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2009.10.18
ビジネスショー ]
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 10月15日から17日まで、東京・秋葉原UDXでジャパン・アニメコラボ・マーケット(JAM)2009が開催された。JAMは2007年のJAPAN国際コンテンツフェスティバル(コ・フェスタ)のアニメーション部門として新たに誕生したビジネスイベントで、今年で3年目を迎える。
 アニメビジネスイベントでは毎年春に開催される東京国際アニメフェアがよく知られているが、JAMはアニメの作品や映像そのものでなく、そこから二次的に派生するビジネスの活用、発展を目指しているのが特徴だ。

 開催から3年目を迎えた今年は、開催当初には分かり難かったアニメ関連ビジネスの二次展開という方向性がより明確になった。アニメを中心に、いままでの常識に捉われない関連事業展開を目指すとのコンセプトを評価する声は多い。
 実際にアニメ産業は、放送、映画、映像パッケージといった映像そのもの市場は年間2千数百億円程度に過ぎない。一方で、アニメから派生するキャラクター関連市場は一兆円以上とも言われるから、二次展開による市場拡大という方向性は合理的だ。

 また、今回の会場では古いキャラクターを掘り起こした商品提案や、アニメと提灯、扇、久谷焼などといった日本の伝統工芸と結びついた商品が多数見られた。流行を追いがちなアニメのライセンス事業に新たな風を吹き込むものだ。
 アニメと地域の活性化を結びつけた企画も多く、JAMならではの風景である。こうした提案が直ちに大きなビジネスにつながるとは限らないが、アニメビジネスの可能性を広げるという意味は大きい。

 一方で、JAM2009の目指す方向性が明らかになることで、JAMが今後克服すべき問題も明らかになってきた。JAMはコ・フェスタのオフィシャルイベントのひとつだが、このオフシャルイベント同士で扱い領域の重複が多数みられる。
 例えば、JAMは二次展開にあたって中小企業やプロの個人事業者を重視しているが、ほぼ同じ日程で小規模なクリエティブ企業の見本市東京コンテンツマーケットが東京ビッグサイトで開催されている。二次展開の鍵となるライセンスビジネスは、東京コンテンツマーケットと共催となったライセンシングアジアが取り扱う。二次展開を離れるとアニメ映画、テレビアニメは翌週から始まるTIFFCOMの主要取引コンテンツである。

 このためJAMはその志の高さにも関わらず、他のイベントと競合しており集客で苦戦している。秋葉原と東京ビッグサイトの距離を考えれば、これらの重複イベントは相乗効果というよりも、参加企業や来場者の分散を招いている。
 これはJAMに限ったものでなく、今年のコ・フェスタに見られる大きな特徴である。2008年、2009年とイベントの数が増えるほど、個別のイベントの存在感やパワーが小さくなっているように見えるからだ。

 もうひとつの問題点は、コンシュマー向けのイベントの存在である。一般に広くビジネスを紹介するというコンセプトは正しい。しかし、イベントの目指すものが二次展開、ライセンスビジネスとすれば、本来のテーマから離れた企画が少なからず見られる。それらを東京国際アニメフェアのような新作、新番組のプロモーションだとするとその数は少なく、その力はあまりにも弱い。
 また先程の東京コンテンツマーケットやライセンシングアジアの領域の重複と同様に、こうしたコンシュマー向けの企画は、ほぼ同じ時期に、同じ秋葉原を会場とする秋葉原エンタまつりとの差別化が難しくなっている。実際にステージイベント、上映プログラムにおける両者の差は、ほとんど見つけられない。企画タイトルだけを見てどちらのイベント企画かを判断出来る人は少ないだろう。

 JAMが目標を達成するためには、限られた予算と人材といったリソースを効率的に使うことが必要なはずである。そうであれば、その目標に向けたリソースの集中投下が求められる。
 来年以降のJAMは、コ・フェスタの中で存在する関連イベントとの調整で、より効率的なイベント運営を目指すことが必要でないだろうか。
[数土直志]

ジャパン・アニメコラボ・マーケット(JAM)2009
http://www.jam-anime.jp/

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2009.03.29
ビジネスショー ]
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【2009年盛況も不安感残る】
 3月18日から21日まで、東京ビッグサイトで開催された東京国際アニメフェアは、過去最高の出展小間数、そして2.5%ではあるが昨年を上回る過去最高の人出となった。
 特に、ビジネスデーは6.3%の増加と堅調であった。国内と世界の経済が後退色を強めるなか、2009年の東京国際アニメフェアはひとまず成功と言っていいだろう。

 一方で、こうした見かけの数字ほどには、4日間の会場の様子は明るくはなかった。全体に昨年に較べて、華やかさが欠け、地味な印象を与えた。ビジネスデー、パブリックデーとも、大手製作会社によるステージやブースでのイベントは減っていたことが大きな理由だ。
 シンポジウムの開催数が増加している様に、よりビジネス的なイベントが増え、その空白を埋めていた。しかし、イベント全体の活気が減退している印象は否めなかった。また、海外からの来場者も欧米からの来場者も例年に較べ少なく、ビジネスデーのビジネス成約に不安を残した。

【影を落とすアニメ業界の停滞感】 
 もっとも、これは昨年から色濃くなっている業界全体のビジネス停滞感が、先入観としてネガティブなバイアスをかけているのかもしれない。
 アニメの産業は主にテレビ、DVD、映画、そしてそこから派生するライセンス商品の市場から構成される。そのうち昨年テレビ局の業績はかつてない不振に直面している。

 今年3月初めに日本映像ソフト協会が発表した2008年のアニメDVDの売上は、2桁の減少であった。非上場企業が多いため、公表されることがないアニメ映像パッケージメーカーの業績は、必ずしもよい数字でないとされている。これらが現在のアニメ制作本数の減少に影響を与えている。
 また、過去数年でディズトリビューターと呼ばれる海外のバイヤーは、DVDビジネスで壊滅的な痛手を受けている。これが欧米のバイヤーの新規作品の買い余力を低下させている。

 問題はこうした業界を覆う停滞感は、昨年秋に始まる世界的な不況のせいだけではないことだ。現在の経済不況の影響という以上にアニメ業界の構造的な問題が横たわっている。
 例えば、海外バイヤーの減少は、違法配信問題が大きな理由となっている。国内のDVD販売の減少も、マニアに向けに高額のDVDを数千枚から数万枚の小ロットで販売するビジネスに行き詰まりが見えてきている。テレビでのアニメ放送についても、長期的に進むアニメ番組の視聴率低下傾向の克服が依然課題となっている。
 東京アニメフェア2009に感じたムードは、むしろこうした不安感の総体なのかもしれない。それでもこうした状態が今後も続けば、2010年のアニメフェアは、実際に今年ほど明るい結果にはならないかもしれない。

【元気があったインディーズ界隈】
 勿論、アニメ業界にはもっとポジティブな面も多い。特に今年指摘が多かったのは、所謂インディーズ系のクリエイター、企業の活躍である。神風動画に代表される先鋭的なスタジオが、独自のブースを持ち積極的に活動しており、メジャーとインディーズが急激に融合し始めているのを強く感じさせた。
 また、アニメフェアが人材育成として設けているクリイターズワールド出身の企業、人材がメジャーシーンに進出する例が増えている。クリエイターズワールドのレベルの急激なアップは、多くの人が述べており、目を見張るものがあった。
 宇木敦哉さんの『センコロール』が、アニプレックスからデビューすることは多くの人に驚きを与えた。人材不足を常に言われるアニメ業界で、今後、インディーズシーンから才能を発掘する動きが強まりそうだ。

 同様に投稿型コミュニティサイト、海外向けのインターネット配信のクランチロールなど、製作や制作と距離のあるアニメ周辺事業の積極的な出展も目立った。アニメビジネスが多角的に広がりつつあることを感じさせる。
 こうした傾向は見本市の進む方向として、必然的な流れなのかもしれない。ビジネス見本市の役割が作品の買い手(バイヤー)やビジネスパートナーを探すことであれば、大企業であるほど見本市の機能を必要としないからだ。
 
 大企業は既に国内外に多くのビジネスパートナーと関係を持っているし、紹介というかたちでビジネスを広げる手段を持っているからだ。見本市は成長企業や中小企業にとってこそ、最も必要とされている。そして中小企業の振興は、アニメフェアの大きな目的のひとつである。
 インディーズ企業や周辺企業の活躍が目立った今回のアニメフェアは、本来の目的に沿ったものだと言えるだろう。また今後は、こうしたインディーズ企業、クリエイターや周辺企業との既存のアニメ企業とのコラボレーションが起これば、アニメビジネスの新たな突破口になるのかもしれない。

東京国際アニメフェア2009 公式サイト http://www.tokyoanime.jp/

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2008.11.02
ビジネスショー ]
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[参加者数 過去最高を更新]
 TIFFCOMは日本の映画やテレビ番組、アニメ、ゲーム、キャラクターなどの総合的なコンテンツ国際見本市として、2004年に東京国際映画祭の併催企画として始まった。今年は10月22日から24日まで、東京・六本木ヒルズで開催された。
 今年の会場は例年に増して賑わい、開催から5年間で確実な成長している様子を伺わせるものだった。実際に参加者数は、過去最高だった昨年を16%上回る19843人と史上最高を更新している。

 数字面だけでなく、今年は会場に訪れる海外からのバイヤーの数が例年より見られ、国際ビジネスの場として拡大していた。また、会場内でのミーティングは多数見受けられ、多くのビジネスが進んでいることを感じさせた。
 参加のための登録料が1名1万円という比較的高額であること、ほぼ同時期に開催された釜山国際映画祭のアジア・フィルムマーケットの低調が伝えられていることを考えれば、十分な成功と言っていいだろう。

「映像特化が進むTIFFCOM」
 こうした成功は、TIFFCOMが映画・テレビ番組のマーケットとして定着しつつあることが理由だろう。TIFFCOMは開始当初は、世界に売れる日本のコンテンツということでアニメが大きく取り上げられるケースが多かった。
 しかし、今年は特に実写映画、テレビ番組のラインナップが各社目立った。日本の企業には、アニメと実写映画双方を扱うケースも多いのだが、そうした企業の多くが実写作品をより前面に出していた。アニメの見本市については東京国際アニメフェアもあるので、アニメ=アニメフェア、映像作品全般=TIFFCOMとの棲み分けが進んでいるようだ。

 むしろ出展コンテンツの映画、テレビ番組への集中が進み、小説やゲームといったコンテンツは今回全く見られなかった。このため当初、TIFFCOMが目指した総合的なコンテンツの見本市という方向性からは、現在は大きく異なったかたちになっている。
 これは東京国際映画祭との併催という環境が大きな影響を与えているためである。しかしそれだけでなく、日本国内に映画、映像作品に特化した国際見本市が潜在的に求められていたため、TIFFCOMがその受け皿になったとも言える。

 さらに今回、際立った進展があったのは、海外からの企業ブースが増え、また活発に活動していたことだ。海外からの出展では、韓国と台湾の大手メディアが出揃って積極的なプロモーションを行っていたのが印象的である。
 中国からの出展もかつての記念出展的なものから、ビジネスを念頭に入れたものに変りつつある。このため日本だけでなく、北東アジアの映画マーケットであることを強く感じさせるものとなった。

[TIFFCOMの強みは双方向取引]
 コンテンツ分野の見本市としては、東京ゲームショウや東京国際アニメフェアといった大きなイベントが国内には存在する。しかし、こうしたイベントは国際的にはよく知られた存在だが、実際のビジネスは日本のコンテンツを北米、ヨーロッパ、アジアといった海外に販売することがほとんどである。
 海外のコンテンツを日本が買う、海外の企業同士がビジネスを行うケースはあまりない。見本市の規模の大きさでは注目度は高いが、ビジネスの機能としては片肺飛行の状況だ。

 そうしたなかでTIFFCOMが輸出と輸入、三角取引を実現させつつあることは、他のマーケットにはない強みである。日本の映像コンテンツに興味ある企業は、アジア・欧米に限らず、韓国や台湾・香港といった国の映画、番組にも関心を持っているケースが多い。
 TIFFCOMでこうした国のコンテンツがまとめて見ることが出来れば、見本市としての魅力はさらに増すに違いない。そして人が集まることで情報が集まり、共同制作といった新たな取り組みもこの中から生まれる。

[東京国際映画祭の知名度向上が今後の鍵]
 しかし、確実に成長していると言ってもTIFFCOMの規模と影響力は、国際的な映画・テレビ番組の見本市のなかでは規模感、存在感はまだまだ小さい。今後もさらに規模の拡大を目指す必要があるのは言うまでもない。
 ビジネス機能が国際ビジネスに対応出来るレベルになった現在、TIFFCOMに次に求められているステップはこの機能の拡大と活用である。

 その際に問題になるのは、実は東京国際映画祭の国際的な知名度である。国際映画製作者連盟公認、23年の歴史を持つにも関わらず、その国際的な存在感は大きくない。TIFFCOMは国際映画祭併催という性格上、その成長は東京国際映画祭の知名度に制約される。
 東京国際映画祭が大作娯楽作品を主に提供する場や人気スターだけを取り上げる場だけでないことは理解出来る。しかし、地味すぎる企画によって、海外だけでなく、国内においてもその規模に相応しい注目をされていないという現実がある。

 より華やかなイベントを導入することで、東京国際映画祭の国内外の知名度を上げることは、日本の映画ビジネスにとって意味があるだろう。映画祭には情報の交換、文化の発信、映画産業の振興といった複合的な機能が求められている。
 意義深いことをやっているという成果だけでは不十分である。映画祭の活動を広く知らせて、国内外から人と情報が集まることが重要である。そうしたなかでTIFFCOMはさらに発展することが可能になるのではないだろうか。
[数土直志]

TIFFCOM  http://www.tiffcom.jp/

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2008.10.20
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 10月9日から12日まで、東京ゲームショウ2008では数多くの新作ゲームが発表された。しかし、そのなかでも最も目を惹いたのは、レベルファイブとそのゲームソフトである。
 それは同社の自社開発するソフトから、非常にアニメ的なものが感じられるからだ。今回、レベルファイブは、新作ゲームソフトとして4つの完全新作タイトル『レイトン教授と最後の時間旅行』、『ニノ国』、『ダンボール戦機』、『うしろ』を発表した。

 一番の目玉は、前作2作品が爆発的なヒットとなった『レイトン教授と最後の時間旅行』であることは間違いないだろう。しかし、アニメ的な立場から行くと、スタジオジブリがアニメーション制作に参加する『ニノ国』がより興味深い。アニメ映画のヒットメーカーであるジブリの作るゲーム映像とは何なのか興味を持たないわけにはいかないだろう。
 しかし、クローズドシアターで上映された『ニノ国』の映像は、驚くほどオーソドックスなスタジオジブリ的なものだった。子供のための冒険ファンタジーで、映像を観ている際にはそれがゲームであることを忘れ、あたかもアニメ作品の予告編かのよう感じさせる。

 それを感じさせるのは、この作品が、2Dセルタッチのアニメーション、一貫したストーリーを持つ点、冒険ファンタジーと日本アニメが得意とする要素をことごとく取り入れているからだ。
 つまり、『ニノ国』は様々な点で、アニメなのである。唯一、そして最大の違いは、ゲーム機を使うこと、ゲーム特有のインタラクティブな機能を持っている点である。
 しかし、これは『ニノ国』に限ったことではない。こうした特長は『レイトン教授』シリーズが、既に持っていた。むしろ『ニノ国』は『レイトン教授』シリーズの延長にあるのかもしれない。こうした特長は、残りのふたつ作品『ダンボール戦機』、『うしろ』も同様である。つまり、レベルファイブのゲームソフト群は、様々な点でアニメスタイルの延長線にある。

 アニメとコンピューターゲームは近年、益々接近していると言われる。しかし、アニメとゲーム接近にはいろいろな局面があり、一様ではない。
 最大のものは、ビジネス的な接近である。人気アニメ作品のゲーム化、あるいは人気ゲームのアニメ化、さらに現在はアニメとゲームの同時開発といったメディアミックスである。
 もうひとつは、技術的な接近である。これは主に3Dアニメーションについてになる。ゲームムービーの中の3Dアニメーションは既にひとつの完成したアニメーション作品となっている。その逆の動きとして、アニメ製作が2Dアニメから3Dアニメーション制作にウィングを広げつつある。

 レベルファイブは、これらとは全く異なった方法でアニメと接近し、融合を始めている。つまり技術的面では、2Dアニメの映像表現の取り込みである。これまでのアニメとゲーム映像の融合が、ゲームムービー3Dの拡張の先にアニメーションがあるのとは対称的である。
 もうひとつは、物を語るアニメのストーリー性である。さらに子供向けのアニメ作品がかつて持っていたハラハラドキドキするような冒険のスピリットをゲームソフトの中で巧みに継承している。
 だからレベルファイブのゲームソフトを見ていると、アニメとゲームの融合と同時に、近い将来にアニメの役割は完全にゲームに取って代わられるのでないかとの危機感さえ持つのだ。

レベルファイブ http://www.level5.co.jp/
東京ゲームショウ2008 http://tgs.cesa.or.jp/

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2008.07.01
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 6月19日から22日まで開催された東京おもちゃショーの盛況には驚かされた。前年比46%増の来場者数17万人は、今年12万人の人出となった東京国際アニメフェアを遥かに上回り、19万人の東京ゲームショウに匹敵する規模である。
 これは多くの子供たちや親子連れが訪れた成果であり、「おもちゃ」が依然多くの人々にエンタテインメントとして夢を与える言葉であることを示している。

 おもちゃショーの活況は、イベントショーとしてだけのものではない。4年前までは一般公開されて来なかったように、おもちゃショーの本来の目的は年末年始のおもちゃ商戦に向けたビジネスの場である。
 今年はその商談見本市の参加者も昨年より10%多く、2万人を超えた。大きな成果である。会場では熱心なビジネス関係者の姿多く見かけた。細かくメモを取る人、新商品をみながら相談をする人、国際アニメフェアやゲームショウに比べても、おもちゃショーがビジネスの場として大きな役割を果たしていることが感じられた。
 平日2日間に開催される商談見本市の参加者には、卸売、小売の流通関係者が多数含まれている。自らの商売の根幹に関わる売れ筋商品の見極めは、死活問題なのである。

 また東京おもちゃショーの盛況は、日本の玩具産業の意外な強さを感じさせた。国内玩具産業の市場規模は、日本玩具協会の発表によればおよそ6700億円である。これはゲーム産業の7000億円に匹敵する規模を持ち、およそ2500億円のアニメ産業の2倍以上である。
 少子化による市場の長期低落傾向を指摘されて久しいが、娯楽産業としては依然大きな市場である。そして、玩具産業が未だ巨大産業としてとどまるのは、産業全体が製造業というよりもむしろソフト産業に移行しているからだ。いま流行の言葉を使えばコンテンツ産業だ。

 アニメやマンガ、ゲームが輸出産業として大きく期待される一方で、これまでおもちゃ=玩具産業はコンテンツ産業のひとつとしてはみなされてこなかった。玩具産業は製造業、しかもロウテクノロジーの労働集約的な産業と考えられてきたからである。
 しかし、製造コストで新興国との厳しい競争にさらされる日本の玩具産業の根幹は、常に新しく加わる新しい玩具のアイディアとクリエイティビティである。またアニメやマンガから生まれるキャラクターとの結びつきでもある。
 生産コストだけ見れば、日本の玩具産業の競争力は決して強くない。実際に玩具生産の多くは既に海外でなされている。日本玩具業界は、知的財産によって成り立つ産業である。
 商談見本市には、海外からの来場者も数多くみかけた。海外の来場者の目的も、日本のクリエイティビティが生み出す最新のトレンドにある。

 売上高でみた世界の玩具企業のトップ4は、米国のマテルとハズブロ、日本のバンダイ、タカラトミーの4社である。
 こうした日米の玩具企業の強みは、両国の玩具が映画やテレビ番組、マンガ、コミックス、そして独自のキャラクターに結びついているからである。日本だけでなく世界的に玩具産業は、益々ソフト産業化している。

 玩具のアイディアが優れている点、世界的に人気の高いキャラクターを多く抱えている点で、日本の玩具企業が今後海外で活躍の場を広げる可能性は高い。これまで国内で培ったノウハウハの海外市場での適用である。
 キャラクターの活用では、近年では、バンダイが米国のアニメーションキャラクター『ベン10』で大きなヒットを収めている。また、2007年のタカラトミーの開発・生産する『トランスフォマー』のヒットもある。日本の玩具企業のキャラクターを利用した玩具展開力は、今後海外市場で大きな力を発揮することがありそうだ。

 そして、コンテンツの輸出産業としてみた場合、玩具産業独自の強みもある。それは、海賊版・模倣品対策である。
 海賊版、模倣品は深刻な問題ではあるが、インターネット上に流通する映像や音楽などのデジタルコンテンツに比べれば、商品や販売ルートが見える点で、対策は相対的には取りやすい。

 現在世界的に中小企業の多かった玩具の世界で、M&Aによる再編が進みつつある。また、新興国の玩具企業も付加価値型の商品展開に移行しつつある。世界市場での競争は激化している。それでも日本の玩具産業の海外展開には大きな可能性が広がっている。
 また、生産拠点を海外に移しながらも、知的付加価値で依然世界的な存在感を発揮する玩具産業は、他のコンテンツ産業の今後の在り方に示唆を与えている。今後制作の多くの部分を益々海外に依存しなければいけないアニメ産業は、玩具産業から学ぶことが多いに違いない。
[数土直志]

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2007.11.02
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 10月31日から11月2日まで、東京ビッグサイトで国内外のライセンシングビジネスの見本市「ライセンシングアジア 2007」が開催された。
 この展示会は1990年から始まり、2002年から現在の名称になった。今回は、過去最高の100社・団体が参加していることからも分かる通り、キャラクタービジネスのマッチングの需要は年々上昇していると言っていいだろう。
 会場内は出展社ブース以外にも、若手のクリエイターの小間があり、キャラクターイラストやサンプル商品が展示されていた。また、法務、マーケティング、プロモーションなど数多くのセミナーが開催された。これらの種類のセミナーが集中するのは、このイベントならではのことで、どのセミナーも盛況だった。

 出展社は、玩具・キャラクター企業、映画会社、信託会社、広告代理店、専門学校など、およそライセンスビジネスに入り口から出口まで様々な形で関わる企業が参加している。
 珍しいところでは、阪神タイガースやMLBメジャーリーグベースボールまである。アジアをはじめとした海外企業の出展も多く、そのほとんどは日本に拠点を持ち、営業を行っているのが特徴である。

 アニメに関連した企業は、バンダイナムコ、タカラトミー、セガサミー、ぴえろ、竜の子プロダクションなどが大きなブースを出展していた。
 この中でセガサミーは、人気コンテンツの『恐竜キング』、『ソニック』などに加え、サミーのパチスロ初のオリジナルキャラ『怪盗天使ツインエンジェル』をフィーチャーしていた。同作はいわゆる「萌え系」の魔法少女スタイルのキャラクターである。パチスロにアニメキャラクターが使われるのは最近では珍しいことではないが、オリジナル美少女キャラで、なおかつヒットしているのは稀である。
 同作はすでに「月刊コンプエース」でマンガ連載も始まっており、2008年にはアニメ化を予定しているという、ちょっとしたオリジナルアニメよりも派手なメディア展開である。

 ぴえろは、制作会社としては数少ない古くから版権管理事業に積極的な企業である。今年も大きなブースを出展し、すでに発売されている様々な商品を展示し、自社商品をアピールしていた。
 特に、近年「週刊少年ジャンプ」原作作品のアニメ化にヒット作が多く、『NARUTO』、『BREACH』のキャラクターグッズを多く並べていた。
 原作つきアニメのグッズでも描かれているイラストがアニメ絵とマンガ絵ではライセンスの扱いが違い、これらを扱うことができるあたり、同社の版権管理の重みを感じる。

 竜の子プロダクションは、2008年1月から放送開始となる『ヤッターマン』リメイク版の宣伝と、ライセンス商品の営業が行われていた。
 同作の声優は近日発表される。また、2009年春には三池崇史監督による実写版『YATTERMAN』が日活配給で公開される。
 キャストは2008年新春公開予定となっているが、キャラクター&メカデザインはすでに寺田克也さんと告知され、デザイン画が公開されていた。放送30周年に向けて、両作で大きなムーブメントを起こしたい考えだ。

 アニメ制作会社と一口に言っても、キャラクターを生かして大きなビジネスに育てることができるかどうかは様々である。今回出展していた企業からキャラクター資産としての運用について学ぶことは多いだろう。
【日詰明嘉】

ライセンシングアジア2007
http://www.licensing-asia.jp/

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2007.10.29
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 10月25日から28日まで、東京・秋葉原のUDXビルで日本のマンガ文化を取り巻く状況を紹介した「MANGA フェスティバルin 秋葉原エンタまつり2007」が開催された。イベントは日本のマンガを取り巻く状況を紹介する展示部門と専門家に向けたセミナー・シンポジウムから構成された。
 展示部門では、日本のマンガの歴史や市場規模などを紹介するほか、様々なキャラクター商品を並べてマンガが中心となるメディアミックスとは何かを紹介していた。また、世界中のマンガを集め、世界に広がるマンガの現状を視覚的に表現したほか、現在急成長を続ける携帯コミックの実物展示を行った。
 さらに、『新世紀エヴァンゲリオン』や『涼宮ハルヒの憂鬱』などに展示された数多くの等身大フィギュアは、観光客に人気を集めていた。

 しかし見た目が華やかなのは展示部門であったが、企画と内容については同時に開催されたセミナー・シンポジウムのほうが評価は高かった。今回のMANGAフェスティバルでは、「海外マーケット」、「デジタル化」、「著作権」の3つのテーマのもと全部で11の専門セミナーが開催された。いずれも現在、マンガの世界においてホットトピックスになっているものである。
 どのセミナーの講演者もその市場を熟知した専門家ばかりであったこともあり、各セミナーはいずれも関連業界のプロが多数参加し、活気のあふれたものになっていた。実際に講演の内容は、ビジネス面を中心に、本や雑誌では追いにくい現在進行形の話が多く、ビジネスに直結した情報価値が高いものであった。

 今回、日本コンテンツの海外発信を掲げるJAPAN国際コンテンツフェスティバル(コ・フェスタ)では、この「秋葉原エンタまつり」を含む18の公式イベントを行った。この中で、アニメ、マンガ、ゲームなど様々なシンポジウム、セミナーが開催されてきた。
 その全部が必ずしも成功したと言えないが、少なくとも今回のMANGA フェスティバルのセミナーは、テーマの設定や、講師の選択、内容の専門性まで含めて極めて有意義なイベントだったように感じられる。

MANGA フェスティバルin 秋葉原エンタまつり2007
http://www.entama.com/mangaf/data.html

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2007.09.22
ビジネスショー ]
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 JAPAN 国際コンテンツフェスティバル(コ・フェスタ)開催の先陣を切る形で始まった東京ゲーム2007は、幕張メッセの全ホールを借り切る巨大な催しである。コンテンツ分野においての比較対象は東京国際アニメフェアであると考えた場合、やはりこちらのイベントの方が規模の大きさを感じることができる。
 アニメフェアの歴史がまだ5年、対するゲームショウ今年で11年の歴史で、2001年までは春と秋の2回開催していた。入場者数はアニメフェアは4日間開催で約11万人(2007年)、ゲームショウは約20万人(2006年)である。ファン向けイベントとして見た場合、知名度的にも一日の長がある。

 今年、ゲームショウには過去最高の217の企業や団体が出展したという。2007年のアニメフェアは、270の企業と団体が参加したという点で勝っているが、それぞれの企業規模と出展ブースに目を遣ると、やはりゲームが巨大産業であることが分かる。
 業界の雄である、ソニーコンピュータエンタテイメント、マイクロソフトをはじめ、コナミ、セガ、スクウェアエニックス、バンダイナムコゲームスなど巨大企業の出展ブースは否が応でも目に止まる。これらは近年、“勝ち組”企業のM&Aによる業界の再編が進んだ結果である。
 豊富な資金力がある企業が吸収し、さらに制作ラインを増やして拡大していっている様がよく分かる。ちなみに、業界再編が進んだにもかかわらず、過去最高の出展者を記録したはビジネスソリューションや海外パビリオンの増加によるものである。

 売上高で言うと、例えばアニメの場合、業界最大手の東映アニメーションが約200億円。対してゲームの場合、ソフトウェア大手のスクウェアエニックスだと約1200億円と、業界規模が文字通りひと桁違う。また、“異業種”であった携帯ゲーム業界も拡大し大きな資本力を背後に持つ3つのキャリアは、どれも大きなブースを構えていた。これらの産業規模の違いが、そのまま見本市の規模の大きさや派手さに反映した感じを受けた。
 また、率直なところ、それぞれのブースにおけるコンテンツの多様性というものを強く感じられたのはゲームショウの方である。アニメフェアの場合、ある一定のフォーマットで表現されるという制約もあるが、絵柄を含めもっと多様性のある表現が叫ばれても良いのではないだろうか。

 ライトユーザーとヘヴィユーザーの二極化やゲーム離れが叫ばれる昨今であるが、業界全体のシュリンクは一昨年で底を打った感がある。
 脳トレなどの過去に開拓してこなかった層や、携帯ゲームの多様な拡大、そして今回出展されていた数々の魅力的なゲームを見ると、ゲーム業界の復調というものを非常に身近に感じることができる。

 日本初のコンテンツ産業としてこのところ表に立つのは、アニメやマンガであることが多い。しかし、これは、なかば業界の成長とインターナショナル化が進んでいった結果でもある。
 海外進出とコンテンツの直接発売を同時に行い、日本のコンテンツ産業で唯一、輸出超過になっているのはゲーム産業だけである。それらを実感する意味でも、アニメやコンテンツ業界に少なからず関心がある人は、今回のゲームショウや、コ・フェスタの数々のイベントに可能な限り参加することをお勧めしたい。

【日詰明嘉】

東京ゲームショウ2007公式サイト http://tgs.cesa.or.jp/
東京国際アニメフェア2008公式サイト http://www.tokyoanime.jp/ja/index.php

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2007.07.08
ビジネスショー ]
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 6月29日から7月2日まで、カリフォルニア州ロングビーチで北米最大規模のアニメコンベンションであるアニメエキスポ2007が開催された。
 1992年から今年で15年目、7月2日に発表された参加者数は、史上最高の44000人以上と昨年の41000人を上回った。最早、参加者記録の更新は、恒例行事と化しているようだ。

■ 明るさを取り戻した企業
 こうしたコンベンションの巨大化が、アニメファンがまだまだ健在であることを示しているせいか、現地のアニメ関連企業はいずれも現状に対してポジティブに見えた。
 ここ数年、米国のアニメビジネスと言えば、DVDの売れ行き不振に代表される市場縮小といった暗い話が多かった。しかし、ビジネスパネルや個別企業の開催するパネルでは、各社がアニメビジネスの展開に自信を持った発言が多かった。

 多くの企業はDVDが売れない現実を前提に、様々な新たなビジネスを模索し始めている。それは、インターネットであったり、ケーブルテレビ放映であったり、メディアミックスであったり、さらにマーケティングを変えることでDVD販売を伸ばす試みであったりする。
 そうした状況は、期間中に次々に発表された新規アニメ番組、マンガ作品のライセンス獲得にも表れている。

■ アニメ文化の大衆化とアメリカ化は同時進行
 また、米国のファンの大衆的な広がりは、前回同様であった。参加者の人種的な広がりはさらに続いていた。こうした大衆的な広がりの一方で、今回は大衆化と同様にアニメの現地化がより深まっているように感じた。
 それはコンベンションの目玉のひとつが『トランスフォーマー』の上映会だったことに代表される。日本のアニメイベントであればまず考えられないこの企画は、米国人にとって『トランスフォーマー』がアニメ文化と連続していることを示している。そこには日本人と異なる文化の認識が存在する。

 現在の米国のアニメファンダムは、アニメファンの基盤が急激に築かれた日本の1980年代の状況によく似ている。急激に関連企業が一般企業化し、ファンイベントが巨大化し、アニメ関連メディアやアニメ評論家が認められ、アニメ業界という構造が形成されつつある。
 しかし、それが日本の状況と似ているからといって日本と同じ方向に進むとは限らない。

 例えば、AX自身。パネルと呼ばれる講演会形式のイベントとステージイベントを中心とする形式は、日本のアニメ・マンガファンの間では見られない。また同人誌はあまり盛況でなく、同じ二次創作では映像と音楽を組み合わせたマッドビデオと呼ばれる動画が大人気である。
 そして、コスプレ。米国のコスプレはいまや完全に日本のコスプレと異なる次元に入りつつある。AXの会場を歩けば、参加者のコスプレ比率の高さに驚かされる。また、コスプレで演じられるキャラクターのバリエーションの広さは日本を凌駕している。いまどきセイラやシャアのコスプレが、日本のコスプレ会場で見られるだろうか。
 日本ではコスプレはコスプレ愛好家のもの、また参加者も女性が多い。しかし、米国のコスプレはマンガやDVDを買うぐらい手軽なもののようだ。それだけに老若男女あらゆる種類の人たちがコスプレを行っている。

 勿論、マニア特有の微妙な部分で万国共通なものも多い。また、米国のアニメファンの間にはアニメの原産地である日本に対する強い憧れがある。
 こうした日本と似た部分や米国のファンが日本に惹かれる部分と、日本と異なる部分や日本のアニメ文化から離れて行く部分が同時に進行している。それが現在の米国アニメ文化の状況である。
 こうした相反する状況だけに、米国のアニメ界を文化としてもビジネスとしても理解するのは益々難しくなって来ている。

■ 史上最大と史上最悪の狭間
 今年のAXを語るうえで、やはり開催運営に対して噴出した多くの問題を避けることは出来ないだろう。今回のコンベンションの目玉とされた日本からのゲストによる6大コンサートをはじめ、会場の運営トラブルが続出した。
 このほかにもプレス対応についても問題があるなど、AXの運営事務局が期間中かなりの混乱状態になっていた。

 今年なぜこれほど多くの問題が起きたかは、北米最大、史上最高というAXの規模そのものに理由があったと思われる。参加者とイベント、そしてAXのブランドの拡大が、非営利団体・ボランティアのAXの運営能力を超えてしまったためである。
 これまでもAXのイベント開催の遅れは多かったし、その運営に甘さがあることは度々指摘されていた。今回、日本の大物アーティストを多数招聘したことで、そうした問題が一気に噴出したと思われる。
 北米最大のイベントに企業やファンが期待するものと、AXの実際の運営可能領域とのギャップが大きく乖離してしまった。それは非営利、ボランティアとして日本アニメを振興するSPJAの限界でもある。

 そうしたギャップを埋めることが出来なかった、あるいは気づかなかったAXの運営の不手際は明らかである。しかし、だからといってAXが無価値ということはない。
 実際に今回のコンベンションに来て本当に良かった、楽しかったとするクリエイターは多い。それは参加したファンにとっても同様である。
 これからもAXの開催が続くことが、アニメファンや日米のアニメ関係者にとって重要であると思う。そのためにはAXが今回の問題を認識し、コンベンション運営のためによりプロフェッショナルな人材を招く必要があるのでないだろうか。

アニメエキスポ公式サイト http://www.anime-expo.org/

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2006.09.24
ビジネスショー ]
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 東京ゲームショウ2006の一番の目玉が、ソニーコンピューターエンタテイメント(SCE)の新ゲーム機PS3であることは間違いないだろう。そして、今年は昨年暮れのXBOX360の発売に続き、PS3と任天堂Wiiが出揃う次世代ゲームの戦いが注目となっている。

 しかし、PS3については、公開された製品と画像を観た感想から言えば驚きの少ないものだった。つまり、少なくとも現段階でPS3は、いわゆる「ワォ!効果」=新鮮な驚きが見えない。
 それはゲーム機能や画像のレベルはこれまでも十分発達しており、技術的には素晴らしい躍進であっても昔のような技術に対する感動が小さくなっているからだ。例えば2次元キャラクターが3次元キャラクターになった時のような驚きは今のゲーム機にはない。

 だからこそ今回SCEは、PS3を巨大な赤字覚悟で5万円を切る水準まで引き下げた。単純な高機能化だけで、消費者は高価格の商品について来ないからである。
 勿論、値下げによってPS3のビジネスは、従来考えていたより遥かに有利になった。特にXBOX360に対して有利になったことは間違いない。
 しかし、これは裏を返せば、PS3はこんなに素晴らしい機能でこんなに安いのですよと宣伝していることである。SCE自身が、PS3の競争力がオリジナリティではなく価格にあることを認めたことになる。
 値下げによってSCEはビジネス的には成功する可能性が高いが、自社のコンピュータゲームを価格でしか競争出来ない商品にした時点でビジネスモデルとして失敗している。

 同様のことはマイクロソフトのXBOX360にも言える。XBOX360には、消費者からみてそれとわかるPS2やPS3との違いが見つからない。XBOXの最大の特徴は、実際にはSCEより安いプレイステーションでしかない。
 つまりXBOX360のビジネス上の勝負も、オリジナリティでなく価格にある。それは、XBOX360が日本よりも価格選好性の高い米国市場で、より成功していることからもわかるだろう。

 任天堂のWiiは、多くの人が指摘するように消費者に驚きを与えるという点で大きな成功をしている。Wiiについては、その手頃な価格が引き合いにだされるが、実際のWiiがアピールしているのはその画期的な操作性とゲームの判り易さだ。
 SCEとマイクロソフトが同じ土俵で価格競争を繰り広げているなかで、任天堂は全く異なる消費者に全く異なる商品を売っている。賛否はあるが任天堂が東京ゲームショウに出展しないのは、自分たちがSCEやマイクロソフトとは異なる存在であることの自己主張がたぶんにあるだろう。

プレイステーション公式サイト 
XBOX公式サイト 
Wii公式サイト 

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