検索

clear.gif



120_600_2.jpg
カレンダー
バックナンバー

2008年12月26日
0斉藤守彦の特殊映像ラボラトリー ][ 2008年特殊映像総決算! ]
clear.gif

「特殊映像ラボラトリー」

第3回 2008年特殊映像総決算!(2)
【2008年の邦画アニメ映画】(2)

斉藤守彦

[前年のペースを持続した「ポケットモンスター」と「NARUTO疾風伝」]

 その「劇場版ポケットモンスター」シリーズだが、劇場版スタート10周年を記念した「ダイヤモンド・パール」シリーズの第1作「ディアルガVSパルキアVSダークライ」公開時、映画館だけで入手出来るキャラクターの配信で話題をまいたが、2008年夏公開の「ギラティナと氷空の花束」でもこのプレゼントを継続した。

●「劇場版ポケットモンスター・ダイヤモンド・パール/ギラティナと氷空の花束〈シェイミ〉」(2008年7月公開)=48億円
●「劇場版ポケットモンスター・ダイヤモンド・パール/ディアルガVSパルキアVSダークライ」(2007年7月公開)=50.2億円
●「劇場版ポケットモンスター・アドバンスジェネレーション/ポケモンレンジャーと蒼海の王子マナフィ」(2006年7月公開)=34億円

 通常ならば、「ディアルガVSパルキアVSダークライ」のような、イベント的要素の濃い興行の後は、シリーズ作品とはいえ興収はダウンすることが常だった。ところがポケモン・シリーズは、そのダウンを2.2億円に収め、最終的に興収48億円をものにした。これは、このシリーズの強さを改めて思い知らされる成績であり、内容面でのテコ入れに注力した「ワンピース」とは対照的に、製作委員会各社と東宝(東宝は、ピカチュウ・プロジェクトに参加していない)の力を結集し、イベント性のパワーアップを行った点が興味深い。
 「ギラティナと氷空の花束〈シェイミ〉」と「崖の上のポニョ」が揃って公開された7月19日。夜半になって地方のシネコンに両作品のスタート景況をメールで訊ねると、すべてのシネコン関係者が「うちは、ポケモンのほうが勢いがあります」と答えてきたのには驚いた。作品の力を引き出すことで、ロングラン興行で興収を積み上げていくジブリ作品に対して、ポケモン・シリーズはあくまでイベント性を重視し、猛然たるスタートダッシュで夏場の興行を席巻し、夏休みの終了と同時に市場から撤退する。どちらが有利かといえば、全国に3200スクリーンもの映画館が点在する現在では、イベント・ムービーのほうが今日的だと指摘できよう。

 これまた東宝配給の夏休み番組として定着した「劇場版NARUTO」シリーズの第5作「疾風伝 絆」は、興収11.8億円をあげた。

●「劇場版 NARUTO -ナルト- 疾風伝 絆」(2008年8月公開)=11.8億円
●「劇場版 NARUTO -ナルト- 疾風伝」(2007年8月公開)=12.1億円
●「劇場版 NARUTO -ナルト- /大興奮!みかづき島のアニマル騒動だってばよ」(2006年8月公開)=7.8億円

 「NARUTO -ナルト-」から「NARUTO -ナルト-疾風伝」への移行は、原作の第一部から第二部への移行を踏襲したもので、同名のTVアニメ・シリーズも2007年2月よりタイトルと内容を改めている。「疾風伝」移行後の劇場版は、コンスタントに興収10億円以上をあげており、2007年と08年の興収の差がほとんどないあたり、この場合もリニューアルは成功したと見るべきであろう。
 
 東映は、「ふたりはプリキュア」という新しい鉱脈を手に入れた。2007年正月に公開した「ふたりはプリキュアSplash Stars」こそ、「デジモンセイバース」とセットで3億円という興行収入だったが、2007年11月の「yes!プリキュア5/鏡の国のミラクル大冒険!」は、シリーズの人気を反映して興収8億円を計上。2008年11月の「yes!プリキュア5GoGo!/お菓子の国のハッピーバースディ」は、8.1億円をあげた。

●「映画yes!プリキュア5GoGo!/お菓子の国のハッピーバースディ」(2008年11月公開)=8.1億円
●「映画yes!プリキュア5/鏡の国のミラクル大冒険!」(2007年11月公開)=8億円
●「映画ふたりはプリキュアSplash Stars/チクタク危機一髪」「デジモンセイバースTHE MOVIE/究極パワー!バーストモード発動!!」(2006年12月公開)=3億円

 「ふたりはプリキュア」シリーズは、その時々の人気によって、シリーズごとに興収の差が出るが(2006年正月公開の「ふたりはプリキュアMaxHeart2」は興収5.7億円であった)、2本の「yes!プリキュア5」シリーズは、2005年4月公開の「ふたりはプリキュアMaxHeart」の8.5億円に次ぐ成績を上げている。いずれも東映αチェーンでの中規模マーケット(110~150スクリーン)となっているが、それだけのスクリーン数でこの興収は、非常に効率の良いビジネスとなっていることがうかがえる。

[小規模マーケットでヒットした、
「空の境界」と「バイオハザード ディジェネレーション」]

 他のシリーズ作品では、アニプレックス製作・配給によるシリーズ「劇場版 空の境界」が、正月の第一章「俯瞰風景」、第二章「殺人考察(前)」に続いて、第三章「痛覚残留」が2008年2月に、同第四章「伽羅の洞」が5月、第五章「矛盾螺旋」が8月に公開された。原作小説を最大限に尊重した、質の高いビジュアルと音響を誇る同シリーズは、都内ではテアトル新宿1スクリーンでの上映ながら(途中からテアトルダイヤが参加)、熱狂的なファンが毎回駆けつけ、テアトル系映画館の単館アニメ作品としては、歴代興収記録を樹立している。

●「劇場版 空の境界/第五章 矛盾螺旋」(2008年8月公開)=4500万円 
●「劇場版 空の境界/第四章 伽藍の洞」(2008年5月公開)=2800万円
●「劇場版 空の境界/第三章 痛覚残留」(2008年2月公開)=2900万円
●「劇場版 空の境界/第二章 殺人考察(前)」(2007年12月公開)=2700万円
●「劇場版 空の境界/第一章 俯瞰風景」(2007年12月公開)=3300万円
(いずれもテアトル系5館での通常興行に、時系列上映などを加えた成績)

 なお全国8都市における、全5作品の現時点での総興行成績は18万3000名、興収は2億円を達成しており、12月20日から公開された「第六章 忘却録音」も好調な出足を切ったとのことから、2009年初春公開を予定している「第七章 殺人考察(後)」まで、かなりの興行収入が期待されるだろう。
 東京テアトル=メディアボックス配給によるアニメ・シリーズ「それいけ!アンバンマン」の新作「それいけ!アンパンマン/妖精リンリンのひみつ」は、7月12日から全国154スクリーンで公開。今年は劇場版「アンパンマン」シリーズ20周年とあって、例年以上の規模のプロモーションが行われた結果、興行収入3.8億円をあげることが出来た。
 シリーズ第3作となる「北斗の拳ZERO/ケンシロウ伝」は、今回ゴー・シネマの配給によって10月に公開。また映画館のマナー・ムービーでおなじみの「鷹の爪 THE MOVIE」が5月に公開されて人気を集めた。
 
 ガイナックスの新シリーズ「天元突破グレンラガン」の第1作「紅蓮篇」は9月6日より角川書店=クロックワークスの配給で公開され、全国11スクリーンでの小規模展開ながら、オープニング2日間で1万3960名、興収2124万5030円をあげた。1スクリーンあたりの興収は191万7718円とすこぶる高く、これまた「ケロロ軍曹」同様、映画館を潤わせることに貢献している。
 「バイオハザード」をCGアニメ化した、神谷誠監督の「バイオハザード ディジェネレーション」は、10月18日より新宿ピカデリーなど全国3スクリーンで2週間限定上映され、先行上映を含むオープニング2日間で、6584名、1027万9400円という絶好調の出足を切った。1スクリーンあたりの興収は、342万6467円と「グレンラカン」の2倍以上を記録。またパンフレットなど関連商品も売り切れが出るほどの勢いだったが、当初からDVD、ブルーレイディスクのプロモーションを目的とした上映であることから、予定通り2週間で興行を終了。配給、興行サイドの姿勢が、一部で物議を醸した。
 
[評価が分かれる「スカイ・クロラ」のマーケティング]

 また押井守監督の新作「スカイ・クロラ」が、米メジャー系配給会社であるワーナーのローカル・プロダクション作品として公開され、興収7億円をものにした。この成果については評価が分かれるところだが、筆者としては押井監督作品の最高記録であった「イノセンス」(興収10億円)を上回って欲しかった。米メジャー系配給会社が邦画各社と大きく差別化出来るのは、そのマーケティング力にある。ハリウッド映画で培った大規模な拡大公開が可能となることは、製作サイドにとって大きな魅力だが、果たして「スカイ・クロラ」を全国213スクリーンという規模で上映することが、作品の力に応じたマーケティングであったかといえば、これまた評価は分かれるところだ。
 なお「スカイ・クロラ」と連動して公開された「攻殻機動隊/GHOST IN THE SHELL」のニューバージョン「攻殻機動隊2.0」は、当初小規模マーケットでの上映だったが、同じワーナー配給の「スピードレーサー」の不振から上映館数が増えた結果、興収6000万円と、当初の予想を上回る健闘を見せた。

【2008年の邦画特撮映画】 に続く
【2008年の洋画アニメ&特撮映画】 へ

【2008年の邦画アニメ映画】(1) に戻る

clear.gif
posted by animeanime at 2008.12.26
clear.gif
clear.gif

clear.gif