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2005年03月13日
イベント ]
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 GONZOの春の新作をファン向けに一足早く公開するGONZO FESTAが3月13日東京・新宿で開催された。イベントは、司会にカレイドスターのそら役の広橋涼さんらを迎え、ファンの熱気が漂う熱いイベントであった。また、各作品の主人公、ヒロインの声をあてる声優陣や制作スタッフといった豪華なゲスト陣もイベントに華を添えた。このほか、抽選会や『スピードグラファー』のヒロイン・神楽役の声優役にオーディションで決定した斉藤圭さんの紹介など盛沢山であった。
 
 イベントで紹介された作品は3作品、いずれも春からテレビ放映を開始するものである。その作品『バジリスク』と『スピードグラファー』は見所を編集した映像で、『トリニティブラッド』は第1話を紹介した。いずれも原作の内容も知らない話だったので、基礎知識なしで観られたので純粋に楽しめた。
 3作品の中で物語として一番惹かれたのは、『スピードグラファー』である。少しフェティズムぽいネタを扱っているので、どの程度広く視聴者に受け入れられるは判らないが、特殊能力を持つジャーナリストといった設定は面白く、物語として新しい試みが多いように思えた。しかし、謎の美少女と物語に巻き込まれる男といった一歩間違うと陳腐になりかねない要素も見受けられた。物語をどこまで大胆に進められるかが今後の出来を左右しそうである。
 その点『バジリスク』と『トリニティブラッド』は原作があるので、物語構成も人気も安心出来る作品であるだろう。上映された短い映像からの判断だけだが、良質の原作を丁寧にまとめあげたとの印象が強い。『トリニティブラッド』は、物語的に『ヴァンパイヤハンターD』と重なりが感じられたのが気になった。

 これらの作品は、会場では多彩で幅広い作品と紹介されたが、むしろ観た感じはいかにもGONZO的な作品が集まったという印象が強かった。これら作品を観て感じるのは、GONZO作品の特徴の予算を十分かけて作ったクオリティーの高い作画、大人向けで複雑で高度な物語、広い意味でのSFであるという点である。
 どの作品も一般向けというよりは、ハイエンドな作品を好むアニメファン向けである。クオリティーの維持に注意をすればマーケットはある程度確保されている作品と言える。また、こうした作品を好むファンは子供向けのアニメよりも、世界各国ごとの嗜好の違いが少なくグローバルな展開にも有利である。
 こうした意味で、優れた原作を発掘し通常より多くの資金を制作にかけるGONZOのアニメはビジネス上も安心出来るものである。しかし、逆にこうしたアニメを好む市場の規模が限られており、この春にGONZOだけで3作品も制作されることに多少の不安を感じる。それは、他の制作会社のこういった作品も含めると供給過剰になり過ぎる懸念があるためだ。
 GONZOは、今後は子供作品への展開も公表している。目先は来年公開予定の『ブレイブストーリー』がどの程度の支持を得られことにかかっているだろう。また、今回のイベントの中でも触れられた『カレイドスター』のような作品の展開をどの程度拡大出来るかも今後のGONZOの展開にとっては重要であろう。
 
バジリスク公式サイト 
トリニティブラッド公式サイト 
スピードグラファー公式サイト 
GONZO 

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2005年03月11日
セミナー・講演会 ]
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3月11日 東京都写真美術館
磯崎新氏 (建築家)
斎藤環氏 (精神科医)
森川嘉一郎氏 (第9回ヴェネチアビエンナーレ国際建築展日本館コミッショナー)

 『OTAKU』展関連のフォーラムのパネリストに磯崎新氏の名前を見た時には正直驚いた。おたくと磯崎氏はあまりにも遠い存在に思えたからだ。しかし、そもそも今回の展覧会はヴェネチアビエンナーレの建築展である。日本を代表する建築家磯崎氏が出て来てもおかしくない。にもかかわらず磯崎氏の名前に違和感が漂うのは、今回の展覧会のテーマが意表をついたものであることを物語っている。

 そうした経緯を磯崎氏はうまく説明している。前回のテーマは女が変える都市として『渋谷』、『ヤマンバ』であったから、今回は男が変える都市をテーマとして考えた。その中で『おたく』というテーマが浮上してきたが、このテーマは自分では全く判らないから、第三者的立場に自分を置いたという。
 しかし、第三者的な立場に身を置きながら磯崎氏の視点は的確である。この展覧会がヴェネチアで世代により全く異なって受け入れられたことにまず触れている。つまり、40代以上の人達は最初から拒否をし、20代以下はとても反応が良かったという。磯崎氏はこれは審査員においても同様で、不真面目なものと考える人達と何か違うと感じる人達との間に論議が起こったに違いないという。
 磯崎氏は美術展の成功は通常はメディアにおける良い評価と観客数であり、失敗は無視されることだと説明する。そして、一番面白い本当の成功は、この両方が存在し論議が起こることだと考えている。今回の展示は、そうした論議を起こすことが出来たので素晴らしかったと評価した。

 磯崎氏の一歩引いた立場での発言のいっぽうで、企画に深く携った斎藤氏、森川氏の発言はもっと思い入れたっぷりであった。斎藤氏は、自分の考えるおたくの記述(定義ではないとしている)は、おたくは、虚構親和性が非常に高いことフェティシズム、2次創作、ポルノグラフィーといった要素を挙げた。そのうえで、実体指向のマニアと仮想で満足出来るおたくは違うものとする。
 こうしたおたくは、パラサイト・シングル、ニート、ひきこもりといった非社会的な系譜に連なり、そこに非社会性の新しい文化が生まれる可能性が高いと説明する。
 斎藤氏のおたくの捕らえ方は、非常に判りやすく魅力的である。そして、おたくとマニアは違うという考え方はおたくとは何かと考えるうえで新たな視点を提示している。にもかかわらず、おたくというものをあまりにも狭く捕らえすぎているように感じた。つまり、それでは、おたくは『やおい』愛好家と2次元の美少女愛好家に限定されてしまうことになる。そうした意味では、広く共有された認識とは思えないのだ。またそれは、斎藤氏が敢えて定義ではないとする理由でもあるのだろう。
 
 森川氏は、今回の展覧会の意義はヴェネチアで行うことと東京でやることでは全く違うことを中心に説明した。つまり、『OTAKU』展はヴェネチアでは非日常であるが、東京では日常の風景であるという。つまり、東京の日常の風景を敢えてもう一度美術館の中に再現する意味合いはまた別のものだとする。
 それは、おたくという『恥』なる部分を美術館や新日曜美術館といったハイアートの世界に持って行くとことである。こうした刺激が確かに面白い現象を生みだすことは判る。だが、限られたフォーラムの時間もあり、森川氏がそうした衝突の中で何を期待するのかが説明されず、やや残念な点であった。

おたく:人格=空間=都市 
東京写真美術館 

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展覧会 ]
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 最初から最後まで違和感のある展覧会であった。それが、何か判らなかったのだが、最後になってようやく気づいた。この違和感はこの展覧会がそもそもおたく的視点を持つ人達によって企画・構成されていることに起因する。つまり、この展覧会はおたくという現象の社会批評でなく、おたく自身による自己主張である。
 そのうえで私の持つ違和感は、一般に差別されていると思われているおたくが、実は自ら差別されたがっているという発見にある。展覧会を通して主張されているのは、いかにおたくがおたく以外の人と異なり、自分達の世界を構築しているかである。そうした差異の強調にはある種の歪んだ選民意識すら漂っている。
 
 こうした差異の強調は、おたくを糾弾する人達のその理由と表裏の関係にある。つまり、この差異をネガティブに捕らえれば差別になるし、ポジティブに捕らえれば今回の展覧会のようになる。それは、展覧会の説明にある“いわゆる市場原理とは異質なファクターを持った空間原理に構成されている”“この都市の変容の新しさは、それが、国や大企業などの戦略的開発によるものでなく、おたくという「人格」の地理的規模の集中によって発生した”といった表現などに見て取ることが出来る。
 しかし、おたくが異なった存在であることを強調されるほど、また疑問も湧いてくる。おたくは果たして本当に特異な存在であるのだろうか。確かに、アニメ・ゲーム・マンガといった文化におけるオピニオンリーダーとしてのおたくの存在は計り知れない。だが、ファッションの世界にファッションリーダーがおり、美術の世界に目利きがいて、投資の世界に先行投資家がいるように、どの分野においてもその道に精通した人達はいる。そうした人達も含めておたくとするならおたくの社会的な存在意義も理解出来る。
 しかし、おたくの定義を極めて狭く取ったうえで、おたくは素晴らしいとすることには違和感を覚えざる得ない。つまり、おたくも社会を変えていく一構造であるが、それは様々な人間の表現の有様のひとつでしかなく、それは卑下すべきものでも特別視するものでもないからだ。だから、今回の展覧会はおたくの日常が切り取られて美術館の中に展示されるという刺激はあるものの、おたくが社会を変えるといった展覧会の趣旨にはどうも納得がいかない。

『おたく:人格=空間=都市』
東京都写真美術館 2005年2月22日から3月13日
主催:東京都、東京都写真美術館、独立行政法人国際交流協会

おたく:人格=空間=都市 
東京写真美術館 

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2005年03月10日
その他 ]
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suginami 3月4日に開館したばかりの杉並アニメーションミュージアムに行ってきた。平日の夕方というとんでもない時間にいったのだが想像より入館者は多く、それなりに人もいた。
 ミュージアムの場所は、中央線荻窪駅からバスで10分ぐらい徒歩3分である。杉並区の施設である杉並会館の3階、4階で宴会場などと建物を共用しているのでちょっと判り難いかもしれない。
館内は正直さほど広くなく、大フロアひとつにワークショップ室、ライブラリー、シアター、小さな企画展示ゾーンから構成されている。しかし、必要とされるものは全てあるし、展示なども手際よくまとまられている。アニメの現状やこれからのアニメについてなどは、うまく説明しているなと思えた。それに、ワークショップやライブラリーは、十分利用すれば楽しいだろう、これからの利用仕方しだいでは楽しいイベントも出来るに違いない。
 しかし、ミュージアムの一番の目玉は、おそらく館内に再現された監督、作画監督、美術監督の机であろう。それぞれ、富野由悠季氏、後藤隆幸氏、行信三氏の机を紹介しているがそれぞれの個性が現れていて興味深い。
 富野氏の机のうえに、ガンプラやガンプラ?の巨大な箱が乗っていたのがそれっぽかった。さらに、机の上には劇場版Zガンダムのシナリオ第1稿と絵コンテが広げてあった。後藤氏の机は、アニメーターらしからぬ?こぎれいな机であった。本などもきれいに整理されており、机のうえに『攻殻機動隊』の原画が広げられていなければ、むしろ、あまり特徴のない机だと言ってもいいくらいである。一番、驚いたのは行氏の机である。机のうえで一番大きな場所を占めているのはPCのモニター2台で残りのスペースはほとんどない。わずかなスペースに資料とポスターカラー?が置かれており、さらに残りのわずかなスペースにフィギアが所狭しと並べてある。また、収納の多い机も特徴的であった。

 開館記念の企画展『ガンダムワールドは~歴代の機動戦士』は展示スペースの都合もあり少し期待はずれだった。歴代のガンダムをパネルとセル画で紹介するほか、各種フィギアの展示と設定や台本の紹介である。このほか、劇場版Zガンダムの予告編(1分バーション)が会場で流されていたほか、上映会も行われていた。

 全体的に、リニューアルする前の杉並アニメーション資料館に較べると大幅にグレードアップしているなと感じた。少なくとも、ミュージアムとしての形は整っている。おそらく、アニメって何?と知りたい時に来館すれば面白いかもしれない。
 しかし、近くに住んでいて訪問するにはいいが、神奈川や千葉から一日かけて訪問するには寂しい内容である。おそらく、見学時間は普通の人であれば30分もあれば十分に思える。それと、荻窪駅からバスで行くという地の利もいいとはいえない。勿論、自治体によるアニメーションを文化として保存し、紹介して行こうという試みは高く評価されるべきである。開館したばかりではあるが、願わくはこれを小さな第1歩として、さらに本格的で大規模な施設を望みたい。

杉並アニメーションミュージアム 

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2005年03月06日
セミナー・講演会 ]
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 このパネルは強烈であった。冒頭に岸本氏がいきなり「ジャパニーズクールなど10年前に既に終わっている」との挑戦的な発言されたからである。岸本氏は財務省出身で、2000年から2002年には通商産業省商務情報政策局文化情報関連産業課長などとして国のコンテンツ産業政策に直接携っていた経験があるだけに重みのある発言である。むしろ、国の立場からコンテンツ産業と関わった結果としての考えであればなおさらである。
 岸本氏は、アニメビジネスを中心に日本のコンテンツ産業の構造に問題点が多く、その構造を変えなければコンテンツ産業の発展はないと強調した。アニメ産業が抱える問題は主にTV局と制作会社の関係で、TV局がアニメ制作会社対してもスポンサーに対しても強い立場にあることだという。こうした構造の中から、普通の産業構造ではありえない原価と販売価格の逆転が生み出されている。
 しかし、こうしたビジネスモデルは地上波放送局の影響力の低下傾向が進むため今後は続かないだろうと予測する。こうした状況の中、コンテンツビジネスにおいての力が放送局といったメディアから制作側に移っていく可能性が強いとする。
 そして、制作がより強くなるためには資金力が必要であり、良いプロデューサーが必要である。そのための施策を国は取っていると結んだ。
 冒頭の刺激的な発言ではあったが、岸本氏の考えは必ずしも業界に対する悲観ではなかったように感じた。むしろ、一部のマスメディアにおいて楽観的になり過ぎる状況に警告する意味が強い。一方、これまでの構造が崩れざる得ない状況で、コンテンツクリエーターの状況を改善し、その中から日本のコンテンツの競争力を生み出さなければいけないという提言であったといえる。

『コンテンツビジネスの未来』レポート3
岸本周平氏 国際大学GLOCOM客員教授
鈴木寿一郎 ㈱C&R総研代表取締役
田中辰雄 慶応義塾大学経済学部助教授

国際大学GLOCOM 
C&R総研 

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セミナー・講演会 ]
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 このパネルでは、海外における日本コンテンツの状況を音楽とゲームの2つの分野から考えた。まず、関根氏が音楽市場の現状を示したうえで日本の音楽がどのように海外市場で受け入れられているか、欧米、アジア(北東アジア)、東南アジア分けて説明された。
 欧米では、これまで日本のアーティストの海外進出が挫折する中で、現在、JPOPとクラブシーンに代表されるエレクトロニカ、また伝統楽器による伝統的な音楽に可能性が見えてきたと説明された。JPOPについては、PUFFYがアニメ番組と連動することで言語の壁を越えて現在の日本カルチャー打ち出し大成功した例を高く評価し、日本のポップカルチャーとの連動に大きな可能性があると考えている。
 日本のポップカルチャーとの連動はアジアでも同様で重要であり、アジアではさらにアジアアーティストによる楽曲のカバーやアーティスト本人が現地で活動することも有効だという。
 しかし、アジア市場については海賊版や著作権侵害が障害になっているという。このためには、著作権啓蒙と罰則の強化は必要であるが、一方で非パッケージビジネスや原版ビジネスを越えた展開が必要だとする。
 中村氏は、この著作権問題について主に中国のゲームビジネスの実情について発言された。まず、中国ビジネスの大前提としてパッケージではビジネスは成立しないであろうという。現在、中国市場では映像で95%、音楽で90%、ゲームソフトで96%が違法ソフトである。ゲーム市場では雑誌などのメディアも海賊版を前提にビジネスが展開されていること、価格による競争力でも海賊版の市場競争力が圧倒的に強いのが現実であるそうだ。
ch また、中国市場の特徴として、映像ひとつをとってもIMAXシアターで100元だして観る人から、1枚8元のVCDを購入する消費者もいるなど、ハイエンドとロウエンドの市場格差の激しい市場であるともいう。
 こうした、状況はゲームビジネスにおいても、関根氏も主張されている非パッケージビジネスモデルが重要になるということであろう。そして、オンラインゲームビジネスが盛況なのは、それがまさにパッケージビジネスを越えたビジネスモデルを構築出来たことにあるのは間違いない。

『コンテンツビジネスの未来』レポート2
関根直樹氏 音楽ビジネス書作家・翻訳家
中村彰憲氏 立命館大学政策科学部助教授
生稲史彦氏 一橋大学イノベーションセンター専任講師

アマゾンへのリンク
中村彰憲氏の中国ゲームビジネスの本
 中国ゲームビジネス 徹底研究2005エフイズムレポート

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セミナー・講演会 ]
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 このパネルでは、オンラインゲームを中心にオンラインとオフラインがどのように違うのかが論点になった。まず、細川氏がゲームを行ううえでのユーザーのベネフィットについて説明した。つまり、パッケージゲーム(小売店で市販されるゲームソフト)を行う際のベネフィットとオンラインゲームを行う際のベネフィットに違いがあるということである。細川氏によれば、ゲームーユーザーがパッケージゲームを行う際のベネフィットは爽快感、達成感、バーチャル感、到達感、優越感、収集など多様な要素から成り立つとしている。それに対して、オンラインゲームのベネフィットはコミュニケーションと爽快感の2点に集約されるという。
 このためオンラインゲームでは、ゲームの中における重要性がコンテンツ自体から提供されるサービスに移っている。こうした変化を踏まえるとオンラインゲームにおいては、コミュニティのマネジメントとイベントの演出こそが成功要因であるとまとめた。

 また、三木氏はオンラインゲームを提供する側から、従来のパッケージゲームとのビジネスモデルの違いを述べられた。両者の大きな違いはパッケージゲームが売り切りモデルであるのに対して、オンラインビジネスが継続的に収益をあげるモデルである点、海賊版の心配がない点だとしている。またオンラインゲームは、初期コストが大きくなっているとしている。

 ふたかたは消費者の立場から見た場合とビジネス側からみた場合と異なった視点からオンラインゲームを考えているが、共通点を見出すことが可能である。それは、これまでのパッケージゲームとオンラインゲームがこれまでと全く異なるものであるという認識である。つまり、ユーザーの側から見たときの違いはベネフィット(効用)、期待感の違いであり、企業側から見たときの違いはビジネスモデルでにあるといえる。

『コンテンツビジネスの未来』個別レポート1
細川敦氏 ㈱メディアクリエイト代表取締役
三木雄信氏 ソフトバンクBB㈱ コンシュマーサービス企画本部長
野島美保氏 成蹊大学経済学部専任講師

メディアクリエイト 
ソフトバンクBB 

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セミナー・講演会 ]
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 3月4日に東京丸の内で、『コンテンツ・ビジネスの未来 競争力を高めるための組織・人・ビジネスモデル』と題したシンポジウムが行われた。このテーマのもと8つのパネル・ディスカッションを設け現在のコンテンツビジネスを巡る様々な問題について議論された。
 主催は、ゲーム産業研究会を前身とするコンテンツ産業研究会という学術研究団体であるためアカデミックな色彩が強かった。しかし、㈱247ミュージックの丸山茂雄氏や㈱OLC・ライツ・エンタテイメントの岡田忠明氏など産業界からも多くのゲストが招かれており、むしろ、産学の連携という意味では面白いシンポジウムであった。また、アカデミックからの発表者、産業界からのゲストの多くが若手のかたで、コンテンツビジネスが産業としても学問としても新しい分野であること再認識させられた。

 発表の内容は、オンライン配信ビジネス、海外流通の管理、コンテンツの競争力、ビジネスモデル、資金調達、アカデミックの現場の実態、人材、概論と多くの分野に及んだ。それぞれのゲストは、その分野で実績のあるかたばかりで的確な視点を持っていた。しかし、多くの発表が10分から20分という非常に限られた時間だったために、内容の充実度に多少の不満が残った。豪華な講演陣の力を最大限に生かせてなかったかもしれない。それでも発表者の多くが自らの関わる問題を手際よくまとめ、全部を通して聞くとコンテンツビジネスの全体像が見えるという構成になっていた。
game この中で見えてきたのは、コンテンツの未来を考えた時にやはり越えなければいけない問題が山積であるということだ。一番指摘された問題は、プロデューサーを中心とする人材不足であった。そのほかにも、著作権管理の問題や本当に資金を必要としている場所に資金が行っているのだろうかとする資金調達の問題、過去のコンテンツが管理されないまま利用されていない問題などが印象に残った。
 しかし、そうした問題をネガティブに捕らえるのでなく、日本のコンテンツビジネスの未来を信じる一方で、現在の問題を確認していこうという楽観的でも悲観でもないいい雰囲気のシンポジウムであった。

日時:2005年3月4日 
主催:コンテンツ産業研究会(日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究) 
共催:グローバルビジネスリサーチセンター
   東京大学21世紀COEものづくり経営研究センター


コンテンツ産業研究会グローバルビジネスリサーチセンター 
東京大学21世紀COEものづくり経営研究センター 

アマゾンへのリンク
コンテンツ産業研究会メンバーによる本
ゲーム産業の経済分析―コンテンツ産業発展の構造

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2005年03月05日
イベント ]
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 文化庁メディア芸術祭の受賞作品を集め紹介する『文化庁メディア芸術祭受賞作品展』が2月25日より開催されている。3月5日に展覧会に行ってきたが大盛況であった。観客の目を惹きやすいアニメーション部門やマンガ部門、エンターテイメント部門だけでなく、アート部門や学生CGコンテストといった部門も観客の大きな関心を集めていた。
 これは、アート部門も含めて視覚や聴覚といった五感に強く訴える作品が多かったことが理由であろう。また、アート部門においてもインタラクティブな作品が多く、楽しみながら観覧出来る作品が多かった。
 メディアを扱った作品に限るとアートとエンターテイメントの領域は大きくクロスオーバーし、限りなく接近しているようだ。アートもエンターテイメントであり、エンターテイメントの中にも芸術性が発見出来るわけだ。むしろ、そうした両者の接近こそが、この展覧会が敢えてアート部門、エンターテイメント部門、アニメーション部門、マンガ部門を設けている理由なのであろう。
 
 アニメーション長編部門の特徴は、今のアニメーションの現状をそのまま現すかのような候補作品の幅広さにあった。大賞、優秀賞の3作品が実験映像的な要素が強い『マインド・ゲーム』、娯楽大作の『ハウルの動く城』、児童向け作品の『まかせてイルか!』と全く異なる属性を持つ作品であることがそれを示している。推薦候補作品も含めた12作品は大人向けから子供向け、劇場大作から深夜帯のTV作品にまで及んでいる。
 しかし、そうした幅広さは、作品評価をするうえでの基準をどこにおくかといった問題も孕んでいる。今回の大賞決定に至るまで大激論があったことを審査委員の一人である神村幸子氏は、作品講評において明らかにしている。
 この講評によれば、大賞の選考過程で審査員が『ハウルの動く城』を推す2名と『マインド・ゲーム』を推す3名とに分かれた。また、審査員による評点合計では『ハウルの動く城』が1位、『マインド・ゲーム』が2位であったとしている。審査委員長の富野由悠季氏は審査講評で

“大賞の候補になった『ハウルの動く城』と『マインド・ゲーム』については、前者の手堅い作りとメジャーの力量を認めるものの、結末について作品テーマとの齟齬を認めざるを得ないという議論があった。後者については、表現のあり方が本芸術祭にふさわしくないのではないかという議論があった”
とも述べている。
 こうした、作品の評価の違いは異なる属性の作品を統一的に評価する難しさに起因しているに違いない。しかし、敢えて属性の異なる作品を較べて上記のような論争を起こすことに、こうしたコンペティションの意味があるのではないか。つまり、その作品のどこが優れており、何が駄目なのかを考えることが、アニメ全体の活性化になる。
 個人的には、今回の大賞は『マインド・ゲーム』で良かったのでないかと思う。『ハウルの動く城』は、当たり前過ぎるからだ。あまり日の当たらない『マインド・ゲーム』を大賞に選ぶことで、どこがいいのか、あるいはなぜあの作品が大賞なのかという反応も含めて、よりアニメとは何かを考える刺激になると思っている。
 
 また、短編アニメーション部門に、本年度のアカデミー賞短編アニメーション賞を受賞した『RYAN』(クリス・ランドレス監督)とノミネート作品『BIRTHDAY BOY』(パク・セジョン監督)の2作品がそれぞれ推薦作品、優秀賞になっているところに、このコンペティションのレベルの高さを垣間見ることが出来る。

 一方マンガ部門については、推薦作品段階では幅広い作品が取り上げられていたが、大賞、優秀賞、奨励賞の6作品はどちらかといえば社会性のテーマを持ったものに偏りがあったように見受けられた。エンターテイメント性はあまり重視されなかったようだ。それもまた審査員のひとつの見識であり、こうしたコンペティションの面白いところでもあるのだろう。

文化庁メディア芸術祭
東京都写真美術館 2月25日(金)~3月6日(日)
主催:文化庁メディア芸術祭実行委員会(文化庁/CG-ARTS協会)

文化庁メディア芸術祭 
文化庁メディア芸術祭ブログ 
東京都写真美術館 

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2005年03月04日
セミナー・講演会 ]
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日本ベンチャー学会3月セミナー『マンガ出版を核にコンテンツビジネスを展開』 
2005年3月10日 東京・一ツ橋
主催:日本ベンチャー学会

講師: 保坂嘉弘氏(㈱マッグガーデン代表取締役社長)
コメンテーター: 秦信行氏(國學院大学経済学部教授)

 アニメとマンガ、ゲームのビジネスは互いに重なり合い、メディアミクスの展開などでも密接な関係にある。そのため、これら3市場は関連市場として同じものとして語られることが多い。しかし、実際にこれらの市場を調べてみると、3市場はそれぞれが異なった特徴があり、同一のものとして扱うには多くの困難さを感じる。
 そうした意味で、今回の保坂氏はこの3市場全てに関連してビジネスを行って来たという点で貴重な存在である。保坂氏はこれまで元漫画家志望から漫画原作者、ゲーム会社エニックスでプロデュサーを行った後、社内でコミック事業部を立ち上げるというユニークな履歴を持っている。さらにその後、独立してマンガ出版とアニメ事業を手掛ける会社マッグガーデンを設立した。また、保坂氏の会社マッグガーデンのマッグはManga、Anime、Gameの頭文字が組み合わされたものである。
 
 こうした履歴を背景に語る保坂氏の話には、新鮮な発見が多かった。例えば、漫画原作とアニメの関係である。保坂氏によれば、エニックスが漫画原作のアニメ化の際に製作投資を行った最初の会社であるという。それまで、出版社は漫画のアニメ化の際は、窓口手数料を差し引かれた収益の中から原作料を受け取るだけで、製作委員会は参加せずアニメ化作品のリスクを負っていなかった。出版社(漫画家の取り分も含まれている)は、漫画のアニメ化においては、リスクを持つことがなく一定の利益が確保されていたわけである。
 また、新刊雑誌にもかかわらずエニックスの『コミックガンガン』が、優れた作家を多数集めることが出来た理由は次のように説明した。当時、ファンタジー作品はメジャーな雑誌からは人気がないと描く場が与えられなかった、結果としてファンタジーが中心のエニックスの雑誌には、ファンタジーを描きたい優秀な作家が集まったという。
 さらに、漫画作品のアニメ化については、タイミングの重要性を力説された。人気のタイミングもあるし、例えば、コミック本が5、6冊たまらなければ会社としてのメリットはない経済上の問題も存在するようだ。しかし、本当に良い作品は、周りから自然にアニメ化の話が立ち上がってくるという。

 現在の会社の事業については、上場することでプレッシャーは感じるようになったそうである。しかし、これまでの自分のスタンスを変えないことが一番だとする。現在、盛んになって来ているコンテンツファンドについて自社は手掛けるつもりはないという。それは、作品のクレジットに名前が載るといったような楽しみとして投資するのならば良いが、コンテンツの投資はリスクが高いのであまり一般の投資家に向いていないのではないか説明した。同様に、M&Aについても、自分達で事業を立ち上げていくことが楽しいので、あまり興味はないと述べた。
 一方で、現在増えているコンテンツ関連大学、大学院については、クリエーター育成の点では非常によいことだと高く評価していた。講演全体は、保坂氏の事業に対する熱心でかつ真摯な姿勢が伝わるとても良いものであった。

マッグガーデン 
日本ベンチャー学会 

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2005年03月01日
イベント ]
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 新宿にある工学院大学で開催された『アジアオンラインゲームカンファレンス2005』に行って来た。オンラインゲームだけに特化したイベント、アジアに特化した大規模なゲームコンファレンスは初めてだろう。もっとも、アジアという枕詞はオンラインゲームの参加人口のほとんどが中国、韓国である現状や実際には数多くの講演者が欧米の状況にも触れたことから考えれば不要だったかもしれない。
 コンファレンスがあえてオンラインゲームに絞ったのは、次世代に占めるオンラインゲームの重要さやゲーム業界の次の関心が間違いなくオンランゲームにあることを示している。そして、今回の多くの講演の中で語られているように、オンラインゲーム市場の将来性と伸び率は高いのだ。

 しかし、コンファレンスに参加して感じたのは、これほどまでに関心を集めているオンラインゲームであるにも関わらず多くの点で混乱があり、様々な重要なトピックスですらコンセンサスが形成されていない事実だ。
 それは、基調講演を務めた株式会社スクウェア・エニックスの和田洋一社長の発言に代表することが出来る。和田社長が度々強調したのは、オンラインゲームについて信じられている多くのことに間違いがあるということだ。とりわけ、オンラインゲームは韓国と中国が絶対的に勝っており日本は遅れていると言われるが、日本は決して負けていないと主張された。
 確かに、韓国と中国の強さについては、疑問を投げかける声は幾つか聞かれた。コーエーの松原健二氏は、技術的にはやはり日米欧のほうがだいぶ高いと指摘したし、他にも中韓の市場にあるのは、日本、米国、欧州との違い、市場特質の違いであり優劣ではないといった主張は聞かれた。
 
 さらに、統一見解がない点がいくつかあった。それは、オンラインゲームの将来にもいえる。全世界で受けるオンラインゲームでのグローバルタイトル出現を予測する意見があるいっぽう、オンラインゲームの市場は地域や文化、環境を背景に分裂化、拡散化するかもしれないという両極ともいえる意見が出たことだ。後者は、IGDA日本の新清士氏や野村リサーチ・アンド・アドバイザリーの矢田真理氏の5地域の市場の個性の違いで説明されるだろう。

 また、数多くの講演者が強調したことのひとつにゲーム業界、とりわけオンラインゲーム業界についてははっきりとしたデーターがあまりにも少ない、オンラインゲームの市場規模はどの国を取っても正確な数字が出てこないということだ。豊富な資料で日米中韓欧の5地域のプラットフォーム別の状況を解説した矢田氏はデーター集めの難しさを強調されていたし、エンターブレインの浜村弘一社長も豊富な資料を準備しながらもオンラインゲームの数字については推定になると語っている。
 これは、ゲーム業界自体の未熟さも一因かもしれない。しかし、オンラインゲームの市場の成長スピードがあまりにも速いこと、アーリー段階の市場であり市場の参加者すら定まっていないことも大きな原因であろう。そして、一番の理由はオンラインゲームが、これまでの方法では数字を捉えることの出来ないこと、それは従来のゲーム市場とは全く別の次元に属していることを象徴しているに違いない。

 いずれにしろ、コンファレンスから感じたのは、こうした混乱の中に存在する熱気である。90年代半ば以降、成熟産業、縮小産業と見なされてきたゲーム業界においてオンラインゲームは久々に現われた新天地である。
 また、これまでの文脈と異なるから、企業間の一発逆転もありえる世界でもある。しかし、それは日本国内だけでなく、国際競争の中でも一発逆転が起こりうるということだ。韓国のオンライン企業の躍進はそうした現実の一端であろう。チャンスもあるが油断も出来ない。オンラインゲームの成長はゲームビジネスの新たな一段階といえるだろう。

『アジアオンラインゲームカンファレンス2005』
2月28日、3月1日
東京 工学院大学新宿キャンパス
主催: ブロードバンド推進協議会
後援: 経済産業省、社団法人コンピュータエンタテイメント協会、国際ゲーム開発者会議日本、社団法人コンテンツ経営研究所(韓国)

アジアオンラインゲームカンファレンス2005 

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