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展示空間の広大さにまず驚かされる。アニメーション作家フレデリック・バックの世界を紹介する「フレデリック・バック展」は、東京都現代美術館の企画展示室の1階と3階全てを使用する。東京都現代美術館の企画展示室は、1階、3階そしてより規模の小さな地下2階を含めて4000㎡以上とされていることからも、その規模の大きさが分かるだろう。 展覧会の構成は、まず前半で美術作家としてのバックにスポットを当てる。後期印象派の影響も窺わせるフランス時代の絵画から数々のイラストレーションまで。それらの作品群が、やがてバックの特徴である豊かな色彩や自然に対する視線につながることを理解させる。 一方で、短編アニメーションならではの、展示の面白さもある。作品が短いがゆえに、展示資料と映像作品を並行して鑑賞することが可能になっている。 フレデリック・バック展/L'Homme qui Plantait des Arbres 主催: 公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館/日本テレビ放送網/マンマユート団 |
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文: 真狩祐志 2月3日から13日まで国立新美術館および東京ミッドタウンにて第14回文化庁メディア芸術祭が開催された。会期中には展示や上映のほかにシンポジウムなども行われ、2月2日の「バルト三国での日本のアニメ人気事情」や2月3日「世界のアニメーションフェスティバルから発信される表現の魅力」では、新海誠氏の影響が見られる短編アニメーション『Я люблю тебя(I Love You)』が紹介されて話題となった。 アニメーション部門では石田祐康氏の短編アニメーション『フミコの告白』が優秀賞を受賞したことでも注目された。2月12日の「アニメーション部門優秀賞『フミコの告白』作家トーク」では、石田氏が自ら監督した当作品について解説した。 短編アニメーションの概況については、2月8日の「若手アニメーション作家が目指すもの」や2月13日の「アニメーション部門受賞者シンポジウム①」などでも語られている。こちらは同じく優秀賞を受賞した『わからないブタ』の和田淳氏らが出演した。 「ネット時代における映像の多様性:表現と配信について」は部門クロストークとなっており、石田氏のほかアート部門で『NIGHT LESS』が優秀賞の田村友一郎氏とエンターテインメント部門で『Tabio Slide Show』が優秀賞の児玉裕一氏が出演した。田村氏は『NIGHT LESS』でGoogle Mapの画像を利用してコマ撮りともとれる映像表現を行った。児玉氏は3年連続でSPACE SHOWER MUSIC VIDEO AWARDSのBEST DIRECTORに選ばれるなど、近年で最も勢いのあるミュージックビデオ監督である。 短編アニメーションというと大部分の作業を個人が負うイメージも持たれがちであるが、映画祭などで受賞している海外作品でもプロダクションが制作したものが多々見られる。国内でも例えば水野氏が所属する神風動画の作品がアヌシー国際アニメーションフェスティバルなどで上映されたりしているなど、国内の中小規模のプロダクションの作品もあるものの、国内ではその側面で語られることが意外と多くない。 さらにアニメーションが何を目的として制作されているのかにも目を向けると、アニメーション部門のほかに見られる作品の理解が可能だ。特にエンターテインメント部門は多方面へのプロモーション展開を念頭においているものが基本的に多く、そのうちの1つとしてアニメーションが制作されているという場合もよくある。2月11日は「エンターテインメント部門推薦作品『豆しば』作家トーク」も行われたが、この『豆しば』もキャラクター展開の1つとしてアニメーションが制作されていることからでも分かるだろう。 国内における短編アニメーションの状況は、年を追うごとに大学生の作品の比重が増してきている。これも結局のところ、アニメーション制作がプロモーションや商品展開などといった用途に影響されるかどうかといった部分も一理ある。中小のプロダクションがオリジナル企画を立てて制作するにしても、単にアニメーションを制作するというだけでなく、それに付随した展開まで念頭に置かざるを得ないからでもある。その辺りが作品のあり方への分水嶺ともなっているようだ。 文化庁メディア芸術プラザ http://plaza.bunka.go.jp/festival/ 続きを読む "第14回文化庁メディア芸術祭 多角的な短編アニメーション" » |
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今年で14回目を迎える文化庁メディア芸術祭が、2月2日から12日間の予定で始まった。上映会やシンポジウム、ワークショップなど様々な企画が用意されるイベントだが、最も多くの人が足を向けるのは、国立新美術館にある展示部門だろう。 そうした展示部門の展示方法は、毎回一様でなく、年ごとに異なったコンセプトが見られる。今年の展示方法は、例年に較べてより整理された、分かり易い展示が目指されたようだ。会場は領域ごとに区切られて、さらに入り口から出口まで順路が導入される。 これを抜けるとマンガ部門だ。大きく拡大されたマンガの絵を壁に、作品の原画などを展示する。それぞれの原画は、作品の見せ場ばかりでファンにとっては目が離せない。続くアニメーション部門も同様で、作品の映像紹介と原画や絵コンテ、背景などが並ぶ。 最後のエンターテイメント部門はウェブやコマーシャル、ゲーム、デジタルガジェットと、メディア芸術祭のなかでも特に幅広い領域をカバーする。そうした特長もあり、展示作品もヴァリエーションに溢れ、カオスじみた様相を呈している。しかし、それは不快なものでなくむしろ心地良いカオスだ。 第14回文化庁メディア芸術祭http://plaza.bunka.go.jp/festival/ 続きを読む "文化庁メディア芸術祭 本年は部門ごとの独立性を重視" » |
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映画監督押井守の映像における仕事は、1980年の直前より始まり、およそ30年あまりにも及んでいる。しかし、これまで押井守作品全体にフォーカスした本格的な展覧会は行われてこなかった。 今回の展覧会の特徴は、こうした様々な展示品をあわせて見ることで、個々の作品を超えた押井守のビジュアル世界がよりはっきりと見えてくることだ。押井守のビジュア世界は、アニメーション、実写、舞台、イベントと多岐にわたる。しかし、展覧会でまとめて眺めると、押井守の世界が、時代や表現方法は異なっても、実はほとんど変化することなく一貫して続いていることが分かる。むしろ変わっているのは時代と作品の受け取り手なのだろう。 映像作家として世界的にも評価の高い押井守だが、こうした展覧会がこれまでに実現しなかったのは理由がある。本展覧会を担当した八王子市夢美術館の学芸員 浅沼塁氏によれば、押井守監督の映像の仕事は通常は絵コンテまで、その後の実作業の多くはスタッフによるものとなり、実は押井監督の仕事として展示物があまりないためだという。実物主義を取る美術館の盲点である。今回の展覧会も数年前から企画が立てられていたが、実際にその点を悩んだという。 こうした展覧会のコンセプトを経た結果、展示物が驚くほど多岐に亘ったのだ。時代や作品も様々なため、押井監督が自らもう二度とは実現しないと表現するほどだ。そんな貴重品のひとつが、2000年初頭の劇場公開を目指しながら、完成に至らなかった幻の作品の立体資料の数々などだろう。ファンにとっては、これを見るためだけでも訪れる価値があるだろう。 特別展 押井守と映像の魔術師たち |
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「借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展」 「借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展」が、7月17日から東京都現代美術館で始まる。同じ7月17日には、まさに映画『借りぐらしのアリエッティ』が全国公開をスタートするから、抜群のタイミングだ。 一見、奇異に映るふたつの組み合わせも、展覧会を通してみるとその意図が理解出来る。種田陽平さんによる映画美術の紹介は、制作資料やスチール写真から構成されている。それだけでも素晴らしさは伝わるものの、映画美術の作品である舞台セットがないことで、リアリティの一部がかけてしまう。絵画展なのに、デッサンばかりで実際の絵画ない状態とでも言えるだろうか。 それではなぜここで敢えて『借りぐらしのアリエッティ』を取り上げたのであろうか。例えば、過去に種田陽平さんが手掛けた実写映画のセットを再現する方法もあったに違いない。むろん夏休み中にスタジオジブリ作品と連動することで、より多くの来場者を集め、美術展としての収支も合わせるという狙いもあるかもしれない。 ただし、こうした理屈は大人のものだ。子供たちにとっては、今回の展覧会は夢の空間だ。多くの子供たちは、純粋に小人になった気分で展覧会を楽しむだろう。一方で、それは映画美術の世界に触れるきっかけともなる。 「借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展」 |
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5月24日から7月6日まで、東京・上野の森美術館で「井上雄彦 最後のマンガ展」が開催されている。『SLAM DUNK』や『バガボンド』で知られた人気マンガ作家井上雄彦の大規模な展覧会である。人気作家一人のために美術館をまるごと使用、そして衝撃的なタイトルと話題性も豊富で、連日多くの人で賑わっている。 一般的な展覧会の目的は、作家の世界観や作品、歴史、あるいは社会における影響から文化的な側面などの紹介である。そのため様々な説明が与えられる。ところが「井上雄彦 最後のマンガ展」では、この印象的なタイトル以外の情報が会場で一切与えられていない。展覧会で必ず見られる作品タイトルや説明、展覧会の趣旨、主催者や作者の挨拶すら存在しない。 そこから物語は始まる。そう「井上雄彦 最後のマンガ展」は、まさに物語である。今回の展覧会のために描き起こされた100枚以上の原画は、物語に沿って並べられ進んでいく。 大きな空間での表現、その場限りのライブ感、この展覧会は、2004年に三浦市の廃校で『SLAM DUNK』の後日談を黒板に描いたイベントの系譜にある。しかし、今回の表現方法は、この『SLAM DUNK』の後日談からさらに大きく発展している。 もともと、マンガはメディア芸術のなかでも、表現手段の不自由なもののひとつである。(マンガを芸術と呼べることを前提だが)つまり、多くの作品は本のサイズによって大きさを制限されているし、掲載一回分の長さも制限されている場合がほとんどである。さらに、プロの作家であれば、多くの場合は商業マンガとなる。エンタテイメントであること、読者の支持を得ることを常に求められている。 展覧会終了後に、今回の作品は出版物としてもまとめられる予定だ。しかし、おそらくそれは今回の『井上雄彦 最後のマンガ展』とは異なる別の作品になるのではないか。展覧会の経験と書籍としての経験、それはまた別の作品だろう。 「井上雄彦 最後のマンガ展」 |
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第11回文化庁メディア芸術祭が、東京・六本木の国立新美術館で2月6日から開催されている。アニメーションの分野では『河童のクゥと夏休み』が大賞に選ばれた。このほか、優秀賞には『うっかりペネロペ』や『天元突破グレンラガン』、『電脳コイル』、『カフカ田舎医者』、『ウシニチ』が選ばれている。 明らかに展覧会の特色は、アートとエンタテインメントを中心としたこの境界線の曖昧さだ。ファインアートからサブカルチャーまで幅広い作品をメディア芸術として同じ枠で並列的に扱う。それにより、これらが本来は等価であることが表れる。 アートとエンタテインメントが個々に取り上げられる時は、その違いは判りやすい。しかし、同時に並べられ同じ文脈で語られる時に、その違いはむしろ判らなくなる。 しかし、こうした攻撃的な正の効果の一方で、今年は同じ試みが負の効果も与えているように感じた。全ての作品が同じファーマットで展示されることで、それぞれの作品が持つ個性が削ぎ落とされてしまっているからだ。それは特にアニメーションやゲーム、マンガといったサブカルチャーと呼ばれる分野の作品に感じられる。 個々の作品がアートとして展示されることで、作品に新しい光があてられ、新しい発見が起こる面白さはある。 第11回文化庁メディア芸術祭 公式サイト http://plaza.bunka.go.jp/ 続きを読む "メディア芸術祭 境界なきデジタル時代の展覧会" » |
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1月22日から東京アニメセンターで開催されている「追悼展示会アニメーター逢坂浩司展」に行ってきた。この展覧会は、昨年9月に逝去されたアニメーター逢坂浩司氏を追悼するため昨年12月杉並アニメーションミュージアムで開催されたものを再構成したものである。 展示はふたつのパートに分かれており、ひとつは逢坂浩司氏に生前に縁があったかたがたのメッセージである。 そして残りのパートは、同氏の代表作『機巧奇傅ヒヲウ戦記』、『機動戦士Vガンダム』、『獣王星』、『機動武闘伝Gガンダム』、『絢爛舞踏祭 ザ・マーズ・デイブレイク』、『天空のエスカフローネ』、合計で6作品の版権イラストの原画展示になっている。作品ごとに3点から5点ぐらいが展示をされている。 アニメーションはその語源がアニマ(魂)=生命の動きから由来するように、海外でも国内でもアニメーターの技量というと専ら動きが重視される。 版権イラストは、まさにアニメの絵を止めた時に、キャラクターを魅力的に生き生きと描くものだ。単なるイラストではなく、動かない絵の中に作品世界が凝縮したもの、動きのないアニメそのものなのだ。日本にはこうした版権イラストを魅力的に描く優秀なアニメーターが多いが、逢坂浩司氏は間違いなくそのトップのひとりだった、と展示された原画をみながら感じた。 今回展示されている原画は、スペースの関係から期間中に入替えを行うという。また、そのなかには、杉並アニメーションミュージアムでは展示されなかったものも含まれる予定である。出来れば何度もでも足を運びたい展覧会だ。 『追悼展示会アニメーター逢坂浩司展』 |
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ジブリ美術館は、宮崎駿監督作品を中心とした作品世界の再現と、アニメーションの歴史や制作といった世界の紹介で知られている。ジブリ美術館の経営母体はやや複雑である。当初、徳間書店と株式会社ムゼオ・ダルテ・ジブリが美術館施設の建設を行った。それを三鷹市に寄付した後に、さらに三鷹市が徳間書店の設立した財団法人徳間記念アニメーション文化財団に運営を委託している。 研究活動では『日本のアニメーション・スタジオ史』と題した戦前から現在に至るまでの日本のアニメーションスタジオの変遷の調査を行っている。また、2003年度は企画展に合わせてロシアのアニメーションの研究を行っている。さらに、収蔵品の検討のために大正・昭和時代の国内アニメーションの調査を行ったとしている。将来的に、日本のアニメーション創生期の作品フィルムの収集を検討しているようだ。 |
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東京:上野の国立科学博物館で開催中の『テレビゲームとデジタル科学展』は、今や世界中の子供たちに馴染み深いTVゲームをコンピュターの誕生から現在までの流れをその当時のPCやゲーム機の展示と伴に追っていくものである。TVゲーム発展の歴史を掴むに相応しい企画であった。 この展覧会の感想を一言で表現するなら『ゲーム機の墓場』である。これは、展覧会をネガティブに捕らえているわけでない。ゲーム機の歴史を辿るこの企画は、意図されたかどうかは判らないが、歴史の表裏の関係でゲーム機メーカーの興亡史ともなっているためである。 展示品は、パソコン勃興期のアップルⅠやLisa、あるいはインテルの4004、あるいはアタリ社の世界初のコンピュターアーケードゲーム、TVゲームなど貴重なパソコンやゲーム機などをよく集めている。しかし、全体の印象としては専門的な解説共に往年のゲーム機が並んでいるだけとの印象が否めない。 『テレビゲームとデジタル科学展』 2004年7月17日~10月11日 国立科学博物館(東京・上野公園) 国立科学博物館 『テレビゲームとデジタル科学展』プレーステーション.COM |
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