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2012.02.02
そのほか ]
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 10年前の2002年2月2日。待ちに待ったOVAが下北沢の短編映画館トリウッドで公開された。そのアニメーション作品の名は『ほしのこえ』。トリウッドには早くから長蛇の列が出来ていた。
 それから10年が経過した2012年2月2日。新海誠監督は、その当時トリウッドで観客に配布したメイキングCD-ROMの内容を自身のサイトで公開した。配布されたのは4月19日の17時からの回の観客に対してである。座席数分の限定42枚とあって、現物を手にした人にとっては何よりも代えがたい宝物であるに違いない。

 サイトに掲載されたのは、「初期イメージイラスト&字コンテ」、「絵コンテ」、「映像制作」などのメイキングだ。完成版の本作とは若干異なり、完成までの試行錯誤も見て取れる。
 そして「未公開予告編」と「未公開・最終回予告編」もアップされている。『ほしのこえ』の予告編は計4本であるが、公開された「未公開予告編」は3と4の間、そして「未公開・最終回予告編」は前年のCG合宿で披露されたものだ。
 
 CG合宿とは、大阪のPROJECT TEAM DoGAが主催するCGアニメコンテストの入選者が集う勉強会である。新海誠監督は、2000年の第12回に『彼女と彼女の猫』でグランプリを受賞していた。『彼女と彼女の猫』は新海監督がCD-ROMで自主販売も行なっていたが、『ほしのこえ』の予告編1と2も含まれていて話題となった。予告編1と2はサイトでも公開されていた。

 『ほしのこえ』は、2002年の第14回CGアニメコンテストでも特別上映されている。なお、第14回はグランプリは出ていないものの、田澤潮さんの『Life No Color』、poeyamaさんの『Quino』、吉浦康裕さんの『キクマナ』、江村豊秋さんの『Emigrate Ship -移民船-』が賞を分けあった。田澤さんはこの受賞が縁で新海監督作品に関わるようになった。他も『ゴノレゴ』で知られるpoeyamaさん、『イヴの時間』などの吉浦さん、ベテランアニメーターの江村さんとレベルの高い回だった。
 2002年は何かと個人作家が熱い年でもあった。青池良輔さんの『CATMAN』、ロマのフ比嘉さんの『URDA』、真島理一郎さんの『スキージャンプ・ペア』、山村浩二さんの『頭山』などが誕生した年でもあったからである。
【真狩祐志】

Other voices-遠い声- http://shinkaimakoto.jp/

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2010.09.11
そのほか ]
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by ロミ

白状すると、筆者は「イナズマイレブン」のファンではなかった。というよりも、何の予備知識もなしに筆者はこの舞台を観た。結果…かどうかはわからないが、やはりライブパフォーマンスはイイ!と素直に感じることができた。今ではすっかり「舞台版イナズマイレブン」のファンである。

平面的で広いサッカーフィールドをどうやって舞台で再現するのか―?それが舞台を目にする以前に筆者が抱いた疑問だった。その答えは「空間を3次元的に利用する」にあった。公演の行われているGロッソはヒーローショー専用の劇場、思った以上の立体ステージとなっている。奈落などの設備も充実しており、これなら存分に超次元サッカーが展開できる。さらに、平面を立体に見せるということは、観る側の想像力によって補うことが不可欠であり、つまりこの舞台を楽しむには、観客の「協力」が必要となる。

本作の主人公・円堂が必死に足りない部員数を集めるために勧誘する場面でも言っているが、サッカーは世界中で最も競技人口の高いスポーツであり、言葉のわからない相手でも一緒にプレイできる。万国共通語とも言えるほど皆が知っているサッカーだからこそ、広いフィールドを舞台上でそのまま再現せずとも、ボールを追ってシュートが決まるか決まらないかで試合内容を把握できるのだ。
ステージの構造については、ゲネプロレポートに詳しいので割愛するが、シンプルなため一見シュールに見える。ただし、下手に大道具に凝ってしまうと、せっかくのキャラクター再現度が目立たなくなってしまうだろうし、背景も含めての総合的な「似てる・似てない」になってしまうので、これが正解だろう。おそらく子供たちには、ゲームやアニメで親しんだ練習場やスタジアムの背景が心の目で見えるに違いない。
しかし役者さんたちも大変である。3次元舞台を上下左右しての芝居(カツラなどで視界が狭くなりながら、そのキャラになりきる役作りも含む)、他にも歌って踊って、飛び降りたり宙返ったり、ワイヤーに吊られたり…等々、とにかくアクション目白押しなのである。これなら子供達も大喜びに違いない。(一緒に観に来ていたお父さんたちも「凄かったなー」と感想を漏らしていた。)おまけに最後には、意表をつく「大技」が待っている。
そしてほとんどの観客の方は、やはりキャラクターがどれだけ忠実に再現されているのかが気になるところだろう。その肝心の再現性だが、その半端なさは稽古レポートにもある通りである。
サッカーは11人揃わなければできないため(ライバルの帝国学園側が5人しか登場しない、というのはこの際置いておく)舞台の上には必然的に人数が多くなる。だが、それぞれがきっちりとキャラ立ちしている。円堂の絶えることのない笑顔、あくまでポジティブな性格は、さすが弱小チームを引っ張っていくだけのキャプテンだけある。原作の円堂の様子を想像できる。クールな豪炎寺も、原作では寡黙でありながら、優しい妹思いの性格であることがうかがい知れる。筆者は原作をあまり知らないのだが、個々のキャラクターの特徴がハッキリしているため、誰がどんな性格なのか、何を動機として動いているのかが把握しやすかった。
このようにキャラクターのバックグラウンドや心の葛藤の描写などをきっちり押さえているため、ドラマも子供がわかるようなシンプルなつくりながら、しっかりしている。友情や裏切り、家族愛が描かれており、親御さんたちも楽しめるだろう。単なる勧善懲悪ではない。(そもそもサッカーに善悪があるのかは疑問だが、影山総帥は策略家のワルである。)
さらにドラマ上の長い会話シーンでは、段差のある舞台を活かして背景でサッカー練習を行うなど、ステージ上では常に何かが動いている、という工夫がなされており、小さいお子さんが飽きてしまうようなこともなさそうだ。逆に「目が忙しい」という感想があるほどで、リピーターとなって次はこっちのこのキャラを集中して観てみよう、という公演に通う動機づけになりそうである。ただし、ドラマ上重要なシーンでは、演技に集中できるように舞台上のキャラクターたちも観客と一緒に事の運びを見守る、という連帯感を感じる機会もある。
所詮は荒唐無稽な世界観のゲームやアニメが原作、とたかをくくるところを、逆にあれだけ「これってサッカー!?」と、その一見ギャグかとも思える内容(そもそも球技に“必殺技”があっていいのか?という疑問がよぎる)に真っ向から取り組み、エンターテインメントに昇華させた手腕にただただ脱帽である。考え抜かれた演出には、役者さんのみならず、脚本家や演出家の方々がこの作品を理解し、そのエッセンスをいかに2Dから3Dに移すか、苦心されたであろう。だが、逆にこれくらい派手な演出で見せないと、見栄えがしない。「イナズマイレブン」の名がすたってしまう。
そしてやはり、「イナズマイレブン」といえば大仰なアクションである。筆者は本物のサッカーボールを実際に蹴っていることからして驚いた。(試合のシーンでは演出上エアボールに切り替わるのだが。)さらにワイヤーアクションもこなせる若い俳優たちが、必殺技を披露してくれる。この最大の見所とも言える必殺技が、観ている側を「決まるのか?失敗するのか?」とハラハラドキドキさせる。ライブである以上、ともすれば失敗する可能性だってあるのだ。だがこれこそが、ライブパフォーマンスならではの興奮だろう。

つまりは、こうしたことすべてが、結果として総合的に演じる側と観る側に一体感を生み出すことになっているように思う。役者さんは、観客席までやって来て「サッカーやろうぜ!」と呼びかけてくる。「G」「O」「O」「D」と一緒に字をポーズしたり歌うことを促したりもする。映画の中ではカメラ目線となるため不特定多数の観客に向かって語りかけるが、「舞台版イナズマイレブン」では目の前に登場人物がやって来る。「入部しないか?」と誘われれば、思わず「OK!」と答えたくなってしまう。そして観客は、いつのまにか雷門中サッカー部員を応援しながら心の中で一緒にサッカーをしているのである。まるでW杯で日本国中が湧きながらサムライジャパンを応援していたように。共通のキーワードは「あきらめない」だ。同様の熱気を筆者は観客席で感じることができた。

とにもかくにも、舞台の最初(開演前の注意事項の説明からすでにはじまっている)から最後まで、「イナズマイレブン」の世界観をどう再現しているのか、一見の価値ありである。ちなみに、幕が降りたからと言って早々に席を立つのはオススメしない。なぜなら、「今日の格言」が用意されているのだから。
一体感を持ちつつ味わう、それが「舞台版イナズマイレブン」の醍醐味だ。ぜひ、この超次元っぷりを劇場にてご堪能いただきたい。

-END-

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2010.09.09
そのほか ]
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 再びアニメ!アニメ!公式レポーターTです。いよいよ初演を明日に控え、本番舞台のシアターGロッソへゲネプロ・レポートに行って参りました! ゲネプロとは、公演間近に舞台で行われる最後の全体リハーサルのこと。前回の、ダンススタジオで行われた通し稽古とは一転、モダンな階段状客席に座って見渡すGロッソの舞台は、奥行きといい高低差といいガラリと違う趣で、非常に新鮮に映りました。今回は主に、通し稽古では見られなかった舞台装置や映像などについてレポートします!

 Gロッソは、ジオラマを構成しやすい起伏に富んだ舞台で、水平の三段ステージに加え、左右には張り出しもあって立体感抜群。緞帳が上がり、スクリーンにアニメーションを流しながらの人物紹介は、雷門イレブンに親しんだ子どもたちが心躍らせるスターティング! 前回はかぶりつきでの見学だったのに対し、今回はかなり離れての鑑賞。せっかくのメイクがしっかり見られなかったのは残念ですが、その分、マイクの音量が上がって、ライトもこまめに調整され、俯瞰的に全体を楽しめる感じでした。
 さてさて、懸案の必殺技はというと…、キマってましたよぉぉ! そりゃぁもう、度胆を抜かれる演出で、“ファイアトルネード”も“ゴッドハンド”も、子どもたちは大喜び(大ウケ?)すること間違いなく、“デスゾーン”にいたっては肝を冷やすかも?! ライトやスクリーンがうまく使われていて、必殺技発動シーンはもとより、夕暮れの鉄塔広場や、帝国学園登場時のシルエットの妖しさ、宙を切るサッカーボールなど、狭い舞台を広く感じさせる工夫が随所に施されています。また個人的には、小道具を出し入れする黒子さんが、黒い審判服で働いている所に、芸の細かさを感じたりしました(笑)。

 話がやや舞台装置に偏りすぎましたが、役者さんの演技は前回同様ノリノリです! 主題歌は是非、一緒に合唱しましょう♪ また、円堂君が客席までスカウトに来たら、入部希望出してみるのも一興?! 豪炎寺君が客席を走り抜けたら、追いかけちゃダメですよ! ミニスカートの夏未さんが高いステージに上がってても、紳士的にご覧くださいね。万が一、客席までサッカーボールが飛んできたら、そのときはさりげなく、こっそりと舞台にボールを返すのが吉。 
 当日は、雷門イレブンの強力なサポーターとして、客席の皆さんも一緒に、フットボールフロンティア地区予選決勝を応援しましょう♪

[演出家の大和田悟史氏に
     「舞台版イナズマイレブン」の見所をうかがった]

「アニメのものをイメージする方や、サッカーがお好きな方もおられると思います。皆さんが観て「あ、面白い!」という風に思えるものをお届けしたい。現在(8月下旬の時点)も引き続き、役者・スタッフ一同努力している最中です。
原作のゲームやアニメーションが、人間ができないことをやる!という目的で作られているので、それを(生身の)人間でどうやるのか、どういう風にお客さんに伝えるのか。僕自身も幕が開いたときにどういう受け入れ方をしていただけるのか、非常に興味があります。役者たちもずっと稽古してきている中で作り上げてきてはいますが、やっぱり幕が開いてお客さんの前でやったときに「あ、これが舞台版イナズマイレブンなのか」というのを全員が理解すると思っています。」

大和田悟史プロフィール:
「実相寺組」所属の脚本家・演出家 。
映画『MAIL』、『グミ・チョコレート・パイン』の脚本を担当。代表作に、演出も手掛けたミュージカル『忍たま乱太郎』がある。

       IE_butai_logo.jpg
       (c)LEVEL-5/FCイナズマイレブン・テレビ東京
       (c)LEVEL-5/FCイナズマイレブンACT2010

舞台版「イナズマイレブン」
http://www.inazuma-butai.com/index.html日程: 9月4日(土)~9月12日(日)
平日: 19:00開演 土日:12:00/17:00開演
会場: 東京ドームシティ シアターGロッソ
URL: www.inazuma-butai.com
[チケット情報]
ローソンチケット(発売中)
イナズマイレブン特設電話番号:0570-084-707
イナズマイレブン特設URL http://l-tike.com/inazuma-butai

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2009.11.08
そのほか ]
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数土直志

【脱テレビ?『ガンダムUC』の驚き】

 少し早いが2010年のアニメ界を予測してみて欲しい。2010年の注目の作品は何だろうか?数ある作品の筆頭に、『機動戦士ガンダムUC』が加わることは間違いないだろう。何しろ「ガンダム」は、いまや国民的キャラクターブランドである。その最新作、しかも人気の高い宇宙世紀のシリーズと来れば、アニメ雑誌でなくても取上げたくなる興味あるタイトルだ。
 しかし、2010年に『ガンダムUC』が注目されなければいけないのは、作品それ自体だけでない。むしろ、『ガンダムUC』が現在進めるビジネス戦略のほうが、アニメ業界全体にとってより重要でないだろうか。

 2007年からアニメ業界が下方トレンドに入ったことは、既にたびたび指摘されている。その理由には作品の過当競争や特にマニア向けの作品の収益を支えてきた映像パッケージ市場の売上げ不振がある。こうした混迷を抜け出すべく、様々な企業が様々な試みを行っている。
 その最もドラステックな挑戦が、『ガンダムUC』である。『ガンダムUC』の挑戦、それはすなわち「脱テレビ」である。長年テレビというメディアに深く依存して来たアニメ業界の中で、これまでのビジネスの在り方に真正面から挑戦するかたちだ。

 これまでアニメ作品は、例外は多いとしても地上波テレビ、あるいはその代替としてのU局ネットから作品の公開をスタートしている。アニメ公開の第1ウィンドウは地上波でのテレビ放映、その後にインターネット配信、有料ケーブルチャンネル、映像パッケージの発売などが続く。
 ところが、10月25日にバンダイナムコグループが発表した2010年の『ガンダムUC』のメディア展開には、テレビ放映が含まれない。Blu‐Ray DiscとDVDの発売日、PlayStationStore(PSS)での配信開始、さらに劇場イベントでの先行上映が組み合わせられる。少なからぬ人が、「テレビ放映はないのか?」と考えただろう。ガンダムほどの大型シリーズの展開には、テレビ放映こそが相応しいと思えるからだ。
 現状で全てのビジネス戦略を発表していない『ガンダムUC』が、今後テレビ放映を発表することはあるかもしれない。しかし、それは二次的なものに過ぎない。劇場とネット、そして映像パッケージと海外マーケットを同時展開するストラテージを組む『ガンダムUC』のビジネスの中心に、テレビ放映は位置していない。

 テレビ放映がない一方で、イベント上映と名を打って全国5都市で2週間限定の劇場公開(発表では上映としか述べてない)を行うのが今回の展開の大きな特徴だ。
 その変則的な公開もさることながら、劇場上映とネット(PSS)の同時配信、それに期間を置かない映像パッケージの発売は、これまでにあまりないウィンドウ戦略となる。

 つまり、これまで一般的だった「テレビ→映像パッケージ」or「映像パッケージ発売単独」であったウィンドウ戦略が、「劇場上映+ネット有料配信+映像パッケージ全て同時」という新しいかたちに移行している。ここでは劇場とネットの重要性が増している。
 劇場公開の重視は、2008年からアニメ業界を覆う大きなトレンドである。そして、一方でネット発の有料展開は、これまで多くの試みが行われ、必ずしもうまく行っていないビジネスである。
 劇場=イベントというオールドメディアとPSSでの配信という最も新しいメディアが結びつくことで新たなビジネスを生み出したい、バンダイナムコグループはそう考えているようだ。

【アニメとテレビ放映の力】に続く

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そのほか ]
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【アニメとテレビ放映の力】

 「脱テレビ」についてもう少し考えてみよう。アニメにおけるテレビ放送抜きのビジネスは、実はここ数年少しずつ増えている。その大きな理由は、アニメのテレビ放映は深夜を中心に、製作費以外に電波代などテレビ局に追加に支払うコストが発生するからだ。
 映像パッケージの売上げが下がるなか、これがアニメ製作にとって負担になりつつある。一方で、地上波、U局ネットで放映することなく発売されるOVAも増えている。そのラインアップには、それまでテレビで放映されていた人気アニメの続編シリーズが少なくない。また、講談社がOADと呼ぶシリーズのCLAMP作品、『魔法先生ネギま!』など、集英社の『To LOVEる-とらぶる-』など、出版社が自社作品を自らアニメ化して、書籍流通で販売する方法も増えている。こちらもテレビアニメの放送は原則ない。

 これらの作品に共通するのは、既に先行する作品・原作があり、知名度が高い点である。作品自体に相応の知名度がある場合、目標とする売上の大きさによっては、テレビ放映は必ずしも重要ではない。
 深夜放送に期待される大きな役割のひとつが作品の認知度のアップだ。しかし、地上波テレビ放送=大型作品との認識とは裏腹に、大型ブランドであればあるほど深夜のテレビ放映から離れていく傾向がある。

 一方で、テレビ放送がもたらすとされてきた宣伝効果自体への疑問もある。つまり、特に深夜25時、26時、27時に放映される場合、どれだけの番組宣伝効果が発生しているか計れないからである。
 視聴率はさほど気にされていない。そして、視聴率が低くても録画で観られているという説明はされている。しかし、それは観たい人が準備して観ていることになる。テレビに期待されるたまたまチャンネルを回している人が作品を知るきっかけになるという効果が、どの程度あるかはあまり明らかではない。

 その宣伝効果の代替として2000年代に入って期待されたのが、インターネットを通じた動画配信だった。ところが、ネット時代を期待して展開された作品が、いずれも知名度が伸びず、商業的に苦戦した。
 例えば、GayOの製作した『NIGHT HEAD GENESIS』、サンライズ作品であれば『リーンの翼』、『幕末機関説 いろはにほへと』、さらにPSSを通じて配信された大型タイトル『亡念のザムド』など、最近ではニコニコ動画発のオリジナル作品もこの中に入るかもしれない。作品の評価は必ずしも悪くなっただけに、これらはインターネットでは作品はファンに届かないという認識を強化した。
 能動的なメディアであるインターネットでの宣伝効果は限定的、やはりテレビの持つ宣伝効果は無視出来ないとテレビの力が再評価されたかたちだ。結果として深夜テレビ放送のビジネスは持続している。

【ウインドウを切り離し、並べ直す】に続く

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そのほか ]
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【ウインドウを切り離し、並べ直す】

 ところが2008年、テレビ放映の持つ力に対して、意外なオールドメディアが挑戦することになった。劇場公開である。そのきっかけのひとつが『空の境界』である。2007年12月に始まった『空の境界』7部作の大きなムーブメントは、いまさら説明する必要もないだろう。
 『空の境界』の驚きは、小規模なロードショーを行うだけでOVAタイプの作品が各巻10万本売れるという事実である。つまり、テレビ放映がなくても、十分な宣伝効果は可能でテレビシリーズを大きく上回る映像パッケージの売上が実現出来るという発見である。

 実はこうした現象は、『空の境界』だけに限ったものではない。『空の境界』は劇場興行と映像パッケージのギャップが大きかったことから注目をされたが、同じ様な現象は劇場版『機動戦士Zガンダム‐星を継ぐ者‐』(2005)、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』(2007)、『時をかける少女』(2006)で既に用意されていた。
 事前の予想を上回る映画興行、そのなかで醸し出されるお祭り感、一体感、そしてヒット作=面白い作品という期待である。こうした作品はお祭りの着地点として、映像パッケージが設けられた。通常DVDやBDを買うのは作品映像を買う側面と、パッケージに付属する特典を購入する側面がある。しかし、ここではお祭りに参加した証として、最終的な確認のための映像パッケージの存在が垣間見える。

 近年アニメ関連の消費が、これまでの映像を観る行為、その映像をコレクションする行為から、アニメを中心に体験する行為に移っている。それは声優イベントやアニソンイベントの盛況、大量動員を続けるゲームショウ、アニメフェアなどの実績からも理解出来る。劇場鑑賞は、そうした体験型のファン消費のひとつとして復活しつつある。
 また、映画興行によるお祭り感は、インターネット配信と異なり、雑誌や他のメディア(ネット媒体でさえも)に対して大きなプロモーション効果を発揮するなど、作品展開の最初のウィンドウとしての優位性がある。

 本来映像作品の最も効率的、かつ合理的な利益回収方法、そのウィンドウ戦略は、クローズドの有料公開から次第に価格を下げながら、より幅広い層に展開していくものである。劇場公開と有料のインターネット配信は、ファーストウィンドウとして、本来可能性が高いものだった。
 1997年の『新世紀エヴァンゲリオン』の深夜再放送がきっかけとされるテレビ放映とパッケージ販売は組み合わせるビジネスモデルは、これまで大きな威力を発揮した。しかし、その耐用年数はそろそろ終わりに近づいているかもしれない。
 『機動戦士ガンダムUC』は、この綻びたアニメビジネスを、これまでとは異なったかたちで再構築しようとしているように見える。それは、テレビ放送、劇場公開、映像パッケージ発売、インターネット配信を一端バラバラにして、最も儲かると考えられる順番に並べ直す作業である。
 今回の「劇場公開、映像パッケージ発売、ネット配信をほぼ同時、テレビ放送は含まれない」、この順番が正しいかは判らない。しかし、これまでのウィンドウを並べ直す試みは、今後も大きな潮流になるに違いない。

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『機動戦士ガンダムUC』 公式サイト http://www.gundam-unicorn.net/

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2009.10.08
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 9月26日と27日の両日、京都コンピュータ学院にてCG ANIME EXが開催された。このCG ANIME EXでは先に報じた通り、1日目に第21回CGアニメコンテスト、2日目にCGアニカップ日仏親善試合を実施している。

 今回は応募総数が609本から259本となった。これは締め切りが変更になったことの影響のほか、半数が初心者部門の応募に支えられていたからであるという。
 初心者部門への応募が昨年333本であったのに対し、今年は57本だったそうだ。入選作品上映会では例年初心者部門の作品紹介も行われているが、今回上映された作品はこれまでより質の高いものが多く見受けられた。

 CGアニメコンテストでは、ストップモーション(コマ撮り)のようなデジタル撮影や編集のみの作品は審査の対象としていない。
 また一見、様々な制作方法の作品が見られるが、他のコンテストなどと同様に制作に使用されるソフトは一様化している。彩色はPhotoshop、2DはAfter Effects、3Dは3ds Maxが大半だ。『JAM』で入選の水江未来氏はこれまでDirectorを使用していたが、After Effectsへ移行している。

 ただ、他のソフトを使用しているクリエイターがいないわけでもない。例えば『みちゃだめ』で入選の奇志戒聖氏はCINEMA4D、『百鬼』で佳作の大森清一郎氏はLightWave、同じく『memory』で佳作の山元準一氏はBlenderを使用している。
 いずれも3Dのソフトだが、特に山元氏の使用しているBlenderはオープンソースのフリーウェアである。Blenderは、フリーでありながら高機能であるため世界中に愛好家が少なからずいる。また、初心者部門でも『キャラメル』のSevenA氏はLive2Dのユーザーであった。

 2000年以降、国内では各種コンテストが増加した。さながら「コンテンツ業界」ならぬ「コンテスト業界」といった様相を呈している。
 そのようななかで、これまでCGアニメコンテストの締め切りは2月14日であった。これは、学生の卒業制作作品の完成に配慮したものだった。しかし、実際は関西の大学の卒業制作展が2月上旬であるのに対し、東京の卒業制作展は2月の下旬から3月の上旬に集中している。そのため、上映会は年度の最初を飾っていたものの、作品の多くは「巡業」としては「千秋楽」となっていた。
 今回は作品の応募締め切りが7月下旬、上映会が9月下旬となったために基本的に初見の作品で占められた。
【真狩祐志】

PROJECT TEAM DoGA http://doga.jp/

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 CGアニメコンテストはこれまでクリエイターや一部のCGアニメファンに向けて開催していた。その反面マニアックであったため「良い作品が集まりつつある中でこのままでいいのか、もっとより多くの一般の方々にこういう世界を知ってもらい、参加してもらいたいという思いからKYOTO Cross Media Experiance(KYOTO CMEX)の一環として参加した」と代表の鎌田優氏は冒頭の挨拶で述べた。

 一方、上映会の閉幕時に鎌田氏が述べるようになったこととして「ネットで作品を見て終わりという人が増えているために上映会を行う意義が薄れている」という悩みがある。これは「上映会にも足を運ぶ人
には違いが分かってもらえるが、ネットだけでしか見ない人には伝わらない」ということだ。
 CGアニメコンテストは、昨年まで東京と大阪で上映会を行っていた。しかし、先に上映会を行った時点で結果を知った者により作品のリンク集を作られてしまうと、次の会場での集客に影響が出るのではないかという懸念が既にあった。
 最近は、上映前の注意事項でも「作品を盗撮してYouTubeやニコニコ動画にアップしないように」というアナウンスがなされるようにもなっている。

 第21回CGアニメコンテストの入選作品や惜しくも選外となった作品のなかには、他のコンテストで最終選考に残っていたり、受賞の「内定」が出ていたりしているものもある。下半期の賞レースが本格化するなか、それらの作品にお目にかかる機会は増えてくることだろう。
 これらの作品は、まだネットでは公開されていないものが多い。例年、応募されているのがCGアニメコンテストくらいという作品や、実写作品も対象としたコンテストもあるものの、アニメーションのみを対象
としたコンテストにおける作品の「巡業」が「初日」となったことの指標と言えるかも知れない。

 鎌田氏は、9月30日に龍谷大学大宮学舎での国際クロスメディアカンファレンス「コンテンツとトポス(都市性)~京都におけるデジタル映像の振興~」でCG AMINE EXの実施報告と今後について語った。
 また、CGアニカップの対戦相手「e-magiciens」の総合ディレクターでSupinfocom学校長のマリーアン・フォントニエール氏と国際アニメーションフィルム協会理事のエレーヌ・タンゲ氏も講演を行った。エレーヌ・タンゲ氏は元カナダ国立映画制作庁(NFB)のマーケティングマネージャーで、CGアニカップでも審査員を務めていた。
【真狩祐志】

PROJECT TEAM DoGA http://doga.jp/

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2009.04.10
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数土直志

【はじまったアニメの世界同時展開】
 この4月、2009年に最も期待のかかるアニメ作品のひとつである『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCAMIST』が、世界で一斉リリースを行なうことが話題を呼んでいる。アジア地域ではテレビ放映、北米、フランス、オーストラリアでインターネット配信を使い、日本の放映から1週間以内で、各国で合法的に番組を鑑賞出来る。
 アニメ作品の海外同時リリースは、昨年来徐々に始まっており、これまでにもいくつか例がある。それでも今回の試みは、世界4大陸にまたがっていること、そしてスーパータイトル『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCAMIST』で行なうことで、これまでにない驚きを人々に与える。2009年に始まったアニメビジネスの世界展開が大きな変化を迎えたことを象徴するような出来事になっている。

 こうした変化は、『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCAMIST』に限ったものではない。2009年1月にはクランチロール(Crunchyroll)がテレビ東京と提携して、大型作品『NARUTO -ナルト- 疾風伝』を北米で、日本の放映から1時間後に配信を始めやはり大きな驚きを与えた。
 バンダイナムコグループは、同じ1月からテレビアニメ『黒神』を時差24時間以内で日本、韓国、米国で同時放映することに成功している。さらに、現在は、インターネットを通じて世界10ヶ国語によるアニメ作品の動画配信の実現に動き出している。

 2009年、まさに、日本のアニメは世界同時リリース、同時展開時代に突入したようだ。数年前までは全く不可能とされてきたこうした同時展開を実現させた一番の原動力は、インターネット上に氾濫する違法コンテンツ対策である。
 インターネットに違法にアップロードされたアニメ作品が、海外の日本アニメのDVD事業、そして放送事業を大きく阻害しているという考えは、すでに業界の共通認識になっている。
 つまり、違法コンテンツがインターネットにアップされるより早く、合法コンテンツを放映、配信することで、違法コンテンツのアップロードを牽制する目的がある。

 この日本と時差のない展開、同時展開は、海外のアニメファン、そしてアニメ関連企業、メディアから、近年、今後、日本のアニメが世界でビジネスをするに必要と特に強く主張されてきた。
 海外のファンがそれを望んでいる、日本企業がそのサービス提供しないから、違法配信が広がるというわけである。そして今年に入ってからの各企業の動きは、これに呼応したものである。

【日本アニメが手に入れた独自の仕組み】
 しかし、よく考えれば、海外からのこうした主張には、正当性はあまりない。言うまでもなく、グロバール時代になってさえ、いまなお世界の映像コンテンツのほとんどは、時差を伴ってリリースされる。
 『24』や『名探偵ポアロ』が米国やイギリスと同時に放映されるべきと主張する日本人はいないだろう。また、カートゥーンネットワークやニコロデオンのアニメーションが、北米の放映より何ヶ月も、時には何年も遅れることを不当だと主張する国は、日本を含めて聞いたことがない。米国での海外映画の上映は、多くの場合、本国でヒットした実績が出た後である。

 それでも違法配信の原因が、まさに内外のリリースの時差にあることは間違いない。違法配信を法的な力で止める術を持たない日本の権利保有者は、自らの権利を守るために同時配信に乗り出すしかない。
 同時配信が違法コンテンツを減らしているとの指摘は多い。しかし、違法コンテンツの根絶は出来ていない。違法コンテンツの根絶には、海外のアニメファンの映像コンテンツに対するモラルの崩壊という別の問題を解決する必要がある。

 しかし、当初の保守的な動機とは別に、日本のアニメが現在獲得しつつある映像コンテンツの世界同時配信というインフラは、今後の日本アニメの海外展開における大きなアドバンテージになる可能性を秘めている。世界4大陸同時リリース、世界10ヶ国語リリースといった離れ業は、現在日本のアニメのみが可能にしているからだ。
 世界のどの国のメディア産業もが実現することのなかった映像作品の流通インフラ、世界で最も先進的なシステムを日本のアニメ業界はいま手に入れつつある。

【日本アニメにとってのインターネットの意味】
 世界同時展開の別の側面は、日本アニメの流通手段の拡大である。現在、日本のアニメが特に北米市場で抱える問題は、作品の流通である。テレビアニメであればテレビ放映枠がなかなか取れないこと、劇場公開では全国規模の配給が実現出来ないことだ。
 これには、日本のアニメが大衆的にアピールする力が弱いためとされることもある。しかし、実際にはその主張が本当かどうか、大衆向けの訴求力があるかどうかを確かめる術もないほどに、日本のアニメは大衆に届きにくく、極端に流通手段が限られている。

 流通が制限されている理由は、テレビ、劇場といった主要メディアのほとんどが、ハリウッドメジャーをはじめとする大手のメディアコングロマリットの傘下にあるためだ。
 自らも映画会社、番組制作会社をグループに抱えるそうしたメディアは、他の企業が製作した作品よりも自社グループのコンテンツを優先的に放映する傾向がある。他の企業製作のコンテンツ、例えば放映権だけを外部から買ってくるテレビ番組は、近年ますますテレビ放映にかかりにくくなっている。

 そうしたなかインターネットは、新しいメディアだけに、こうした既存のメディアコングロマリットの影響力が低い分野だ。ネットの検索ワードランキング、違法配信のダウンロードランキング、人気サイトのアクセス量など、日本のアニメの存在感が、実際の世界よりもインターネットの世界で強調されるのは偶然ではない。現実世界とインターネットの世界で、日本アニメの人気は非対称に存在する。
 合法、違法を問わずグロバールにみれば、インターネット上では日本のアニメは非常に強力なコンテンツである。だからこそインターネットを利用することで、日本のアニメは従来よりも大きく飛躍するチャンスを持っている。インターネットを中心としたワールドワイドな配信システムは、そうした可能性を強化するだろう。

後半に続く

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【同時展開のコストの問題】
 勿論、明るい側面ばかりでない。そこにはむしろ大きな問題が横たわっている。つまり、こうして作られた流通網の維持コストを誰が負担するのか、そこから果たして投資に見合う利益をどのように回収するか現在は不明確である。
 現実に、この新しく出来たこの映像流通インフラは、現在はほとんど新たな利益をもたらしていない。DVDやテレビ放映と競合する点では、むしろ既存の利益回収のシステムに影響を与えている可能性すらある。日本のアニメに関わる企業は、この新しく出来たシステムを維持し、さらにアニメ産業を維持し、そこからの収益化を実現する仕組みを必要としている。
 合法配信の導入が、違法配信の量を減らしたとしても、それが無料で配信されている限りにおいては、違法な視聴が合法的な視聴に入れ替わっただけで、何の利益ももたらさない。これが現在の最大のジレンマである。

 では、合法配信によって利益を生み出す方法はあるのだろうか。おそらく可能性は2つである。ひとつは、クランチロールが一部で導入している有料配信による収益である。導入から1ヶ月で1万人を超える有料会員化は評価に値する。
 しかし、問題はこれからだ。月およそ7ドル(およそ700円)の会費で、『NARUTO』から『銀魂』、『咲-Saki-』、『ハヤテのごとく!!』、『リストランテ・パラディーゾ』など、多数の最新作が見られるクランチロールは、ユーザーにとってはかなりお得なサービスである。
 しかし、現在のサービス価格と会員数、サービスタイトル数で、クランチロールのビジネスに十分な収益があがるとは考えられない。限られた収益は結局日本の有力アニメを大幅ディスカウントで海外に販売することになりかねない。

 既に海外で起きているアニメDVDの価格破壊が、日本の高価格のDVDの犠牲のうえに成り立っているとの意識が日本のファンに広がっている。こうした傾向がネットの世界でも広がれば、日本のファンによる国内のアニメ価格に対する不信感がさらに広がる可能性がある。
 しかし、無料の違法配信コンテンツが未だ存在するなかで、クランチロールのサービス料金の値上げは、現状では難しい選択であろう。クランチロールが収益化出来る方法は、会員数をさらに劇的に伸ばすか、あるいは法的手段を用いて、今では彼らのビジネス上のライバルになっている違法配信を強制的にインターネットから排除するかのいずれかである。

【同時展開はビジネスも同時展開が必要】
 もうひとつは、今回『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCAMIST』が取った方法である。配信とテレビ放映やDVDの販売、キャラクターグッズの展開を結びつけることだ。配信はあくまで関連商品の宣伝手段、ビジネスの利益は、関連商品の販売から回収する。これに不可欠なのは、同時配信の流通が、他のライセンス、放映権やビデオグラム化権、さらに商品化権を持つ企業に委ねられることである。インターネット配信(場合によってはテレビ放送も)自体は赤字の運営、利益は関連ビジネスから行う。
 ライセンスを持つ企業は、合法的な同時配信で違法配信を牽制しつつ、ベストなタイミングをみながら商品展開が可能になる。つまり、二次利用の市場組み合わせることで、利益を最大化する方法である。
 『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCAMIST』の北米とフランスの試みは、このやりかたである。北米のファニメーション(Funimation)、フランスのダイベックス(Dybex)は、いずれも現地の映像関連商品のラインセンスを有する企業である。彼らはインターネット配信で作品の認知度を高めたあと、関連商品のビジネスで利益の回収を行なうことになる。

 さらに世界同時展開で有利なのは、映像マスターやキャラクター商品、出版物を、世界同時に展開することで共有出来る可能性があることだ。これを実現すれば、二次利用のビジネスコストを大きく引き下がることが出来る。
 特にニッチな作品でこれは有効である。大衆的な作品に較べてマニア志向の高い作品は、国ごとのファンのテーストの違いが薄いからである。各国に数千人しか購買者のいない作品でも、何十カ国の市場を束ねることで、作品ごとの採算ラインを引き下げることが可能だ。

【日本のアニメ業界は革新的な産業】
 日本のアニメ業界に対する大きな誤解は、日本アニメ業界が保守的でなかなか変化したがらないという指摘である。これは、国内、海外のアニメ関連の企業やメディアからもしばしば指摘される。
 しかし、実際の日本アニメ産業は、驚くほど変化が早く、またビジネスについては変わり身が早い。例えば、テレビアニメ『鉄腕アトム』開始の際に生まれた二次利用権の展開で放映を維持するビジネスモデルは、『鉄腕アトム』の放映後数年で瞬く間に広がった。アニメ製作のための製作委員会方式の導入、セルの手塗り彩色からデジタル彩色への移行など、日本のアニメ業界はわずか数年で、ビジネス構造を劇的に変えてしまうことがこれまで何回も行なわれてきた。
 何よりも誰もが難しいと思っていた世界同時展開を短期間で実現させてしまったことが、それを証明している。

 日本のアニメ企業は、手探りでいろいろな方法を常に探し続けている。そして、一端、効果的な解をみつけると、驚くほど短期間に全て変ってしまう傾向がある。こうした柔軟さがある限り、日本のアニメの将来はまだまだ可能性がある。
 おそらく日本アニメ独自のシステムになりつつある映像作品の世界同時リリースの仕組み、この中から利益を生み出す方法が生まれる可能性は高い。それが築かれてしまえば、日本のアニメビジネスはおそらくまたあっという間に変ってしまうだろう。

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2009.03.30
そのほか ]
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 3月18日から21日まで東京ビッグサイトで開催された東京国際アニメフェア2009では、蛙男商会作品などのプロデュースをするDLEが出展していなかったことも一部で話題となった。2006年から昨年まで出展していたDLEのブースは、小間数も多かったこともあり、これまではブースの展示でも目を惹いた存在だった。
 一方、ラレコ氏の『やわらか戦車』などをプロデュースするファンワークスも、今年はフロンティアワークスとの共同出展のみとなり、若干寂しい印象を受けた。

 DLEもファンワークスもFlashでの制作に絞っているわけではない。しかし、蛙男商会やラレコ氏などのようにネットで有名であったとか、個人クリエイターがメジャーになったという視点では、Flashが勢いを失ったかのように見えてしまう。
 とはいえ、実際にはFlashでの制作を謳う会社は、例年ほかにも何社も出展している。今年も大手でも東映アニメーションが放送中の『うちの3姉妹』や、蛙男商会などと共同して展開する『京浜家族』の展示を行っていた。

 『ヤッターマン×トウシバ』などを制作しているオペラハウスも出展している。オペラハウスは『ののちゃんシアター』や『がんばれ!!タブチくん!!』など、2000年代初頭からFlashでの制作を行ってきた。
また、昨年はクリエイターズワールドのミニステージでアドビとFlashのセミナーも行うなど、Flashに力を入れる。
 そのほかの今年の出展では、ヒカリインパクト、ぴっぷや、メディクリエ、ワンダー・ラボなどもFlashで制作をする。メディクリエは、ネット上での流行を牽引していた一部の個人クリエイターの集まりから起業に至った会社で、今回初出展した。ワンダー・ラボは、キッズステーションなどで放送中の『おねがい!ポクポン』を制作している。

 出展全体からすると上記はごく一部の例に過ぎない。現状、Flashがどこでどのように制作で使われているかの実態を把握するのは非常に困難だからである。
 例えば、29日にブルーレイディスクでの発売が発表された『プラネテス』でも、劇中終盤のあの「白ネコ」は個人がFlashで制作している。このほか個人レベルで、とある劇場映画のオープニングやエンディングをFlashで制作していたりする例も既にある。

 こうしたFlash制作の広がりは、マクロメディアがアドビに買収された後、映像制作用の製品群であるProduction PremiumにFlashが同梱されるようになった影響も大きい。その一方、Flashアニメを名乗っ
ている場合にも、Flashをメインに使用しているのでなく、単にFlashアニメっぽく見えるからという理由だったりすることもあり、余計に厄介なことになっている。
 実際に、以前から描画にIllustrator、アニメーションの制作にAfter Effectsという作り方はあったし、セルシスのRETASなどにもベクターでの描画機能があるため、それらしい作品を制作することが出来た。
 
 最近ではFlashで制作を行った後に、仕上げの段階でAfter Effectsで効果を加える例も普通になりつつある。
 こうなると見た目での判断が不可能であるため、Flashで作ったことを売りにしてプロモーションを行うことや、わざわざFlashを制作に使用したと宣言すること自体も意味をなさなくなってくる。

 今回のアニメフェアでは、第81回アカデミー賞で受賞した加藤久仁生氏の『つみきのいえ』も特別上映された。
 『つみきのいえ』にはFlashは使われていないが、加藤氏も過去には『或る旅人の日記』の制作で一時期Flashを使用していたことがある。しかし、作品のテイストは『つみきのいえ』も『或る旅人の日記』も見た目には何ら変わりがない。
【真狩祐志】

東京国際アニメフェア http://www.tokyoanime.jp /

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Flashに対する誤解や偏見 ソフトウェア業界の攻防

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2009.01.06
そのほか ]
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 2000年以降のブロードバンド化につれ、2003年にYahoo!動画、2004年にGyaOが開始された。それらはマイクロソフトのWindows Media Video(wmv)で現在も配信が行われている。
 その一方でマクロメディアは、Flashをデザイナー向けのツールから、より汎用性のあるコンテンツ制作を行えるよう政策を推し進めていた。その動きは2005年にアドビがマクロメディアを買収した後も変わらない。このFlashを利用した主な配信サービスは、2005年にYouTube、2006年にニコニコ動画が登場している。また、ヤフーはYahoo!動画とは別に昨年開設したオフィシャルチャンネルでFlashを採用した。

 Flashの誕生から10周年となった2006年、アドビは映像制作者へFlashとAfter Effectsなどとの併用の推奨を始めた。それと同時に、Flashのプログラム言語の最新バージョンであるActionScript 3で開発者の関心を集めることにも成功した。
 現在、Flashに関しては開発者向けの情報が圧倒的に多い。しかし、ここではアニメーションを含む映像制作に絞って話を進めていきたい。

【Flashに対する誤解や偏見】

 これまでFlashで制作された作品は容量が軽いと言われてきた。それはswfファイルで書き出されていたから軽かったわけではない。実際には、ベクター形式の描画が多い作品に限られている。
 写真やアドビのPhotoshopなどで描画されたラスター形式と異なり、ベクター形式が優れているのは解像度がフリーである点だ。ただ、今後HDが標準となる中で、ベクター形式は制作の際に強みにはなる。しかし、指定する解像度によってはムービーで書き出す際に時間を要する点はあまり変わらない。
 swfファイルで書き出したとしても、作画枚数が多かったり、グラデーションなどを多用した場合には動作が重くなる欠点もある。このため、他のムービー形式で書き出した方が再生がスムーズな場合もある。

 ベクター形式の描画機能はFlashだけにあるわけではなく、以前からアドビのIllustratorやマイクロソフトのPower Pointなどにも搭載されている。また、書き出したpdfファイルやpptファイルなども、描画情報は保持される。
 そして一部の3Dソフトなどからでも、swfファイルやベクター形式で書き出すことが可能である。それらの多くは、描線の境界がハッキリしているうえに奥行きが殆どない。
 そのため、それらしく作られた作品とFlashアニメとが並んで紹介されていると、視聴者は前者もFlashアニメであると勘違いしやすい。それ以前に、それらしく見えない2D作品にもFlashが使われていたりする場合もあるので、見た目での判断は不可能である。

 また、アニメーション制作の際に画像や音声のファイルも読み込んだりするように、swfファイルにもムービーを埋め込むことが可能である。そして、ムービーの埋め込みよりも多く見られるのは、swfファイルをムービープレーヤーとして外部に置かれたムービーを呼び出して再生する方法である。これは動画共有サイトの普及により認知度が上がることになった。

 以前から全面的にFlashをインターフェースとして使用した企業のサイトなどでは上記の方法が採用されていた。マスクが抜かれた実写の人物など、デザインの1つとしてムービーが組み込まれており、シークバーも表示されないので気づかれにくいのである。
 一方、2003年に登場した高画質の圧縮形式であるH.264が、昨年辺りから広く知られるようになったのも大きい。それのファイル形式はmp4だが、これもFlashプレーヤーが再生するのはswfやflv(Flash Video)といったファイル形式のみでないという認識を広めた。
 Flashの話で何よりもややこしいのは、文脈でその都度ソフトなのか作品なのかインターフェースなのかを判断しなければならないことである。視聴者が混乱する原因がここにある。

【ソフトウェア業界の攻防】

 昨年もまたソフトウェア大手で動きがあった。2005年はアドビがマクロメディアを買収した一方で、3DCGソフトの3ds maxで知られるオートデスクも、同じく3DCGソフトのMayaを開発していたエイリアスを買収している。
 そのオートデスクが昨年10月にアビッドの買収を発表し、同年11月までに買収を完了した。アビッドはSoftimage XSIを開発していた会社である。この買収により映画やゲームなど、業務用として業界標準となっている4大3DCGソフトのうち、ニューテックのLightWaveを除く3つがオートデスクの手中に入ったことになる。

 また先月はアドビから製品群Creative Suite 4の日本語版が発売された。これにはFlashやAfter Effectsなどの最新バージョンも含まれている。一方、セルシスも同月にRETAS STUDIOを発売している。
 このRETAS STUDIOはRETAS! Proとして発売していたものを、同等の機能を備えたまま3万円台に大幅値下げしたものである。この価格帯のアドビ製品は、Photoshop ElementsとPremiere Elementsがある。それぞれの単体価格は1万5000円程度だが、アニメーション制作で前者を作画・彩色、後者を撮影・編集として使うことも可能である。
【真狩祐志】

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2009.01.01
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 アニメ!アニメ!では、年間におよそ2500の記事を配信している。その中から1年間(1月1日から12月30日)までの、アクセスの高かった人気記事ベスト10をピックアップしてみた。
 上位10エントリーは「ガンダム」や「マクロス」といった一般的な話題作のニュースより、むしろニッチな情報のほうが多い。年間ベスト10としてはやや意外なものもある。
 これはアクセス数が他のサイトやBBSなどからのリンクの数に影響されやすいためである。こうしたリンクは、他のサイトのニュースよりほんの少しだけ早く出たものが多い。インターネットならではの特長である。

【アニメ!アニメ! 2008年アクセス数ベスト10】

1. よしながふみ「「西洋骨董洋菓子店」アニメ化 7月ノイタミナ登場
2. 伝説の料理番組「料理の鉄人」 アメリカでアニメ化決定
3. 平野耕太 パリで「HELLSING」を語る
4. 『犬夜叉』遂に最終回へ 7月には高橋留美子展も開催
5. 韓中でアニメーション共同製作 4作品に16億円を投資
6. 今夏  「国際ガンダム研究会(仮称)」が広島で設立!?
7. 自宅でコマ撮りアニメが制作出来るおもちゃ 「アニメスタジオ」発売
8. タカラトミー 特撮新番組『トミカヒーロー レスキューフォース』発表
9. 「ベイブレード」今夏復活 新作アニメも放映予定
10. AT-X史上初 年越し声優バラエティ特番 生放送決定

 1位の「西洋骨董洋菓子店のアニメ化」は、よしながふみさんのマンガの初のアニメ化として注目された。これに加えて、他より少し早く記事アップされたことがアクセス増につながっている。4位の「犬夜叉連載終了」も、同様のパターンだ。
 2位の「料理の鉄人 アニメ化」は、その意外性からネタ系ニュースとして、アニメだけにとどまらず各所で取り上げられことで人気となった。レポート記事の一番は、「平野耕太 パリで「HELLSING」を語る」(3位)、同じくパリでのレポート「小畑健のパリ講演」(15位)も人気だった。

 5位の「韓中でアニメーション共同製作」は、意外なランキング入りだ。有名マンガ家さんのブログに引用されたことが理由。6位「「国際ガンダム研究会設立」、7位「「アニメスタジオ」発売」は、ニッチなニュースが、様々な場所で取り上げられて結果的にアクセス数が拡大した代表格である。
 8位は「『トミカヒーロー レスキューフォース』発表」である。おもちゃファン、特撮ファンからのアクセスが多かったことが理由である。特撮関連情報や玩具関連情報は、実はアニメ!アニメ!では安定した人気カテゴリーである。こうした情報をあまり扱うサイトないためとみられる。

 9位 「「ベイブレード」今夏復活 新作アニメも放映予定」は、日本経済新聞の報道を引用するかたちでの記事である。日本より国外からのアクセスが非常に多かった。
 実は「ベイブレード」復活は、後からいわゆる情報解禁前のニュースと分かり、関係者の方々には申し訳ないかたちとなってしまった。

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2008.08.27
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【独自色の強い国際アニメーション映画祭】
 8月6日から11日までの5日間、広島市のアステールプラザで第12回広島国際アニメーションフェスティバルが開催された。
 手塚治虫の希望に沿うかたちで1985年に第1回が開催された広島国際アニメーションフェスティバルは、隔年で開催されている。

 広島国際アニメーションフェスティバルは、フランスのアヌシー、クロアチアのザグレブ、カナダのオタワとで世界4大アニメーションフェスティバルと並び称される。
 しかし、広島では各賞を競うコンペティションについて、他のフェスティバルと異なる点が多い。そのひとつは、広島は原則30分以内の短編のみしか審査の対象としてしないことである。また、一般や学生、TVやCMなどといった部門別にも分けられていないなどユニークな点が多い。

 通常のアニメーション映画祭では、選外となった作品をパノラマとして上映する。ところが広島は、こちらにも特徴がある。
 コンペティション以外の上映作品は、「ベスト・オブ・ザ・ワールド」、「学生優秀作品集」、「子どものためのアニメーション」、「平和のためのアニメーション」などといったカテゴリーに分けられ上映される。広島では、これらの中にコンペティションに入選した作品の一部も含まれていたりする。

【広島の審査委員の厳しい眼】
 そして、広島の独自の厳しい審査も垣間見える。例えば今回は、昨年のアヌシー国際アニメーションフェスティバル短編部門グランプリ(クリスタル賞)や第80回アカデミー賞短編アニメーション部門を受賞した『ピーターと狼』は、コンペティションの本選から外れ、「ベスト・オブ・ザ・ワールド」での上映となっている。
 こうしたことは広島以外でも見られるが、作品が入選するかどうかは審査員個々人の裁量に委ねられる部分が大きい。

 上映企画のなかでは、「現代日本のアニメーション」が国内の優秀作品に絞られているのもあってか、人気のプログラムの1つとなっていた。
 今回は、スタジオ4℃の短編オムニバス『Genius Party』から福島敦子氏の『Genius Party』と福山庸治氏の『ドアチャイム』や、カプコンの人気格闘ゲーム『ストリートファイター4』のオープニングムービーなども上映されていた。

【アートだけでない作品の多様性】
 広島国際アニメーションフェスティバルに限らず、国内大小の短編作品を扱うイベントや上映会は押し並べて「アート」とされてしまいがちである。これについては山村浩二氏が主宰する活動グループ「Animations」が、会期中に開催したイベントでも述べられた。
 しかし、実際に上映されているのは2D、3D、人形、実写合成などといった多種多彩な作品である。内容も一発ギャグやスピード感溢れるものも少なからずある。一般的によく想起され易い、難解で実験的といったイメージのみで、広島国際アニメーションフェスティバル片付けてしまうにはあまりにも勿体ない。

 一方、2004年から開始され、同時期に開催される広島アニメーションビエンナーレでは、劇場長編や、テレビシリーズが主に扱われている。
 また、今回の第12回広島国際アニメーションフェスティバルでは、手塚治虫生誕80周年を記念したプログラム「手塚治虫回顧上映」も催された。こうしたことは、次回の開催へ向けて節目になったように思われた。
【真狩祐志】

広島国際アニメーションフェスティバル http://hiroanim.org/
広島アニメーションビエンナーレ http://www.hiroshima-animation-biennale.jp/

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2008.06.02
そのほか ]
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 5月5日に東京、24日に大阪にてPROJECT TEAM DoGA主催による第20回CGアニメコンテストの入選作品上映会が行われた。
 CGアニメコンテストは、国内で最も長いCGアニメーションのコンテストである。毎年応募総数は、400作品を越えるなど規模の面で国内最大となっている。

 第20回の節目のあたる今回は、アート的な作品が多かったという意見も見られた。カナダと日本の若手アニメーション作家の紹介と交流を図るCJax代表の伊藤裕美氏も加わっていたからという見方も出来るかも知れない。ただ、他の審査員を見てみてもほぼ例年通りで大幅な変化はなく、そこまで影響はないと思ってよいだろう。
 また2000年の第12回に新海誠氏が『彼女と彼女の猫』でグランプリを受賞して以降、手描きの作品が増えたという話もDoGA代表のかまたゆたか氏からなされた。手描きのアニメーションというとセル塗り的な作品を思い浮かべるかも知れないが、アート的と称される作品も基本的に手描きである。
 さらに同時に、美大・芸大の卒業制作の応募も増加を始めたので、相対的に2D作品が目立つ結果になっている。

 アート的な作品が多い美大・芸大の中でも、CGアニメコンテストにおいて特徴的なのが大阪芸術大学の出身者である。これまで、彼らのエンターテインメント的な作品が度々会場を沸かせてきた。
 今回も『アメリカ大統領アメリちゃん』で入選のAHOBOY☆ヒロシ氏と『胃の三太郎』で外伝大賞の山岸たかお氏がいる。山岸氏は第14回では『絶対無双麻雀マン』で佳作も受賞している。
 AHOBOY☆ヒロシ氏は現在フリーの演出家でもあるので、東京会場での座談会ではその辺りについても語っていた。大阪会場では山岸氏が、商業アニメの場で活躍するAHOBOY☆ヒロシ氏の担当の回の『ハヤテのごとく!』や『天元突破グレンラガン』に作画で参加していることについて触れた。

 CGアニメコンテストでは、毎年、座談会とは別に出身者の近況報告コーナーもある。今回は過去最多の8名が壇上で報告を行った。
 TVシリーズ『アップルシード・ジェネシス』を制作中のロマのフ比嘉氏や、『イヴの時間』第1話を東京国際アニメフェア2008で公開した吉浦康裕氏、井端義秀氏と青木純氏、岸本真太郎氏らである。井端氏と青木氏は、ネット配信用に赤塚不二夫のマンガをアニメ化した『へんな子ちゃん』の監督である。また、岸本氏は、特撮テレビ番組『ケータイ捜査官7』の制作に参加している。

 近況報告の中でも興味深かったのは、昨年『細胞の世界』で外伝だった瀬尾拡史氏である。瀬尾氏は現役の東大医学部の学生でありながら2006年にデジタルハリウッドで3DCGを学んだ。
 壇上に立った瀬尾氏は、来年5月から開始される裁判員制度で遺族の心理的負担を和らげるために、写真の代替としてCGを採用することが決定したことについて述べた。実際に瀬尾氏が属する研究室が担当することになっており、CGの予算もつくようだ。瀬尾氏は5月17日にアップルストア銀座でもプレゼンを行い、その模様はNHKやTBSなどでも放送されている。

 さらに「パーソナルCGアニメ The BEST」DVDの紹介では青山敏之氏と北田清延氏の『PROJECT-WIVERN』や渡辺哲也氏の『超獣ロボ リューセイバー』といった商業方面へ影響を及ぼした作品も一部上映された。このDVDは通常の作品集DVDに加えて、CGアニメコンテスト20年を記念として発売されたものである。
 同時に三ツ木淳氏の『MACHINE VISUALIZATION vol.2』や下岡正道氏の『HOUND'93』といった学術的なアプローチの作品も上映されている。このため上映会全体を通してみると、理工学系から法医学までの歴史を辿る充実ぶりになった。
【真狩祐志】

第20回CGアニメコンテスト 審査結果 http://doga.jp/contest/con20/

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国別対抗CGアニカップ 日本代表クリエイター3名を発表

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2008.05.27
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 美少女アニメの『かのこん』第7話について、バンダイチャンネルは全配信先に対して無料配信の中止を決定した。
 これは5月21日にGyaO側が「第7話以降において一部過激な表現があり、バンダイチャンネル側との協議を行いまして、第7話以降の無料配信を自主的に中止する」と発表したことを受けてのものである。

 同作は、都会の薫風高校に転校してきた純朴少年の小山田耕太と、耕太に一目ぼれし、ナイスバディを武器に積極的にアプローチをする美少女・源ちずるの物語を中心としたドタバタ学園ラブコメ。
 原作のライトノベルの段階からギリギリなエロティック表現を文章表現することが魅力の一つである人気作品で、アニメ放送でも「原作クオリティの寸止め」を売りにしたスタンスで制作にチャレンジしていたが、放送自体が寸止めとなってしまった。

 今後の第7話以降については、登録の際にクレジットカード情報などで年齢が確認できる有料配信に切り替える。
 しかし、GyaOの「ShowTime」ではクレジットカードかイーバンク決済の新規入会者向けに、5月26日から6月20日まで6月度利用料無料の「お試しキャンペーン」を行っており、対象者は6月度末配信の10話まで事実上、無料配信を利用することが出来る。

 また、唯一のテレビ放送を行っていた有料チャンネルのAT-Xについては放送形態に変更はない。AT-Xでは当初からR15指定の番組として放送を行っていた。
 なお、4月30日のアナウンス通り、テレビ放送・ネット配信版よりも表現規制を緩和したバージョンは6月25日発売のDVD初回限定版に特典ディスクとして付属する。

 社会情勢を反映した放送の見合わせは2007年に特に多く『こどものじかん』、『ひぐらしの鳴く頃に解』、『SchoolDays』などでもテレビ局の自主判断が行われた。
 その際にいくつかの作品の視聴窓口となったのは、ネット配信チャンネルであった。上記の作品は、最初の発表時はどれもUHF局での放送ある。

 UHF局によるシンジケーションは2003年から特に増加してきており、今では珍しくない放送形態である。それが積極的に行われた理由の一つは、従来の地上波(VHF)局での表現規制が厳しくなったためである。
 表現規制の緩やかさを求め、地上波からU局、U局からネット配信へと窓口は映ってきている流れがあり、今回の「かのこん」の配信中止はそれらの軌跡をなぞっただけにすぎない。

 これが示すのは、ネット配信窓口がもはやマイナーなものではなく、年少者でも気軽に触れられる窓口であること。そして過激な表現とされるものに、配信側と制作側にコンセンサスが事前に取られていないために繰り返されたということである。
 放送や配信の倫理規定は個別具体的に行われるわけではなく、例えばWOWOWには放送時間を考慮した上で実写映画と同等のレーティングで表現を考えて制作されている作品もある。

 配信やビデオグラムを購入すれば視聴することはできる。しかしそもそもそうした表現は作品のために必要なのだろうか。ましてや、一時期流行した「濃い湯煙」といった手段を採ることが作品作りをする上で本当に意味のあることなのだろうか。
 一方でそうした表現をスポイルするに十分な理論立てた規定を持っているのだろうか。今回の配信中止措置は、制作者は表現者としての自覚を、窓口側は社会的な立場を考えるよい機会になったと言える。
【日詰明嘉】

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2008.03.22
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 社団法人日本レコード協会は2008年3月21日、2007年の「年間音楽配信チャート」を公表した。音楽配信チャートは、「着うた」「着うたフル」「PC 配信」の3分野によって構成される。
 これによると「着うた」「着うたフル」ともに1位はGReeeeNの『愛唄』であった。ダウンロード数はおよそ400万以上とされる。「PC 配信」の1位は宇多田ヒカルさんの『Flavor Of Life』で、『愛唄』は2位だった。

 シングルCDの1位は秋川雅史さんの『千の風になって』、2位が宇多田ヒカルさんの『Flavor Of Life』だった。GReeeeNの『愛唄』は同集計では24位に記録されている。
 音楽CDと「着うたフル」とでは購入する価格や年齢層、スタイルなど様々な点で異なる。ましてや曲の一部を使う「着うた」とも異なったチャートを示すのは不思議なことではない。

 また、PC向けの配信では、ソニーが携帯音楽プレイヤーで競合するiTunesに対して、曲の提供を行わないためランキングが変わってくる。
 携帯配信が好調なこともあり、世界的には最大のシェアを持つiTunesも、日本国内では海外のような存在感を示すに至ってはいない。

 携帯電話の「着うた」や「着うたフル」の事業者は数が多く、ミュージシャンによっては複数の事業者に曲を提供している。
 各事業者は戦略上、それぞれのダウンロード数を公表することは滅多にない。ダウンロード数によって各事業者が抱えている会員数や事業規模を推察されてしまうからである。特に過当競争になっている事業ではそれぞれの事業者の意識は強い。
 実態を知っているのはそこに提供した各レコード会社で、今回のような総合ランキングは日本レコード協会が取りまとめる形で発表された珍しいケースだ。

 2007年下半期にテレビCMが話題となった『創聖のアクエリオン』は速やかに曲を配信し、PC配信では着うた配信を上回る順位を記録した。
 この楽曲のCDはテレビアニメ放送直後の2005年4月に発売されていたため、再プレスによって生じる販売機会のロスを最小限に留めることができた。

 これまでアニメソングで配信される楽曲はそれほど多くはなかったが、2007年末からいくつかのレコード会社が段階的に配信する楽曲を増やしてきた。2008年のこのチャートがどのように変化するのか興味深い。
【日詰明嘉】

「着うたフル」でベスト100位に入ったアニメ主題歌

17位 宇多田ヒカル 『Beautiful World』
     (『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』主題歌)
24位 Aqua Timez 『千の夜をこえて』
     (『劇場版 BLEACH MEMORIES OF NOBODY』主題歌)
26位 AKINO 『創聖のアクエリオン』 (同主題歌)
27位 SEAMO 『Cry Baby』
     (『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ 歌うケツだけ爆弾!』主題歌)
28位 YUI 『Rolling star』 (『BLEACH』主題歌)
45位 mihimaruGT 『かけがえのない詩』
     (『ドラえもん のび太の新魔界大冒険 ~7人の魔法使い~』主題歌)
(74位 AAA DEN-O form 『Climax Jump』 (『仮面ライダー電王』主題歌)
80位 L'Arc~en~Cielの『DAYBREAK'S BELL』
     (『機動戦士ガンダム00』主題歌)

社団法人日本レコード協会 公式サイト http://www.riaj.or.jp/

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2008.01.02
そのほか ]
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 2007年は、日本の株式市場全体にとって辛い時期であった。企業業績は全体として好調であったが、年間を通した株価は日経平均で年初の17322円が12月28日終値で15307円となるなど、伸び悩み下落した。
 さらに投資家の資金は、一部上場の大手企業に集中する傾向が強かった。ジャスダック市場や東証マザーズ市場は、それぞれが全体で2割から3割の下落になるなど、さらに下げ幅が大きかった。

 こうした新興企業に対する株式市場の期待低下は、中・小型株とみなされるアニメ関連企業の株価にも影響をした。2007年のアニメ・キャラクター関連企業の株価は市場平均以上に落ち込んだケースが多かった。
 実際に、他業種に較べて業績が落ち込んだ企業が少なからず存在したことも理由にある。また、そうした業績が、同業他社の業績不安を招いたことも、アニメ関連株全体が落ち込んだ理由でもある。

 しかし、映画市場、DVD市場、キャラクター関連市場などでのアニメ関連市場の売上は、必ずしも落ち込んでいない。
 一部企業の業績悪化は市場不振というよりも、2000年以降顕著になってきた業界の過当競争と利益率の低下によるものである。

 アニメ制作企業のうち大手では国内1位の東映アニメーション、3位のトムスエンタテインメントが上場をしている。さらに国内2位のサンライズは、親会社のバンダイナムコを通して株式市場で評価される。
 大手に次ぐクラスでは、IGポート(旧プロダクション I.G)とGDH(ゴンゾ)が上場しており、マッドハウスは親会社インデックス・ホールディングスが上場している。
 アニメ制作会社は上場に向かないとされることが多い。しかし、スタジオジブリを除く大手クラスのアニメ制作会社は、なんらかのかたちで株式市場に関わっている。

 2007年を通じて比較的株価が安定していたのは、東映アニメーション(年間下落率1.4%)だけであった。トムスエンタテインメントは年間を通じて25.6%の下落、GDHが36.8%、IGポートが38%それぞれ下落した。
 会社の売上規模が小さくなるほど下落率が大きくなるのは今年の株式市場全体の傾向であると同時に、市場競争が増すほど大手企業のほうが安心できるといった保守的な心理が働いていると思われる。

 サンライズの親会社バンダイナムコは、2.4%の上昇である。しかし、これはサンライズやアニメDVD・CD部門であるバンダイビジュアルよりも、グループ全体、特にバンダイナムコゲームスなどのゲーム事業の影響とみられる。
 同様にマッドハウスの親会社であるインデックス・ホールディングスの株価下落(年間下落率52.9%)は、海外やモバイル部門の影響である。同社に占めるアニメ事業の割合は大きくない。

 2008年のアニメ関連企業の株価予測をするのは難しい。しかし、2、3年前に株式市場を覆ったアニメを含むコンテンツ関連企業に対する過剰な成長期待は、2007年には完全に消えている。
 さらに多くの企業が損失の多くを出し切っており、また厳しい市場競争を前提に、かなり保守的な業績予想を出すようになっている。こうしたなかでアニメ関連企業の株式は、他の日本株に較べても過少評価されているものが増えているとみられる。2008年には、こうした株は比較的安定した動きになると見られる。

《アニメ制作・製作会社》
■ 東映アニメーション 2430円/2465円(▲1.4%)
■ トムスエンタテインメント 301円/405円(▲25.6%)
■ IGポート(旧プロダクション I.G)78100円/126000円(▲38.0%)
  (プロダクション I.G、ジーベック、マッグガーデン)
■ GDH 55000円/87100円(▲36.8%)
   (ゴンゾ)

■ バンダイビジュアル 270000円/312000円(▲13.4%)
  (エモーション、ランティス)
■ 創通 248000円/26200円(▲5.3%)
■ ブロッコリー 73円/141円(▲48.2%)
■ ウィーヴ 22200円/60200円(▲63.1%)
■ マーベラスエンターテインメント 38500円/46250円(▲16.7%)
   (アートランド)

《アニメ関連事業を持つ主要企業》
■ セガサミー 1393円/3240円(▲57.%)
   (トムスエンタテインメント)
■ バンダイナムコ 1782円/1740円(△2.4%)
   (バンダイビジュアル、サンライズほか)
■ アサツーDK 3130円/3830円(▲18.2%)
  (エイケン、NAS)
■ 角川グループホールディングス 3230円/4190円(▲22.9%)
■ タカラトミー 825円/810円(△1.8%)
   (タツノコプロダクション)
■ テレビ東京 4130円/4880円(▲15.3%)
■ ティー・ワイ・オー 218円/359円(▲39.2%)
   (ゆめ太カンパニー、ハルフィルムメーカー、動画工房ほか)
■ インデックス・ホールディングス 33200円/70500円(▲52.9%)
   (マッドハウス、タカラトミー)
■ ウィズ 138000円/303000円(▲54.5%)
   (プロダクションリード(旧葦プロダクション))

《そのほか関連企業》
■ 東宝 2500円/2180円(△14.6%)
■ 東映 873円/844円(△3.4%)
■ 松竹 819円/913円(▲10.2%)
■ まんだらけ 450000円/508000円(▲11.4%)
■ JDC信託 30500円/27950円(△12.5%)
■ セガトイズ 329円/838円(▲60.7%)
■ サンリオ 1070円/1787円(▲40.1%)
■ セルシス 145000円/185000円(▲21.6%)
2007年12月28日終値/同1月4日始値(年間の騰落率)
()内はアニメ関連のグループ企業

(参考)
日経平均 15307円/17322円(▲11.6%)
日経ジャスダツク平均 1730円/2130円(▲18.7%)
東京マザーズ指数 782.13/1110.78(▲29.5%)

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2007.12.31
そのほか ]
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今年1年間、アニメ!アニメ!の個別記事のアクセスランキングをまとめた。集計は2007年1月1日から12月30日までで、個別記事に対してのアクセス数で順位付けをしている。
アニメ!アニメでは月別のランキングも取っているが、年間ランキングは月別とはやや異なる結果になっている。短期間に集中的にアクセスがある記事とロングランで読まれる記事の違いも影響している。

アニメ!アニメ!記事別アクセスランキングベスト10
(平成19年1月1日~12月30日までを集計)

1位 鋼鉄ジーグ 30年ぶりに復活!4月からWOWOWで
日本より海外からのアクセスが圧倒的に多かった記事。英語版ウィキペディアのリフェレンスに引用されたことも影響した。一年を通して継続的にアクセスのあった典型的なロングランの記事である。海外での永井豪の変わらぬ高い人気を感じさせる。

2位 I.G 士郎正宗原作『攻殻機動隊』ハリウッド実写化交渉へ
「プロダクション I.G」、「士郎正宗」、「ハリウッド実写化」と、いずれもアクセス数が上がりやすいワードが記事に並んだ。人気アニメの実写化ということで大きな注目を集めた。2008年の展開を期待したい。

3位 「一騎当千」 TOKYOPOPが実写化企画
あくまでも実写化企画で実写化決定ではない。しかし、そのアクセスの多さに『一騎当千』の人気の高さが感じられる。

4位 COSMODEの英知出版が倒産
COSMODEというよりも、かつて人気グラビア青年誌を出版していた英知出版として幅広い関心を集めた記事である。

5位 2008年1月ノイタミナ枠で「墓場鬼太郎」を放映
「鬼太郎」関連記事は、平均して高いアクセスになる傾向がある。そのなかでも往年の傑作『墓場鬼太郎』のアニメ化は、多くの人の驚きを与えたようだ。

6位 日本のマンガ「こどものじかん」 米国で発売中止に
典型的なロングランで読まれた記事である。記事がアップされた当初よりも、日本でのテレビアニメの放映中止が注目を浴びて以降アクセス数が伸びた。

7位 士郎正宗・I.G共同原作「神霊狩/GHOST HOUND」アニメ化
こちらも「士郎正宗」、「I.G」で注目浴びた。情報が少ない段階での記事だったためアクセスが多かった。

8位 声優アワード決定 主演賞福山潤さん 朴璐美さん受賞
声優関連のニュースが比較的少ないアニメ!アニメ!が、あらためて声優人気の懐の深さを思い知らされた記事。

9位 制作会社の都合で放映打ち切り RGBアドベンチャー
事件があまりにも唐突だったことから関心を集めた。

10位 富野監督アキバで吼える 「日本のコンテンツの表現力」
記事自体は堅めのレポートであったが、富野由悠季監督の紹介で引用した発言が大きな関心を呼びアクセスが伸びた。

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そのほか ]
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 少人数でのアニメーション制作については、今年はプロの現場でも劇場公開された『Genius Party』やNHK『アニクリ15』など少人数で短編を制作するプロジェクトなどの動きもあった。
 ここでは、個人・少人数で制作するアニメーションについて、そうした状況も念頭に入れつつ今年1年の状況をこれまでの経緯を絡めて振り返ってみたい。

【今年の単館系の劇場公開】
 2002年に『ほしのこえ』でメジャーとなった新海誠監督の『秒速5センチメートル』が3月に公開された。同監督は、2004年の『雲の向こう、約束の場所』では制作人数を大幅に増員していたが、『秒速5センチメートル』では少人数の制作へ戻っている。
 また今年は、他に信濃毎日新聞のCMの制作や『アニクリ15』への参加も行った。さらに、監督の作品の制作をするコミックス・ウェーブ・フィルムからは、新海監督だけでなく、いわきりなおと氏の『楓ニュータウン』が12月に同じく単館系で劇場公開されている。

 2002年に個人制作から始まった真島理一郎氏の『スキージャンプ・ペア』も、昨年、実写を交えた映画『スキージャンプ・ペア ~Road to TORINO 2006~』として単館系で公開されている。
 今年は3Dの仮想空間であるセカンドライフで実際に各自が競技に参加して楽しめるようになった。
 また、オタワ国際アニメーションフェスティバルでグランプリとなった山村浩二氏の『カフカ 田舎医者』も現在単館系の劇場で公開されている。前々作『頭山』でアヌシー、ザグレブ、広島でグランプリとなっていたが、この受賞で4大フェスティバルを制した。

 一方、単館系ではないがTOHOシネマズ系列で蛙男商会の『THE FROGMAN SHOW 劇場版』が公開された。
 同作をプロデュースするDLEはテレビ東京で春に放送された『ファイテンション☆デパート』と現在放送中の『ファイテンション☆スクール』を展開している。来年は『菅井君と家族石 -THE MOVIE-』を公開する。

【コンテストで活躍する美大・芸大生と作品傾向】
 今年のアニメ関連の映像コンテストでは、美大・芸大の在卒生作品をよく見かけた。久保亜美香氏と井上精太氏の『おはなしの花』、半崎信朗氏の『Birthday』、加藤隆氏の『around』、上甲トモヨシ氏の『雲の人 雨の人』、坂元友介氏の『蒲公英の姉』、水江未来氏の『LOST UTOPIA』などである。
 水江氏の『LOST UTOPIA』は、アヌシー国際アニメーションフェスティバルにもノミネートされた。

 1990年代後半からの3Dのクリエイターの増加に加え、2000年から放送が始まったNHKの「デジタル・スタジアム」では学生の卒業制作作品が主に紹介されてきたことで活躍が目立つようになった。
 技術的なことに目を移すと、『おはなしの花』は3D、『蒲公英の姉』は人形アニメーションである。しかし、これらの作品の多くは、PhotoshopやAfter Effectsなどを使用した2Dの手描きアニメーションである。描画で使用するソフトのPhotoshopは来年誕生から20年目を迎える。
 1990年代後半に登場したFlashも、2000年以降にユーザーを増やしたソフトである。「デジタル・スタジアム」内でも2Dの手描きアニメーションを制作するソフトの1つとして登場するようになっている。
【真狩祐志】

続きを読む "2007年 個人・少人数制作アニメーションの状況【1】" »
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そのほか ]
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【ネットの環境開発へ移行したFlash】
 昨年はFlash誕生10周年というタイミングに合わせるかのようにFlashを利用するラレコ氏の『やわらか戦車』や蛙男商会の『THE FROGMAN SHOW』がメディアを賑わせた。
 また、今年は6月からNHKのみんなのうたで放送されたうるまでるびの『おしりかじり虫』が現在もヒット中である。

 アニメーション関係のメディアでは、触れられる事があまりないが、Flashはアニメーションを制作するだけのソフトではない。
 今年Flashが注目を浴びたのはアニメーション制作者の界隈ではなく、実はプログラマーなどの開発者の界隈である。Action Scriptという開発言語がFlashにもあるが、5年程前からFlashと他の開発言語を組み合わせてサーバーとの連携を図るようになっていた。Flash Videoを使用した昨今の動画共有サービスもその延長上にある。

 アニメーションを含め映像制作を行う側の視点だと、YouTubeやニコニコ動画はFlashではないのだが、サーバーを絡めた開発者側からの視点だとFlashでもある。
 形容が難しいのだがFlashが作品を公開するための「器」ともなっているという考え方も出来る。しかし、そこで公開されている作品をFlashアニメと呼んでしまうとおかしな事になる。 
 他の動画配信形態でも制作手法のジャンルに関わらず、根拠なくFlashアニメとして紹介されてしまう事例がしばしば見受けられる理由の1つとなっている。

 一方、Yahoo!動画やGyaOでの作品配信は今まで同様Windows Media Videoで行われている。
 こうしたサイトの今後の動向が気になるが、GyaO内の一部「GAGA映画予告編」では、Silverlightを使用した配信を行っている。このSilverlightはWindows Media VideoにFlashのように双方向性を持たせる配信形式である。

【ますます際立つ二次創作やマッシュアップ】
 数年前までだとオリジナル作品を制作するにもレンタルサーバーの容量制限やネット回線の遅さ等で、作品を十分に公開出来なかった。
 そのため自身のサイトではイベント参加の告知や作品のダイジェスト公開に留め、作品本編は上映会での上映やイベントで頒布というのが常だった。オリジナル作品に関しては、コンテストを兼ねてコンテンツの募集を行っている企業や団体のサイトにアップロードするという手段が取られた。

 その点は、ここ1、2年の各種動画共有サイトの登場で解消されている。ところが、二次創作と共に掲示板やアップローダーで流通していたMADムービーも現われた。
 マスレベルでの知名度を持つTVシリーズや劇場長編を素材としたこれらの作品はアクセス数にも反映されやすく、オリジナル作品が埋もれてしまいがちである。この現象は単にファン層が異なるからと別には出来ない。常に混在しているからだ。

 同様に、広報や宣伝でネットを活用する場合は新しく登場するサービスで情報の流れがガラっと変化してしまう。また「初音ミク」など、違う切り口から登場したツールを利用した作品が動画として競合相手になってしまうようにもなった。
 開発者や著作権者の意向と閲覧者の嗜好を含むネットの動向、そしてクリエイターの志向という主だった3つの力関係が時に立場を変えつつ日々せめぎ合っている。そのバランスの見極めがますます困難な時代になっている。
【真狩祐志】

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2007.12.14
そのほか ]
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Amazon.co.jpによる「Best of 2007」が発表された。これは、同社によるベストセラーランキングで、商品別とジャンル別の詳細にわたって発表された。

DVDストア・アニメジャンルのランキングは以下の通りである。

1. 時をかける少女 通常版   2007/4/20
2. レミーのおいしいレストラン   2007/11/14
3. 機動戦士ガンダム 劇場版メモリアルボックス   2007/12/21
4. コードギアス 反逆のルルーシュ volume09 (最終巻)   2007/9/25
5. 秒速5センチメートル 通常版   2007/7/19
6. The World of GOLDEN EGGS "SEASON 2" DVD-BOX   2007/3/23
7. ゲド戦記   2007/7/4
8. らき☆すた 1 通常版 2007/6/22
9. 天元突破グレンラガン 5 【完全生産限定版】2007/11/28
10. 銀魂 シーズン其ノ弐 03 【完全生産限定版】 2007/9/26

ランキングは『時をかける少女 通常版』が1位となった。昨年夏に小規模な規模で始まったこの映画は、ネット媒介とした口コミから評判となり、ロングランを記録した。昨年から今春にかけてのアニメに関する賞もほぼ独占し、満を持してのDVD発売で、高評価がそのまま好セールスに繋がった。
なお、DVD総合ランキングでは「限定版」が7位にランクインしている。アニメジャンルの1位が「通常版」ということに齟齬が生じるが、今回の順位はDVDの商品バージョンとしてではなく、『時をかける少女』という作品の売れ行きとして考えたい。

なお、限定版は発売1月後ほどで完売し、5月以降の売り上げは通常版が上回っている。マニア向け商品だと、限定版の出荷数のほうが圧倒的に多く、通常版の方が「限定的」になっている状況が珍しくないが、限定版がきちんと限定の役割を全うしたところからも、本作が非マニア層にも多く受け入れられていることが伺える。

2位の『レミーのおいしいレストラン』は、ピクサーによる1年ぶりの新作。監督のブラッド・バードさんは『アイアン・ジャイアント』『Mr.インクレディブル』などの作品でも監督を務め、高い評価を得ている。
本作は日本での興行収入も40億円を超えるなど、大成功を収めた。DVDの発売が11月中旬で、今回のランキングは11月末分までの集計であるため、集計時期がもっと遅ければ、1位を取っていたことだろう。

3位に入ったのは『機動戦士ガンダム劇場版メモリアルボックス』。驚くべきことに12月21日に発売される、現時点では予約段階の商品である。9月19日に発売を発表してから、予約注文だけで3位にまで上り詰めた。
ガンダムシリーズはバンダイビジュアルの売上のおよそ16.4%を占める稼ぎ頭で、中でもファーストガンダムは最も人気が高く、今回のHDプレミアムマスターで高画質化したことと、オリジナル音声版ということでファンの注目を集めたといえる。

4位の『コードギアス 反逆のルルーシュ』は、今やガンダムに次ぐバンダイビジュアルの稼ぎ頭で、1巻当たり平均で7万本を売り上げる商品。全巻で60万本を売り上げた新しい大ヒット作品となった。
最終巻となった9巻は初回限定で収納BOXが付いた。12月からは順次ファンディスクを発売し、4月から放送される第2シーズンを盛り上げていく。

5位は春に公開され、映像の美しさと評判が高い新海誠監督の新作『秒速5センチメートル』。短編3部で構成され、1部をYahoo!で先行配信したことでネット上で話題が盛り上がり、これまでよりも新海監督のファンをより一層広げることとなった。なお、11月には新海監督の筆による小説版の単行本が発売されている。
【日詰明嘉】

その2に続く

続きを読む "アマゾン 2007年のアニメDVDベスト10を発表 その1" »
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そのほか ]
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6位の『The World of GOLDEN EGGS』は、他のランキングとは一味違った層が支持していると考えられる。ユルい絵柄に独特なギャグは、視聴者を選ぶかもしれないが、一度ハマると中毒性が高い。
キッズステーション、MTV、Gyaoなどで放送され、全国的な知名度を誇り、ロングスパンでの販売となった。AmazonではデザインTシャツなどを付属させた独自の限定版を作成し、これも売上に寄与したといえるだろう。

7位の『ゲド戦記』は、2006年の邦画興行収入でトップ(76.5億円)に輝いた作品で、ジブリブランド、解説冊子を110万部を配布する大規模なプロモーションなどから大ヒットを記録した。

8位は『らき☆すた』1巻は、昨年の大ヒット作『涼宮ハルヒの憂鬱』の人気を引き継いだ形となった、京都アニメーションの人気作品である。
今回のAmazonの2007ランキングでは主題歌の『もってけ!セーラーふく』は2位にランクインし、また12月には作品舞台のモデルとなった埼玉県春日部市の鷲宮神社で地元商工会によるファンイベントが開かれるなど、当初の予想を上回るヒットコンテンツとなった。

9位は『天元突破グレンラガン』5巻で、春の新番組の人気シリーズである。5巻が突出してランクインしたのは書き下ろしドラマCDが付いてくるため、シリーズ買い以外の購買層も引き入れることができたためであると思われる。

10位は『銀魂 シーズン其ノ弐』3巻。ファンの人気が高い第2シーズンから、頭一つ飛び出た売上になった。この巻の初回版にはにはメインキャスト万事町3人の座談会を収録した特典ディスクが付属する。「ジャンプアニメ」は原作ファンが多く、ある意味でDVDを購入する顧客の囲い込みが難しい作品でもある。
また、作品の商業的な期待値も高いため、アニメ化するハードルが高い。本作では原作の面白さを十分に生かしたアニメ化に成功し、夕方枠では久々のヒット作となった。
【日詰明嘉】

その1へ戻る

続きを読む "アマゾン 2007年のアニメDVDベスト10を発表 その2" »
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2007.12.08
そのほか ]
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 12月4日、アニメやオンライゲーム事業を行うGDHの石川真一郎社長が、知的財産戦略本部コンテンツ・日本ブランド専門調査会コンテンツ企画ワーキンググループ第3回において、現在の海外のビジネス状況と自社の海外戦略を説明している。
 これは今回のワーキンググループのテーマが「優れたコンテンツの創造と海外展開について」となっており、同氏が参考人として出席したためである。この際の資料が、知的財産戦略本部のWebサイトに公開されているが、短刀直入ともいえる発言が興味深い内容となっている。

 発言は海外の現状全般とGDHの海外ビジネス、そして今後の日本が取るべき方向性の提案となっている。
 全体の趣旨は海外でのアニメ、マンガ、ゲームのビジネスの可能性と、そのなかで同社が進める海外向けのオンラインゲーム展開や国際的なアニメブランド開発などである。また同社がこれまでより、アジア市場、特に中国市場に力を入れている様子が伝わる。

 しかし、こうした全体の発言や提案とは別に、細かな部分でも興味深い内容が多い。例えば米国のプロデューサーの発言として、東京国際アニメフェアと東京国際映画祭・TIFFCOMは国際的なイベントになる可能性を秘めていると触れている点などだ。
 一般的にはファンイベントと見られることも多いこうしたイベントのビジネス面での飛躍の可能性を取り上げると共に、そのためには英語での対応が不可欠というメッセージを送っている。

 また海外マーケットの現況について、日本のコンテンツでグローバル市場に影響があるのはゲーム、マンガ、アニメのみとする。昨今話題になることの多い海外アニメDVD市場については、米国のアニメ系ディストリビューターは一社を除いてほぼ全滅、ヨーロッパ、アジアの会社についても軒並み経営危機にあると指摘している。これらは肌感覚の発言としているが、かなり素直な意見である。
 しかし、例えば海外のディストリビューターの状況などは、かなり真実に近いと考えられる。肌感覚であるだけになお説得力がある。

 一方で今回のプレゼンテーションの内容が壮大で、必ずしも実現が容易でない部分もあると感じる。しかし、そうした問題を乗り越えなければ、将来の展望が開けないのもまた事実である。
 そうであれば、こうした目標を掲げてそこに近づく努力をすることが現在一番大切なことなのかもしれない。

 こうしたビジョンは、どの会社も経営戦略としてしばしば公表する。しかし、今回はそうした公式の戦略と異なるよりカジュアルで本音が伝わる内容になっている。
 アニメ産業のなかで独特の個性を放つGDHの考え方を知るうえで、貴重な資料と言えるだろう。

GDH  http://www.gdh.co.jp/
知的財産戦略本部 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/
    石川真一郎氏提出資料(PDF)

続きを読む "知的財産戦略本部のGDH石川社長の海外戦略について" »
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2007.11.17
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 この10月に大規模な映像事業部門の再編を行ったエイベックス・グループ・ホールディングスが、「映像事業再生プラン」と題した映像関連事業の今後の方向性を発表した。
 この発表は同社の中間決算発表に合わせたもので、同社の今後の主要事業でもある映像事業の活性化の方向性を示したものである。再生プランは映像事業全般にふれたものだが、同社の映像事業に占めるアニメの比率は高く、アニメ事業についてふれた部分も多い。
 またアニメ関連企業のなかでは比較的歴史の浅いエイベックスグループの分析と今後の方向性には、アニメビジネスの新規参入企業が共通して直面する課題が含まれている。

【エイベックスのアニメ事業の2年半】
 今回一番興味深いのは、エイベックスが過去2年半のアニメ事業が必ずしも収益化しなかったと自ら明らかにしていることである。同社のアニメ事業は、参入当初とその後のふたつの局面にわかれている。
 エイベックスによればアニメ事業参入当初の問題は、テレビアニメのDVD化権の高騰で収益が悪化したことである。またDVD発売元より作品を仕入れて販売スキームを取ったが、収益性の向上には貢献しなかったともしている。
 その結果、同社は次の段階としてオリジナルアニメの製作に向かった。しかし、こちらも実績に結びつかなかったとしている。ここで興味深いのは、なぜオリジナル作品の製作が収益化に結びつかなかったかである。

【アニメの製作はなぜ増えたのか】
 実際ここに現在のアニメビジネスが抱えている問題の核心のひとつがある。自ら製作を行う、さらに自ら原作を握ることで、利益率を上げビジネス収益の増大を図る、これは一企業としては合理的な選択である。しかし、数多くの企業が同時にこの選択をしたことが、アニメ業界全体では極めて非合理的な結果をもたらした。
 つまり、これまでのシリーズ作品やテレビ放映枠といったアニメビジネスの枠組みは、既存のアニメ関連企業が握っている。当然それはこれまで通りのビジネスとして継続される。
 新規参入企業が自ら製作し原作を握るには、あたらたなビジネスの枠組みを作らなければいけない。それは必然的に、これまでのアニメ製作にプラスオンになる。アニメ作品の数が増えるわけである。
 
 しかし、2000年以降、このプラスオンの数が、アニメ業界の予想を遥かに超える規模で起きた。玩具メーカー、IT企業、商社、新興コンテンツ企業など新規参入企業が思いのほか多方面にわたったためである。
 一方で、アニメへの消費者はそうした供給拡大ほどには広がっていない。結果としてアニメ作品ごとへの出費が減り、採算分岐点を割り込む作品が急増した。

【ポートフォリオ投資は正しいのか?】
 さらに新規参入組みにとって辛いのは、アニメ製作が増えたことで醸し出されたアニメ界隈の賑わいからの利益が、『ガンダム』や『ドラゴンボール』といった既存の人気シリーズに流れたことである。
 作品数が多くなり過ぎたことでアニメファンの記憶に残る作品の印象も希薄化し、昔ながらのブランド力のある作品の印象が逆に強化された。つまり、作品供給の拡大でもたらされた市場の拡大分すら従来の作品が持っていってしまった可能性が強い。
 近年のアニメビジネスの勝ち組企業は、10年以上、時には30年も続く人気ブランドを抱えている企業である。実際に今回のエイベックスの分析でも、勝ち組プレーヤーのポジショニングのひとつとして、定番アニメーションを保有し安定的なキャッシュフローを獲得するアニメ会社を挙げている。

 一般的にアニメの製作のビジネス収益モデルは、ポートフォリオ(分散)投資として考えられることが多い。つまり、アニメ作品は当りはずれが大きいので、複数の作品に出資することでそのなかから大ヒット作が出れば、全体として収益が確保出来るとの考え方である。
 しかし、こうした状況のなかで複数作品への投資でポートフォリオを組んだはずなのに、ポートフォリオに組み込んだ作品が総崩れという状態に陥った企業もあるだろう。

【アニメビジネスは企業体力が勝負に】
 当初の思惑から外れた新規参入組みの結果は、現在次第に明らかになりつつある。そうした企業のなかには、アニメ製作の事業の縮小、撤退に向かうケースもこれから増えるだろう。アニメ作品数は減少する。市場に残ったプレーヤーにとっては、それは今後有利に働く。そうなると現在は、市場に残ることが出来るかどうか企業同士の体力較べになっている。
 だからといって他のプレーヤーの落伍を待つだけでは、前向きなビジネスにならない。今回のエイベックスの再生プランでは、今後はテレビアニメに加えて、アニメ映画も強化するとしている。また、製作委員会の出資比率の抑制、コンテンツを絞り込みなども行う。

【共同製作に向かうアニメビジネス】
 しかし、一番の注目は、オリジナルコンテンツを持つ有力な製作スタジオとアジア市場も視野に入れたアニメ映画の共同製作を挙げていることだ。結局、拡大したアニメ製作の新たな市場は、国内ではなく海外にあるということだ。
 数々の問題を抱えながらも、日本のアニメ企業が海外市場へ進出しなければいけない理由はここにある。そして、海外に進出し効率的なビジネスを行うには、共同製作という選択肢が現実的に映る。ここ1、2年、アニメ業界で話題になることが多い海外市場に向けた共同製作はこうした事情から生まれている。
 
エイベックス・グループ・ホールディングス
http://www.avex.co.jp/
エイベックスの「映像事業再生プラン」(PDF)
http://www.avex.co.jp/j_site/ir_news/pdf/071116_3.pdf

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2007.08.05
そのほか ]
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 角川グループホールディングス(角川GHD)は、アニメや映画、ライトノベルからマンガ、情報雑誌まで様々なエンタテイメントコンテンツを持つ日本有数の企業である。
 その角川GHDは過去1年でモバイルやインターネット上でのコンテンツ事業に積極的に関わろうとしている。先日も動画投稿共有サイトのYouTubeとの連携で注目を浴びたばかりである。
 こうした角川グループの動きに対し、日本経済新聞は8月5日の朝刊で、「そこが知りたい 自社コンテンツのネット配信 なぜ積極化?」と題し角川GHDの角川歴彦会長にインタビューを行っている。 

 このインタビューでは、同社のネット戦略について様々な興味ある言葉を引き出している。なかで角川会長の「国内で八万セット売れて喜んでいたアニメDVDの英語版を出したところ米国だけで六万セットも売れた」(日本経済新聞8月5日)といった発言は、アニメビジネス関連として興味深い。
 角川グループが日本で8万セット売ったとするアニメ作品は、その数から考えて、国内で各巻8万セットを販売したとされる『涼宮ハルヒの憂鬱』と考えられる。

 『涼宮ハルヒの憂鬱』の第1巻は、米国では通常版29.98ドルとリミテッドエディション64.98ドルの2種類でこの5月に発売された。人気作品のDVD発売として、米国内で大きな話題を呼んでいた。
 これまで米国のメディアでもDVDの売上は好調だったと伝えられていたが、こうした具体的な数字が言及されたのは初めてである。
 また、米国のみの6万セットの販売は、米国のテレビで放映されていないシリーズ作品のDVDではメガヒットである。米国でのハルヒブームは、日本で感じていた以上に大きなものだったと言えそうだ。

 このインタビューでの角川会長のさらに興味深い発言は、「ユーチューブが米国市場を地ならししてくれた効果だ。」(日本経済新聞8月5日)と述べていることである。
 これまでファンサブやYouTubeなどの違法動画配信に、作品のプロモーション効果があることは、ファンサイドからは指摘されることはあった。

 しかし、コンテンツの権利保有を行う企業のトップがそうした認識を示したことはあまり例がない。角川会長は、同社がYouTubeによる著作権侵害の最大の被害者であることも述べており、著作権侵害を認めているわけではない。また、著作権を尊重出来る仕組みが必要とし、権利の保護に触れている。
 それでも、こうしたYouTubeのプラスの面も無視出来ないとの認識もあるようだ。これが先日の角川グループとYouTubeの連携につながっていると見られる。
 角川グループは、YouTubeが現実にメディアとして大きな力を握っている以上それを利用して行こうと考えているようだ。

 もしそうであれば、これは動画共有サイト、コンテンツ保有者、動画投稿者の3者の幸せな共存にも見える。しかし、実際には今後の課題も少なくない。一番大きなものは、動画を投稿する利用者の動向である。
 角川グループは投稿されてきた自社関連の動画を、プロモーション効果と著作権侵害で失う利益とのバランスを考えながら削除するか判断するようだ。こうした際に明確な基準が示せなければ、利用者の大きな不信を買う可能性がある。
 さらにネットに違法動画を配信するユーザーたちは、インターネット特有の自由な文化のなかにいる。投稿した後に、権利保有者に投稿動画が検閲され、選別されること自体に反発する可能性もある。

 そうなると権利ホルダーは自社の顧客が沢山いるつもりでビジネスに参加したが、そこに誰もいなかったということも起こりうる。
 それでもインターネットのコンテンツ配信ビジネスは変化のスピードが速い。とりあえずはビジネスの中心地におり、そのなかでビジネスの効果的な方法や、次のビジネスを探す姿勢が重要であるとは言えるだろう。

日本経済新聞 http://www.nikkei.co.jp/

当サイトの関連記事
角川グループ YouTubeと連携「ハルヒ」「らき☆すた」もきっかけ

角川グループホールディングス http://www.kadokawa-hd.co.jp/
YouTube  http://www.youtube.com/

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2007.05.14
そのほか ]
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 昔から夏休みといえば、大作アニメーション映画の公開が相次ぐシーズン。夏のアニメ映画3大対決などと話題づくりことかかない。しかし2007年は、昨年の『ゲド戦記』や『ブレイブストリー』などに較べると話題作が少ないとされる。
 ところが、現時点で揃った7月から9月までの夏シーズンに公開されるアニメーション映画は主なものだけで、国内外の作品を合わせて軽く10本を越える。そして、作品の内容も例年と較べても個性が豊かな作品が多い。

 このなかで一番の大型映画は、8月に公開される『ベクシル -2077日本鎖国』といっていいだろう。
 ただし、3D映画ということもあり。映画の主なターゲットは『日本沈没』や『DEATH NOTE』のような一般層のようだ。現在はアニメファンの間で話題は少ないが、今後の宣伝でしだいに浸透していきそうだ。

■ ベクシル -2077日本鎖国-公式サイト http://www.vexille.jp/
 
 『ベクシル -2077日本鎖国-』はハイティーン以上の大人に向けたアニメだが、夏休みシーズンで忘れてはいけないのは子供向けのアニメーションである。毎年およそ40億円もの興行成績を稼ぎだし、子供たちの圧倒的な支持を持つ『ポケットモンスター』の最新映画『ディアルガVSパルキアVSダークライ』は7月14日公開。
 昨年発売された新ソフト『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』が絶好調だけに、劇場映画にも大きな期待がかかる。

■ ポケットモンスター『ディアルガVSパルキアVSダークライ』公式サイト
http://www.pokemon.co.jp/anime/movie/index.html

 ファミリー向けには、夏休みシーズンが始まる7月21日に公開される『ピアノの森』と7月28日公開の『河童のクゥと夏休み』が話題になりそうだ。
 『河童のクゥと夏休み』の監督は、『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』で絶賛された原恵一監督の5年振りの新作映画である。子供だけでなく幅広い層から関心を呼ぶだろう。
 さらにお盆前8月4日には、いまや世界的な人気アニメになった劇場版『NARUTO-疾風伝-』が公開する。世界興行も考えられる作品だけに日本でも出来るだけ高い興行成績を残したいところだろう。

■ ピアノの森公式サイト http://www.piano-movie.jp/
■ 河童のクゥと夏休み公式サイト http://www.kappa-coo.com/
■ 劇場版NARUTO-疾風伝-公式サイト http://www.naruto-movie.com/ 

 海外のアニメーション映画も健在である。以前に較べるとややパワーダウン気味の作品が多いが、2007年夏にはとりわけ大型作品が出揃う。
 なかでも6月30日に公開される『シュレック3』は超大型作品である。前作『シュレック2』は全米興行成績第3位となった。当然3作目の期待も大きい。
 しかし、日本で興収は前作が25億円と米国と較べるとややパワー不足だった。今回の『シュレック3』が米国並みの大ヒットになるか注目される。

 制作する作品が全て大ヒットのピクサーの新作『レミーのおいしいレストラン』は、7月28日公開である。
 こうした大作ではないが、今夏は劇場アニメを公開しないスタジオジブリが配給するフランスアニメーション『アズールとアスマール』も7月21日に公開する。アニメーション作家の巨匠として世界的に知られるミッシェル・オスロ監督が手がける。
 
■ シュレック3公式サイト http://www.shrek3.jp/site/index.html
■ レミーのおいしいレストラン公式サイト http://www.disney.co.jp/movies/remy/index.html
■ アズールとアスマール公式サイト http://www.ghibli-museum.jp/azur/

 深みのあるアニメーションを求めるなら同じフランス人監督のクリスチャン・ボルクマン監督の『ルネッサンス』も見逃せない。こちらは正式な公開日は決まっていないが7月公開予定である。スタイリッシュな映像と、SF的な世界が魅力となっている。昨年のアヌシー国際アニメーション映画祭のグランプリ作品である。
 日本の作品では『Genius Party』が映像で見せる映画である。渡辺信一郎監督、河森正治監督、福島敦子監督など日本のアニメを代表する7人が監督するショートアニメのオムニバスとなっている。

■ ルネッサンス公式サイト http://www.renaissance-movie.net/
■ Genius Party公式サイト http://www.genius-party.jp/

 こうしてみると7月、8月までは、いわゆるアニメファン向けといった作品は少ない。一般的には8月末まで夏休みが続く、児童・学童向けの作品が多くの劇場を押さえるためである。
 アニメファンに喜ばれそうな作品は、9月以降に集中する。9月1日には、昨年の製作発表から大きな話題を呼んでいる『新世紀エヴァンゲリオン新劇場版:序』が公開される。

 9月15日からは劇場版『CLANNAD -クラナド-』が公開される。こちらは人気恋愛ゲームのアニメ化だが、監督に出崎統さん、制作が東映アニメーションという万全の体制となっている。ロボットとメカ、双方の期待作が9月に登場することになる。
 さらに正式な公開日は決定していないが、ボンズが制作をする『ストレンヂア無皇刃譚』も、秋以降に登場する。ボンズは『鋼の錬金術師 シャンバラを征く者』や『カウボーイビバップ 天国の扉』で劇場アニメに大きな実績を持つが、こちらは時代劇アニメという異色の大作である。
 海外作品ではフランスの巨匠リュック・ベンソンの手がける『アーサーとミニモイたち』も今年の秋公開とされているが、こちらも公開日は正式には決定していない。

■ 新世紀エヴァンゲリオン新劇場版公式サイト http://www.evangelion.co.jp/
■ 劇場版『CLANNAD -クラナド-』公式サイト http://www.clannad-movie.jp/
■ ストレンヂア無皇刃譚公式サイト http://www.stranja.jp/

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2007.01.02
そのほか ]
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1位 涼宮ハルヒの憂鬱』ブーム
       U局発の人気アニメ登場 変わる地上波テレビの役割

 2006年を代表するアニメ作品に『涼宮ハルヒの憂鬱』を挙げることに異論のある人は少ないだろう。しかし、『ハルヒ』のビジネス規模がアニメ業界で1番となり、世間の人が誰でも知っている作品となったわけではない。ではなぜ『ハルヒ』のヒットがビジネスニュースなのだろうか。
 それは期待以上の大ヒットに尽きる。そして、この期待以上を生みだした構造に注目する必要がある。 

 『涼宮ハルヒの憂鬱』のビジネスの注目は2点である。1点目は作品の公開が地方局での放映という限られたものだった点である。
 アニメ作品公開の王道である地上波首都圏キー局の放送や劇場公開、さらに注目の増しているインターネットですらない。これまでの常識を考えれば、視聴者に届く可能性が極めて限定された作品である。

 『ハルヒ』がブームとなったことは、子供を対象に広く商品展開を考える作品以外では地上波キー局の放映が必ずしも重要でなくなっていることを示している。アニメ制作本数が過去最高となる一方で、インターネットによる情報網の発達が、優れた作品を確実にピックアップする機能を果たしている。
 地上波キー局の力は依然大きいが、ハルヒのヒットは今後長期的にはキー局の深夜放送やUHF局、衛星・ケーブル局、インターネット配信が、放映媒体として等価になっていく可能性を示している。

 もうひとつは今回のブームが、ファン主導で作られたムーブメントであった点である。ここ数年でも『機動戦士ガンダムSEED』や『NARUTO』、『ハウルの動く城』など『ハルヒ』以上にヒットした作品は少なくない。しかし、そうした作品の多くは、当初より大ヒットを意図して大きな予算が割かれている。
 『ハルヒ』は放映が地方局限定だったように、期待されていたのはほどほどのヒットである。現在のようなブームは、偶発感が大きい。
 これまでにも受け手主導で期待を超えるブームを生みだした作品には、『宇宙戦艦ヤマト』や『機動戦士ガンダム』『新世紀エヴァンゲリオン』などがある。しかし、近年はこうした作品がなかった。
 2007年以降はこのブームが収束に向かうのか、続編制作でさらに大きなムーブメントが生まれるのか目が離せない。

2位 時をかける少女』ロングラン興行に
       大型劇場アニメより小規模公開の作品に話題が集中

 『時をかける少女』のヒットも『ハルヒ』と同じ構造を持っている。『時をかける少女』の2006年の興行収入は、2億円とされている。興収で70億円を越えた『ゲド戦記』や『ポケットモンスター』、『ブレイブ・ストーリー』など同じ年の大型映画に較べれば遥かにビジネス規模は小さい。
 『時をかける少女』の事件も、『ハルヒ』と同じ予想外といった点に尽きる。それは、アニメ作品としては異例の半年を越えるロングランを実現したことや劇場用のフィルム本数を急遽増やしたことからも判る。
 また、大手ポータルサイトの作品評価で1位を獲得したように、ここでもインターネットによる情報の広がりが大きな役割を果たしている。
 それはアニメファンという帰属性の高いコミュニティに対して、インターネットがビジネス的に大きな意味を持ち始めていることでもある。

 さらに『時をかける少女』は、アニメファンだけでなく一般の観客に対して普遍性を持った作品であった。劇場アニメの興行が、子供向けの大規模なロードショーか、マニア向けの単館(あるいは数館)ロードショーが大半とされている。
 『時をかける少女』の観客にアニメファンは少なくない。しかし、作品はアニメファンにしか判らないお約束事には無縁な世界であった。一般の大人の視聴に耐えうる作品として、アニメと無縁の観客も多かった。
 それが小さな市場であっても、アニメファン以外の大人が観られる劇場アニメがロングランとなり、その市場に可能性を見出したことは大きく評価される。

3位 躍進するウェブアニメーション
       蛙男商会の地上波進出とやわらか戦車の商品展開

 ここ数年、インターネットの世界で大きな注目を浴びていたウェブアニメーションが2006年に大きな転換期を迎えた。それはウェブアニメーションがネットから飛び出したことである。
 その代表は4月に『THE FLOGMAN SHOW』で地上波テレビに進出した蛙男商会と、大規模な商品展開で一気に知名度上げた『やわらか戦車』である。重要なのはネット(と上映会)の枠を飛び越えたことで、ウェブアニメのビジネス化が急激に進んだことである。
 この結果、あらたなコンテンツとしての可能性、アイディアの源、人の呼べる作品、低コスト様々な面から、ウェブアニメーションに対する関心が急激に高まっている。

 現在は限られた作家だけであるとしても、ウェブアニメで収入を得ることが出来る可能性が生まれたことは、クリエーターにとっても大きな意味がある。
 2006年に盛り上がった高い関心が2007年も続きさらに飛躍するかが、今後のウェブアニメーションの行方を決めることになりそうだ。
 
4位 双日 米国ADVに資本参加 
     米国№1アニメ流通会社に出資で日米アニメビジネス融合に向かう

 総合商社の双日は日本政策投資銀行、クロックワークス(双日の持分会社)と共同で投資会社を設立し、北米最大のアニメ流通企業のADヴィジョンに30%の出資をした。
 これまで米国のアニメ流通企業は、100%日本企業が出資する現地子会社か100%現地資本の米国系の企業に分かれていた。米国系トップ企業に日本の資本が入り、共同でビジネスを展開することは大きな変化である。

 これには、ここ数年の北米でのアニメDVD販売の伸び悩みにより、日系、米国系双方の企業が新たな資金を必要としていた事情もある。
 実際に、2006年には電通系の米国アニメ流通企業ジェネオンエンタテインメント(USA)に、三菱商事が子会社のディーライツを通じて資本参加をしている。

 しかし、もっと大きな流れは、日本企業が単にライセンスを売り、市場開拓は現地企業にまかせる状況が大きく変わりつつあることである。日本企業自身が市場開拓に深く関わろうとし始めている。
 それはここ数年で東映アニメーション、バンダイビジュアル、マッドハウス、角川ピクチャーズUSAと現地にビジネス拠点を設立する動きが相次いでいることからもわかるだろう。

5位 インターネットでのアニメ販売元年 国内外で成長するアニメ配信
       米国で相次ぐアニメ番組のダウンロード販売

 昨年に引き続きインターネットでのアニメ配信事業が拡大を続けている。2006年の特徴は、これまでインターネットでの本格的な動きがあまり見られなかった米国市場が一気に進展をしたことである。
 米国では7月にVIZメディアとカートゥーンネットワークが共同で人気番組の無料配信を始めたのが大きなターニングポイントになった。その後、バンダイ・エンタテイメントがアマゾンで配信・ダウンロード販売の特設サイトをオープン、ADVが自社の配信・ダウンロード販売サイトを設立、中堅企業もそれに追随するなど短期間でインターネットサービスが出揃った。
 2006年は、米国のアニメのインターネット配信元年となった。一番の驚きは、日本でははまだ実現していないインターネットのダウンロード販売が始まったことである。

 国内では05年にスタートしたGyaOのインターネット完全無料配信に、Yahoo動画が追随した。さらに、新作アニメのプロモーションのために、作品の一部あるいは全部をインターネット配信することはもはや常識となっている。
 また、有料配信では国内最大のライブラリーを持つ東映アニメーションが、そのラインナップのほとんどがいつでも視聴出来る体制にむけてインターネット配信体制を大幅にリニューアルするなど拡大を見せている。
 しかし、こうしたインターネット配信も、現段階では国内では番組のダウンロード販売にまで至っていない。これもコピー防止技術が確立し、どこかがスタートを切ることで一気に普及する可能性が高い。それが2007年に開始されるかどうかが注目される。

続きを読む "2006 アニメビジネス10大ニュース 1位~5位" »
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2007.01.01
そのほか ]
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6位 国内外で拡大するアニメイベント
  東京国際アニメフェア、アニメエキスポ、ジャパンエキスポ過去最大規模に

 2006年は国内外で日本アニメ関連イベントが過去最大の規模となった。国内では2002年にアニメビジネス振興を目的に開始した東京国際アニメフェアが、2006年に参加企業過去最大、参加者はおよそ10万人に達した。
 また、海外では2年ぶりにフランスで開催されたヨーロッパ最大のアニメイベントのジャパンエキスポが参加者6万人を突破し過去最高となった。北米ではアニメエキスポが開催から15年で4万人を突破、こちらも参加者は過去最高である。
 さらに日本アニメの普及の遅れたドイツのコンニチでも、過去最高の1万2,000人の参加者を集めている。こうした傾向はアジアでも同様で、北米・アジア・ヨーロッパを中心に海外のアニメイベントが拡大している。

 しかし、ポップカルチャー関連のイベントの拡大は、日本アニメだけに限らない。国内では、東京ゲームショウが90年代後半の停滞をくぐり抜け、2000年代に入り再拡大に転じている。2006年の企業出展、参加者(19万2000人)とも過去最高である。
 さらに米国ではサンデイェゴ・コミコンが、過去最大規模でおよそ10万人。日本のアニメやマンガにも力を入れるニューヨークコミコンが開催第1回で予想を大幅に上回る2万人を集めた。

 こうした規模の拡大により、これまでファンイベントの色彩が濃かった各イベントは、宣伝やマーケティングの場としてビジネスでの重要性が増している。
 逆に言えば、企業や行政によるサポートが規模の拡大を支えているとも言える。

 一方で、イベントの拡大は必ずしも良いことばかりとも言えない。毎年5月にロサンゼルで開催される世界最大のゲームショウE3は、巨大になり過ぎたことを理由に今年から開催規模を大幅に縮小する。
 大規模なイベントがファンや業界、ビジネスにとってどういった利益をもたらすのかを、いま一度考える必要があるかもしれない。

7位 上場新興アニメ・マンガ関連企業に相次ぐ業績下方修正
    コンテンツ関連企業の株価は停滞

 
 2006年後半になって企業業績予想を大幅下方修正するアニメ・マンガ関連の新興上場企業が続出した。なかでも、黒字予想から一転して16億円の赤字予想に転じたGDHの決算は衝撃を与えた。このほかウィーヴやマーベラス、マッグガーデン、ウェッジHD、JDC信託など新興企業の業績下方修正が相次いでいる。
 業績修正は、DVD販売の不振を理由とするGDHやテレビアニメ番組のメディアミックス展開不調のウィーヴ、雑誌販売不振のマッグガーデンなど様々である。しかし、株式市場でこうした企業の株価は数分の一まで下落したことは共通している。拡大するコンテンツビジネスに大きな期待が寄せられた2005年と対照的な動きとなった。

 一方で、東映アニメーションは経常利益で過去最高を更新、バンダイビジュアルも6期連続最高益を更新するなど業績が好調な企業も少なくない。しかし、こうした業績好調企業でも、東映アニメーションの株価は年初のおよそ半分、バンダイビジュアルは2/3の水準である。
 株式市場でのアニメやマンガ関連業界に対する冷ややかな態度が伺える。株式市場は企業や業界の動向を先読みするとされることが多い。株式市場ではブームが去ったコンテンツ関連市場。2007年はどちらの方向に進んで行くのだろうか。

8位 日本アニメ『鉄コン筋クリート』に外国人監督登場
      鉄コン筋クリートにアリアス監督 海外で増える日本アニメスタイル

     
 劇場アニメ『鉄コン筋クリート』をアメリカ人のマイケル・アリアス氏が監督を務め話題を呼んだ。日本のアニメスタジオが、国内向けの大型アニメ作品に在外外国人を起用する初めてのケースとなっている。
 また、この秋にはフランス人トマ・ロマン氏、サヴァン・エッフェル氏の監督によるテレビアニメシリーズ『オーバンスターレーサーズ』の放映も開始されている。こちらは日本のハルフィルムメーカーとフランスのアニメプロダクションSav! The Worldの合作である。監督は日本で制作指揮を執ったほか、制作の拠点のほとんどが日本に置かれた。
 これまで日本アニメは日本人にしか作れないと主張されることが多かった。しかし、『鉄コン筋クリート』と『オーバンスターレーサーズ』は、こうした常識を打ち壊し始めている。

 さらに欧米で、日本アニメスタイルを大きく取り入れたテレビアニメーションが続出している。既に東アジアでは、日本アニメスタイルのアニメーション製作は広く見られるが、それが欧米に拡大している。
 今年2月に米国の大手ケーブルテレビ局のニコロデオンで、日本のアニメ制作を舞台にしたコメディアニメーション『カッパ・マイキー』の放映が始まった。制作は全て米国、主人公以外のキャラクターは日本アニメスタイルという変り種である。日本のアニメスタイルと欧米のアニメーションの違い自体が番組のテーマになっており、日本のアニメスタイルへの関心の高まりが表れている。

 日本アニメ制作に参加する在外外国人の登場や日本アニメスタイルの海外への広がりは、日本のアニメの将来にとって重要な意味を持つに違いない。

9位 代々木アニメーション学院民事再生法申請
    転機を迎えるアニメーションクリエーター教育 
   

 大手アニメーション専門教育機関の代々木アニメーション学院を経営する代々木ライブ・アニメイションが民事再生法を申請し経営破綻した。この経営破綻には、同社の放漫経営といった個別の理由があるもののアニメクリエーター教育の環境変化といった大きな潮流とは無関係ではない。
 この変化のひとつは、専門学校が共通して抱える少子化問題である。もうひとつはアニメーション教育業界で特に目立つ過当競争と高学歴化である。

 専門学校の多くが少子化による生徒の減少を前に、アニメやマンガ、ゲームといった若者に人気のクリエイティブ系学科・コースの新設や増設することで対応しようとしている。この結果、以前より競争の激しかったこの分野の生徒獲得競争がさらに激しくなっている。
 さらに、行政のコンテンツ産業育成政策により、大学教育でもこうした分野の学部、学科の増設が相次ぎ、2006年にはその稼動が本格し始めた。
 大学教育はこれまでの学校の場による教育が実践に役立たないという指摘に対応し、インターシップなどを取り入れるなど競争優位性が高い。このため専門学校の学生が、大学にも奪われ始めている。

 一方で、アニメーターを中心に就職後初期段階の賃金が極めて低いことなどから、アニメ制作現場での人材不足の深刻化がさらに進んでいる。
 2007年以降は、こうした教育と現場のミスマッチの解消が求められるだろう。

10位 機動戦士ガンダムDVD-BOX登場
    次世代DVD:ブルーレイ・HD-DVDも本格始動

 
 DVD化が待望されていた『機動戦士ガンダム』テレビシリーズのDVD-BOXが、12月に発売された。通常のDVDが1万枚売れればヒットとされるなか、DVD-BOXという高額商品にもかかわらず初動で12万セットを出荷する大ヒットとなった。商品単価の高さを考えれば、記録破りの売上高になるだろう。
 一方で、『機動戦士ガンダム』のDVDの発売は、DVDから次世代ディスクの切り替えが近づいているためだと解説されることが多い。旧メディアの最後の目玉商品として売るためだという。

 実際に、2006年は次世代ディスクであるブルーレイとHD-DVDの発売が本格化し始めた。しかし、技術優位の高いブルーレイ、価格と普及速度の速いHD-DVDの2種類の方式は甲乙つけ難く、どちらがディフェクトスタンダードになるのか現状では判らない。
 次世代ディスクでのアニメソフトも初めて発売された。なかでもメジャータイトルの『ブレイブ・ストーリー』が、ブルーレイ、HD-DVDの双方で発売されたのが目を惹いた。また、ブルーレイでは『イノセンス』『AIR』といった人気タイトルが既に発売されている。
 2007年は両方式のそれぞれの陣営がスタンダード化を狙い、アニメ作品も巻き込んだ展開を繰り広げそうだ。

続きを読む "2006 アニメビジネス10大ニュース 6位~10位" »
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2006.12.14
そのほか ]
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 2006年終わりまであと2週間あまり、そこで2006年に起こった主なアニメビジネスニュースを時系列でまとめてみた。今年も様々な出来事のあったアニメビジネスを振り返ってみてはどうだろうか。
 また、1月1日、2日にはあらためて「アニメ!アニメ!」の選ぶ2006年のアニメビジネス10大ニュースを発表する予定である。

1月 
米国 ミュージックランドが経営破綻 米国アニメ企業経営に打撃
ハウルの動く城 アカデミー賞にノミネート 

2月
バンダイビジュアル 6期連続最高益を達成

3月
東映アニメーション 売上高・経常利益過去最高に
マーベラス アートランド買収
東京アニメセンターオープン 
東京国際アニメフェア 過去最高の人出
テレビ東京 夕方アニメ放送枠を5時半に30分繰り上げ 

4月
『涼宮ハルヒの憂鬱』放映開始 大ブームに 
フラッシュアニメの蛙男商会 地上波テレビ進出 
東京都現代美術館でディズニーの大規模展覧会
バンダイビジュアル 音楽出版ランティスを買収
双日 映像流通のクロックワークスに出資 
麻生外務大臣 アニメとマンガの外交構想を発表
ボーイズラブのビブロス倒産 アニメイトグループが救済 

6月 
ディズニー ピクサーを買収
ファイナルファンタジーAC 国内外で大ヒット 世界出荷240万枚
双日 米国最大のアニメ流通会社ADVに資本参加 
電通・三菱商事 アニメで業務提携 三菱商事ジェネオンUSAに出資 

7月
Flashアニメ「やわらか戦車」商品展開始まる 
東京国際映画祭、東京ゲームショウ、東京国際アニメフェアに統合構想浮上
遊戯王カード 世界販売累計№1でギネスブックに申請
TYO 動画工房買収
パプリカ ヴェネチア映画祭ノミネート
時をかける少女封切 口コミ人気でロングランに 
ゲド戦記公開 06年邦画興収1位
米国AX参加者4万人超 史上最高に
フランスジャパンExpo 6万人超 史上最高を更新

8月
ポケモン劇場シリーズ興行400億円突破
ウィズ 葦プロ買収 
DLE ムークアニメーション買収 
広島国際アニメーションフェスティバル開催

9月
中国でゴールデンタイムの海外アニメ放映禁止 
エヴァンゲリオン映画化決定発表
 
10月
安部首相 所信表明演説でアニメ言及
相次ぐアニメ・マンガ コンテツ関連企業の業績下方修正
国内最大級のアニメスタジオ オープン 
日本動画協会 アニメーター養成試験・研修開始
コミケ代表 米澤嘉博氏逝去 

11月
京都国際マンガミュージアムオープン
プロダクションI.G マッグガーデンに資本参加
 
12月
代々木アニメーション学院経営破綻 
ファーストガンダムDVD発売
 
(年間を通じた動き)
デスノート アニメ・マンガ・実写で大ヒット 
米国でNARUTOブーム加速
海外で広がるYaoiブーム
加速するアニメのインターネット無料配信
アニメのインターネット販売ビジネス 国内外で拡大
アニメ放映本数 週100本を越える
YouTubeに相次ぐアニメ番組違法アップロード
HD-DVDとブルーレイ始動 アニメタイトルも発売へ

続きを読む "アニメビジネス 2006年に何があった!?" »
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2006.10.24
そのほか ]
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 伊藤忠商事とカートゥーンネットワークによるアニメ共同製作事業、三菱商事と電通のアニメ事業提携など、近年総合商社がアニメビジネスに関わるケースが増えている。

 数千億単位のプロジェクトも行なう総合商社がなぜ不案内に見えるアニメビジネスとの関わりを深めるのだろうか?
 社団法人日本貿易会の月報10月号新規事業特集に総合商社のひとつ双日が寄稿した「コンテンツ産業育成における商社の役割」(下記リンク先参照)はそうした疑問の一部に答えるものになっている。

 双日はこの5月に日本政策投資銀行とクロックワークス(双日の持分会社)と共同で投資組合(日本コンテンツ投資事業有限責任組合)を設立し、米国最大のアニメ流通企業ADヴィジョンに出資し注目を浴びた。
 また、同時にこの投資組合は海外向けのコンテンツライセンスの管理会社ARMを設立している。

 今回の特集はこれまでのプレスリリースや報道だけでは判りにくかった、双日のアニメビジネスの目的とARMの役割が簡潔に説明されている。
 今回のビジネスのポイントは、総合商社のふたつの大きな機能、海外ネットワークとファイナンス機能が要となっている。海外ネットワークを利用したライセンスの販売は比較的判りやすいが、むしろ今回注目すべきはファイナンス機能である。

 なぜならこのARMのビジネススキームは、日本企業でなく米国のアニメ流通企業のファイナンスサポートが最大の目的になっているからである。
 このビジネスは日本のアニメコンテンツを買う企業に資金環境をサポートすることで、それらの企業がより日本のコンテンツを買いやすくする。結果的に日本企業にも利益となることを目指している。ADヴィジョンへの出資も、そうした流れの一環にあると考えてよいだろう。

 また、ARMの役割は同社が海外向けのマスターライセンスを獲得し、各海外企業にサブライセンスを供給することである。一気に高額なマスターライセンスを獲得するのに較べて、海外の流通企業の資金的な負担はこれで軽減される。
 この場合サブライセンサーは、ADヴィジョンに限定されていない。このビジネススキームは、多くの海外企業に適用されることで、そうした企業による日本アニメの買付け需要を促進する目的があるわけだ。
 
 今回の双日のビジネススキームの背景には、日本の人気アニメのライセンス高騰と、米国でのアニメDVDの販売不振が多くのアニメ流通企業の財務基盤を傷つけたこと、米国のアニメ流通企業の多くはベンチャー企業で資本調達力が十分でないことなどが事情としてある。
 また、こうした複雑なファイナンススキームが登場するのは、海外におけるアニメ流通ビジネスがこれまで以上に複雑化し、同時に拡大しつつあることも示していそうだ。

日本貿易会 
コンテンツ産業育成における商社の役割

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2006.08.26
そのほか ]
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Google trendsって何?
 Googleが新たに始めた新サービスGoogle trendsをご存知だろうか。検索エンジンで利用される単語の利用回数を時系列に表示するサービスである。
 言ってしまえばある特定のワードの人気や関心のトレンドが読めるというものである。現在は英語版しか提供されていないが、機能自体は各国語、地域対応なので特定地域のトレンドを調べることも可能だ。
 例えば、日本のインターネットの世界で『ガンダム』のトレンド(人気と関心)がどういった変化を見せているかといった具合である。

Zガンダムを調べる 
 そこで幾つかのアニメ関連のワードで検索をやってみた。まずは、『機動戦士Zガンダム』である。昨年5月の『機動戦士Zガンダム 星を継ぐ者』の劇場大ヒットにはネットでの評判が大きかったとされている。本当にそうだったのだろうか?それを調べてみた。

 早速、検索ワード「Zガンダム」、地域「日本」で検索をかけてみると、驚くほど期待通りの結果が出て来た。「Zガンダム」の検索ボリュームは、05年の5月頃に通常の4倍から5倍に一気に膨れ上がっている。
 ネットの評判がヒットを生んだのかはわからないが、少なくともこの時期にネットの世界での関心が極めて高くなったのは確かなようだ。

 また、6月の終わりにかけて通常のレベルに戻るだが、05年10月と06年3月に再び小さな山が形成されている。2作目『恋人たち』の公開と3作目『星の鼓動は愛』の公開であることは言うまでもないだろう。
 しかし、2作目のボリュームは1作目の半分、3作目のボリュームは2作目よりもさらに小さくなっている。この結果は3作品の興行成績とも一致しており、05年劇場版Zガンダムの第1作の勢いを2作目、3作目まで維持出来なかったことがここから理解出来るだろう。

涼宮ハルヒの憂鬱を調べる
 それでは、いまや人気大沸騰の『涼宮ハルヒの憂鬱』はどうであろうか。こちらは検索ワード「ハルヒ」、地域「日本」で検索してみた。こちらも期待通りの鮮やかなトレンドとなっている。

 テレビ放映前の今年の3月以前には、「ハルヒ」はトレンドとして現れていない。それが今年の4月のテレビアニメ放映開始直後に突然ランキングに出現すると、一気に検索ボリュームが急増している。
 注目度が急上昇したわけである。そして、少なくとも今年の6月時点では人気は高止まりしており、引き続き人気は高い。
 『ハルヒシリーズ』は長く続く人気ライトノベルだが、3月以前にトレンドに現れず、4月に急上昇したのは勿論アニメ版の放映がきっかけであるに違いない。

 Google trendsは各国別でトレンドを見ることも出来るのだが、これも面白い。まずは、アメリカである。続いて検索ワード「HARUHI」、地域「米国」で検索してみた。このアメリカのトレンドの特徴は、ほとんど日本のトレンドとパラレルになっている。
 トレンドは日本と全く同じ4月の半ばに現れて急上昇の後に高止まりと全く時差がない。テレビ放映をされていないが米国でも既に、日本と同様に『ハルヒ』が大きな関心を集めているようだ。

 本当は口コミで大きな人気を獲得したとされるこの夏の劇場アニメ『時をかける少女』や『ゲド戦記』と『ブレイブストーリー』の注目度の比較もやってみたかった。
 しかしこのトレンドの最新情報は、現在は6月末で止まっている。7月公開の各作品の動向は残念ながらまだ見ることが出来ない。おそらく情報が更新されるであろう来月以降にもう一度試しみたい。

Google trends(英語) 

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