌ条約加盟国間では基本的に著作権保護の内容は同様です。ちなみに、このベルヌ条約という条約には世界で154カ国が加盟しています。
また、現地国がベルヌ条約に加盟していなくとも、その他の条約に加盟していれば、著作権が保護されることもあります。例えば、台湾はベルヌ条約には加盟していませんが、WTOには加盟していますので、日本の著作物は台湾においてもWIPO著作権条約によってベルヌ条約と同様の著作権保護がはかられることになります。
したがって、基本的に、国内の著作物は海外でもその現地の著作権法により日本と同様の保護を受けているので、ファンサブという行為は基本的にどこの国でも現地の著作権法により違法と判断されるといえます。
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3. ファンサブを取り締まらないのはなぜ?
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では、なぜこのような「違法」であるファンサブがここまで野放しにされているのか、という部分について、ファンサブのメッカとも思われるアメリカを例に踏み込んでみましょう。
ファンサブが持つとされる「積極的な効果」やファンから受ける反発などのことはひとまずさておき、ここでは、ファンサブを取り締まるにあたって踏み込もうにも踏み込みきれない、法律上の障害について説明してみたいと思います。
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(1)国の対応
ファンサブ問題を考えるに際していつも疑問として出てくるのが、一体アメリカという国は何をしているのか、という点です。
日本であれば、よく海賊版製品を販売している人が摘発されたり、P2Pでファイル交換をしている人が逮捕されたり、というニュースを耳にするかと思います。アメリカでも当然警察がいるのだから、違法行為をしっかり取り締まってもらえば済む話じゃないかと思われるかもしれません。
しかし、実際のところ、そういう解決策は余り期待することができません。というのも、アメリカでは著作権侵害行為を摘発するにあたっては、実は非常に高いハードルがあるからなのです。
ア 著作権法上の問題点
まず、著作権を侵害した場合の刑事罰の規定の内容が日本とアメリカとでは異なっています。
日本では、著作権を侵害した者については、基本的に刑事罰を科すことが可能です。
(もちろん親告罪ですので、実際に告訴がなければ刑事罰は科されませんが、逆に告訴さえあればどんな著作権侵害を行った者についても罪に問うことは可能なのです)[2]
これに対して、アメリカでは、「故意に著作権を侵害する者であって、(1) 商業的利益または私的な経済的利得を目的とした者、(2) 180日間に、著作権のある著作物につき1,000ドルを超える総小売価格の1部以上のコピーもしくは1部以上のレコードを複製しもしくは頒布した(電子的手段によるものを含む)者、または(3)著作物(コンピュータプログラム、映画、音楽等)が商業用頒布のために準備されたものであることを知って、その著作物を頒布したり、インターネット上で公衆からアクセス可能にした者」のみが処罰されるものと規定されています。[3]
しかも、丁寧に「著作権のある著作物の複製または頒布の証拠は、それ自体では故意の侵害を立証するに不十分であるものとする」とまで規定されているのです。
したがって、アメリカでは、悪質かつ大規模であって、かつ商業的な利益を目的として行われているものしか、基本的には刑事手続きによって処罰することができないのです。著作権が侵害されている事案のうち、極めて限定的なもののみしか刑事罰の適用がないという点が、まず警察の腰を動かさない一つの大きな理由となっているのです。
イ 取り締まり上の問題点
加えて、実際の取り締まり上の問題点についてもご説明します。アメリカではFBI等が主導して2004年からインターネット上の知的財産権侵害(著作権侵害に限りません。)に対して「Operation Fastlink」という作戦が開始され、この作戦が表面化して以来約3年の間に50件程度が摘発されています。
この50件という数字をどのように評価するかは別として、実際過去の摘発例を見る限り、きわめて大規模かつ悪質のものしか摘発されていないようです。[4]
このように波及効果が見込める大規模な事案のみ相手にしている間は、ファンサブのような相対的に「軽微」な行為が摘発の対象になるとはなかなか考えにくい状況にあるのです。[5]
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■ ファンサブに関するマジメな考察 その2に続きます。
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