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2011.01.08
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 1月7日、東京・全労災ホール/スペースゼロにて、ミュージカル『ニコニコ東方見聞録』の舞台が始まった。本作はニコニコ動画がプロデュースする「ニコニコミュージカル」の第2弾である。動画投稿・共有から始まり、いまや音楽アーティストのデビューの場、アニメの公式配信から経済・政治まであらゆる事象を飲み込みつつあるニコ動による異色の舞台公演だ。
 第1弾はディケンズの『クリスマス・キャロル』を現代にアレンジし、ホリエモンこと元ライブドア社長の堀江貴文さんを主演とした異色作となった。強欲をテーマにした作品の主人公に敢えて堀江貴文さんを据えるニコ動特有の話題づくり満載の注目作となった。

 第2作となった『ニコニコ東方見聞録』は、そのタイトルから判るようにミュージカルのテーマに「ニコニコ動画」を持ちこんだ。さらに現在ニコニコ動画で大きなムーブメントなっている「歌ってみた」から登場したカリスマ的な「歌い手」たちを出演に配置する。『クリスマス・キャロル』と同様、かなり話題づくりを意識していることが窺える。
 ところが一旦舞台の幕があがると、本作がそうした戦略的なプロモーションと関わりなく、驚くほど骨太な物語であることに気づく。

 主人公のポコタ(ぽこた)はイタリアに住むニコ厨(ニコニコ動画ファン)。彼の夢は日本に行きニコニコ大会議に参加すること。ところが天才科学者堀衛門(やまだん)に騙されてロケットで日本に到着すると、なぜか日本は100メートル四方しかない小さな島で、ポコタそっくりのハヤブサ(ぽこた二役)がニコニコ動画を乗っ取り独裁体制を敷いている。
 ポコタと友人のダソク(蛇足)、繚乱(百花繚乱)は、それに対立するレジスタンス梅山トメ(野宮あゆみ)らとの戦いに巻き込まれる。やがて明らかになる真実とは・・・

 ナンセスなストーリー、脈絡のない展開に、自虐ネタ、楽屋落ち、時事ネタとエンタテイメント満載だ。一方で、物語には明確なメッセージが盛り込まれ、最後にほろりとさせる落としどころも準備されている。ニコ動讃歌の側面が強いのは観ているとやや気恥しくも感じるが、そうした圧倒的なポジティブ志向が観て明るくなれるこの舞台の最大の持ち味なのだ。
 そして、やはり見逃せないのが、ミュージカル音楽の魅力だ。公演は全部で7回、出演者も絞っており、ブロードウェイミュージカルのような予算があるわけでない。しかし、出演者たちの圧倒的な歌唱力は特筆ものだ。会員数1900万人のニコニコ動画の厳しい眼を経て頭角を現した「歌い手」たちのパワーに驚かされる。まさに、ニコニコ動画でしか出来ない舞台と言っていいだろう。

 さらに、ニコニコ動画ならでは試みは、舞台のお客はシアターの観客だけでないことだ。本作はニコニコ動画を通じて有料配信もされている。劇中に設けられた様々な突っ込みどころが、ネットの向こうの観客も意識していることは間違いない。そして、視聴者によって書き込まれたコメントは、今度は舞台上部に設けられたスクリーンに映しだされる。単なる舞台でなく、中継でもない。シアターにいるのと、ネットで観るのと異なる経験が出来る。
 ニコニコ動画は、今年1月に東京・原宿にライブエンタテイメントとその中継拠点ともなるニコニコ本社を立ち上げた。ネットの中で育ったカルチャーは、いまリアルの世界に飛び立とうとしている。それをまたネットにつなげることで、新しいかたちのエンタテイメントを作りだしている。『ニコニコ東方見聞録』は、そんなニコニコ動画の挑戦を象徴するような作品だ。

『ニコニコ東方見聞録』 http://info.nicovideo.jp/nicomu/tohokenbunroku/

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2010.05.12
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スタン・リーと「HEROMAN」の世界 -原作者スタン・リーとは?-

文: 椎名ゆかり
[筆者の紹介]

海外マンガを主に扱う出版エージェント。翻訳者。
アメリカの大学院で3年間ポピュラー・カルチャーについて学び、帰国後アニメ、マンガ関連の仕事で翻訳者となる。3年前から個人でマンガを専門とする出版エージェント業を開始。
主なクライアントは講談社『モーニング』で連載を持つフェリーぺ・スミス。翻訳書はアメリカのマンガ『メガトーキョー』他。北米アニメ・マンガ関連の記事も書く。
ブログ:「英語で!アニメ・マンガ」 http://d.hatena.ne.jp/ceena/

 主人公の少年ジョーイがロボットであるヒーローマンと一緒に地球侵略を狙う宇宙人と戦うアニメ『HEROMAN』。日本のアニメ制作会社「ボンズ」が原作にアメリカのコミックス界の御大スタン・リーを迎えて作ったオリジナル作品だ。
 スタン・リーの名前はアメリカのコミックスに興味が無い人でも聞いたことがあるかもしれないが、その業績については意外に知らない人が多いのではないだろうか。

 スタン・リーは今87歳。現在もバリバリの現役で精力的に新しい作品にチャレンジしている。彼がコミックス業界に入ったのは弱冠17歳で、70年前のことだ。今日マーベルとして知られる出版社で雑用係として働き始め、その後穴埋めの原作仕事で創作に関って以降、膨大な数の作品で原作者や編集者を務めてきた。スタン・リーが作り出したヒーローには「スパイダーマン」「ファンタスティック・フォー」「X-メン」「デアデビル」「ハルク」「アイアンマン」「マイティ・ソー」などがあり、その成功作の多くがハリウッドで映画化、もしくは映画化が予定されている。

 スタン・リーのコミックス業界への貢献は多岐に渡るが、最初にリーの名声を高めたのは、原作者として主に60年代に作り出した新しいスーパーヒーロー像だった。当時特に子供向けに描かれたコミックスにおいてヒーローは自分の倫理観や正義に思い悩むことはなかった。しかしリーのヒーローたちは、一般の人間社会に溶け込めない疎外感を持ち、恋人やお金という現実的な問題に悩んだ。戦うことにも積極的ではなく、特殊な力を持つことの孤独に苦しんでいた。つまり、リーはスーパーヒーローに内面の葛藤を与え、読者の爆発的な共感を呼んだのである。

 リーは原作者としてだけでなく編集者としても優秀で、その手腕は読者と作品、そして読者とクリエーターの間に強く親密な関係を生み出す紙面作りに遺憾なく発揮された。コミックブックの巻末に掲載されたリー自身によるコラムと読者コーナー1 でのファンとリーとの熱いやりとりは、マーベル社とリーの作品の人気を更に盛り上げた。
 結局リーの作ったヒーローたちはその人気で、当時財政的に危機的状況だったマーベル社の経営を救っただけでなく、その後に大量の模倣を生んで、コミックブックにおけるスーパーヒーロー像に大きな変化をもたらし、更には業界全体のあり方を変えてしまったのである。

 しかもリーはコミックスを原作とした映像化に早い時期から積極的に取り組んできたひとりである。新しいメディアに対する感受性も強く、インターネット時代に入ると新会社を設立し、ネットを通して新スーパーヒーローを発表して話題を呼んだこともある。そう考えるとアメリカでの『ポケモン』人気以降、日本アニメ・マンガスタイルの作品にリーが可能性を見出したのも自然な成り行きだったのかもしれない
 『HEROMAN』以外にも漫画家・武井宏之と組み『機巧童子ULTIMO(ウルティモ)』(『ジャンプSQ』で現在連載中)に原作を提供している。

 『HEROMAN』を第4話まで見た限りでは、物語はストレートなヒーローもので、主人公の戦う相手である宇宙人は悪役らしい悪役である。ディテールまできちんと再現されたアメリカ西海岸の風景を舞台に、あのスタン・リーがどういうお話を持ってきてくれるのか、アクションに加えて今後展開される登場人物たちを巡るドラマが益々楽しみだ。
 最後に、リーは自分の関わった映像作品にカメオ出演することでも知られている。『HEROMAN』にも期待を裏切らず時々登場しているので、是非その姿も探してみて欲しい。

参照: Bradford W. Wright 『Comic Book Nation : The Transformation of Youth culture in America』
The Johns Hopkins University Press, 2001
1
この読者コーナーは『少年ジャンプ』のかつての人気コーナー『ジャンプ放送局』のようなものを想像するとわかり易いが、リーが読書コーナーを始めたのは『ジャンプ放送局』の始まる20年弱ほど前の話だ。

『HEROMAN』 公式サイト http://www.heroman.jp
twitter http://twitter.com/heroman_jp/

関連記事
■ 難波日登志監督 インタビュー
■ シリーズ構成 大和屋暁さんインタビュー
■ 「HEROMAN」の見どころ (藤津亮太(アニメ評論家))

『HEROMAN』 Blu-ray Disc&DVD Vol.1発売決定
発売日: 2010年8月18日(水)
発売元: ウォルト・ディズニー・ジャパン

BD 価格: 4700円(税抜)/4935円(税込)
DVD 価格: 3800円(税抜)/3990円(税込)

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2010.04.23
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文: 藤津亮太(アニメ評論家)

 『ヒーローマン』。タイトルの通り、今時珍しい直球勝負の作品の登場だ。
 原作は『スパイダーマン』や『X-MEN』を生み出したアメコミ界の巨匠スタン・リー。制作は『交響詩篇エウレカセブン』『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』のボンズ。スタン・リーと日本アニメの制作会社というのは思わぬ取り合わせだが、第1話、第2話を見たところ、この組み合わせは予想以上にいい化学反応を起こしている。
 ボンズのオリジナル作品というと、個性的な雰囲気――人によってはクセがあると感じるかもしれない――が持ち味の部分があるが、『ヒーローマン』はそうしたクセとは無縁だ。『ヒーローマン』に登場するヒーローはヒーローらしく、そして悪役は悪役らしい。舞台となっているアメリカ西海岸の青空のようにはっきりくっきりしているのが『ヒーローマン』の最大の特徴だ。

 主人公のジョーイは、両親をなくし祖母と二人暮らし。チアリーダーのリナから好意を寄せられているおかげで、リナの兄のウィルからは目の敵にされることも多いが、へこたれることなく毎日を過ごしている。このあたりはアメリカ映画の学園描写でもお馴染みジョックとナード(ギーク)の対立構図がそのまま使われている。
 ある日ジョーイは、捨てられたおもちゃのロボットを拾う。ジョーイが修理したそのロボットに、雷が落ちて生まれたのがヒーローマンだ。ジョーイは、左腕を覆ったリモコンに浮かぶアイコンに触れることで、ヒーローマンを操ることができる。
 おそらく、この冴えない少年が大きな力を手に入れるという基本のアイデアは『スパイダーマン』の生みの親であるスタン・リーのアイデアであろう。
 そしてヒーローマン誕生の直後に地球に来訪したのが宇宙人スクラッグ。見るからに不快な昆虫型宇宙人たちの地球征服に対抗するのが、ジョーイとヒーローマンなのである。

 注目すべきはスタン・リーとのコラボレーションだけではない。キャラクターデザインは『交響詩篇エウレカセブン』『トップをねらえ2!』などでメカデザインを担当してきたコヤマシゲト。本来の出自であるキャラクター描きとして腕を振るっている。中でも星条旗と日の丸のモチーフを大胆に消化したヒーローマンのデザインは非常に印象的だ。
 シリーズ構成は『武装錬金』『ソウルイーター』などの大和屋暁。ストレートな少年漫画作品を手がけてきた経験が本作に反映されるのが楽しみだ。
 また。ボンズの屋台骨ともいえる川元利浩と『鋼の錬金術師』などのボンズ作品で腕を振るってきた富岡隆司がチーフアニメーターとして参加。アクションシーンが増えそうな本作だが、この2人の参加に加え、制作がかなり先行しておりスケジュールにも余裕があると聞くので、作画は今後も高い水準が保たれそうだ。
そして監督が難波日登志。『グラップラー刃牙』といった作品も手がけているが、むしろ『ヒーローマン』は『ぼのぼの』や『YAT安心!宇宙旅行』に繋がる路線と位置づけることができる。

 弱い少年が強い力を手に入れる。ヒーローものでは定番の構図だが、変身ではないところが本作の特徴だ。ジョーイはそのままの姿でヒーローマンという「力」を操る。過去の作品でいえば『アストロガンガー』や『大鉄人17』(とそのオリジンである『ジャイアントロボ』)に通じる構図である。
 自分の身の丈を越えた力を手に入れて少年ジョーイはどう変わっていくのか。第2話でリナから「あなたたちがヒーローマンなのよ」と声をかけられるジョーイだが、ジョーイはまだ自分がヒーローであるという自覚はまだ薄い。ジョーイが「ヒーロー」という言葉と彼なりにどう向き合っていくか。そこを直球勝負でどのようなドラマとして描き出していくか。『ヒーローマン』の今後の焦点はそこにある。今後に期待したい。

『HEROMAN』 公式サイトhttp://www.heroman.jp
twitter http://twitter.com/heroman_jp/

「HEROMAN」特集
第1弾 シリーズ構成 大和屋暁さんインタビュー

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2007.07.01
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 『オーバン スターレーサーズ』はフランス人監督の2人が、かつて子どもの頃に熱心に観ていた『未来少年コナン』や『キャプテンハーロック』といった日本のアニメの強い影響下にある。彼らは「今の時代に敢えて、それらの作品が持つ良さを子どもたちに見せたい」と言う。
 作品を見た多くの人は「古臭い。けど、懐かしい良さを感じる」と述べた。収集した中に子どもの感想がなかったのは残念だが、彼らの意思は伝わっている。

 『オーバン~』は二重の意味で日仏合作の作品だ。一つは、彼らフランス人のメインスタッフの中に築きあげた“古き良き日本のアニメ”があることだ。
 主人公の少女モリーは10年前に寄宿学校に入れてられて以来、父親と会っていない。彼女は父が率いる有名なスター・レーサー・チームに偽名を使ってもぐり込む。だが、父親は地球の大統領からの特命に精一杯で彼女が実の娘だと気づかない。

 第8話では、勝利を目標とした監督の攻撃命令に対し、彼女は猛然と反発をする。そこには事前に異星人のアイカ王子との間に正々堂々と戦う不戦の約束があったからだ。板ばさみになって迷う大人びた仕草など、微塵も見せない。大人に対して、“子どもの論理”で堂々とぶつかる。残酷にも親子の断絶感を描いたり、組織に反抗するといった動作は、子どもを大人の支配下に置きコントロールするヨーロッパ文化圏にはなかったものだ。
 これらは明らかに、子どもに対して自立とは別の独自性を認める日本(アニメ)の文化からもたらされたものだ。日本人で観ている我々にはそれが当たり前のように映り、ともすれば彼女たちにもどかしい思いを抱くかもしれない。
 だが、我々は絵柄とは別のところにある、こういった“古き良さ”を各所に見ることができるのである。確かに、歯がゆい思いをするのだが、それはキャラクター同士の芝居が成り立ち、視聴者がそこに没入している証拠でもあるのだ。昨今のすれっからしの作り手による作品に見られる、狭い世界での充足を目標としたり、都合よく回る世界観へのアンチテーゼとは考えすぎだろうか。

 もう一つは、本作が実際の制作において、既報の通り2Dは日本のハルフィルムメーカーが、3DパートはフランスのPumpkin-3dが行っていることである。フランスでは1980年代に外国放送の量を規制する法案が通されていた。
 これは主に、当時爆発的な勢いで増加していた日本アニメに対する文化的脅威からなされたものだ。現在でもこれは続いており、そのためフランスはEUの中でもドイツやイタリアほどアニメの勢いが強くはないのが現状だ。ただ、この規制は共同制作となると話が変わってくる。
 出資はEUの配信会社、3DCGはフランスのプロダクション、そして監督にはフランス人が立つとなると、もはやフランスにとって“自国産”扱いとなるのである。こうすることで、日本アニメから大きな影響を受けた監督による作品で、しかもドラマ部分に大きな役割を果たす2Dパートが日本製のアニメを、規制に喘ぐフランスの子どもたちに“古き良き日本アニメ”として伝えることができるのである。

 本作は、作品制作のためにフランスから日本に住まいを移したクリエイターの努力によってもたらされた。ファン同士の国際交流はすで多く報告されているが、アイデアの拝借にとどまらず一つの作品に向けて心底ぶつかって作り上げるコラボレートは、まさに今始まったところだ。過去に異文化だったアニメ作品は、それぞれの文化を通過することで新たな作品を生み出した。
 今後、彼らのような新しい解釈のもたらすアニメは、マーケティング至上に対して大きな打開策になるだろう。そのために、こういった才覚を見つけ認め合えるクリエイターや制作ができる場所というものは日本のアニメ界にとって重要な要件となるだろう。
【日詰明嘉】

OBAN Star-Racers公式 http://www.obanstarracers.com/
TORNADE BASE  オーバン特集  http://www.dot-anime.com/tb/tb_oban/

Sav! The World Productions http://www.savtheworld.com/jp/
ハルフィルムメーカー http://www.hal-film.co.jp/

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2005.05.28
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 5月28日に『機動戦士Zガンダム‐星を継ぐ者‐』が公開される。実に、俗に言うファーストガンダムから26年が経っている。正直、よく飽きられることもなく続いたと思う。実際、70年代から80年代に人気のあったアニメは数多かったが、ファミリー向けのアニメを除けば本当に生き残ったのはこのガンダムだけなのだ。
 今となれば、当時からガンダムは人気があったのだから残って当然にも思える。しかし実際は、『宇宙戦艦ヤマト』や『銀河鉄道999』などガンダムに匹敵する人気作品は幾つかあった。では何故残ったのが『ヤマト』でも『999』でもなかったかだろうか。その答えは『Zガンダム』にある。

 『ヤマト』も『999』もそれぞれ続編作品を幾つも持っていたが、『Zガンダム』はそうした作品とは作り方も考え方も全く異なっていた。『Zガンダム』の特異性は『ガンダム・サガ』ともいう長大な物語を語り始めてしまったことにある。1985年の『Zガンダム』の登場によって本来43話で完結していたはずの『ガンダム』は壮大なシリーズの物語の一部に変った。つまり、1985年に『機動戦士ガンダム』はこれまでの『機動戦士ガンダム』とは違う別作品にすり替わたのだ。ここに大きなパラダイムチェンジがあった。
 それは、『Zガンダム』がファーストガンダムの続編であっただけでなく、最初の『ガンダム』から7年後であり(言うまでもなくこれは現実の時間の流れともほぼパラレルになっていた)、前作の主要キャラクターは7歳の年を取っていたという衝撃的なものだった。
 現在でこそ、続編が前作から数年後、何十年後、何百年後というのは珍しくないが、当時のアニメ作品の続編には時間軸という考え方はほとんど存在していなかった。例えば、『ゲッターロボG』は『ゲッターロボ』の直後から始まるし、せいぜい、『銀河鉄道999』や『宇宙戦艦ヤマト』が前作のせいぜい1年後の話であったりしただけだ。そしてさらに重要なのは、そうした作品は続編ではあっても、前作との物語上の必然的なつながりは見られなかった点だ。物語的には続編である必要はなかった。勿論、そこには続編から初めて観る人をフォローしようという強い意図が働いていた。
 それゆえ、多くの続編はそれ自体が独立した物語であり、時には前作で起きたことがなかったことにされたりもした。つまり、『Zガンダム』以前の続編は、基本的にはすごろくのスタートに戻る、もう一度やり直しでしか過ぎなかった。それは、20年経っても、30年経っても小学校を卒業出来ない『サザエサン』のカツオみたいなものなのだ。
 
 ガンダムシリーズは『Zガンダム』が登場することで、これまでは裏設定に過ぎないと思われた物語上の歴史が表に現われ、さらに『Zガンダム』に続く作品がその後、あるいは間、その前と次々に広がっていった。そうして、そうした世界観こそがガンダムシリーズの魅力へと変っていった。

 宇宙世紀のガンダムシリーズは欧米ではあまり受けていないと言われている。それは、一般には、ロボットものは欧米ではあまり受けないためだと説明されることが多い。しかし、ガンダムが欧米で受けないのは、実はファンと一緒に育った宇宙世紀という設定にも大きな理由があると思っている。
 つまり、ガンダムからZガンダム、ZZ、逆襲のシャア、それらをつなぐ多くのOVA作品や小説、こうした物語が少しずつ与えられることでファンと伴に作品は育ってきた。また、そうした設定作りには、ファンの意向も実際強く影響を与えてきたし、多くのガンダムはそうしたファンだった人達が作ってさえいるのである。
 既に全て揃っている状況では欧米のファンは日本のファンのように本当の『ガンダム』を楽しむことが出来ないに違いない。
 つまり、ガンダムシリーズが生き残って来たのは、宇宙世紀という世界観が与えられたこと、それが制作者とファンとのインタラクティブな関係の中で成長してきたことにある。そして、その始まりこそが『Zガンダム』にある。ある意味では『Zガンダム』は、ガンダムシリーズの中ではファーストガンダムより重要な作品といえるだろう。

機動戦士Zガンダム‐星を継ぐ者‐ 

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2005.01.31
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 ヴァイアコムの子会社であるMTVが日本アニメのパロデイアニメである『Kappa Mikey』の放映権を獲得して世界放映をする。米国ではニックトゥーン、海外ではニッケルオデオンを通じての放送となる。両チャンネルは、米国の人気アニメ『スポンジボブ』の放映で知られている。『Kappa Mikey』は、ニューヨークに拠点を持つAnimation Collectiveの制作した作品で日本アニメ『LilyMu』のキャストに抜擢された主人公ミッキー・シモンを巡るコメディアニメである。

 実は、このニュースを最初観た時に大きな勘違いをしていた。MTVが買ったのが「日本製のパロディアニメ」だと思ったからだ。作品のプロモーション映像を観て、ようやっと大変な事実に気付いたのである。MTVが放映権を買い取ったのは「日本製のパロディアニメ」でなく、「日本アニメをパロディした米国製のアニメ」だったのだ。
 というよりもこの内容は仮に日本製アニメだとしたら、製作会社は恐ろしくてその事実を世間に公表出来ないはずだ。このアニメとにかく凄い。
 簡単なストーリーは、こんな感じだ。失業中の俳優が、往年の大ヒット日本ロボットアニメの声優に抜擢される。そして、それを通じてスーパースターになってしまい、それを巡ってのドタバタという話だ。しかし、声優といってもスタジオで映像を観ながらマイクで録音といったものではない。なぜか声優?が着ぐるみでアニメを演じてしまう。昔のゆうきまさみのアニパロみたいなものである。そんな感じだ。
 しかし、そのぐらいはどうってことはない。まあ、スポンジが海の中のファーストフードでアルバイトしているお国柄だからそれもありだろう。場面に溢れる解読不能な日本語もOKとしよう。街が、中国なのか日本なのか、はたまた韓国なのか判らないのもよしとしよう。
 しかし、劇中のアニメに出て来るあなた!ヒロンイのあなた!その水色の尖った髪型、その顔、まさかあなた別の番組に出てませんでしたか?あの天地なんとか...っていうアニメですけれど。あとその側にいる奇妙な動物も同じ番組でみたような...。「ちょっと待った!」今画面を横切ったメカは、まさか弐号機!?くりそつです。(^^;
 というわけで、米国のパロディの素晴らしさにべっくりです。まじで、これは本編観てみたいです。しかし、こうした作品が出来て米国全土で放映されるということは、ある意味日本アニメもメジャーになったんですね。(笑)

MTV(日本) 
ニッケルオデオン 
Kappa Mikey の製作会社AnimationCollective 

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2004.12.30
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 実は、かなり前から気になっていたアニメに『ぼくの地球を守って』という作品がある。なぜに気になっていたかといえば、ラストがどうなったのか?。なぜか、全然、記憶がない。結構出来のいい作品で、CATVとかで何度か観た記憶があるのだが、なぜか前半部分しか記憶にない。なんでいつも後半を観忘れるのかかなり謎だった。ところが、その謎が解ける日がやって来た。

 『ぼくの地球を守って』総集編完全版なるビデオをまんだらけで発見しただけなんすけどね。(しかもたったの400円のビデオ。!) しかし!わくわくしながらビデオを観て呆けてしまった。完全版って...。
これ終わってないやないか。結局、内容は僕が知ってる『ぼく地球』が全て。(^^; 終わりの3分で、今までの内容に匹敵する話を要約しておしまい。あっ...、これって未完成作品だったすね。(汗)

 そういえば、僕の友達にも似たような人がいたっけ。「今まで、何度もイデオンのTV放映の再放送を見ているんだけれど、いつも最終回だけ見逃してるんだよな~」と悩んでいた。(^^; 
 あと『はいからさんが通る』も長い間「結局、少尉ってどうなったんだっけ」と悩んでいた作品である。悩みはしないけれど、『おいら宇宙の炭鉱夫』、旧版『魔獣戦線』とか僕の好きなアニメには未完成の作品は結構多いよな~。まあ、いろいろ大人の事情があるんだろうけれど、悲劇(喜劇?)が絶えないですね。でも、最近はここまで大胆な打ち切りはあまりないのは、作品製作上のリスク分散が進んでいる結果なのかもしれない。

アマゾンへのリンク
ぼくの地球を守って...
伝説巨神イデオン...
おいら宇宙の探鉱夫(1)
魔獣戦線...

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2004.10.18
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 10月2日(土)に放映開始した『機動戦士ガンダムSEED』の続編『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』が初回放映の視聴率で8.2%と高い視聴率で好スタートを切っている。『DESTINY』の前のシリーズに当たる『SEED』は、平均視聴率で6.0%、最高視聴率で8.0%であったから初回にして前作品の記録を打ち破ったことになる。高視聴率の背景には、大型台風の接近のため多くの視聴者が家に居たためとの指摘もあるが、裏で放映されていたNHKの台風速報が37%を超える視聴率であったことを考えると大健闘といえるだろう。
 一昔前の視聴率の感覚で行くと『SEED』の平均視聴率6.0%は低く感じるが、近年のTV放映の視聴率低下傾向の中では、この時間帯(土曜日の6時から6時半)においては極めて高い視聴率だという。9月まで同じ時間帯で放映していた『鋼の錬金術師』も、平均で放映の前半7%前後、後半で5%、最高視聴率8.4%でヒット作品とされていた。

 調べてみると10年、20年前に較べるとアニメ全体の視聴率が相当低くなっていることが判る。かつては、20%超、30%超というアニメ作品もしばしば見られたが、現在では10%を超える作品ですら、週に数本しかない。
 1979年に放映され低視聴率のため打ち切られたとされる『機動戦士ガンダム』は、放映当初は土曜日の5時半からとSEEDとさほど変わらない時間帯で平均視聴率は5.3%であった。現在の基準で考えれば逆にヒット作品といってもいい数字である。さらに、ファーストガンダムの1回目の再放送の平均視聴率は13.1%、2回目の再放送の平均視聴率17.9%は近年のガンダムシリーズの平均視聴率とは比べものにならない。
 TV視聴率全体の低下と伴に、現在は、かってのファーストガンダムやヤマト、999といった社会を動かすような作品はますます出現し難くなっているようだ。

 参考:1990年以降のガンダムシリーズの平均視聴率 
  Ⅴガンダム (1993)  3.9%
  Gガンダム (1994)  4.0%
  ガンダムW (1995)  4.3%
  ガンダムX (1996)  2.7%
  ∀ガンダム (1999)  2.8%  (日経キャラクターズ2003年7月号の情報に基づく)

*視聴率は全て関東地区のもので出所はビデオリサーチです。
*『機動戦士ガンダム』の視聴率は名古屋TVのサイトの情報を参考にしました。

ビデオリサーチ 
名古屋テレビ 
日経キャラクターズ 
機動戦士ガンダムSEED DESTINY公式サイト 
鋼の錬金術師公式サイト 

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2004.10.09
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 『巌窟王』はたぶん難しいアニメだ。難しいというのは話が難しいということでなく、どう評価していいのか判らないという意味での難しさである。

 事前の雑誌やネットの情報で、非常に野心的な作画方法が取られるのは判っていたから、興味はあった。そして観た結果、はっきりいって素晴らしい!ブラボー!日本のアニメ万歳!という感じだ。全編がまるで美術作品であるかのような、あるいは豪華なイラスト集が動画で提供されているような感じだ。印象としては、ウィーンの世紀末に活躍したクリムトの油彩が20分間動き続けていると言えば判るだろうか。こうした画像が無料で放送され視聴者に提供されるのは本当に贅沢だ。日本って素晴らしい国だ。

 しかし、映像が素晴らしければ素晴らしいほど、また疑問も立ち上がって来る。では、ストーリーは? あまりにも作画が面白すぎて、そちらにばかり興味が行きストーリーに専念出来ないのだ。あの作画に対抗出来るストーリーはよっぽどアクが強く、インパクトがなければ難しくないだろうか。まだ、初回であるが『巌窟王』のストーリーは正直弱く感じる。悪くはないのだ。主人公とモンテクリスト伯の出会いから、不気味なモンテクリスト伯の不可解な行動、それに翻弄される主人公。しかし、敢えてあの作画である必然性はどうだろうか。よくあるストーリーを上手に書いているような気もする。脚本家には申し訳なく思う。たぶん、普通のアニメならばそれで良かっただろう。しかし、あの作画の前では多くのことが霞んでしまうのだ。
 
 結局は、素晴らし過ぎる作画のせいで、本来作品として語られるべきものに誰も気を留めなくなる可能性がある。作品として危険な賭けに出ているのだ。毎回、毎回20分を超える華麗なイメージ映像を観てそれを評価して欲しい、それでよければ『巌窟王』は大成功だろう。 しかし、総合的な作品として評価するのであれば、これからの物語が非常に重要になって来るに違いない。今後の展開に期待をしたい。

巌窟王公式サイト http://www.tv-asahi.co.jp/gankutsuou/

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2004.09.17
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 20年以上前に、『機動戦士ガンダム』がSFかどうかで論争になったことがある。今となれば、作品が面白ければどっちでもいい話であった。しかし、当時は真剣かつ重要なトピックとされていた。ただ、確実にいえるのは、『機動戦士ガンダム』の監督富野由悠季監督(当時富野良幸監督)の作品展開や、ガンダムシリーズの展開に代表されるように、その後、いわゆるSFアニメは非SF的な方向に進んでいったことだ。

 なぜ、こんな古いSFアニメ論争を思い出したかといえば、先日、『プラネテス』を観ていたら、これはひょとしたらSFアニメなのかもしれないと思ったからだ。何を今更、そもそもSFだろうと言われそうだが、先の『ガンダム』でないが、本当の意味の狭い意味でのSFアニメは40年以上にも及ぶ日本アニメの歴史の中でほとんど存在しなかった。
 それは、日本のSFアニメが、自らSFであろうと考えたことがなかったからだ。例えば、宇宙戦艦や異次元空間、ロボットといったSF的な要素は日本アニメの中では日常的に氾濫しているが、それはあくまでも物語の雰囲気を作るための道具に過ぎない。科学的な説得力はほとんど重視されていない。極端な話、そちらのほうが絵になるからという理由で蒸気機関車や戦艦大和が宇宙を飛ぶのが日本のアニメの本質だ。あくまで、ストーリーが一番、多少強引な設定もそういう世界観なのだから納得しろというわけだ。

 たぶん、僕の理解では本来のSFは科学技術を扱ったうえでの説得力である。つまり、現在の科学を越えたところで、どこまで説得力のある世界を構築出来るかだ。だから、名作になるためには優れた物語が必要だが、中心はあくまでもリアルさ感じさせる科学や技術の設定とその説得力こそがSFだ。

 当初、『プラネテス』については凄くいい、面白いという話をかなり聞いていた。この作品を地上波で観られると判った時、とても楽しみにしていた。ところがいざ観てみると、実はそんなに楽しめなかった。悪くはないし、話の運びもうまい、キャラクターの味付けもいい、でも、そんなに絶賛するほどなのかと疑問に思った。
 話は今から70年後、宇宙ステーションや月面基地を造り人類が宇宙に進出した頃、宇宙開発の際に発生した宇宙空間に浮かぶゴミ(デブリ)を回収する仕事に携わる人々の日常だ。事件は起きるが大事件ではなく、ストーリーは比較的淡々と進む。むしろ、さりげない日常の描写にこそ力が入れられている。正直物足らなさがあった。

 ところが、「これは、SFアニメなんだ。」ある時、TVを観ながら不意に気づいた。そう思った瞬間、全ての間違いに気づいた。この作品の見方は違うのだ。『プラネテス』の味わいはリアルなストーリーであり、あの日常感であり、さりがなさだ。
 夢物語でなく、いつか訪れるかもしれない未来。むしろ、様々なSF要素を駆使しながら、違和感なく入り込める日常。あれだけの設定を使いながら、作り物を感じさせないこと。アニメの中にSFを期待しなくって長らくSF的な見方を忘れていたらしい。『プラネテス』はSFアニメの傑作なのだ。

 と思って文を書きながらネットで調べていたらこの作品原作は2002年にSF関係の賞である星雲賞を受賞してた。

プラネテス公式サイト
星雲賞 

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animeanime23:59 | (0) | (0)
2004.08.20
TVアニメ ]
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 今では多くの人知られていないが、80年代人気を呼んだ超時空シリーズのとして制作された『超時空世紀オーガス』には続編があった。『超時空世紀オーガス02』である。
 『オーガス02』の物語は、どこかの国のどこかの話として始まる。発掘されたロボットがアーマーと呼ばれること以外は、前作の『超時空世紀オーガス』の関連を感じさせるものはない。むしろ、前作とは異なる単独した物語として観ることのほうが容易だ。
 終盤に至るまで、キャラクターやストーリーの前作とのつながりは薄く、物語の最後になって初めて、この物語が前作『オーガス』の最終回で行われた時空の再編から取り残された一部分の200年後だと判る。それさえ、そういう設定だと思えば前作を知らなくても、大きな障害にならない。
 では、『オーガス02』は前作と無理に繋げられてしまった不幸な作品なのだろうか。これは明らかに違う。確かに『オーガス02』の物語は、1980年代のSFアニメにありがちな話で作品の内容自体は特別なものでなかった。 しかし、アニメ史の中での『オーガス02』の位置づけは、続編とは何かの意味づけにある。

 人気シリーズの続編、パート2の作品は、通常は前作から直接つながっており、物語は前作の終了直後か2、3年後に始まることが多い。主人公も大抵そのまま引き継がれる。
 1986年に放映された『機動戦士ガンダムZ』が、続編として異例の7年後からの話で主要キャラクターは既に7歳年をとっており、多くの主要キャラクターがレギュラー出演しないことが、当時は大きな驚きを持って迎えられたものであった。それでも、『Zガンダム』の物語の連続性が極めて濃かったのは、その後相次いで作られた宇宙世紀を舞台にしたガンダムシリーズが証明している。
 それでは、『超時空世紀オーガス02』はどうだろう。『オーガス02』は、続編アニメとしては極めて異例だ。前作に引きづられることがなく、前作のキャラクターは大尉と呼ばれるロボットを除くと全て独自のキャラクターである。前作と全く異なる物語が作り上げられている。
 使用された舞台は、前作と全く異なる次元の200年後という思い切ったものだ。時間と空間が混乱しモザイク化した世界や時空エレベーターと言った前作の持ち味であった世界観のみが残滓としてあるのみだ。しかし、それでいてこの作品は間違いなく続編でもあった。
 『オーガス』自体が、熱狂的な人気のある作品でなかったことも影響していたかもしれない。しかし、この物語に対する自由な姿勢こそが、現在の日本のアニメに受け継がれている、そして受け継がれるべき精神でないだろうか。

 結果として『オーガス02』はOVAのみの展開ということもあり、キャラクターデザインが当時人気のあった美樹本晴彦氏にもかかわらず、一般にあまり知られることがなく、『オーガス』自体よりもさらに影が薄いまま、大量生産されるアニメ作品の中に埋もれていった。
 物語も、革新的な続編設定の割には、印象の薄かった感は否めない。しかし、続編作品という極めて不自由な枠組みを打ち破ろうとした野心はアニメ史の中でもっと評価されても良いのではないだろうか。

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2004.07.21
TVアニメ ]
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今川泰宏監督の平成版『鉄人28号』である。
こりゃ~面白いぜ!ってな感じです。

 『Gガンダム』、『ジャイアントロボthe animation』なんて作品でカルトな人気を誇る今川泰宏監督の作品だから最初から期待はしていた。でも、当初は今川監督にしては、まじめすぎ、普通過ぎって思って物足らなかったんだな。やっぱ、ファンが今川監督に期待するのは、東方不敗が「なぜ、生き返ったは問題でない。現に私はここにいる!」と言ってのけてしまう、常識無視の悪乗りなんだな。
 それを、考えると鉄人28号は堅すぎかなって。

 ところが、11話「超人間・ケリーの最後」には参った。悪乗りがなくて面白いんだな。まじに泣ける、これは後編で前編の「謎の超人間ケリー」と合わせても55分ぐらいしかない時間に、物語が見事にまとめられて完成している。
 考えたらここででて来る、社会から疎外され理解されずに暴走するケリーって、例えば『聖戦士ダンバイン』のハイパー・ジェリルや『Gガンダム』の東方不敗、『ジィアントロボ』の幻夜と底に流れるものが一緒なんだね。
 実は、奇想天外、大暴走の今川監督はヒューマンドラマの語り手でもあったことを再発見させてくれた貴重な作品でした。

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