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2009年11月29日
イベント ]
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 11月21日と22日に、シンガポールの国際展示会場サンテック・シティで、アニメフェスティバル・アジア(AFA)2009が開催された。主催者によれば、東南アジア最大の日本アニメのイベントだ。
 東南アジア地域でもポップカルチャー系のイベントは少なくない。しかし、欧米のアニメコンベンションの様に、日本のアニメ・マンガにフォーカスするイベントは意外に少ない。今年で開催2回目と歴史は短いが、2日間で5万人規模の来場者を集めるAFAは、早くも東南アジアを代表する日本アニメのイベントなっている。

 イベントの魅力のひとつが、展示ホールに設けられた企業ブースである。日本で言えば、東京国際アニメフェアやコミケの企業ブースと似たものだ。企業や作品の紹介、小規模なイベントコーナー、そしてファンの熱気が炸裂する物販コーナーである。
 似ているとは言っても、そこは異なる文化でもあり、シンガポールならではのカルチャーも伺われる興味深い場所でもある。

 まず、展示場に入って驚くのが、会場の広さが意外なほどこじんまりしていることだ。面積にして東京国際アニメフェアの1/3程度だろうか。これに数千人規模の特設ステージが付属する。
 人のいない時に会場を廻れば、全部観るのも30分もあれば十分かもしれない。しかし、実際はこのスペースに、かなりきつめに各企業のブースが並ぶ。密度は見た目よりかなり濃い。
 実は当初、この広さで5万人の来場者という数字にやや疑問を感じた。しかし、会場のこの密度の高さや、会場が狭いことによる来場者の回転率の高さを考えると十分納得行く数字である。

 また、会場の通路はかなり狭くなっている。混雑時には、かなり移動に苦労する。そうした中に物販店が並ぶ様子は、コミックマーケットや中国のオタクビルを思い出させた。アジア的なカオスなのだろうか。やたら大きな会場で通路の広い欧米のアニメコンベンションでは、あまり見られないものだ。
 企業紹介などのブースもあるが、やはり人気は商品販売である。来場者の商品購入意欲はかなり強い。人気店では入場規制を行っており、ブースの外側に列を作っているケースも見られた。
 ただ、コミケのようなイベント限定があるわけでなく、商品が通常の小売価格と較べて必ずしも安く見えない。イベントに来たというお祭り感、ハレの日の気分が、そうした購買を押し上げているように感じた。

[個別ブースのレポート]

AFA2009バンダイブース ガンダム人気が熱い!
アキバカルチャーも盛況だった AFA2009
日系企業の活躍が目立ったAFA2009
AFA2009 現地企業ブース マンガやフィギュアなど多様な展開

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        ■プロダクション I.Gのブース

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        ■タツノコプロダクションのブース

アニメフェスティバル・アジア(AFA)2009 http://www.afa09.com/
11月21日、22日
サンテック・シンガポール国際会議展示場開催

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2009年11月28日
イベント ]
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eoe1key.jpg 今年6月のテレビシリーズ最終回から5ヶ月あまり、満を持して『東のエデン 劇場版I The King of Eden』がいよいよ劇場公開となった。テレビシリーズでは完結したものの、まだまだ残る多くの謎が解き明かされる1部、2部から構成される話題作である。
 劇場公開の初日となった11月28日には、監督や主要キャスト陣も姿を見せる舞台挨拶が行われた。今回の劇場公開の主要劇場であるテアトル新宿にも、神山健治監督、滝沢朗役の木村良平さん、森美咲役早見沙織さん、辻仁太郎役遊佐浩二さんと豪華メンバーが揃った。

 上映が終わったばかりの興奮冷めない観客席の様子に、「終わったばかりの興奮が伝わって来る」と映画の反応の良さに木村良平さんもエキサイト。
 そして、今回の演技については、「あまり考えていない。テレビシリーズのまま、作品と滝沢に引っ張って貰った」と話す。滝沢と同様のありのままを受け入れながら、ぶつかって行く様子だ。また、テレビシリーズの冒頭に引っ掛けて「今回は服を着ていて、良かった」と観客を笑わせた。

 咲役の早見沙織さんも、「(滝沢朗が)服を着ていて良かった」と。そして、今回はニューヨークで王子様のような滝沢と出会う、日本とは空気が違うのを新鮮な気持ちで演じたという。
 一方、テレビシリーズでは、数少ない印象的なシーンのみの登場だった遊佐浩二さんは、「今回は劇場版で出演があるのか気になっていたが、出演が出来た」と話す。そのうえで、第2部以降の辻仁太郎の行方を気にする。

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 映画封切りの日を「断頭台にのぼる気分で迎えた」という神山健治監督。『攻殻機動隊 S.A.C』や『精霊の守り人』など数々の実績を残す実力派とは思えない緊張ぶりである。
 実は神山監督の長いキャリアの中で、長編劇場映画を撮ったことがない。今回はその初監督作品であることが、そうした理由だ。

 しかし、劇場での反応は、そうした神山監督の心配を振り払うのに十分過ぎる位のものだった。立ち見まででる程の満員の劇場は、上映が終わると拍手が巻き起こる程であった。「控え室で拍手が聞こえてきたのでホットした」と神山監督はその気持ちを語った。
 一方で、別の意味でプレッシャーは、まだ続く。来年3月には、今回の続編にあたる『東のエデン 劇場版Ⅱ Paradise Lost』の公開が控えているからだ。「テレビで一度終わっている作品。映画では、もう2回最終回を作るようなプレッシャーを感じる。監督には酷なシリーズ」と監督は表現する。
 そして、第2部以降の展開については、「キャストにもまだ話していない」、「皆が納得するかたちで、かつ驚くようなラストにしたい」とする。早くも来年3月の『Paradise Lost』の公開が、待ち遠しくなる言葉だ。
画像: イラスト:羽海野チカ  (C)東のエデン製作委員会

『東のエデン 劇場版I The King of Eden』 http://juiz.jp/blog/

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映画評 『東のエデン 劇場版 The King of Eden』

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        (C)東のエデン製作委員会

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2009年11月27日
イベント ]
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afacos2.jpg 世界のアニメ・マンガイベントで、最も人気が高い企画のひとつがコスプレである。11月21日、22日にシンガポールのサンテックシティで開催された東南アジア最大のアニメイベント アニメフェスティバル・アジア(Anime Festival Asia :AFA)2009でも、それは同じであった。
 AFAでは21日の午後、東南アジア5カ国の代表を集め、地域ナンバー1のコスプレイヤーを決め初のイベント リージョナル・コスプレ・チャンピオンシップ(Regional Cosplay Championship)が行われた。

 初めての試みであるのも関わらず、ステージとなる会場は立錐の余地もないほど超満員だった。コスプレイヤーに対する声援の大きさ、盛り上がりから、シンガポールでのコスプレイベントの人気を感じるには十分過ぎるほどだ。
 そして、今回、特に面白く感じたのは、国別対抗のコンペティションという効果がもたらす興奮だ。会場には各国からファンが来ていることもあり、オリンピック的な盛り上がりを見せた。それは図らずも、ステージでのコスプレイベントの魅力の本質が、コスプレに優劣をつける行為であることを理解させる。

afacos3.jpg コスプレに優劣をつけるのは、日本ではあまり見られない習慣だ。ところが、こうしたステージ上のコスプレイベント、コンテストは、日本以外のほとんど全ての国で見られるものである。アメリカやヨーロッパ各国、中国、むしろ今回のシンガポールでは、やはりここでもそうなのかと確認する作業だった。
 コスプレ文化の発祥地が日本であるとしても、日本型のコスプレ文化はいまでは世界から孤立している。日本以外のあらゆる国でステージ型のコスプレイベントという共通のフォーマットが確立され、それがスタンダードになっているからだ。

 現在の海外のコスプレイベントは、2層に分かれている。ひとつは凝ったコスプレ衣装を作り、限りなくキャラクターに近づく。その頂点としてステージイベントとコスプレコンテストが存在する。
 もうひとつはより広い層で、もっとカジャルアルなものだ。コスプレは大好きな作品やキャラクターへの愛を表現する手段で、演じる行為こそが重要でコスプレのレベルはあまり問われない。海外のイベントで、しばしば大量出現する似ていないコスプレの理由のひとつでもある。

    afacos1

 その一方で、シンガポールでは、これらともまた違う現象があった。会場の手前のロビースペースで、あたかも日本のコミケのコスプレ広場でのような光景に出くわした。
 広さのあるロビースペースが、にわかのコスプレ撮影会場に変わっていたのだ。コスプレイヤーがガラスの壁を背景にポーズをとり、ギャラリーであるアマチュアカメラマンたちがそれを写す。
 日本では、コスプレイヤーの写真を撮ること自体がイベントとして成立している。コスプレイヤーはその瞬間アマチュアカメラマンたちの擬似アイドルとなり、コスプレイヤーとカメラ小僧のエンタテイメントとしての共存関係が成立する。シンガポールでも、やはりこれが成立しているのだ。
 欧米でもほかのイベント参加者がコスプレイヤーの写真を撮るのは珍しくない。しかし、コスプレイヤーの写真を撮ることを主目的としたいわゆるカメラ小僧はあまり見かけない。

afacos4.jpg シンガポールのコスプレは、日本的なもの西洋的なものの両方が取り入れられているようだ。しかし、中間というよりも、様々なコスプレ文化の中から、より楽しく自分たちにあったものを取り出している。それはシンガポール的、あるいは東南アジア的と呼んだほうがいいのかもしれない。
 コスプレ文化は日本から飛び出して、日本とは別のところでグローバルに共通化しつつある。同時に、各国ごとの文化に合わせたローカル化も同時に進んでいる。多様な展開を遂げる、新たな世界文化なのだ。

アニメフェスティバル・アジア(Anime Festival Asia:AFA)2009
http://www.afa09.com/afa_cosplay_championship_09.html

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2009年11月25日
セミナー・講演会 ]
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imagi2.JPG 11月20日に、シンガポールで開催されたアニメーション・アジアコンファレンス(Animation Asia Conference:AAC)2009は、日本アニメのビジネスに特化して海外で行われた珍しいイベントだ。しかし、コンファレンスの講演は、日本企業からだけでなく、東南アジアの専門家も参加し注目を集めていた。
 今回、プロダクション I.Gとの共同製作を発表したStorm LionのEdmund Shern氏やインダストリーショウケースに参加したアニメーション制作会社などである。なかでも注目を集めたのは、香港とロサンゼルスに拠点を持つイマジ・インターナショナル(Imagi International Holdings)の副社長Phoon Chiong Kit氏であろう。イマジはハリウッドメジャーに属することなく、アジアから北米市場に大きく映画ビジネスを展開する。最新作が『鉄腕アトム』を原作にする映画『ATOM』ということもあり、日本とアジアのビジネス関係者の興味を惹く存在だ。

 今回講演者として登壇したPhoon氏は、香港の映画会社ゴールデンハーベストのマネジメント・ディレクターの経験があるだけでなく、投資銀行やプライベートエクイティを専門とする金融の専門家という顔を持つ異色の存在である。
 そうしたこともありPhoon氏の講演は、作品のクリエイティブではなく、企業経営や映画のマーケティングからアプローチするものだ。その話は客観的な視点を持ちながら、また驚くほど素直なものだった。

 イマジの経営者にとって11月20日は、講演をするにあまり望ましい時期ではなかった。何しろ前日19日には、まさに今回の講演のテーマになった『ATOM』の中国での興行成績が過大に発表されていたことが明らかになったばかりだったからである。
 Phoon氏自身も「タイミングが悪いですね」と、これを認める。また、今年1月に起こった資金調達のショートによる制作中断にも触れながら、会社経営は現在再構築中、現在は資金はうまく回っていますと話す。

imagi1.JPG そして、『ATOM』のビジネスについても、その成否について冷静な判断を下す。Phoon氏によれば、『ATOM』の映画のターゲットは米国市場である。この理由は明白で、映画マーケットのリーダーはハリウッドだからだ。
 そのために映画は、米国のスタッフにより典型的な米国スタイルの物語として作られた。例えば、原作では7歳のアトムの年齢を13歳に引き上げたことや、アトムに服を着せたことなどだ。

 しかし、こうした努力にも関わらず、映画の興行については、必ずしも満足出来るものでなかったようだ。Phoon氏は最終的な結論を下せないとしながらも、既に公開が終わった米国市場については失望した(disappointed)、日本市場については非常に失望した(Very disappointed)と表現した。
 米国市場の失敗については、ハローウィーンと重なった公開日のまずさ、物語がよく知られていなかったこと、子ども向けの映画にしてはバイオレンスが多過ぎたこと、またアトムがスーパーヒーローとしては幼過ぎたことを指摘する。

 また、日本での失敗については予想外とし、これまであった『鉄腕アトム』の強固なイメージを崩せず、従来のファンから拒否されたことを理由として挙げた。
 一方で、中国市場については、満足出来る水準とする。中国に広く入れたのは、もともと『鉄腕アトム』が広く知られていたことに加え、中国では新しいものが受け入れられやすく、バイオレンスにもさほど抵抗がないためだという。

 講演を聴きながらこうした状況は、イマジが香港企業であり、中華圏がイマジにとって最も得意な市場であることも無関係ではないように感じた。
 つまり、これまでの日本のマンガ・アニメの米国での実写化プロジェクトにおいて、共同製作者は内容を日本側に寄せるのか、米国側に寄せるのかでしばしば頭を悩ませてきた。「日本文化VS欧米文化」の図式である。

 『ATOM』については、中華文化と新しいテーマで同じ問題起きたのでないだろうか。「日本文化VS欧米文化VS中華文化」という複雑な構造が生まれ、無意識のうちに自国文化に最も受け入れられる作品を制作した可能性である。
 そう考えれば、失望したと発言せざる得なかった日米市場より、中国市場で映画が好調であったことをうまく説明出来るだろう。Phoon氏が「中華圏は私たちが熟知したマーケットです」と講演で誇っていた様にである。

 アニメーション映画の成功例が語られることは多い。しかし、そうでない場合、その当事者は多くを語らないのが普通だ。
 今回は、アニメーション、しかも日本のマンガ原作の作品を取上げて、そのマーケティング戦略を隠さず語ったPhoon氏の講演は、得るものが多かった。

アニメーション・アジアコンファレンス(Animation Asia Conference)2009
http://www.afa09.com/aac.html
イマジ・インターナショナル(Imagi International Holdings)
http://www.imagius.com/web/main.php

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2009年11月24日
セミナー・講演会 ]
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 11月7日、明治大学にてシンポジウム「マンガ・アニメ・ゲーム・フィギュアの博物館学」が開催された。これは10月31日に開館した米沢嘉博記念図書館を記念したものである。それと同時に2014年に開館を目指す東京国際マンガ図書館の基本構想や概要説明なども兼ねている。
 当日は、明治大学国際日本学部准教授の森川嘉一郎氏が「マンガ・アニメ・ゲーム・フィギュアの博物館計画」、コミックマーケット準備会共同代表の安田かほる氏と市川孝一氏が「同人誌とコミックマーケットの成り立ち」、海洋堂代表取締役の宮脇修一氏が「ガレージキットとワンダーフェスティバルの成り立ち」、明治大学国際日本学部准教授の藤本由香里氏が「マンガの国際・学際的状況」を順にレクチャーした。
 最後にはコミックマーケット準備会共同代表の筆谷芳行氏も加わり、それらを踏まえて「日本のマンガ・アニメ・ゲームの文化構造」および「マンガ・アニメ・ゲームの施設の具体化」をテーマとしてディスカッションを行った。

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 ディスカッションでは、森川氏は「それぞれがどういう関係になっており、全体がどうなっているのか、現状認識の上でどういう施設を作り上げて行くのかについて語らう機会はなかった」と改めてシンポジウム主旨に触れた。
 ディスカッショはジェンダーによるジャンル分けが日本のマンガの特徴となっている点を導入とし、藤本氏が、大正時代から萩尾望都氏・竹宮恵子氏・大島弓子氏ら「花の24年組」までの沿革を説明した。

 男性が少女マンガを読むようになったのも初期のコミケの頃だ。どのようにして男性の参加者が増えていったのかについての森川氏の問いに、筆谷氏は「自分じゃ絵を描かないけど恩返しとして出来ることは何だろう」という思いから自主的にファンクラブやお茶会を開いたことをまず挙げた。
 そして『ミンキーモモ』が転機となり、一見すると女の子向けに見えるものの裏側に男の子が潜んでいることにメーカーやプロデューサーが気づいて少年向けと少女向けが逆転したという。
 その一方で、現在は『テニスの王子様』に見られるような男が主人公でも男が喜ばないマンガも増えた。この経緯については、「作者は狙って男同士の友情を描いていない」、「狙って描くと女性のファンがつかない」、「読者の声が見えるのは女性」といった分析がなされた。『おおきく振りかぶって』に至ってはボーダレスでどちらをターゲットにしているのか分かりにくいともいう。

 さらに、本来友情関係にあるものを何故か恋愛関係に見立てて読む「ボーイズラブ(BL)」について森川氏が藤本氏に訊ねた。初期の少年愛と現在のやおいやBLとでの意味の変質が見られ、「男性を主人公にしたときに自由になれる、開放される」があるそうだ。
 そして「絵が描けなくても小説で」といった参加基準の低さや、「自分の好きなカップリングで凝りがほぐれる」といった抑圧ポイントの異なりを指摘した。

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 他方、模型の文化圏は男が牽引している。DAICONの時期のSF大会とガレージキットとの文化圏の関わりについて森川氏が続けた。宮脇氏は当初は「ファン活動だったものがこういうものも売ってしまっていいんだ」、「SFという足を踏み入れるのにちょっと高い世界に入ってもいいんだ」という嬉しさがあったという。
 そして森川氏の「常設な施設を作るに際してどういった対象にどういった気配りをすればいいか」といった問いにはこう続けた。仕掛けてヒットしたことがない一方で、デアゴスティーニの例も交え、普通にフィギュアを売っても売れないが、ちょっと売り方を変えたら急に売れる法則も例に挙げた。

 海洋堂は2011年に四万十川に村おこしを兼ねた博物館を建設する計画がある。「『造形原理主義者』としていいもんさえ作れば売れるとか言って箱作っても、人をこさせなかったら持ち腐れになる」と慎重かつ確実な方法を模索中でもある。
 森川氏は、2004年のヴェネチア・ビエンナーレで企画した「おたく:人格=空間=都市」でのフィギュア「新横浜ありな」の相談を海洋堂へ持ちかけた時に、「商品が本に見えたら売れるけれどフィギュアに見えたら売れない。だから目立たせるな」と忠告されたことを補足した。

 最後に森川氏は「政治的な部分については追って記していく」としながら、「個人的にはひと言で言うと『捨てるのがイヤ』だから」と締めくくった。
 来年の3月、コミックマーケット準備会は「コみケッとスペシャル5 in 水戸」を開催する。共同代表の市川氏は「使ってなかったデパートに電気を入れるだけでも物凄い金額がかかる」などの準備の大変さも語っていた。 
【真狩祐志】

東京国際マンガ図書館 http://www.meiji.ac.jp/manga/

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2009年11月23日
セミナー・講演会 ]
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mrsasaki2.JPG いまアニメ音楽が熱い。オリコン週間チャート上位に、アニメの主題歌や挿入歌、イメージソングがランキングすることが珍しくなくなっている。音楽の魅力を伝える手段として、アニメの役割が大きな関心を集めている。
 そうしたなか、11月20日に、アニメ音楽の有力レーベルであるフライングドックの佐々木史朗代表取締役社長がシンガポールで、アニメの音楽プロデュースの方法、さらにその経験をグローバルに広げる試みについて語った。

 佐々木氏の講演は、アニメーション・アジアコンファレンス(Animation Asia Conference)2009で行った「New Dimensions in Storytelling-Producing successful anime soundtracks」である。
 フライングドックは、音楽会社ビクターエンタテインメントのグループ会社だ。長年、アニメから広がる音楽のプロデュースを手掛けている。その中には『カウボーイビバップ』や『AKIRA』、『機動戦士ガンダムSEED』など、音楽面でも注目を浴びた数多くの人気作品が含まれている。アニメ音楽では欠かすことが出来ない存在だ。

 佐々木氏は最初に「音楽はアニメの重要なエレメント」と語ったが、特に音楽と作品が強く結びついたフライングドック作品群からは、そうした主張は大きな説得力を持つ。
 講演は数ある作品音楽の中でも、特に音楽と作品との結ぶつきの大きい「マクロス」シリーズにフォーカスをあてた。

 佐々木氏によれば、「マクロス」シリーズに共通する特徴は、主人公が歌手でその歌によって戦いが終わる。考えてみれば荒唐無稽な物語だが、だからこそ歌にリアリティを持たせる必要があるのだという。
 そのために歌手は常にビッグネームでなく、フレッシュなアーティストとし、あたかも番組のキャラクターが歌っているかのように感じさせるという。さらに仮想ブログやCDジャケット、番組の進行とパラレルに展開される現実のライブ活動など様々な面まで考え抜かれていることを紹介する。
 こうしたアニメと音楽の連動は、日本で独自に発達したビジネスとも言えるだろう。聴衆であった東南アジアのアニメ関係者にも大きな印象を残したのではないだろうか。

mr.sasaki.JPG しかし、実際はこうしたアニメ作品と音楽を連動するビジネスは、これまでにアジア地域では展開がされていなかったと佐々木氏は語る。
 今後は、アジア地域でもアニメ音楽ビジネスの展開は可能でないかという。特に佐々木氏は、ライブイベントに注目する。ライブはCDよりアピールが大きいからだ。

 今回アニメーション・アジアコンファレンスと併せて開催されたアジア・アニメーションフェスティバルの最終日、「マクロス」シリーズを代表するふたりのアーティストによるライブコンサートが開かれた。『マクロスF』シェリル・ノームの楽曲を担当したMay'n、『マクロス7』の熱気バサラの楽曲を担当した福山芳樹である。ライブの会場は現地のファンで満員になっただけでなく、日本のファンと同様の大きな盛り上がりをみせた。音楽は国境を越えると感じさせた瞬間だ。
 それと同時に、佐々木氏が語るアジア地域でのアニメ音楽のビジネスの可能性をあることを感じさせるのにも十分だった。佐々木氏の講演は、今後はアジアでもライブツアーが出来ることを望んでいると結ばれた。

アニメーション・アジアニメ・フェスティバル・アジア(Anime Festival Asia:AFA)2009
アジアコンファレンス2009(Animation Asia Conference)2009
http://www.afa09.com/aac.html

フライングドック http://www.dogisflying.com/pc/

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2009年11月21日
セミナー・講演会 ]
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 細田守監督による『サマーウォーズ』は、今夏の大ヒット映画だ。しかし、常夏の国シンガポールでは、その夏はこれから始まる。2010年1月の『サマーウォーズ』劇場公開が決定したシンガポールで、細田守監督によるふたつの異なったトークが行われた。
 ひとつは11月20日に、アニメーション・アジアコンファレンス(Animation Asia Conference:AAC)2009で行われたアニメビジネスの関係者に向けたもの、もうひとつは11月21日のアニメ・フェスティバル・アジア(Anime Festival Asia:AFA)2009でのファン向けのトークイベントである。

hosoda-kantoku.JPG AACでは「Insight into creatinng animation blockbusters」と題して、映画監督としての側面にスポットをあて、AFAは『サマーウォーズ』の映画紹介が大きく取り上げられた。
 しかし、聴衆やテーマの違いはあるものの、細田守監督の語り口はほとんど変わることがない。日本のトークイベントでもしばしば見られる、穏やかにして多弁な細田節が繰り広げられる。映画のテーマである家族とのつながり、日本の田舎の大家族というドメステックなものが海外に向かって広がって行くことの喜びが語られる。

 海外のイベントは日本のイベントと異なり、会場やファンからの質問の時間が多めに設けることが多い。そうした中には、国内ではあまり語られなかった意外なエピソードが語られることも少なくない。
 今回はAFAで次回作の予定について質問があった時に、こうした意外なエピソードが紹介された。それは細田監督に、劇場版『涼宮ハルヒ』シリーズの監督のオファーがあったという話だ。監督は申し出に対して「やりたい」と言ったけれども、結果はやらせてもらえなかったとのことだった。

 そして、実際の次回作について細田監督は、「次の作品は既に動いている」と既にスタートを切っていることを明らかにしている。そのうえでキャラクターについては貞本義行さんと一緒にやりたいと、さらに脚本は『サマーウォーズ』と同じ奥寺佐渡子さんと語った。次回作でも、『時をかける少女』、『サマーウォーズ』と同じスタッフ陣が目指される。
 これについて細田監督は、同じメンバーでやっていてもだんだん違う映画になって行くとし、同じチームを組むことで作品がより進化して行くことを期待しているようだ。一方、テレビ番組については、「やりたいけれど、今は映画」とし、当面のスケジュールには挙がってないという。

hosoda-kantoku2.JPG 細田監督の海外での活動はこれまでも少なくない。今年はスイス・ロカルノや韓国、今回のシンガポールなどだ。こうした海外活動は、単なる映画の宣伝だけには終わらない。
 今回のAFAのトークでは、前作『時をかける少女』がアート系の作品の多いアヌシー国際アニメーション映画祭で賞を受賞した時の喜びを語っている。そして、映画祭やコンベンションには影響受けており、海外での交流は新たな創作活動につながるとの認識を示した。ドメステックな世界を描きながら、世界に受け入れられる細田守監督の秘密の鍵はここにありそうだ。

アニメーション・アジアニメ・フェスティバル・アジア(Anime Festival Asia:AFA)2009
アジアコンファレンス2009(Animation Asia Conference)2009
http://www.afa09.com/aac.html

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2009年11月20日
セミナー・講演会 ]
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mr.kadokaw.JPG 角川グループホールディングス代表取締役会長兼CEOの角川歴彦氏が、11月20日、シンガポールで開催されたアニメーション・アジアコンフェレンス(Animation Asia Conference)2009で基調を行った。このコンファレンスは、シンガポールからのアニメビジネス情報発信を目的に開催されたもので、日本のアニメコンテンツにフォーカスしているのが特徴である。
 角川氏は「Bringing Japan’s Content to the World-Think Globally Act Locally」と題した基調講演の中で、日本アニメについての自身の見方と戦略、海外に展開するうえで何が求められているかを論じた。

 角川氏は日本のアニメを3つのカテゴリーに切り分ける。ポケモンやドラえもんに代表されるキッズ向け、そしてガンダムなどのヤングアダルト向け、そして同社が最近手掛け大ヒットとなった『サマーウォーズ』のようなファミリー向けである。
 これらのバリエーションを前提に、日本のアニメはストーリーがより深く、キャラクターが多様であるとする。そして、そうした日本のアニメの特徴をガラパゴス化と表現する。これは通常使われる悪い意味でなく、他者との違いを積極的に評価出来るという点からである。

 さらに講演は、インターネッと著作権の問題に移る。角川氏はこうした個性的な日本アニメが世界に広がった理由を、作品がインターネットによりリアルタイムで伝わったためと考える。
 しかし、インターネットの力を評価する一方で、これだけの人気があるのに日本のアニメは産業として十分お金になっていない、企業、クリエイター、ユーザー全てがWin-Winの関係になる必要があるのでないかと主張する。

 こうした考えはこれまでも少なからず主張され、いまだ解決策が見つかっていないものである。ここで角川氏は、Youtubeはコミケと同じ、マッド動画などは認められるのではないか、それを合法化する仕組みが必要と述べる。
 その一方で、著作権法については、個々の国での取り組みは難しい、世界共通に対応出来ることが必要なのでないかと提案する。二次創作はかなり認めたうえで、著作権法の違法行為については、世界レベルで対応すべきとの考えのようだ。
 動画の著作権に関する問題は、現在、世界各国で深刻な問題を引き起こしている。角川氏が、国内でなく海外でこうした発言を行ったことは日本だけでなく海外の関係者にとっても意義深いものである。

アニメーション・アジアコンファレンス2009(Animation Asia Conference)2009
http://www.afa09.com/aac.html

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セミナー・講演会 ]
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aac2.JPG 11月20日、シンガポールのサンテックシティで、アニメーション・アジアコンファレンス(Animation Asia Conference)が開催された。イベントは21日から始まる日本のアニメ・ポップカルチャーをテーマとするアジア・アニメーションフェスティバル(Asia Animation Festival)2009に先立って行われたものである。
 コンシュマーイベントとしての開催は今年で2回目だが、ビジネスコンファレンスは今回で初めてとなる。海外に日本アニメ・マンガに特化したイベントは多いが、ビジネスにフォーカスしたものは世界的にみても稀な存在だ。

 今回AAC2009に設けられた講演、シンポジウムは10以上、朝9時から夕方18時までぎっしりとプログラム組まれている。全てのプログラムを1日にまとめたこともあり、個別の時間がやや短くなり、スケジュールは押し気味になっていたのが少し残念ではあった。
 しかし、そうした小さな不満はあるものの、全体としてみれば一回目とは思えない大きな成功であった。ビジネスがテーマであるにも関らず、会場には多くの参加者が訪れた。何よりも、講演、シンポジウムの内容には見るべきものが多かった。

aac1.JPG こうした成功は国内外から招いたゲストの充実ぶりに負うところがある。基調講演は角川グループの角川歴彦氏、角川グループのアニメーションビジネスを中心に、インターネット時代を踏まえたコンテンツ戦略が語られた。
 また、ヒットメーカーとして細田守監督が登壇、フライングドッグ佐々木社長、プロダクション I.G石川社長、マッドハウス丸田社長、竜の子プロダクション成嶋社長らアニメ関係者に馴染みの深い企業の経営者が並ぶ。
 アジアからは映画『ATOM』の製作で注目を浴びるイマジ社の副社長CK・プーン氏が映画『ATOM』のビジネスを総括する。このほかアジアのポップカルチャーやインターネット、プロモーションなど興味深い内容が続いた。

 近年、パリ・ジャパンエキスポや米国・アニメエキスポ、コミコンに国内外のアニメ・マンガ業界関係者が多数訪れる様になっている。それは一方で、業界関係者の人数により、アニメ・マンガ関連企業がそうした国々やそれぞれのイベントをどう評価しているかも表している。
 そうした視点で見ると今年のAACは、既に高い関心を集めつつある。日本コンテンツの人気が高い一方で、東南アジアには日本アニメ・マンガに特化した超大型イベントはこれまでなかった。現時点で来年の開催は不明だが、アジア・アニメーションフェスティバルも合わせ今後も注目のイベントになりそうだ。
 
 一方、今回コンファレンスのタイトルには日本の作品を表現する「アニメ:ANIME」でなく、アニメーションが用いられた。これは今後のイベントの方向性も示しているかもしれない。
 コンファレンスはアニメに限らず、そのテーマにアジアのアニメーション全体を取り上げる余地を残している。実際に、企業や作品を紹介するインダストリーショウケースには、日本の企業だけでなく、日本のアニメスタイルで作品を作るマレーシアや韓国の企業も参加していた。こちらの今後の展開も気になるところだ。

アニメーション・アジアコンファレンス2009(Animation Asia Conference)2009
http://www.afa09.com/aac.html

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2009年11月18日
イベント ]
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 10月23日、東京・品川ステラボールで、人気のアニメソングを歌うアーティストを集めた「TOKYO ASIA MUSIC MARKET(以下、TAM) アニメソングライブ」が開催された。
 今年6回目となる「TAM」は、日本の魅力的なアーティストと音楽コンテンツを、アジアや欧米諸国に発信することを目的としたイベント。この日のライブには、飛蘭(フェイラン)、Kimeru、Sphere、戸松遥、Keno(キーノ)、ELISA、牧野由依、下川みくに、生沢佑一、腐男塾と、10組の豪華アーティストが出演した。

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 まず、ライブのトップバッターを飾ったのは、飛蘭さん。アニメ『喰霊-零-』の挿入歌である『Dark Side of the Light』、アニメ『CANAAN』のオープニング曲『mind as Judgment』を熱唱した。その力強い歌声に、会場に招待された2000人の観客も熱狂し、大きな歓声が響いていた。

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 次に登場したKimeruさんは、アニメ『テニスの王子様』の初代エンディング曲『You got game?』、アニメ『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』の5代目オープニング曲『OVERLAP』 を披露。歌だけでなく、巧みなMCで観客のテンションを上げ、会場の熱気がどんどんヒートアップした。

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 そんなこの日最高潮のフィーバー状態の中、登場したのが、女性声優4人組のSphereだ。会場のファンに大きな声援をおくられながら、4人はデビュー曲でアニメ『初恋限定。』のオープニング曲『Future Stream』、アニメ『宙のまにまに』のオープニング曲『Super Noisy Nova』をキュートに歌い上げた。そして、メンバーの戸松遥さんがソロのステージの準備をしている間、3人がMCでも会場を沸かせた。「ハロー、エブリワン!」と英語で挨拶をし、新シングルと1stアルバムの発売を報告するなど、ファンを喜ばせていた。

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 満を持して登場した戸松遥さんは、アニメ『かんなぎ』のオープニング曲『motto☆派手にね!』を披露。アニメのオープニングでは、この曲に合わせてヒロインのナギ(声は戸松さんが担当)がかわいくダンスしているのだが、戸松さんも同じ振り付けで熱唱。まるでナギがそのまま現実の世界に降臨したのかと錯覚を覚えるほどのかわいさだった。

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 4組目に登場したKenoは、アニメ『HUNTER×HUNTER』のオープニング曲『おはよう。』をさわやかに歌い上げた。この曲を久しぶりに歌ったというKenoのHIROさんは、2000年から“成海カズト”としてアーティストに楽曲提供を行っているそう。この日は特別に、昨年倖田來未に提供した『stay with me』をセルフカバーし、会場をうっとりさせた。

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 5組目に登場したELISAさんは、デビュー曲でアニメ『ef - a tale of memories.』のオープニング曲『euphoric field』と、アニメ『とある科学の超電磁砲』のエンディング曲『Dear My Friend -まだ見ぬ未来へ-』を披露。とにかくキレイな、透きとおるような高音に、会場はすっかり魅了されてしまった。

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 次に登場した牧野由依さんも、ELISAさんに負けず劣らずの美声で、ゲーム『アークライズファンタジア』の挿入歌と、『たんぽぽ水車~Yui Makino Version~』を歌った。儚くも力強い声は、会場を一気に“牧野由依ワールド”にしてしまうほどの強烈なインパクトがあった。牧野さん本人が「私の歌はゆるりと聴いていただいて、一息つける時間になったら……」と言ったように、しばしの癒しタイムとなった。

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 ゆったりムードを一気に払拭したのが、デビュー10周年の下川みくにさんだ。アニメ『フルメタル・パニック? ふもっふ』のオープニング曲『それが、愛でしょう』と、アニメ『フルメタル・パニック! The Second Raid』オープニング曲『南風』を披露。「前半からすごい熱気で、“みんな、後半までその熱気がもつの!?”と心配になりました」と、冗談交じりに話した下川さんだったが、そんな心配は一切無用。彼女のエモーショナルな歌声に、会場は大盛り上がりだった。

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 さらに会場をアツくさせたのが、ゲーム『斬魔大聖デモンベイン』の主題歌『機神咆吼ッ! デモンベイン!』と、アニメ『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』のオープニング曲『WARRIORS』をワイルドに歌い上げた、生沢佑一さんだ。ハードロック出身の生沢さんのハスキーでヘビーな歌声が会場にとどろき、観客のハートをしびれさせたに違いない。

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 そして、トリを飾ったのは、男装した(?)女性7人組(当日はメンバーのひとりが体調不良で欠席)の腐男塾だ。この日の出演者の中で、最も日本にオタクカルチャーを象徴する存在だった彼女たち(?)は、『勝つんだ!』『ヤッターマンの歌』を元気に披露。会場は終始大フィーバーのまま、幕を閉じた。
【遠藤麻衣】

第6回東京アジアミュージックマーケット http://www.tamm.jp/ja/index.html

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2009年11月15日
セミナー・講演会 ]
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 11月13日に東京国際交流館で開催されたシンポジウム「マンガ、manga、そしてanimation、アニメ」は、少し変わった試みだった。
 文化庁の主催する国際文化フォーラムのひとつとして行われたものだが、パネリストとコーディネーターがかなり異なったバックグラウンドを持つ4人だったからだ。コーディネーターは文化人類学者で前文化庁長官の青木保氏、パネリストはアニメ監督 細田守氏、海外でマンガ翻訳出版を行うTokyopopのスチュウアート・リービー社長、さらに韓国・忠南文化産業振興院長のソル・キファン氏らである。

 シンポジウムは、海外で広がり、人気を博している日本のアニメ、マンガをテーマにしたものだ。しかし、テーマの設定が大きくなっており、各氏が基盤にする知識の違いもあり、討論はすれ違うところも見られた。
 それでも、多様なジャンルからの発言は、共有されていない問題、共有されている問題が浮かび上がり興味深いものだった。特に、国境を越えた際のコンテンツの普遍性、そしてデジタル時代のコンテンツの有り様が大きく取上げられた。

20091113.JPG 細田氏はかつてアニメの制作する際に、国内と海外での作品の受けととめられ方が違うのが当然と考えていたという。しかし、1997年のポケモンブーム、そして自身の監督した『時をかける少女』の経験から、海外でも同様に作品が受け入れられる可能性があることに気づいたと語る。
 一方で、『時をかける少女』のアジアやヨーロッパでの受け入れられ方は日本と似ているが、米国はやや異なるところがあると指摘する。一概に日本と同様で大丈夫、同じではいけないと割り切れるものではないことを伺わせた。

 こうした感覚はソル・キファン氏の意見にも通じる。映画『ブラザーフッド』が米国で人気を得た例を引き合いに出し、心に近い作品は、グローバルに受け入れられると述べる。
 しかし、東アジアで共同製作したアニメ番組『折紙戦士』では、コミュニケーションの不足で前に進まない経験をしたという。同じ市場に進むのなら同じ感性が必要と、感性の見極めがその前提にあると考えているようだ。
 リービー氏は、細田氏の米国の市場だけはやや違うとの意見に対して、米国のハリウッドの存在が理由とする。もともと米国は競争が激しく、お金があるので何でも出来る、エンタテインメントの現場では日本のコンテンツは人気があるが、米国はお金があるからそうした要素を取り入れて自分たちで作品を作ると説明する。

 リービー氏の取上げたもうひとつのマンガ、アニメ文化の視点は、昨今のコンテンツのデジタル化と結びついた。紙文化やパッケージ文化の危機である。
 デジタル時代の特徴は一人一人の時間や好みが細分化していることだ。さらにデジタル化された海賊版の存在で、作品のデジタル展開を行っても有料では客が集まらない現象が起きているという。リービー氏は、このままでは文化は国が支援する部分のみでしか残らない可能性もあると指摘する。

 ソル・キファン氏はこれについてさらに、デジタル時代のビジネスを「支払いのないコンテンツ消費」と表現する。多くの消費者は、「コンテンツは全てただで欲しい。ただしビジネスモデルは判らない。それは企業が勝手に考えて欲しい」と考えているのだと話す。こうした現状を解決するのは難しいが、これまでの供給側からの政策でない消費者側から考えた政策が必要でないかとする。
 いち早くコンテンツのデジタル流通が進む韓国からの発言だけに、重みのある言葉である。また同時に、国内ではこうした問題は、アニメ・マンガ特有の問題と考えがちだが、実際にはグローバルでコンテンツのボーダーを越えた現象であることも理解出来た。

国際文化フォーラム http://www.bunka.go.jp/culturalforum/index.html

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2009年11月13日
ジャパンエキスポ ]
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JXkouen.JPG 毎年7月にフランス・パリで行われるるジャパンエキスポの勢いに、ここ数年驚かされることが多い。2009年の来場者数はおよそ16万5000人、50人を越える日本からの特別ゲスト、そして日本文化に特化した国外最大級のイベントとしてアニメ・マンガの業界人がこぞって押しかける。
 しかし、その存在感の大きさ、知名度に対して、これまで主催者自身がイベントについて語ることは少なかった。11月13日に東京国際交流館で行われた文化庁国際文化フォーラム 国際文化芸術人会議の基調講演は、そうした数少ない機会となった。

 この講演はSEFA Event社ジャパンエキスポ代表のジャン=フランソワ・デュフール氏と副代表のトマ・シルデー氏による「『文化の受容と融合』~ジャパンエキスポのたどった道~」と題されたものだ。
 講演はジャパンエキスポの歩みやフランスでの日本文化の歴史を辿り、その中で日本のポップカルチャーの受容とジャパンエキスポの成功を語るものだ。比較的シンプルな構成だが、わずか10年間でのイベントの驚くべき成長ぶりを紹介するのに十分だ。
 しかし、文化庁の主催するシンポジウムでもあり、フランスで積極的に受け入れられる日本文化というポジティブな面が強調されたかたちとなっていた。一方で、例えば、現地のアニメDVDの流通会社(ディストリビューター)が直面する経営危機などの負の部分には触れていない。

 だから、こうしたシンポジウムは、「部分的な現象を取り上げて、楽観的な見方を煽る」との批判も出来るかもしれない。しかし、その映像や紹介される数字から伝わってくる熱気は、そうした批判さえも跳ね除ける圧倒的なものだ。
 つまり、そこに何かしらの意図があったとしても、実際にヨーロッパで起きている現象は嘘ではない。実際に16万人を超える来場者はそこに存在し、日本の文化を楽しむ大衆も現実の存在だ。それを局地的な現象として退けることは可能だし、それを単に驚くだけで眺めていることもまた可能だ。
 しかし、そこに存在する現象を、単なる現象に終わらせない何かが求められているのではないかと感じさせる講演だった。そしてこのシンポジウムを企画した文化庁の意図もまさにそこにあったに違いない。

4201.JPG そうした講演の内容をストレートに受け取る一方で、今回の基調講演から垣間見えるジャパンエキスポのビジネス戦略も興味深いものがあった。
 デュフール氏は、ジャパンエキスポの成功の理由を4つ挙げた。「タイミング」、「情熱」、「信頼」、「プロフェッショナリズム」である。しかし、それ以上に彼らの成功は、フランスのファンや社会が求めるものを的確に汲み取り、提供する戦略の確かさが理由である。

 実は今回、講演者のふたりはメディア芸術の言葉を多用すると伴に、アニメやマンガといったポップカルチャーだけでなく、日本の伝統文化への言及を多く行った。ふたりによれば、ジャパンエキスポは、ポップカルチャーだけでなく、新旧の文化を融合させた誰でも楽しめるイベントであると言う。
 そうした側面は確かにあるのだが、実際には圧倒的なマンガ、アニメ、ゲームの中のごく一部に過ぎない。むしろ、日本の伝統文化の強調は、シンポジウムの主催者である文化庁に対するリップサービスであると同時に、これから彼らがそうありたいと思う姿である。
 さらにこれまでは存在感の薄かったB2B向けのサービスを強調する。ジャパンエキスポは、ライセンスのマーケットでもあるということだ。これも現在そうであるというよりも、今後成長させたい分野とみられる。

 これらは世界有数の巨大なイベントになったジャパンエキスポが、単なるファン向けのイベントに終わらずに、次の段階の成長を目指していることを示している。つまり、日本とフランスの間で、文化的にもビジネス的にも重要な位置を占めることである。
 おそらくこれは日本の企業や行政からも望まれていることなのである。SEFA Event社にとっては、そのニーズを理解したうえでの目標だ。現在ジャパンエキスポに対して、その規模に目を奪われがちだ。しかし、今後は、その活動の広がりに注目が集まることになりそうだ。

文化庁国際文化フォーラム
http://www.bunka.go.jp/culturalforum/nittei/

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イベント ]
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dcexpo09.jpg 10月22日から24日に日本科学未来館を中心として開催されたデジタルコンテンツエキスポ2009では、次世代コンテンツ技術展(ConTEX)2009のAR(拡張現実)や国際3D Fair 2009 in Tokyoの立体視などに注目が集まったが、アニメーションに関するものも少なからず見られた。

 会場では、デジタルクリエーターズコンペティション2009やASIAGRAPH2009で受賞した作品の展示上映や視聴が行われていた。
 また国内の主なコンテストも紹介されており、そのうちCGアニメコンテストについては、9月に京都で上映会が行われた第21回の受賞作品を視聴出来た。

 シンポジウムやセミナーとしては、22日は「2000年代の個人制作アニメーションと環境変化」、「ASEAN+3諸国のCG制作」、24日は「アジアCG・アニメーション教育会議」、25日は「『ウサビッチ』の監督が語るCGワークフロー」、「アニメーション制作におけるモーションキャプチャーの存在」、「最新3Dコンピュータグラフィクス映画『ホッタラケの島~遥と魔法の鏡~』にみる演出論と制作手法をめぐる葛藤と技術的勝算」などである。

hayakawa.jpg 『ウサビッチ』の監督が語るCGワークフロー」では、『ウサビッチ』の監督であるカナバングラフィックス代表の富岡聡氏が、絵コンテなどのメイキングやプロデューサーとのやりとりなどを面白おかしく語っていた。
 今後の展開として、東京国際アニメフェア2009で発表した『やんやんマチコ』や10年前に自主制作した『SiNK』の最新動向も伝えられた。

 一方、高精細映像を追求している同時開催の第2回4Kデジタル映像祭でもトピックがある。第2回4Kデジタル映像祭では、月探査衛星「かぐや」の「The Moon in Google Earth 『SELENE/かぐや』」や小惑星イトカワから帰還中の「はやぶさ」の映画「『HAYABUSA』のメイキング~いかにして4K映像を作ったか~」など、基本的には鮮明なCG映像の紹介となっている。
 しかし「超高精細・大画面の特徴を最大限に生かすアニメーション表現~世界初の4Kドローイングアニメーション『塵芥集』のワークフロー~」では、それらとは異なるアプローチが試みられている。作者の早川貴泰氏は手描きの特性を生かし、解像度がフリーであるベクターを介した解決法を示している。

kanaban.jpg 2000年代の個人制作アニメーションと環境変化」では、そうした様々な事例や問題点も前提としていた。紹介された作品の制作手法もさることながら、そうした多岐に渡る活躍のフィールドにも触れられており、1つのキーワードではひと括りに出来ない多様さが見て取れた。

DIGITAL CONTENT EXPO http://www.dcexpo.jp/

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2000年代の個人制作アニメーションと環境変化 紹介作品

 『ioCI』/『ガソリンマスク』(サンプル) 神風動画
 『Chaos of Fenia』(予告編) 伊藤国臣
 『BIBLIOMANIE』(予告編) 藤田純平
 『音のおもいで』/『雨の日は、何色?』 わたなべさちよ
 『公園一日』 竹内泰人
 『熱血宇宙人』 山元準一

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2009年11月12日
イベント ]
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 2010年3月劇場公開が発表された映画『時をかける少女』の完成披露試写会が、早くも11月11日に東京・スペースFS汐留で行われた。会場には谷口正晃監督と主演の仲 里依紗さん、中尾明慶さんも姿を見せ、2010年に新たに登場する実写映画の完成を祝った。
 『時をかける少女』は、作家筒井康隆さんを代表するSF小説を原作とする。これまでにもたびたび映画化、テレビドラマ化されて来たが、今回は「原作発表当時の感動を今の世代にも伝えたい!」という製作陣の想いから2010年版の新たな物語として生まれ変わった。

 舞台挨拶に立った仲 里依紗さんは、2006年のアニメ版でも主演真琴役の声を演じている。同じ原作の作品で2度目の主演となる。これについて「アニメ版もとても思い入れの深い作品だったので、『いつかまた「時をかける少女」に関わる仕事をしたい』と思っていました」、「だから今回はプレッシャーがありましたが、一生懸命やるしかないと思って頑張りました」と話す。
 また、1970年代の風景が映画に登場することに触れた。「ファッションや髪型とか街の風景が、すごくオシャレだと思いました。今、前髪パッツンやボブカットが流行っているので、『時代は回ってるんだなぁ』と思いましたね」と映画の撮影と伴に、あたかも自身も時をかけてきたかの様だ。

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 一方で、自分が生まれていない時代の役を演じるので色々な挑戦があったという中尾明慶さんも、70年代ファッションに魅せられた。「吉田拓郎さんや松田優作さんが実際にロン毛だったんですよね。『格好いいなぁ』と思いました」と言い、「僕の70年代のファッションも予想以上に似合ってたと思います(笑)」とアピール。
 ところが、仲さんからは、「(明石家)さんまさんみたいだったよね」と突っ込みが入り、会場の観客からの笑いを誘った。
 監督はそんな二人に対して、「2人とも小手先の芝居をしないで、役を深く受け止めて、本当によく頑張ってくれました。現場で演出していて、何度も泣かされました」と絶賛する。

 映画公開は来年3月とまだ時間はあるが、今から楽しみな作品となっている。映画に取り憑かれた人間たちが隅々まで丁寧に作った作品と監督が語る 『時をかける少女』の公開を待ちたい。

『時をかける少女』 http://tokikake.jp
2010年3月全国ロードショー
配給: スタイルジャム

【スタッフ】
原作: 筒井康隆(「時をかける少女」(角川文庫、角川つばさ文庫)
監督: 谷口正晃
脚本: 菅野友恵
撮影: 上野彰吾
照明: 赤津淳一
美術: 舩木愛子
編集: 宮島竜治
録音: 小川武

【キャスト】
出演:
仲 里依紗、中尾明慶、安田成美
青木崇高、石橋杏奈、千代將太
柄本時生、キタキマユ、松下優也 / 勝村政信、石丸幹二

       tokikake2010.JPG
        (c)映画「時をかける少女」製作委員会2010

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2009年11月04日
アーティスト ]
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 10月30日から11月3日、静岡文化芸術大学にて文化庁メディア芸術祭浜松展が行われた。第12回文化庁メディア芸術祭で、岩井俊雄氏とヤマハが共同開発した「TENORI-ON」がエンターテインメント部門の大賞となった。今回、浜松がヤマハのお膝元でもあることにちなんで「音」をテーマとして実施された。

 その最終日11月3日には、シンポジウム「音楽がアニメーションをどう変えるか Animation Metamorphoses」が開催された。このシンポジウムも「音」というテーマに準じている。 
 当日は、作曲家の菅野よう子氏が『カウボーイビバップ』などの監督・渡辺信一郎氏、『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』などの監督・神山健治氏を招くというスタイルで、脚本家の佐藤大氏が司会進行を務めた。今まであったようでなかったこの珍しい組み合わせもあって事前申し込みが殺到し、会場は当選者で満席となった。

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 佐藤氏がシンポジウムの経緯を説明した後、まず渡辺氏と神山氏が登場した。佐藤氏は2人に菅野氏と最初にあった時の印象とその後の印象について訊ねた。
 渡辺氏は『カウボーイビバップ』の前、『マクロスプラス』で菅野氏と出会っている。菅野氏のキャラクターのため、「自称作曲家とか言ってるけど本当に曲を作れるのか」などとスタッフ間で訝っていたという。しかし、「出来上がった曲を聞いて、人を見かけで判断してはならないと思い知った」。
 逆に神山氏は菅野氏が著名になってから会った。『攻殻機動隊S.A.C』の時にプロデューサーに頼みに行けと言われた際に、とても緊張していたという。「(自分が)頼りなく見えたので、可哀相に思ってやってくれたらしい」。

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 それから満を持して菅野氏が現れた。自己紹介として自身のこれまでのサントラをメドレーで奏でて見せた。そして佐藤氏が菅野氏からトークじゃない方がいいと事前に申し出があったことに触れると、「その時々に映像にどういう感覚で音楽をつけてるのかを生で体験しよう、自分達のやってる仕事を同じように皆さんに体験してほしい」と菅野氏は答えた。
 サンプルとして使われたのは、『攻殻機動隊S.A.C』や『カウボーイビバップ』のワンシーンだ。最近のヒット曲や時代劇、菅野氏の即興演奏などをあてた映像で会場が沸いた。

 菅野氏が今回トークの2人を選んだのは、以前に関わった作品が誇りに思えることを理由とした。渡辺氏が音楽に詳しくて演出もグルーブしている。一方、神山氏は言葉である程度のことが説明出来て、映像もしっかりしているという対比でもある。

 神山氏は「セリフに脳味噌が支配されている」と自己分析している。そのため『攻殻機動隊S.A.C』の制作途中まで、絵コンテの段階で音楽が意識されることが全くなかったと述べた。
一方、現在手掛けている『東のエデン』に関しては、音楽が最初からイメージされており、最終回のラストシーンの曲を最初に発注出来たそうだ。
 渡辺氏は神山氏とは対称的に、曲をかけながら作業しているくらいであるそうだ。「あまりに最初から決めつけちゃうと、あとからそれに縛られちゃう」との談に、神山氏は「編集と音が連動していると感じる。編集まではあまり決まらない。編集で切ってると見えてくる」と応じた。

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 そうした2人からのオーダーに菅野氏がどう対処するのかにも話が及ぶと、菅野氏が「同じような曲でも神山さんにはちょっと“ささくれ”。渡辺さんには”やさぐれ”」だと語った。
 作品を見るというよりも監督自身を見ていることに両氏は面食らっていた様子だった。神山氏の“ささくれ”について菅野氏も渡辺氏も、いい意味で青臭いとこが羨ましいと褒め、中年のささくれではなく19歳のそれだと補足した。「自分でも真面目すぎるとは思う」という神山氏に、渡辺氏は「青臭いままでいてほしい」と返した。

 菅野氏は質疑応答の前にこう締めくくった。それは音楽をふざけて何でも当ててみるというよりも、意外にちゃんとした可能性があるということでもある。「正解のない中で表現をしていく可能性がこんなにあるんだと感じて頂ければ」。
【真狩祐志】

文化庁メディア芸術プラザ http://plaza.bunka.go.jp/festival/

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菅野よう子、渡辺信一郎、神山健治、佐藤大 浜松でシンポジウム

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2009年11月03日
セミナー・講演会 ]
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 10月25日、東京国際交流館にて「最新3Dコンピュータグラフィクス映画『ホッタラケの島~遥と魔法の鏡~』にみる演出論と制作手法をめぐる葛藤と技術的勝算」が開催された。このトークショーは、10月22日から4日間開催されたデジタルコンテンツエキスポ2009のプログラムの一環である。
 当日は、アニメアニメジャパンの数土直志氏がモデレーターを務め、プロダクションI.G代表取締役社長の石川光久氏と『ホッタラケの島~遥と魔法の鏡~』で監督の佐藤信介氏がトークを繰り広げた。

hottarake2.jpg 最初にどうして監督が佐藤氏に決まったのかについて石川氏が語った。お話を作れること、CG技術に対して貪欲な技術があること、ハイクオリティなものを作るだけでなく、映画として暖かいものを作る資質を持っていることの3点を理由として挙げた。

 その後に佐藤氏が監督に決まっていった経緯を説明した。実際に話があったのは4年前、CGの面白いものを原作なしでやりましょうというのが発端で、流行などに依拠しない点にシンパシーを感じたという。
 佐藤氏は大学の頃に自主映画を撮っており、ぴあフィルムフェスティバルでも受賞している。ただその頃は、同じ映画仲間が賞を撮りたい、自分のことを描きたいといった理由が多いなか、皆が楽しいと思えるものを作りたいというのを動機とした人は少なかったそうだ。
 『ホッタラケの島~遥と魔法の鏡~』の企画が来たときに、自身の思い描いていた自主映画の感覚にピタッときて、学生時代を思い出したと述べた。CGに関しては未だに手探り状態で、それは90年代に自身が映画業界に入って感じたことと似ているという。

 CGでの監督をやることに抵抗がなかったのは、これまでゲームのオープニングや幕間のムービーに携わることも多々あったためである。こちらでは同世代か年下だけで制作を行っているのが新鮮であるという。
 実写とアニメーションとの比較において、佐藤氏は実際にマウスを握っているアニメーターを役者に喩えた。これはアニメーションをモーションキャプチャーではなく手付けで行っていることにも起因している。現場の人に個々に話をするというより、演出の方に話をするという風にまとめ、そこから砕いてアニメーターにやってもらうのが今回のスタイルだったため、役者さんと出会ってやっている感じはあったそうだ。

 一方、石川氏は、制作のなかで取った佐藤氏へのサポートについてコメントした。CGより実写の監督の方が遥を可愛く出来るんじゃないか考えたと考えた石川氏は、3Dで日本的に可愛くするというところに敢えて挑戦していくための開発に2、3年かけたことから話を切り出した。
 サポートというのは現場もお金を出すだけではなく、作り手側だけでなく出資者側も現場のキャラクターが出来るまで見守るなどの我慢強さを見せるべきだ、これからこの作品が試金石になって継続的に環境を作らないといけないなどと力説した。

 佐藤氏は次回作で『ガンツ』の実写版制作に取り掛かっている。クランクインの前に前倒ししてカットを分析していかねばならない点では、『ホッタラケの島~遥と魔法の鏡~』で経験したプロダクション管理のノウハウが生きていることを実感している。
 例えば実写の場合は、ひとところに集めてセットを見れば大体雰囲気が分かるが、CG作品となると、自分の作ったカットは見てても全体像は見ていないので、全貌が見えてる人は本当に少ないからであるという。
 『ガンツ』に関しては、そもそも映画になるのかとか、そういうこと言われれば言われるほどやる気が出てくるという気持ちでやっているそうだ。 

 最後に石川氏は、人に呼び起こさせる感動の度合いは、地味な積み重ねをどれだけ大きく積み上げるかによると締めくくった。これは、実写だからとかアニメーションだからCGだからとかでなく、映画を作るんだという環境を世の中がなかなか用意してくれないという背景も含まれていた。
【真狩祐志】

DIGITAL CONTENT EXPO http://www.dcexpo.jp/

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2009年11月02日
セミナー・講演会 ]
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 10月16日から19日まで、横浜赤レンガ倉庫にて日本アニメーション協会(JAA)主催によるイントゥ・アニメーション5・横浜が開催された。初日16日には、『装甲騎兵ボトムズ』などで知られる高橋良輔監督のトークショー「テレビアニメにおけるオリジナルとは」も行われた。
 短編作家の所属が多いJAAへの高橋監督の参加は珍しく思われるかも知れないが、これはJAAの初代会長が手塚治虫だったことに由来している。高橋監督は虫プロダクションに勤務していたこともあり、その流れでJAAの会員としての在籍歴がある。また、当日はサンライズの企画開発室室長である井上幸一氏も登壇した。

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 高橋監督は、「漫画原作を貰わずに監督や脚本の人たちを中心としてプロダクションの独自制作でテレビ放送までこぎつけた作品」をこれまでオリジナルとして意識してやってきたという。
 そうして制作された監督の作品『太陽の牙ダグラム』から話が進められた。一時期ギャグものをやった方がよいという意見もあったことから、『ダグラム』が終わった後に2頭身の『チョロQダグラム』をパイロット版として作った。
 「その当時『アラレちゃん』(Dr.スランプ)が大人気で、頭身を縮めてディテールを描きこんだものがギャグの世界を展開するのが面白いなぁと思った」と話す。

 続いて『装甲騎兵ボトムズ』に話題が移った。『マジンガーZ』から『機動戦士ガンダム』に至る白装束ヒーローの要素は人気を維持しているため、その方向性は要らないと感じたところから始まっている。
 それに加えて「やっぱりガンダムの世界がもし戦争だとすると、海軍や空軍はやっちゃってるわけですよ。それなら地べたを這いずり回る陸軍しかない。しばらく僕のロボットは空は飛ばなかったですね。飛ぶと言うか吊り下げられてく感じ」と高橋監督は述べた。

 また高橋監督は『ダグラム』で色々やり残したことを完結させたらどうだろうと考えたうちの1つが『ボトムズ』だったという。例えば、アクション部分にスピード感を持たせるためには、ロボットのサイズの限界が4メートルだったそうで、「あれより小さくなるとイメージはパワードスーツになる」。
 それに関して井上氏は、「パワードスーツだと中に人間も入れて2重の構造にしないとオモチャ屋さんが商品にしてくれない」、「あと、番組上ロボットは手とか足とかバラバラになったりするんですけど、パワードスーツでそれやると放送しにくいなぁ」と当時の事情を語った。

 最後に井上氏は、アニメーションが子供向けのものが物凄く減っており、次の世代が見てくれないとどんどん年寄りのものになってしまうことを危惧した。それに対して「『ボトムズ』を新しくしていくのもアリかな」とした。
 そして高橋監督は、「漫画の読み手として傍で仕事が出来たこと、アンタも作り手なんだからと言われたこと。先生は対等に見てくれた」と手塚治虫がいた幸せに感謝した。
 イントゥ・アニメーション5・横浜の会期中は、実物大ボトムズの屋外展示や高橋監督をフィーチャーした「テレビアニメから生まれたアート」と題した特別展示コーナーも設けられていた。
【真狩祐志】

イントゥ・アニメーション5・横浜 http://www.jaa.gr.jp/into5/
ボトムズ http://www.votoms.net/

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イントゥ・アニメーション5・横浜開幕 実物大ボトムズも展示

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