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2005年10月31日
セミナー・講演会 ]
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SIGGRAPH GATE WAY TO SUCCESS
~SIGGRAPHを突破口にするビジネス戦略~
10月29日 六本木アカデミーヒルズ
テレンス・マッソン氏
SIGGRAPH 2006コンピュターアニメーションフェスティバル審査委員長)
塩田周三氏(株式会社ポリゴン・ピクチュアズ 代表取締役社長)
寺井弘典氏(㈱P.I.C.S. クリエイティブ・ディレクター)
布山タルト氏(CGクリエーター)
橋本直樹氏(吉田学園電子専門学校 副校長)
主催:経済産業省(財)デジタルコンテンツ協会

 10月29日に六本木ヒルズで開催された『SIGGRAPH GATE WAY TO SUCCESS』は、毎年米国で開かれるSIGGRAPHの参加を目指すCGアニメーションのアーティストやプロデューサーを対象にしたシンポジウムである。
 SIGGRAPHにCGアニメーションの作品を出品し、その大会の中で上映されることはCGアニメーションの世界では大きな成果のひとつとされている。今回のシンポジウムは日本のクリエーターが、SIGGRAPHに応募し上映されるにはどうしたらいいのかについて討論された。
 討論にはSIGGRAPH で上映経験のあるクリエーターの方と2006年のSIGGRAPHコンピュターアニメーションフェスティバル審査委員長を務めるテレンス・マッソン氏が参加した。討論は、SIGGRAPHとは何か、それを目指した理由や経験、そこから得たものなど多岐に及び、今後SIGGRAPHと関わりを持ちたいと考える者にとっては非常に有意義なものだったに違いない。

 今回、特に印象的だったのはマッソン氏による、SIGGRAPHの求める作品についてである。マッソン氏が強調したのは、SIGGRAPHが一番求めているのは作品のオリジナリテーィであった。つまり、作品のユニークさやその作品を観た時に観た人に対してどれだけ驚きを与えるかだという。マッソン氏はこの驚きを「WOW効果」と説明していた。
 そして、さらにこの驚きとは単に技術面での驚きだけでないという。SIGGRAPHに出品される作品は51%以上CGアニメーションを利用することを義務付けられているが、残りの49%は実写映像を使うことも可能だという。重要なのはCGアニメーションを使って何を表現するかであるということだ。

 CGアニメーションの先端技術の研究成果の発表の場として考えられがちなSIGGRAPHであるが、実際には作品にある物語が非常に重要視されていることは正直驚いた。しかし考えてみれば、新しい技術こそ、それが実際にどのように利用されるかが重要である。そうした意味では、高い技術を利用して何を表現するかが重要だという考え方は納得が行く。
 また、そこにはCGアニメーションの多様性の維持といった考え方もある。多様性の重視は、シンポジウムの後半で上映されたSIGGRAPH 2005エレクトロニックシアターの上映全作品を観ることで理解出来た。
 この中には『スターウォーズ』などの大掛りなVFX映画から3DCGの産業面での利用、2Dアニメーションやイメージ映像など非常に広い範囲のあらゆるCGアニメーションが含まれていたからだ。

 こうした多様性の中にこそ未来のCGアニメーション発展の可能性が存在するのだろう。また多様性という考えの中に、日本のCGアニメーションへの世界からの期待も存在し、また貢献の余地もあるに違いない。
 マッソン氏は、今回このシンポジウムのためだけに来日したという。それは、間違いなくアメリカの日本CGアニメーションに対する高い関心であり、また、SIGGRAPHを通じた日本のCGアニメーションの国際舞台での貢献に対する期待のあらわれでないだろうか。

《お詫び》
当方のミスによりシンプポジウムに参加された塩田周三氏の名前が参加者の記載から漏れていました。
ご迷惑をお掛けしました塩田周三様並びに関係者のかたがたに深くお詫び申し上げます。
 
SIGGRARH2006 
財団法人 デジタルコンテンツ協会 

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2005年10月27日
その他 ]
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 東京国際映画祭の関連企画として映像産業機構が中心となり開催した「Tokyo Project Gathering」(TPG)は、作品の制作者が事業パートナーを求めて自らの企画をプレゼンテーションする。本年の映画祭より始まった全く新しい試みである。
 会場には100人を大きく越えるバイヤー、プロデューサー、投資家が集まり、出品作品を評価した。欧米、アジアなど国外からの参加者もかなり見られた。
 しかし、通常の講演会やセミナーで見られる和気あいあいとした雰囲気はほとんど感じられなかった。プレゼンテーションは厳しいビジネスの目に晒されているという感じで、作品を紹介するプレゼンテーターも緊張しているかたが多かったように感じる。
 また、プレゼンテーション後の評価もそうした雰囲気の中では読み取ることが出来ず、出品した作品に参加者がどのような判断を下したのかはあまり判らなかった。今回は、あくまでもプレゼンテーションのみ、実際のビジネスの舞台はこの後の個別取引の場で行なわ、その中で実際の取引の成果も現れて来るのだろう。

 最も驚かされたのは、プレゼンテーションに出品された6作品のうち4作品がアニメ作品、2作品がCGアニメーションを大幅に取り入れたアニメーションと大きく関わりのあるものだったことだ。海外に日本の映像作品を発信しようとした時に、日本のアニメーションの持つ力はやはり群を抜いて大きいと言えるのだろう。

エルの乱/鏖殺(オウサツ)の島
 深作健太監督、押井守脚本のこの作品は、おそらく今回のプレゼンテーションの目玉である。それは、今回の出品作品の中で唯一質疑応答の時間が設けられたことからも判る。実際の注目度の高さに加えて、深作監督が製作費は『バトルロワイヤル2』(製作費7億円)を越える規模を目指したいと述べているように、ビジネス規模も最大になりそうだ。
 発表された物語は、深作氏が大阪・西成地区で実際にあった暴動事件にインスピレーションを受けたアイディアを、押井氏が近未来に設定を書き換えた脚本を与えることで生まれた。
 近未来に東京湾に作られた難民地区の暴動や制圧側として登場する武装警察などには、これまでの押井守の世界観が強く現れていた。物語のコンセプトに押井氏の影響が強く出ているようだ。映像や説明から受けたイメージは『人狼』+『攻殻機動隊Stand Alone Complex』+『バトルロワイヤル』である。

ストレイト・ジャケット
 『ストレイト・ジャケット』は、榊一郎原作のライトノベルズ。日本では珍しいクリエーター、アーティストの原著作権管理会社のTOエンタテイメントが手掛ける。魔法と工業が同居するサイバーパンクな世界のアニメ化であるという。典型的なファンタジーアニメの世界であった。
TOエンターテイメント 

青狼記
 大規模なアニメファンドを利用して『北斗の拳』のアニメ化を手掛けるノース・スターズ・ピクチャーズの別企画『青狼記』は、パートナー探しに異なったビジネスモデルが採用される。こちらもファンタジー作品であるが、アドベンチャーな部分がより強調されている。中国風な世界は『三国志』や『十二国記』を連想させた。
 原作と制作会社以外はオープンな状態であるとし、積極的にビジネスパートナーを募集していた。
ノース・スターズ・ピクチャーズ 

Tokyo Project Gathering 
                     
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その他 ]
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 「Tokyo Project Gathering」(TPG)のプレゼンテーションの大きな特徴は、出品企業や作品に従来と異なるビジネスが目立ったことである。そもそもこのプレゼンテーションが事業パートナーの募集であるため、既に独自のネットワークや充分な資金調達方法を持っている大企業でなくベンチャー企業が多いのは当然だろう。
 しかし興味深いのは、新興企業が新しい作品を持ってくるだけでなく、ビジネスモデル自体に新しさがあることだ。プレゼンテーションが単なる事業パートナーの募集に終わらず、新しい映像ビジネスのショーケースになる可能性を秘めているともいえそうだ。

プリンセス・アイ物語 ~アイランド伝説戦記(クロニクルズ)~
 『プリンセス・アイ物語』は米国のマンガファンにお馴染みだが、日本ではあまり知られていないTOKYOPOPが手掛ける。TOKYOPOPは米国で日本マンガの翻訳出版を手掛ける出版社だが、近年急激にビジネスの多角化を進めている。今回のアニメ制作もそうしたビジネスの多角化にひとつといえそうだ。
 面白いのは名の知れた人気マンガや小説を原作に利用するのでなく、キャラクターコンセプトのみ人気マンガ家矢沢あいに提供して貰い、実際の物語やマンガはTOKYOPOPのスタッフが書いている点である。また、マンガのコンセプトにはゴシックロリータ、Jポップ、アクション、ファンタジー、美少女とサブカルチャーの人気要素を全て投げ込んだかのようだ。非常にマーケティング主導の作品という感じを受けた。
TOKYOPOP 

ブラスター
 『ブラスター』は、いかにもありがちな日本の特撮ヒーロー作品である。制作会社のビルドアップ自らがそう紹介し、自社が既に制作をした『スぺクター』と似たイメージであるという。この作品が注目されるのは作品の内容でなく、その画期的なビジネスモデルにある。
 作品は最初から海外展開を視野に入れており、コンセプトと特撮シーンのみが共有でそれ以外は各国で自由にアレンジすることが出来る。つまり、東映の『戦隊シリーズ』を米国俳優が演じて再編集し『パワーレンジャー』にしたの同じことを、最初から想定してかつ世界規模でやってしまおうというものである。
 まず世界各地からフランチャイズを募集し、フランチャイズに特定地域の全権利を売る。そのうえで、脚本と特撮シーンがフランチャイズに与えられて役者のみ現地で撮影、かつ特撮シーンはテンプレートになっており背景はそれぞれの国に合わせて入れ替え可能になっているという。まさに、デジタル技術の進んだ現代ならではビジネスであるといえそうだ。
ビルドアップ 

N.Y.サラダ~野菜の妖精たち
 タツノコキャラクターやファイナルファンタジーのキャラクターデザインで知られている天野喜孝の独特の絵をCGアニメにするという企画を打ち出したのは、デジタル・メディア・ラボである。高い技術力で天野喜孝の最新作『N.Y.サラダ~野菜の妖精たち』をフルCGアニメーションで表現しただけでなく、ビジネスモデルも独特である。
 提案されたのは劇場用映画でも、30分ものTVシリーズでもなく、2クール分のショートアニメ130本である。ターゲットと想定する顧客層も、OLやヤングミセス、ヤングミセスが子供に買って与えるアニメーションとしており従来にはあまりない。テーマはファンタジー、ファミリー、癒しである。
 ハイマーケットを狙ったアニメーションはこれまであまりなく、従来とは違うマーケティングや仕掛けが必要になりそうだ。それだけに、未知の大きな市場があるかもしれない。
デジタル・メディア・ラボ 

Tokyo Project Gathering 
       
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2005年10月24日
セミナー・講演会 ]
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シンポジウム『コンテンツ、今そこにある危機』
「コンテンツ人材像大論議」
10月22日 六本木アカデミーヒルズ
佐々木史朗氏(オフィス・シロウズ 代表取締役)
工藤英博氏(ATP理事長)
梅村宗宏氏(セガ 映像ビジネス部部長兼プロデューサー)
浜野保樹(東京大学大学院新領域創世科学研究科教授)
主催:経済産業省、映画産業振興機構

 「コンテンツ人材像大論議」は東京国際映画祭の一環として開催されたシンポジウム「コンテンツ、今そこにある危機」の中のパネルのひとつである。このパネルでは主に映画を例に取り、近年増えている大学や大学院におけるコンテンツ関連学科などコンテンツ分野の人材育成の問題が討論された。
 今回のパネリストの中でアニメ分野に知識があるのは、濱野教授のみのため、話は実写映像の話が中心になった。しかし、安定しない雇用、厳しい労働環境から人材流出が激しい例として挙げたアシスタントディレクター(AD)を、新人アニメーターと読み替えればアニメ業界も実態は同じと言えるだろう。討論の内容は業界を越えたマンガ、アニメ、ゲーム、テレビなど全てに共通するものであった。

 1時間半に及ぶ討論では、人材を巡る問題に幾つかのちぐはぐな面が目立った。例えば、一方で現場はどうにもならない人手不足と主張されるが、他方では今後、大学、大学院からの卒業生を受け入れられるキャパシティがないという。
 また、好奇心が強い人、メディアリテラシーの高い人材、時流に敏感な人が求められる人材とされるが、採用する側にそうした人材を確かに採用出来るシステムがないといったこともある。こうしたことを全て含めてコンテンツ分野に関わる人材問題であり、それだけ問題の根も深い。

 こうした矛盾はパネリストのかたがたの内部にもあり、シンポジウムに先立って濱野教授が提示した課題「クリエーターを教授することは出来るのか」「出来るとすれば何を、誰が、どうやって行うべきなのか」には、誰も明確な回答を出すことが出来なかった。
 シンポジウムでは、例えば梅村氏が、教育の場での教授は全く駄目、会社は様々な知識が豊富な白紙な人材を求むというように、学校における専門教育に否定的な方向に流れがちであった。
 にもかかわらず、多くのパネリストがクリエーター教育は必要という結論になったのは、濱野教授が最後に引用した「映画人は育てられるわけがない。しかし、育てられないという前提から教育する方法があるのではないか」ということでまとめらるのだろう。
 これはクリエーターを育てるのでなく、育てる環境を作ることとも読み替えることが出来るかもしれない。梅村氏はチャンスを与えることにより人が現れる、裾野を広げることに意味があるとする。工藤氏はそうした教育機関があれば本当に意欲のある人にはチャンスではないかという。
 高等教育におけるクリエーターの教育とは、人をクリエイティブにすることではなく、クリエイティブな人材を発掘する場として意味があるのかもしれない。

東京国際映画祭 
経済産業省 
映画産業振興機構 

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2005年10月23日
資金調達 ]
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シンポジウム『コンテンツ、今そこにある危機』
「金融技術は何を変えたのか?」
10月22日 六本木アカデミーヒルズ
井本満氏(ノース・スターズ・ピクチャーズ 代表取締役)
亀田卓氏(電通 エンタテイメント事業局
土井宏文氏(ジャパンデジタルコンテンツ信託 代表取締役社長)
主催:経済産業省、映画産業振興機構

 実は今回のパネリストの亀田氏と土井氏は、このシンポジウムの2日前に行われた東京コンテンツマーケットでもコンテンツファンドをテーマに講演会をしている。しかし、前回は主にクリエーター向け、今回は映画関係者向けでありかなり異なった話題が中心となった。
 前回の講演がコンテンツファンドは何かといった大枠の話だったのに対し、今回はコンテンツファンドの実際の仕組みや理念、あるいは経済的な効果といった側面が中心となった。それは、今回のシンポジウムに、金融業界出身で先日『北斗の拳ファンド』の設立を発表した井本満氏が加わったことも大きいだろう。

 シンポジウムは、まず、亀田氏がアニメやコンテンツといった産業が持つ他の産業とは違う難しさを、最近増加しているM&Aを例に説明するところから始まった。亀田氏によれば、企業の資産や価値が社員や従業員、クリエーターであるコンテンツ企業を相手に敵対的なM&Aは成立しない。つまり、仮に会社を買収したとしても、優秀な社員や人材は簡単に流出してしまう危険性があるからだ。また、人が中心であるため事業の効率化や合理化が難しい産業だと指摘する。
 土井氏はそうした状況があるにもかかわらず、この特殊な産業の現場を判った人がビジネスの前面に出て来ていないと述べた。それが、日本のリィーディングインダストリーになる力があるにも関わらず、日本のコンテンツ産業の成長が他国に較べて遅れている理由だという。
 井本氏は金融とコンテンツを結びつけることで、産業自体を大きく変えられる可能性があるのでないかと考えている。ただし、コンテンツ企業に資本や金融の論理で強引に押し切るだけでは、コンテンツ企業にネガティブの思わる可能性があるので注意が必要だとした。それは、亀田氏が述べた人材が企業価値というコンテンツ企業の独自性にまたつながる。

 その後、シンポジウムの内容は、井本氏の会社ノース・スター・ピクチャーズが手掛ける『北斗の拳ファンド』やJDC信託が手掛ける『シネ・カノンファンド』の仕組みや考え方に移った。また、商品ファンド法に代わってコンテンツ投資を包括する仕組みとして考えられている投資サービス法の是非、LLP(有限責任投資組合)の可能性など話題は幅広く展開した。
 こうした中で印象的だったのは、土井氏のコンテンツファンドにリスクの高い作品ばかりが集まりがちになると指摘されることについての反論である。土井氏によれば、ここ数年で状況は変化しつつある。それには、投資資金のリスク分散とレバレッジ効果という考え方のためだという。
 つまり、10億円の資金の必要な作品があり、10億円の資金が手元にあったとしても、外部から10億円の資金が導入出来れば、2本の作品が制作出来る。それは、リスク分散になるし、少ない資金で大きな効果を期待出来る。10の資金から100のものを作り出せるという考え方である。

 最後に、今回のシンポジウムの議題『金融技術は何を変えたのか?』について、シンポジウムの結論は、金融技術はコンテンツをまだ変えていない、これからまだまだ変わって行くというのが結論だった。

東京国際映画祭 
経済産業省 
映画産業振興機構 

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2005年10月17日
セミナー・講演会 ]
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 10月16日にWAO大学院大学の主催で開催されたテレビ東京コンテンツ事業局次長兼アニメ事業部部長岩田圭介氏の講演会「アニメコンテンツのビジネス戦略 プロデューサーの役割」は、アニメビジネスに関心のある大勢の来場者が集まり大盛況であった。
anibiz.JPG この講演が特に貴重だったのは、放送局の立場からのアニメビジネスの考え方が随所に見られた点である。ここ数年、ブームともいえるほどアニメやコンテンツビジネスへの関心が高まっており、アニメビジネスをテーマにした講演会も数多く開催されている。
 しかし、制作会社や行政、金融機関、法律関係の視点からアニメビジネスが語られることは多いが、アニメビジネスの中核である放送局からの発言は意外に少ない。今回の岩田氏が中心に位置するテレビ東京は『ポケットモンスター』や『NARUTO』などの大ヒット作品を次々に送り出し、日本アニメのおよそ半分を放映するほどアニメビジネスに影響力のある会社である。

 実際に岩田氏の講演は、テレビとインターネットの融合という時代の変化の話から始った。続いてアジア最大のマーケット中国市場の状況、そして日本企業が今後進むべき道であるプリプロダクションの要点と講演は3部構成となっていた。
 通信の融合については、米国を除く世界各国で放送のインターネット配信に対する関心が非常に高まっていることを紹介し、放送事業と通信事業が急激に融合している現状を解説した。
 その中で、日本の地上波放送局によるビデオオンデマンドの取り組みが進んでいるという。この変化の中で、今後ビジネスの主導権を握るのはコンテンツ供給の面では地上波放送局、家電会社、大手通信社・プロバイダー、コンテンツ製作会社、版権元を挙げ、コンテンツの流通分野では地上波放送局、家電会社、大手通信社・プロバイダーの3つを挙げた。
 また、テレビ東京については、現在既に高い人気を持っているテレビ東京のウェッブサイトをさらに強化して行きたいと述べた。講演の中ではバンダイチャンネルのビジネスモデルに度々触れており、やはりビジネスの関心は動画配信にあるようだ。

anibiz2.JPG 中国については多くの企業が関心を持っているが、米国の大企業のバイアコムやワーナーといった会社が本気で力を入れている点で市場で先行していると説明した。開拓者として先行している日本企業では、電通の名前が挙がっていた。
 
 最後の論点のプリプロダクションでは、アニメを企画するに際の合理的な見方を提供していた。アニメを企画する際には、そのアニメの行く先をまず考えろという指摘である。その放送が無料なのか有料なのか、作品を展開するのがアジアなのか欧米なのか、出資はどこから受けるのかといったことまず考える必要があるという。
 さらに、キャラクター開発のためにはターゲットの嗜好分析やライセンシーの確保、クリエーターの独立の確保、ゼネラルマネジャーとラインマネジャーが対等であることなど様々なことが重要であるという。さらに、テレビ局らしく、アニメ作品は対象とする顧客ごとの色彩設定を変える必要がある点に触れた。

 講演はおよそ1時間半とかなり長めの時間が予定されていたが、講演後にも熱心な質疑応答が繰り広げられ大幅に時間を超えた白熱した講演会となった。講演の内容は、当初予定されていた「放送と通信の融合」、「中国」、「プリプロダクション」だけでなく、テレビ東京の戦略や米国市場の状況、広告代理店の役割にまで及びひとつの講演にしておくには勿体ないほどの充実ぶりだった。

テレビ東京 
WAO大学院大学 

テレビ東京 Anime X press 

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2005年10月13日
イベント ]
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 10月12日から始まったキャラクタービジネスのトレーディングショウのライセンシング・アジア2005は、昨年以上の盛り上がりを見せていた。展示会場に出展する企業の数は昨年より明らかに増えていたし、来場客も昨年より増えているようだった。2001年に主催者が日本経済新聞に変わり、2002年にさらにLIMAが共催に加わることでビジネスショウとして年々成長しているようだ。
bandainamco.JPG 今回のライセンシング・アジアの成功も、その大きな部分をLIMAの存在に負っている。大きな出展スペースを持つ企業の多くが、LIMAが6月にニューヨークで開くライセンスショーの常連メンバーであることからも判る。
 今回、展示会場で特に目立ったのがウォルト・ディズニージャパンやワーナーエンターテイメントジャパンといった外資系の企業である。ライセンシング・アジアの大きな役割のひとつが、米国など海外キャラクターライセンスの日本市場の売り込みであることが判る。
ディズニーは『くまのプーさん』、『キングダム・オブ・ハーツ』など多彩なキャラクターを揃えており、ワーナーの目玉は来年復活する『スーパーマン』である。そのほかマーベルが『スパイダーマン』、『キャプテンアメリカ』などを推していた。

 一方、日本アニメのキャラクターは、展示会場ではほとんど見ることが出来なかった。そうしたキャラクターの売り込みは、3月の東京アニメファアで行われるか、あるいは日本から海外に対して行われることが多く、ライセンシング・アジアには馴染まないのかもしれない。
 実際、アニメ関係のプロパティーを数多く持っている会社も全面に押し出しているのは、アニメキャラクターでなく映像作品を伴わない純粋なキャラクターである。例えば、バンダイの一押しは『シナモンロール』であったし、バンダイと共同ブースで出展したナムコが売り出しているのは往年のゲーム『パックマン』のキャラクター化である。同様に、電通、東北新社、東宝といったブースでもアニメキャラクターは見ることは出来なかった。
 
pierrot.JPG その中で、唯一、積極的にアニメキャラクターを売り出していたのがぴえろである。ぴえろは『NARUTO』と『BLEACH』を全面に押し出し、ぴえろの所有する両作品の勢いを感じさせた。また、同社は魔法少女ものの新作『シュガシュガルーン』や赤塚不二夫のキャラクターのライセンスにも力を入れていた。
 旧作アニメキャラクターのリバイバルの活用は他社でも見られ、瑞鷹がリデザインされた『アルプスの少女ハイジ』をキャラクターとして売り込んでいるのが目についた。
 そのほかでは『ムシキング』の好調なセガが、『ムシキング』、『オシャレ魔女 ラブandベリー』、『恐竜キング』を積極的に展開していたが、ゲーム関連企業の出展はほとんどなかった。

ライセンシング・アジア 
日本経済新聞 
LIMAジャパン 

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セミナー・講演会 ]
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 10月12日から14日まで開催されているキャラクタービジネスショウのライセンシング・アジアでは様々なセミナーが行なわれる。今回は中でもアニメビジネスを大きく取り上げ、内容的にも興味を惹いたのが、中国のキャラクタービジネスの動向を取り上げた「中国のライセンシングビジネス市場の最新動向」であった。

 このセミナーは3部に別れており、最初にコーディネーターの陸川和男氏が様々な数字を用いて、中国のキャラクタービジネスについての概要を示した。その後に、日本貿易振興機構の上海代表処の中澤義晴氏が様々な側面から中国におけるキャラクタービジネスの現状と問題点、アプローチの仕方を説明し、最後に登場した手塚プロダクション代表取締役の松谷孝往氏は、これまでの手塚プロの中国市場における歩みを例に中国におけるアニメ制作の実際を語った。
 若干の延長を含めて1時間半程度のセミナーであったが、内容のバランスの良さもあり時間の全く気にならないものだった。
 
 これまで中国市場というと何が起こっているのか判らない、行政の方向性が判らないと言われることが多かった。しかし、少なくともアニメ・マンガ分野においては近年のジェトロのレポートも含めて大まかではあるが概要が見えてきたのではないだろうか。
 そうした調査の成果は、今回の中澤氏の講演でも充分に現れていたように感じる。つまり、中国政府がアニメ産業の育成に力を入れていること、その結果海外アニメに対して厳しい姿勢を取っていることである。また、一方で中国国民には日本のマンガ・アニメといったコンテンツは人気があり、そうした人気をどうのようにビジネスに変えていけるかが課題であるということである。
 これらについて中澤氏は、新たな著作権ビジネスモデルの確立や、消費者のニーズやセグメントを掴むことが大切であるとしている。また、テレビ以外のメディア利用の可能性を指摘した。

 また、中国市場の問題点である海賊版についても取り上げた。海賊版の現状は大きくは改善されていないが、中国人の一部には可能ならば正規品を買いたいとの意識が現れ始めているという。そうした意識の変化は、将来のビジネスにつながって行く可能性がある。
 おそらく現段階で、中国市場で海賊版をなくすことは不可能である。そうでれば、海賊版が存在することを前提にビジネスを進めるのが現実的である。むしろ、大切なのは海賊版をなくすことではなく、問題が起きた時に中国の関係機関が日本企業に誠実に対応する体勢が築けることでないだろうか。
 いずれにしても中澤氏が言うように、中国市場を理解にするにはまず中国の多民族性、所得間格差、地域特性などを知り複眼的な思考を持つことが大切であろう。そして、同様に指摘された利益が共有することの出来ることの重要性である。日本なり中国なりに一方的に利益が落ちることは、システムとして長続きしないことはキャラクタービジネスに限った話ではない。

ライセンジングアジア 
日本貿易振興機構 
ジェトロ 上海センター 
手塚プロダクション 

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