検索

clear.gif


カレンダー
バックナンバー

2005年07月18日
イベント ]
clear.gif

 17日のSF大会のパネル企画『コミックマーケットと日本マニア文化』が面白かった。内容は、コミケの歴史と伴に日本のアニメ、マンガを中心としたファン活動の流れを辿るものである。その中で80年代におけるファン活動が、その後のアニメやマンガビジネスに大きな影響を与えたことがあらためて確認出来たからだ。
 
 実はこの関心は、先日のカリフォルニア州アナハイムで開催されたアニメエキスポのパネルのひとつ「アニメクラブサミット」を聞いていた時に始まった。現在の米国のアニメファンの活動の様子が80年代の日本のアニメファンのそれと非常によく似ているのではないかと思ったためである。
 その類似点は産業に対するファン活動の強い影響力、その影響力の源になる大学や作品ごとに組織化されたファンクラブの存在、プロとアマの領域の曖昧さとファン活動からプロに移行するルートの存在である。これらは、今の日本の若いアニメファンの世界では失われてしまったものでもある。

 今、アメリカの主な大学でアニメクラブを持たない場所はほとんどない。さらに驚くべきはその規模で、UCLAやテキサス大学、MITといった大規模な大学のアニメクラブの会員数は数百名から1000名近くにまで達している。各アニメクラブはこうした組織力を背景に、コンベンションを行ったり、アニメクラブのための上映作品のDVDや権利を企業から引きだしている。 そして、このような活動を通じてファンの要望を企業に伝え、そうして生まれたた人脈からプロになって行くことも多い。

 翻って日本では学生数が万単位の大学でも、少人数のアニメ部しか存在しない。アニメ部、アニメ同好会といった組織すら存在しない大学も少なくない。また、かつて存在したような作品ごとの巨大ファンクラブも今では見られなくなっている。
 おたくの集まるクラブ活動を題材にした作品『げんしけん』が受けているが、実際には日本国内では『げんしけん』のような世界は急速に減っており、フィクションになりつつある。
 『げんしけん』は実は米国でも人気であるが、米国の学生達は日本の学生達よりも、作品をリアルな物語として自分達と重ね合わせて楽しんでいるのかもしれない。

 勿論、日本ではアニメやマンガといった業界が20年前とは異なり、ある意味では権威化してしまいファンとプロの境界も明確になっているという事情もある。また、情報の入手手段が多く、ファンが組織を必要としていないことも変化の理由であろう。
 それでも、コミケ、ワンフェスといった今ではファン活動になくてはならない組織や会社の多くが、80年代の若いアニメファンやマンガファンの活動から生まれて来たこと、新たにそうした画期的なものがファンの側から生み出されなくなっているのは事実である。

 米国の大きなアニメクラブが持つ圧倒的な数のコアなアニメファンは、アニメの将来を支える予備軍となっている。そして、その中から企業人だけでなく、数多くの新興企業やクリエーターも生まれて来る。そうしたことを考えると、近い将来に日本はアニメビジネスおいてもクリエーションにおいても米国に抜かれるかもしれないと感じるのだ。

日本SF大会 
アニメエキスポ2005 

clear.gif
posted by animeanime at 00:00 | (0)
2005年07月16日
イベント ]
clear.gif

 押井守はかくも饒舌だったのか?と思わせるほどノリまくっていたのが、7月16日にパシフィコ横浜で開催された日本SF大会HAMACON2のパネル「押井守『立喰師列伝』を語る!!」であった。押井作品を世に送り出すアニメ制作会社プロダクションIGの石川光久社長の暴走発言ぶりも有名だが、この社長にしてこのクリエーターあり、この日の押井氏の新作映画『立喰師列伝』に関する話は数々の迷発言が続出であった。
 「イノセンスはガブリエル(押井氏の愛犬)のための映画だった」、「『立喰師列伝』は作れるだけ有り難いと思えと石川(社長)に言われた」、「これからデジタル処理の大変な作業になって皆の目が三角になるので、スタジオにはなるべく行かないつもりだ」などと、多くの冗談を交えながら今回の作品に対する熱い思いが語られた。
 
 押井氏によれば、『立喰師列伝』を作る目的は3つ、ひとつは今では語られることが少なくなった日本の戦後史を描くこと、2つめはこれまでの自分の仕事に関わってきた人達を映画に出しオマージュとする自分の個人史とすること、最後に愛犬のためだという。そして、多くの自分の知り合いを映画に出すからには、きちんとした映画を撮るつもりだという。
 これまで、『立喰師列伝』の企画は短い制作期間、身近な人達を出演させる内輪受け感覚、低予算といったイメージで、押井監督作品の中での小作品になるのかなと思っていたが、そうした考えは完全に覆された。
 押井氏によれば『立喰師列伝』の構想は、かの『うる星やつら』の「立喰ウォーズ」よりさらに古くタイムボカンシリーズに遡る。今しかない機会をものにし、まさに構想20年の念願の映像化となる。予算は『イノセンス』の1/20というが、「後世に残る作品を作る」、「今までにない映像表現を数多く盛り込んだ」など、気合の入り方はただものではない。内容についても、「手法はミニパトと似ているがもっとシリアスな作品になる」とも語った。

 制作方法は、百数十人の知人のスチール写真を取りためて、それをデジタル加工にしてアニメーションにするというもの。140人の数万カットに及ぶ写真をわずか5日間で撮るなど現場は壮絶だったという。当日に世界初公開された『立喰師列伝』のプロモーションビデオなどを見ても、かなり実験的かつ考え抜かれた映像が展開しそうだ。物語自体は、ほとんどがナレーターの語りによって進む形になるようだ。

 公開は来年の年明け頃になる見込みだが、数館による公開になるしかないだろうと押井氏は話していた。出来るだけ多くの人にDVDを買って貰いたいとの押井氏の熱いメッセージが語られ、出演者には宣伝の貢献度によって今後の映画の編集で出番の量が変わるとの脅しまであった。
 しまいには会場に来ていた同作品に出演予定のアニメージュ編集長の大野氏を壇上に引き吊りだし、『立喰師列伝』のために「グラビアベージをくれ」、「表紙にしてくれ」と要求するという事件も。大野氏はその場で、9月10日発売号のアニメージュ付録DVDに今回上映されたプロモーション映像を収録すること約束、かつ押井氏に原稿の催促も忘れないという臨場感あふれるシーンもあった。

 いずれにしても、今回の『立喰師列伝』は虚実取り混ぜた戦後史、画面に頻繁に登場する犬、実写とアニメを超えた映像表現などいかにも押井守的な部分と自分の友人を大量に映画に取り込んでしまうなどの新しい試みなどが混在し、これまでの押井作品以上に面白そうだ。
 『イノセンス』といった大作のあとに、それに対するのと変わらぬ情熱を低予算映画『立喰師列伝』に注ぎ込む押井監督はある意味すごいといえる。また、『立喰師列伝』のはじけた企画を聞くと『イノセンス』は非常に真っ当な映画だったなとあらためて思い返してみたりもした。

第44回日本SF大会HAMACON2 
押井守公式ページ ガブリエルの憂鬱 
プロダクションIG 

《追記》
8月10日発売のアニメージュ9月号によると、レポートの中にある『立喰列伝』の予告編は諸般の事情によりアニメージュ10月号のDVDに入らないことになりました。残念...。

clear.gif
posted by animeanime at 00:00 | (0)
2005年07月12日
セミナー・講演会 ]
clear.gif

 多くの企業が進出をしたいと思いながら、課題が多く難しいのが中国市場。今回、コンテンツ海外流通促進機構(CODA)と日本貿易振興機構(JETRO)が主催した「アジアにおけるコンテンツ侵害対策の実際と効果」と題したセミナーは、そんな企業の悩みを反映して150名の定員一杯が満員であった。

 講演は2部構成で、第1部はバンダイの法務部ゼネラルマナジャーの小薗江健一氏によるバンダイの中国を中心としたアジア地区での侵害品対策の取り組みについて実例を交えながらの説明である。バンダイは中国においてコンテンツ企業として市場に喰い込みつつあり、かつ海賊商品模倣対策にある程度の成果をあげているとされている。このため小薗江氏の講演は参加者の注目浴びていた。小薗江氏によれば、現在は成功しているように見えるバンダイも、最初は失敗も多く、地道な積み重ねの中から効果的な対策も生まれて来たという。
 また、模倣品の対抗策として
1. 真正品をより安い値段で提供すること
2. 真正品の生産・販売をすることで利益をあげる信頼出来るパートナー企業を創出すること
3. 権利者としての権利執行能力を向上させること(これは、パートナー企業を安心させることにもなるという)
と会社の努力を挙げると伴に、さらに中国社会の取り組みとして罰金、罰則の強化と社会、消費者のモラルの向上の2点をあげていた。
 そうした説明の中でも、とりわけ弁護士とのコンタクトの方法や信頼出来る弁護士は信頼出来る人からの紹介が良いといったような具体的なノウハウが興味をひいていた。

 講演の第2部は、世界的な映像管理団体MPAのアジア地域における海賊版追放の取り組みを香港からアジア地域のマネジャーのサム・ホー氏を招いて紹介した。MPAは米国の7大スタジオを中心とした映像団体で映像権利管理のために世界的に活躍している団体である。
 講演はこの春の香港や深セン、広州などで集中的に行われた海賊版摘発の報告が中心となった。ホー氏によれば、今回の摘発では日本アニメだけでも累計数十万枚に達し、繰り返し取り締まることで具体的にも大きな成果がでたという。
 また、海賊版への対策は何もしなければ何も起こらない、行動を起こすことの大切と述べ、「権利は守らなければ、権利を持っていないも同然」と強調していた。そのうえで、権利侵害があれば必ず文章にして関係部署に書類を提出すること、そうした事実があったことを記録に残すことが必要だとした。

 今回のセミナーでは行動を起こすことの大切さで強調されていた。権利侵害を嘆いてばかりでなく、その対策を取るという行動自体が権利侵害者に対するメッセージになるのでないだろうか。100%海賊版をなくすことは不可能だが、最大限減らすことは出来る。また、行動を起こすことで、権利に厳しい会社とのメッセージを市場に発信出来る。実際に、権利に厳しいと言われるディズニーのニセモノは日本キャラクターに較べて各段にニセモノが少ない事実は重要である。

第3回コンテンツ海外流通促進機構(CODA)セミナー
「アジアにおけるコンテンツ侵害対策の実際と効果」
平成17年7月12日
主催 コンテンツ海外流通促進機構(CODA)、日本貿易振興機構(JETRO)
講演1「バンダイにおける侵害品対策の取組」小薗江健一氏 
講演2「海賊版問題‐中国におけるMPAインターナショナル‐の主なエンフォースメント活動とその効果」サム・ホー氏

日本貿易振興機構 http://www.jetro.go.jp

clear.gif
posted by animeanime at 00:00 | (0)
セミナー・講演会 ]
clear.gif

 5月31日から6月5日まで浙江省杭州市で開催された「中国国際アニメ・マンガフェスティバル」は、中国初の国家レベルのアニメ関連イベントとして日本でも大きな話題を呼んだ。7月11日にアジアITビジネス研究会では、同フィェスティバルの日本企業への窓口を務めた佐々木潤二氏を招いて同イベントの成果と、マスメディアにもしばしば取り上げられた同イベントで海賊商品が出展されたなどの問題点について説明した。また、日本企業が中国に進出する際どうすればいいのかといった点について話した。

 講演は、全体に中国の実態について素直な意見が多く興味深い内容であった。特に、昨今の日本を含む海外アニメの排斥とも言える中国の政府の動きを、中央の動きと地方の動きは別で分けて考える必要があるとの考え方は判りやすいものであった。
 つまり、中央が国家として海外アニメを排斥しようとする意図があったとしても、地方や民間レベルでは日本の商品やライセンスを欲しがってビジネスをしたい企業は多い。そうした企業とならビジネスが出来るだろうという。地方から市場を攻略するという考え方である。
 また、海賊商品については地域で信頼出来るパートナーを見つけること、本物を低価格で供給することで本物の良さを伝えることが一番の対策とする。一方で、海賊商品産業の一部は地場産業化して地方政府と結びついているケースもあるとし、この問題の根深さを明らかにした。
 しかし、「中国国際アニメ・マンガフェスティバル」の海賊商品が会場で指摘されながら、最終日まで撤去されなかったことについては、権利侵害を主張した企業が政府や団体に対して何らかの妥協をしたのではないかと示唆したのみで歯切れの悪さが残った。
 いずれにしても、今回の「中国国際アニメ・マンガフェスティバル」の開催は、中国市場の潜在的な大きさと依然大きな問題である市場の未成熟という問題があるということをあらためて認識させたという意味で価値のあるものだったといえるだろう。

『第1回 中国国際アニメ・マンガフェスティバル報告会』
講師:佐々木潤二氏
主催:アジアITビジネス研究会

アジアITビジネス研究会 

clear.gif
posted by animeanime at 00:00 | (0)