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2009年04月25日
0斉藤守彦の特殊映像ラボラトリー ][ もーろー日記 ]
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斉藤守彦の「特殊映像ラボラトリー」

第7回 もーろー日記/2009年3月-2-

斉藤守彦
 
■ これが紀里谷和明監督の底力と思いたい「GOEMON」 

[3月某日。]
 完成披露試写に行けなかった、紀里谷和明監督の「GOEMON」を、試写室にて拝見。前作「CASSHERN」は、必ずしも高く評価しないし、公開当時宣伝がらみで不快なとばっちりを受けたこともあり、作品だけでなくその周辺に至るまで、ネガティヴな記憶に満ちた作品なのだが、なぜか筆者は「CASSHERN」のDVDを所有しているんだよなあ。それもメーカーからせしめたサンプルではなく、ちゃんと自腹で購入したものだ。
 なんでだろ?

 キリヤという人が作る映画が気になったからだろうか。どーなんだ?>DVD買った時のオレ。
 その新作「GOEMON」ときたら、「CASSHERN」が嘘だったかのように、面白い。一言で言って、たいそう爽快な物語に仕上がっているのだ。「CASSHERN」のどこがアカンかったのかといえば、見ていて息苦しさを覚えるような映画だったこと。とにかく世界観の作り込みすぎ。これにつきると思う。1カット当たりの情報量が多すぎるのだ。そんな中、異世界に放り込まれた俳優たちは、ストーリーを進行するためのセリフを言うのが精一杯。唐沢寿明あたりは、楽しそうに大芝居をする余裕さえあったのだが。

 特撮映画の現場では、よく画コンテが張り出されて、これから撮るカットの「完成予定図」が示されるわけだが、これが時々逆効果になってしまうことがある。画コンテ通りに撮影するかしないかは、あくまで監督の判断なのだが、どーしても画コンテを再現しなくちゃイヤだ!という監督の場合、時に俳優たちのモチベーションを削ぐことになってしまう。ある映画の現場では、貼られた画コンテを見た俳優が「監督ぅ、オレたちのカラダは、こんな風に動きませんぜ!」と訴えたところ、即座に画コンテが撤去されたという。
 そんな、俳優たちが窮屈そうに演技をしていた「CASSHERN」から一転。「GOEMON」では、どの俳優たちも活き活きと個性を発揮しているのには驚いた。豊臣秀吉役の奥田瑛二、千利休役の平幹二朗など、心から芝居を楽しんでいるようで、主役の五右衛門役・江口洋介も監督が起用を決めた「野獣の匂い」が漂っているかは疑問だが、伸び伸びと、作品世界を自在に疾走する様は、心地よささえ感じてしまう。

 プレスシートに掲載されているコメントによると「僕はデジタルの申し子のように言われますが、CGを使わなくてすむのならば使いません。作りたいものが何なのかがまず大事で、それを決められた予算内で具現化するために、今はまだデジタルが必要。バジェットのことを考えて脚本を書いたり、お金が足りないからシーンを減らすなんて、僕には考えられない」とキリヤ監督は言うが、こと「GOEMON」に関する限り、このコメントは充分な説得力を持つ。「GOEMON」で優先されたのは、膨大な情報量をビジュアルに反映させることではなく、シンプルなストーリーを面白く語りつくす、つまり「お話の面白さ」が最優先されたのである。

 その試みは充分な成果を収めた。再見する機会があったら、画面を彩るCGカットやVFXの類を見ず、俳優たちの芝居だけを見てみようとさえ思う。この作品が紀里谷和明監督が底力を発揮した結果だと思いたいものだ。

2009年3月-1- 「ケータイ捜査官7」ほか
2009年3月-2- 紀里谷和明監督「GOEMON」 
2009年4月-1- 「ラスト・ブラッド」ほか
2009年4月-1- 「真マジンガー」、「クレヨンしんちゃん」

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posted by animeanime at 2009.04.25
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