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2006年03月14日
セミナー・講演会 ]
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 WAO映像・アニメーション研究所の設立記念として開催されたこの講演会は、石川光久プロダクション I.G代表取締役と片岡義朗マーベラスエンターテイメント常勤顧問の巧みな語り口により非常に内容豊富なものとなった。
 講演時間が一時間半と十分あり、話は映画『立喰師列伝』の企画当初の話から、『立喰師列伝』の押井作品の中での位置づけ、そしてプロデューサー論に至るまで多岐に亘った。

wao ig.JPG 映画の企画については、当初はOVA30分×6本の企画がなぜ劇場映画に変わったのかという点が興味深かった。そこには、押井守はパッケージ向きの監督でなく映画監督なのだという考え方がある。
 そして、劇場映画にすることで監督の負荷も増したのだという。企画の変更により『立喰師列伝』の作品クオリティーがかなりあがったのでないかと考えさせる話であった。

 また、石川氏は今回の作品は、出演者が全て押井守監督の友人で固められているように、押井守監督の求心力で作った映画であるとする。そうした求心力が、このあと監督が遠心力で新作を作らなくなった時につながるというのだ。
 作品を単体で考えずに、クリエーターの履歴や会社全体の流れのなかに位置づけを考えるプロデューサーならではこその考え方であろう。

 そして、講演のタイトルにも挙げられた『立喰師列伝』の戦略である。ところが、戦略がないことがこの作品の戦略だと石川氏は説明する。
 では、全く戦略がないとかと言えばそうではない。例えば低予算映画だからこそ贅沢に観て欲しいと設備の良い劇場を用意するなど、映画公開のための環境づくりは抜かりがない。

 ここで言う戦略は、劇場公開の次に何をするのか、どういった人達にどのようにこの作品を送り出すのかといった点に思えた。つまり、それをしないということである。それは『立喰師列伝』が、これまでに全くない新しい映画であることに理由があるのだろう。
 いつ、どこで、誰が面白いと言い出すか判らない作品、どんな展開が起こるか判らない作品、それが『立喰師列伝』ではないだろうか。つまり、この作品に戦略がないのは、逆に何か動きがあった時にすぐに動ける体制を整えていることかもしれない。
 そうした何か起きた時に、余計なことをしていてはいけないわけである。それは、石川氏が講演の中で強調していたプロデューサーに求められるのは、余計な仕事をしないこともひとつの主張にもつながってくる。

 そして、『立喰師伝』の戦略なき戦略に大きな自信を持つのは、また石川氏の『立喰師列伝』の作品に対する大きな自信でもあるだろう。石川氏によれば『立喰師列伝』は、押井守監督が墓場に入ったその後に、人々が押井守の代表作は何だと考えた時に名前を挙げるような作品だという。

映画「立喰師」のビジネス戦略とプロデューサーの役割
3月15日
講師:石川光久氏 ㈱プロダクション・アイジー代表取締役
モデレーター:片岡義朗氏 ㈱マーベラスエンターテイメント常勤顧問
主催:WAO映像・アニメーション研究所 共催:WAOクリエイティブカレッジ
協力:日経エンタテインメント

立喰師列伝公式サイト 
プロダクション I.G 
マーベラスエンターテイメント 

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2006年03月09日
セミナー・講演会 ]
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 コンテンツインターシップフォーラムの中で開催されたこの座談会は、インターシップを送り出す大学とそれを実際に受入れた企業の代表による座談会であった。座談会は、それぞれの企業が持つ人材育成の実際からはじまり、インターシップを受入れたなかで見えてきたことなどが討論された。

 人材の育成では、音楽ビジネスではユニバーサルミュージックジャパンの平野氏が、育成システムはまだ確立していないと説明した。育成は現場のなかで行なわれているが、離職率は高く、今後の課題となると指摘している。
 モバイル&ゲームスタジオの遠藤雅信氏は、ゲームの世界では制作を担当するクリエーターとディレクター・プロデューサーとの二極分化が進んでいるという。両者の育成の方法は大きく異なってきており、キャリアの積み上げ方も異なるというわけである。
 また、ゲーム産業には幾つか大企業が存在し、そうした企業に数年勤めたあとに転職をするという形が一般化しているという。それによって、業界全体に技術が広がっていくという。いわば大企業が、人材育成のためのスクール化をしているという指摘である。

 人材育成の二極化は、プロダクションI.Gの石川光久氏からも指摘されていた。アニメーションの現場でも、クリエーターの教育とマネジメント・プロデューサーの育成は大きく異なる。
 人材育成はまとめて考えられがちだが、コンテンツ分野ではクリエーターの世界とマネジメント・プロデューサーの違いを十分認識したうえでのコンセプト作りが重要といえる。

 インターシップの効果については様々な意見がでた。しかし、学生が実際の現場を知ることの効用が最大のものであるようだ。そして、少なくとも学生の側には、インターシップのメリットが大きいことは確かだ。
 一方、企業側にとってのメリットは、学生を受け入れることで仕事や手間が増えることでなかなか見つけだし難い。 

 しかし、石川氏が述べたインターシップが会社にとってヘッドハンティングの場になっているという指摘は重要であろう。プロダクションⅠ.Gでは、インターシップで受け入れた学生が現在、社内でそのまま仕事をしているという。
 つまり、人材発掘の場としてインターシップが、企業にとってのメリットになる可能性は高い。もともと海外のインターシップは、企業と学生のお見合いの場という性格も強い。
 インターシップは、お互いに採用・入社の義務に縛られることなく、その会社との適正を見分けるという手段として利用出来る。こうしたWin=Winの関係の中に、コンテンツ分野のインターシップの未来があるのでないかと感じた座談会であった。

コンテンツインターシップフォーラム2006
座談会「コンテンツ産学連携人材育成システムの構築に向けて」

石川光久 プロダクションI.G代表取締役社長 
遠藤雅信 モバイル&ゲームスタジオ 代表取締役会長
平野澄人
ユニバーサルミュージック ユニバーサルJ A&R

コンテンツインターシップフォーラム2006 

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2006年03月07日
セミナー・講演会 ]
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 3月7日に東京大学・本郷キャンパスで開催されたコンテンツインターシップフォーラム2006は、コンテンツ、特に映画やアニメ、ゲームの分野における大学外教育の現状分析と問題点を語るものであった。
 このフォーラムでは、第1部でインターシップを取り巻く現状報告や問題点に焦点をあてる講演が複数行われた。それぞれが異なる視点からインターシップのありかたを考える意義のあるものだった。

 まず、今回の主催者のひとつである映像産業機構からの報告では、同団体が行う「三方得インターシップ」の内容と評価・総括が行われた。報告の中では、研修に参加した学生の満足感が非常に高いとされており、学生の側からみたこの取り組みが大きな成果があることが判った。
 しかし、現状のコンテンツ分野のインターシップには数多くの課題があることも事実である。東京大学大学院情報学環藤原正仁特任研究員によるコンテンツインターシップの現状報告からは、インターシップの時期や期間にまだまだ改善の余地が多いことが判る。
 また、企業から指摘された大きな問題点に学生のビジネスマナーの欠如、目的意識の低さが入っているのは残念である。
 藤原氏は今後の課題としてインターシップの量的拡大、質的拡大を挙げ、そのためにはインターシップ専門の人材が必要でないかと提案している。さらには、同じ人材開発の中でもプロデューサー育成を遅れている分野として取り上げている。
 プロデューサー育成には求められる像や教育目標の明確が必要だとし、そのなかでインターシップをカリキュラムにどう位置づけるかが課題だとした。

 さらに、世界コーオプ教育協会の斎藤敬子理事は、インターシップ全体のなかでの産学連携の意味を説明した。東京大学大学院情報学環本田由紀助教授は、近年の大卒者の就業意識と離職動向をもとに、大規模な採用のミスマッチが起きているとしている。その問題を解決するためにも、インターシップが重要であるという。
 
 就業のミスマッチに関して言えば、華やかに見えるが就労条件が厳しいコンテンツ産業にこそ、最も重要な問題である。そうした意味で、コンテンツ分野のインターシップの量的拡大も求められ、その質を上げるためにも今回のような議論が必要とされているに違いない。

インターシップ講演会発表題目
報告「三方得インターシップ」の取り組み
  高橋良典(映像産業振興機構)
報告「コンテンツ分野におけるインターシップの現状と課題」
  藤原正仁(東京大学大学院情報学環 特任研究員)
講演「日本のインターシップの現状とコーオプ教育」
  斎藤敬子(世界コーオプ教育協会 理事)
講演「高等教育機関における職業教育」
  本田由紀(東京大学大学院情報学環 助教授)

コンテンツインターシップフォーラム2006 
映像産業振興機構  三方得インターシップ
東京大学大学院情報学環 
世界コーオプ教育協会 インターシップ推進支援公式サイト 

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